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離婚とお金VOL15 相手の事業を手伝っていたが離婚した場合の財産分与について

財産分与は離婚の際に重要な項目の1つですが、妻が家事の傍ら夫の事業を手伝っていた場合には、それについて財産分与の際にどう考慮するかがポイントになってきます。

また、事業を手伝うことで賃金を得ていた場合には、離婚を機にどう手続きするかなども問題になります。

そこで今回は、相手の事業を手伝っていた場合の離婚の処理についてご紹介します。

夫の事業に貢献した場合の財産分与

妻が専業主婦として家事に従事していた場合、夫が給与所得者であっても事業主であっても、財産分与の割合で見た妻の寄与度はいわゆる内助の功として原則として5割になります。

そのため、夫婦が離婚する場合には、結婚中に築いた夫婦の共有財産の5割は財産分与として妻の請求の対象になります。

問題は、妻が家事に従事していただけでなく、家事の傍ら夫の事業を手伝っていた場合についてです。

相手の事業を手伝うことで貢献していた場合の例としては、夫がラーメン屋を経営しているところ、妻が家事の傍らラーメン屋の経営も手伝いながら一緒に頑張っていたケースなどです。

夫婦で頑張った結果、結婚前に比べて支店が増えた、売上が倍増した、などの事情があるものの、夫婦の財産の大半はラーメン屋名義になっており、夫名義の財産は200万円のみというケースにおいて、ラーメン屋についての財産分与は可能でしょうか。

この点、妻が夫の事業を手伝うことで事業の拡大や事業資産の増大などに貢献した場合、事業が個人経営であっても法人であっても、事業で生じた財産については基本的に財産分与の対象になります。

妻が家事や育児などの傍ら夫の事業を手伝っていた場合、事業の内容、夫の仕事の内容や程度、妻がどのように貢献したか、などの事情を考慮して、一般的に2割〜5割程度が財産分与の対象になります。

そのため、夫のラーメン屋の事業を手伝って貢献していた先程のケースの場合には、夫名義の財産である200万円だけでなく、ラーメン屋の店舗なども妻の取り分として財産分与の対象になってきます。

注意点としては、相手の事業を手伝っていたとしても、財産分与の対象になるのはあくまで結婚後に夫婦が増加させた部分だけです。

結婚前から夫が所有していた部分等については、夫の固有の財産に該当します。

事業を手伝っていた場合の手続き

妻が夫の事業を手伝っていた場合、事業の手伝いに対して労働の対価としてきちんと賃金を受け取っている場合は、あまり問題はありません。

問題となるのは、妻が対価としての賃金を受け取っておらず、実質的にただ働きとなっていた場合です。

賃金を受け取っていない場合は、離婚までに手伝っていた分について離婚を機にきちんと精算することが重要です。

次に、妻が夫の自営業を手伝っていた場合については、離婚後も事業を手伝い続けるかも問題になります。

離婚を機に事業の手伝いを辞める場合は、きちんとした退職の手続きや、退職金の処理などを話し合うことが大切です。

離婚後も事業の手伝いを続ける場合は、離婚後の給与の支払いについてきちんと話し合っておくことが重要です。

それまでは口約束で済ませていたことでも、離婚後はトラブルの原因になりがちなので、書面にしておくことが重要です。

<妻が夫の家業に従事していた場合の財産分与>

要求項目① 共有財産要求項目② 家業・夫の事業資産
内容・家業や夫の事業資産を除いた共有財産・夫の個人財産
・店や会社名義の財産
・結婚後に事業拡大などで
 増えた資産
妻の貢献割合
(妻がもらえる財産)
50%20~50%

借金を肩代わりしていた場合

夫婦の借金は大きく分けて2種類あります。

生活のために投じた借金と、事業のために投じた借金です。

夫婦が生活するために借りた借金については、基本的に離婚の際の財産分与の対象になります

生活のために投じた借金の例としては、自宅を購入するために組んだ住宅ローンや、子供の学費のために借りたローンなどがあります。

一方、事業のために投じた借金としては、事務所を建てるために借りた借金などがあります。

事業のための借金については、基本的に財産分与の対象になりません

また、事業のための借金として銀行などの金融機関から妻の名義で借金をしている場合、離婚をしたとしても、金融機関等に借金を返済する義務があるのは名義人である妻になります。

金融機関としては、名義の財産状況等を信頼して金銭を融資しており、融資した夫婦が離婚するかどうかは預かり知らないところです。

そのため、金融機関から返済を迫られた場合には、名義人である妻には返済を続ける義務があります。

もっとも、夫が行っている事業のために頼まれて借金をした場合などは、離婚をした後も返済し続けなければならないことは、妻の立場からすると納得できないところもあります。

自分名義だからといって借金を肩代わりし続けることが納得できない場合には、離婚調停など離婚の取り決めをする場でその旨をきちんと主張することが大切です。

法律上は相手に返済する義務があるのは妻であるとしても、話し合い等できちんと取り決めをすれば、返済自体は妻が行うものの、夫が返済する借金を事実上負担するなどの解決法も可能です。

おわりに

妻が家事の傍ら夫の事業を手伝っていた場合は、それについて財産分与の際に考慮され、事業を行っていた店舗なども基本的に財産分与の対象になります。

また、事業を手伝うことで賃金を得ていなかった場合の寄与分や、賃金を得ていた場合の退職金なども、離婚の際の重要な取り決めの項目として盛り込むことが重要です。

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