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離婚の手続きVOL33 養育費の支払いを内容証明で催促する方法を解説!

離婚時に取り決めたはずの養育費を夫が支払ってくれなくなったという話はよくあります。

養育費は子供が小さい場合や、子供の数が多い場合は長ければ20年以上にわたって支払いを続けなければならないものです。

それだけ長期となれば夫の側にさまざまな事情の変化が起こることも当然考えられます。

失業や大病を患ってしまうなど、支払いたくても支払えない状況であれば、いくら決め事と言っても無理強いはできません。

しかし、支払いを継続できることが明らかな場合や夫の動向が不明の場合、妻としてはまず夫に支払いを求めるのは当然です。

請求のしかたとしてはいくつかありますが、内容証明を使う方法もあります。

いきなり差し押さえもできる

離婚時に養育費について取り決めた強制執行認諾約款つきの公正証書を作るか、調停や審判手続きを経て裁判所で調停証書や審判書を作ってもらっていれば、それらの文書は債務名義として、裁判の判決文と同じ効力を持ちます。

つまりいきなり夫の財産を差し押さえるための強制執行手続きに取りかかることができるのです。

また、債務名義がなくても、支払督促や調停の申立てなどをそれぞれの案件を扱う裁判所に行えば、時間と手間はかかりますが、債務名義になる文書を手に入れることは可能です。

しかし、債務名義があろうがなかろうが、実際の取り立てに至るまで、一度は裁判所を通した手続きをしなければなりません。

それらの手続は複雑とまでは言えないものの、「裁判沙汰」に抵抗を持つ人はいるでしょう。

その前に夫が自主的に支払いを再開してくれるのであればそれに越したことはありません。

支払い請求に関して直接夫と話をする方法もありますが、夫が遠方に住んでいたり、夫に会いたくない事情があったりといった場合はまず手紙で催促してみることになります。

その手紙を内容証明の形で送ることで、いろいろと有利に働くことがあるのです。

内容証明とは

いざという時の証拠になる

内容証明とは、①何月何日に②誰が③誰に対して④どのような内容の手紙を送ったかについて、郵便局(郵便事業株式会社)が証明してくれるものです。

郵便局は差出人にとっても受取人にとっても赤の他人(第三者)ですから、このような形で作成された郵便は、さまざまな場面で強い証拠となるのです。

特に日付が特定されること、内容が証明されることの効果は大きいです。

普通郵便で手紙を送り、日付入りの控えを取っていたとしても、単に自分の確認に使えるだけで公の証拠にはなりません。

出した出さないの水掛け論となり、ビジネスなどのトラブルが生じた際にどうしようもなくなります。

なので、特に大切な契約や、今後何かあったらトラブルに発展しそうな内容に関しては内容証明郵便で出しておくことが大切なのです。

キャッチセールスなどに有効

街角で声をかけられ、断りきれずに高価な教材やエステサロンなどの契約を結んでしまうキャッチセールスですが、このように客が自ら進んで店舗に行って契約したのではない場合、クーリングオフの適用が法律で認められています。

クーリングオフとは、契約日から8日以内であれば無条件で一方的に解約ができるという制度です。

契約書に記載があるはずですし、もし記載がなくても要件に当てはまればクーリングオフは可能です。

クーリングオフは契約の相手方に対し、文書で申し出なければなりません。

ところが会社によっては解約の文書が届いても、それが普通郵便だった場合、勝手に処分し、期間内に受け取っていないから解約できないと言ってきます。

したがって、悪徳業者を想定してクーリングオフ文書を内容証明郵便で送ることは、今や常識と言ってもよいでしょう。

握りつぶされてもこちらには証拠が残っていますし、そもそも内容証明でクーリングオフ文書が送られてきた時点で、業者の方はまず諦めることでしょう。

内容証明の効果

これまであげた他に、内容証明にはもう一つの効果があります。

それは「心理的効果」です。

形式を踏み、直接本人に手渡しの形で届く郵便には「証明」のスタンプが押されています。

それこそ悪徳業者にとっては日常茶飯事かもしれませんが、一般市民にとって内容証明はそうそう手にするものではありません。

また、書かれている内容も法的な対抗手段を匂わせていることが多く、受け取った側に何か普通の手紙とは違うと感じさせ、何らかの反応をしなければいけないのではという気持ちにさせることができるのです。

口頭や普通の手紙で何の反応もしなかった債務者が、内容証明を受け取った途端連絡してくるというのは実際によくある話です。

養育費の支払い請求を内容証明で送ることは、①であげたような後々のトラブルに備える証拠のためという一面も確かにあります。

しかし何より夫が「内容証明」そのものに反応して支払いを再開するという、この心理的効果に期待するところが大きいのです。

内容証明の書き方

実際に内容証明郵便を出す際には決められた形式に沿って作成する必要があります。

1枚に書ける字数に制限がある

内容証明は1枚につき最大520文字まで書くことができます。

横書きの場合、1行26字以内、20行までです。

縦書きだと1行13字以内で40行以内となります。

句点読点も1字として計算します。

鍵カッコ(「」)もそれぞれ1字です。

また数字も一つの桁で1字です。

「3000」でなく「3000」と記載します。

パソコンやワープロで作成して構いません。

字数と行数をあらかじめ設定しておけば簡単に作れます。

手書きの場合は消えないペン、ボールペンを使って下さい。

郵便局で内容証明郵送を頼むと、字数行数を守って書かれているか職員がしっかりチェックします。

全体の文字数だけでなく各行の字数の制限を1字でも超えてしまうと書き直しとなってしまうので注意しましょう。

1枚で足りなければ何枚に渡っても構いませんが、1枚増えるごとに料金が加算されます。

訂正や削除の方法

手書きで作成したものを見直して訂正部分があれば、間違った部分を2本線で消し、訂正印を押し、訂正の場合その上部に正しい文字を書き入れます。

さらに欄外右側に同じ訂正印を押し、印の上部に「○字訂正」「○字削除」と書きます。

ワープロだとそのような手間はかかりませんが、万一郵便局で出す際に住所などの間違いに気づいた場合に備え、訂正印は持参しましょう。

内容について

差出人と受取人の住所氏名を正しく記載しなければなりません。

日付については必須ではないですが、証拠として重要な要素ですので提出日を忘れず書きましょう。

それ以外には何の制限もありません。

何の目的でどのように書いてもよいのです。

もっとも普通郵便より費用がかかり、枚数ごとに加算されるのですからできるだけ簡潔に、相手に分かりやすく書きましょう。

用紙について

使用する用紙に制限はありません。

ワープロならA4の大きさが一般的ですが違う大きさでもよいのです。

手書きの場合、白紙でもよいし、大きな文具店に行けば内容証明専用の原稿用紙が売っているのでそれを使うこともできます。

内容証明の出し方

文面を作成し終えたら計3通分プリントアウト(残り2通分をコピーでも可)します。

3通とも自分の名前の横に認印を押します(訂正印と同じもの)。

また、用紙が2枚以上に渡る時はホチキスで留め、割印をして下さい。

郵送用の封筒を1枚準備し、文書と共に郵便局に持参します。

内容証明郵便の扱いがあるのはある程度大きな郵便局だけです。

郵便局のホームページで確認できます。

郵便局では文書を3通とも渡し、チェックを受けます(30分ほどかかる場合もあるので時間に余裕を持って出かけて下さい)。

チェックが終われば職員は3通のうち2通を差出人に返します。

2通のうち1通は控えですから大切に保存して下さい。

1通を相手方に送り、残り1通を郵便局が保管します。

保管期間は5年です。

封筒に差出人と受取人の住所氏名を文面の記載と同じように書き(「1丁目5番」と文面にあるのに封筒に「1-5」と略して書かないようにしましょう)職員の前で封筒に送る分の1通を入れ、糊付けして渡します。

あとは提示された料金を払って終わりです。

内容証明の料金

内容証明料金430円(2枚目以降がある場合、1枚当たり260円)、書留料金430円、通常の郵便料金(25gまで82円)の計942円が基本料金です(2019年7月現在)。

手紙が1枚増えるごとに260円ずつ追加料金がかかります。

「配達証明はつけますか」と聞かれるので、別途310円かかりますがつけてもらいましょう。

何月何日相手方に届いたかを差出人にハガキで知らせてくれるもので、着いたかどうかをヤキモキする必要がなくなります。

なお、パソコンから直接内容証明を送ることができます(e内容証明)。

郵便局に出向く手間は省けますが、登録の手間はそれなりにかかるので、今後何度も内容証明を利用することが想定されるようであれば考えてみてもよいでしょう。

おわりに

内容証明により夫が養育費の支払いを再開すれば問題ありませんが、そうでなければ調停や強制執行の手続きに入るしかありません。

一般的に内容証明で相手に義務の履行を求める時には「履行(返信)なき場合、法的措置を取ります」という文章が入ります。

養育費支払い請求の場合に正に当てはまるものであり、当然入れるべきです。

夫への心理的効果も増すでしょう。

ただし、勢いに任せてあまり過激な文章にならないように注意しましょう。

直ちに支払わないと何をするか分からないぞというような書き方は、場合によっては脅迫罪の要件に当てはまることがあります。

内容証明が逆にこちらの脅迫の証拠となってしまっては本末転倒です。

内容証明は問題を穏便に解決するための有効な手段ですが、それだけで法的な効果をもたらすものではありません。

夫からの反応がない場合には次の手段を取ればよいのです。

焦らず行動して下さい。

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