離婚とお金VOL3 どこまで認められる?離婚前の別居期間中の生活費で請求できる項目とは | 離婚弁護士マップ
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離婚とお金VOL3 どこまで認められる?離婚前の別居期間中の生活費で請求できる項目とは

婚姻している夫婦は婚姻費用として生活費をお互いに負担する必要がありますが、婚姻関係が破綻している場合はどのように負担すればよいかは気になるところです。

夫婦としての関係が既に破綻していることから、婚姻費用を分担する必要はないのでしょうか。

それとも、まだ離婚が成立していないことから、依然として婚姻費用を分担する必要があるのでしょうか。

そこで今回は、夫婦の婚姻費用の分担について、別居期間中にどう分担すればよいかを中心に解説していきます。

婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦が生活を維持するために必要な費用のことです。

夫婦における生活費とイメージすれば把握しやすいです。

婚姻費用については民法第760条に定められており、「夫婦は、その資産、収入、その他一切の事情を考慮して、婚姻によって生じる費用を分担する」旨が規定されています

夫婦が分担しなければならない主な婚姻費用の項目としては、衣料、食料、家具などの購入費、アパートやマンションなどの家賃、光熱費等の月々の支払い、医療保険など家族の保険にかかる費用、医療に要した費用、収入や社会的地位などに応じた相応の娯楽費、子どもの養育や教育に要する費用などがあります。

  • ・衣料、食料、家具調度品
  • ・家賃光熱費
  • ・家族の保険、医療費
  • ・娯楽費、交際費(収入や社会的地位相応のもの)
  • ・子供の養育、教育費

婚姻費用の分担方法

婚姻費用を具体的にどのように分担するのかについては民法に規定がなく、夫婦の互いの収入を基準として分担の割合を協議で決めるのが一般的です

例えば、妻が専業主婦で収入がない場合には、夫婦の婚姻費用については全額を夫が負担することになります。

夫婦それぞれに収入がある場合には、収入が多いほうがより多く負担するのが通常です。

また、夫婦が共働きの場合には、互いに収入から一部を出し合うケースもあれば、生活費については主に一方の収入から支出し、他方の収入は貯蓄にまわすケースもあります。

いずれにせよ、夫婦がどのように婚姻費用を分担するかは夫婦ごとのルールがあり、互いの協議によって決まるのが通常です。

なお、この場合の協議とは厳密な話し合いは必ずしも必要ではなく、暗黙の了解による場合もあります

婚姻費用をどのように分担するかは基本的には夫婦の協議で決まりますが、協議が調わない場合や、協議されたにもかかわらず費用を支払わない場合には、家庭裁判所に対して婚姻費用の分担を請求する調停を申し立てることができます。

別居中の婚姻費用

婚姻費用を分担しなければならないという原則は、夫婦が別居している場合にも適用されます。

例えば、夫が単身赴任で自宅に住んでいるのは妻だけという場合でも、妻の婚姻費用について妻の収入だけでは足りない場合には、夫が負担することになります。

また、単に単身赴任しているような場合とは異なり、結婚生活が破たんして一方の配偶者が家を出て別居状態にある場合でも、婚姻費用を分担するという原則は適用されます

そのため、不仲が原因で別居状態にあったとしても、例えば妻に収入がない場合には、別居中の夫に対して生活費を要求することができます。

妻に収入がある場合には、相応分の負担を要求することになります。

なお、離婚が成立するまでの間に別居中の妻が自分で支出した生活費については、財産分与や慰謝料などとともに、離婚の際に夫に対して請求できる離婚給付の一つになります。

そのため、別居中に婚姻費用の負担をしてもらわなかった場合にも、離婚の際に過去の婚姻費用の分担として請求することが可能です

一方の配偶者の責任が大きい場合

結婚生活が破綻しても婚姻費用を分担する原則は継続することから、離婚が成立するまでは婚姻費用の分担の義務は基本的には免れません。

もっとも、夫婦が別居するに至った原因について、主に一方の配偶者の側の責任が大きいといえる場合には、その配偶者からの婚姻費用の請求が認められないこともあります。

責任が大きいといえる場合の例としては、妻の浮気が原因で夫婦の仲が悪くなったにもかかわらず、妻の側から家を出て別居したケースなどです。

逆に、妻が家を出て別居することになった理由が夫の暴力を理由とするものである場合や、夫が妻を捨てて家を出て愛人と暮らし始めた場合など、主として夫の側に夫婦関係の破綻の原因がある場合には、妻は夫に対して婚姻費用を請求することができます。

おわりに

婚姻費用とは、夫婦としての生活を維持するために必要な費用のことです。

婚姻費用の例としては、生活費、家賃、相応の娯楽費、保険費用などがあります。

婚姻費用については民法第760条によって夫婦が分担する旨が定められていますが、具体的にどのように費用を分担するかは基本的には夫婦の協議によります。

単身赴任などで夫婦が別居している場合も婚姻費用は分担する必要があり、婚姻関係が破綻して別居している場合でも、離婚するまでは基本的に婚姻費用を分担することになります。

また、別居中に婚姻費用として必要な生活費が受け取れなかった場合でも、別居中の生活費については基本的に離婚の際に請求することができます。

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