離婚とお金VOL2 要チェック!離婚したら相手から受け取れる4種類のお金と注意点 | 離婚弁護士マップ
  • tel-button
  • mail-button
top center bottom

離婚とお金VOL2 要チェック!離婚したら相手から受け取れる4種類のお金と注意点

離婚の際には、金銭面での解決するべき問題がいくつかあります。

正当な権利として金銭を請求することができるケースが多いため、しっかりと知識を身につけておくことが大切です。

どのようなものがあり、どのように請求していくのかについて説明していきます。

離婚給付とは

離婚に際し、配偶者に対して金銭の給付を請求できることがあります。

これを離婚給付と呼びます。

具体的には、①財産分与、②慰謝料、③養育費、④婚姻費用の4種類があります。

それぞれについて、表で説明します。

種類根拠条文内容
財産分与(民法768条)夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を清算して、それぞれの個人財産に分ける制度。専業主婦(夫)で無収入だった場合でも、家事等により財産形成に貢献していたと認められ、基本的に2分の1ずつの割合で財産を分けることとなる。
結婚前に築いた財産や、結婚期間中であっても相続で得た財産は財産分与の対象外となる。
財産分与は、有責者(離婚原因を作った側)であっても請求できる。
慰謝料(民法709条、710条)配偶者の有責(不貞行為、DV等)により離婚となる場合に、精神的苦痛に対する賠償として配偶者に対し金銭を請求することができる。
慰謝料は独立して請求することもできるが、財産分与と一括して請求し、慰謝料分を財産分与に加味して請求し、財産分与のみで解決することもある。
また、不貞行為の場合には、配偶者の不貞相手に対しても慰謝料を請求することができる。
婚姻費用(民法760条)結婚期間中は、夫婦には相互に扶助義務があり、収入等に応じた生活費の分担義務がある。
別居期間中であっても、離婚が成立するまでの間、夫婦間の収入差がある場合収入の少ない方の当事者は、配偶者に婚姻費用を請求することができる。
例外的に、別居の原因が専ら収入の低い当事者側にある場合には、請求が認められなかったり金額が低くなる場合がある。
養育費(民法766条、877~880条)夫婦間に未成年の子がいる場合、夫婦それぞれに子供の扶養義務がある。
離婚により子供を養育する側の当事者(通常は親権者)は、養育しない側の元配偶者に対し、子供が成熟するまでの間の養育費を請求することができる。
成熟するまでとは、20歳までとすることもあれば、18歳までとすることもある。

離婚給付の請求方法

離婚給付は、どのように請求すればよいのでしょうか。

まずは、当事者間での話し合い(協議)で決めることが基本です。

できるだけ感情的にならず、冷静に配偶者と話し合いましょう。

金額を当事者間で判断できない場合には、家庭裁判所が採用している婚姻費用や養育費の算定表を参照して話し合いましょう。

ただし、相手が話し合いに応じなかったり、条件が折り合わない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

調停を申し立てる前に、弁護士に依頼して、配偶者との話し合いを代理して交渉してもらうこともできます。

調停でも話がまとまらずに不成立となった場合には、最終的には裁判まで進むケースもあります。

状況や相手の性格に応じて、どのように進めていくべきかを判断しましょう。

金額の相場とは

それでは、実際にどれくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか。

財産分与

財産分与の相場というものがあるとは言えません。

平成26年の司法統計によると、半数以上が400万円以下となっていますが、財産分与の額は、夫婦で婚姻期間中に築いた財産がどれくらいあるかによって変わります。

基本的には、婚姻期間中に築いた財産を半分ずつの割合で分けることとなりますので、まずはどれだけの財産があるかを確認することが大切です。

財産には、預貯金、株式、不動産、生命保険といったものがあります。

婚姻期間中に厚生年金に加入していた場合、年金分割をすることができるため、年金も分与の対象となります。

ただし、不動産の場合、住宅ローンの返済中ということも多く、単純に不動産の価値の半分を請求できるといったものではありませんので注意が必要です。

慰謝料

慰謝料の金額は、離婚原因の内容、結婚期間の長さ等によって判断することとなり、現状婚姻費用や養育費のような算定表といったものはありません。

例えば不貞行為が原因の場合で考えると、不貞行為が続いていた期間が長ければ長いほど、結婚期間が長ければ長いほど金額は高くなる傾向はあります。

ただし、慰謝料は特別な高額請求が裁判所で認められることは少なく、50万円から500万円程度になることがほとんどです。

それ以上の金額が認められることは非常に稀です。

配偶者の有責事由について、心情的に許せない気持ちになり高額な慰謝料を請求したくなりがちですが、法外な要求をしてもそれが認められることはなく、いたずらに紛争を長引かせる原因となりますので、そのような要求は控えましょう。

自分の請求額が妥当かどうか、また、相手から請求されている金額が妥当かどうかは、弁護士に事前に相談するのが賢明です。

婚姻費用

婚姻費用は、支払う側の収入、受け取る側の収入、子供の人数及び年齢によって金額を算定することが通常です。

家庭裁判所で採用している算定表を見れば、どの程度受け取ることができるのかを算定することができます。

夫婦間の収入差が大きければ大きいほど、子供の人数が多ければ多いほど婚姻費用は高額になるのが通常です。

別居となると生活費を払うことをしぶる配偶者が多くなりがちですが、正当な権利として妥当な金額をしっかり請求しましょう。

ただし、別居するための引っ越し費用等まで請求できるかというと、通常そこまでは認められませんので、別居の際には慎重に行動して、経済的に窮することがないように備えましょう。

また、一方的に自分から別居を開始し、不貞相手と同棲しているようなケースでは、自分の有責性が強すぎて婚姻費用の請求が認められない可能性があります。

養育費

養育費は、婚姻費用と同じような計算方法で、受け取る側と支払う側の収入、子供の人数を基に計算することが一般的です。

養育費についても家庭裁判所で採用している算定表がありますので、参照してどれくらいが妥当な金額か判断しましょう。

司法統計によると、平成26年度に調停等で決まった養育費は6万円以下となった事案が8割程度です。

養育費は、通常月額を決めて毎月支払うこととするのが一般的ですが、場合によっては、一括して全額を支払う取り決めをすることもあります。

養育費は、長期間にわたって支払いが続くものなので、途中から不払いとなってしまうケースが多くみられます。

そのようなことを防ぐためには、金額を妥協してでも一括払いにしてもらうか、養育費の取り決めを公正証書にするといった対策をすることが大切です。

また、養育費は長期にわたって支払いが続くため、当初とは事情が変わってくることも多くなります。

収入が変わったり、子供が重い病にかかったりするなど、さまざまな変化が起こりえます。

そのような場合、養育費の金額等の変更が認められることがあります。

まとめ

離婚の際には、金銭面での問題を避けて通ることはできません。

離婚の準備をするほど夫婦関係が悪化しているときに、お金の話し合いをすることは双方にとってストレスになりがちですが、大切な問題なのでしっかり取り決めをする必要があります。

感情的なもつれなどで当事者間での話し合いが難しいと判断した場合、早めに弁護士に相談することも選択肢の一つです。

▼離婚とお金 シリーズ

  1. 離婚とお金VOL1_あとで慌てない!離婚の前に必ず決めておくべき3つのこと
  2. 離婚とお金VOL2_要チェック!離婚したら相手から受け取れる4種類のお金と注意点
  3. 離婚とお金VOL3_どこまで認められる?離婚前の別居期間中の生活費で請求できる項目とは
  4. 離婚とお金VOL4_離婚の財産分与と慰謝料の要求は時効に注意!約束を守らせる秘訣とは?
  5. 離婚とお金VOL5_親権者でなくても離婚後に子どもを引き取れる「監護者」とは?
  6. 離婚とお金VOL6_「離婚後は子どもを会わせたくない」は認められない?まずは面会のルールを決めよう
  7. 離婚とお金VOL7_離婚時に決めた財産分与や養育費が支払われない場合にとれる差押えなどの解決方法
  8. 離婚とお金VOL8_内縁など事実婚状態でも財産分与や慰謝料、養育費の要求は可能?
  9. 離婚とお金VOL9_家事労働分がカギ!専業主婦と共働き2つのケースでの離婚における財産分与はどう違う?
  10. 離婚とお金VOL10_離婚を急いで請求権を放棄すると取り返しがつかない!あとから請求する方法はある?
  11. 離婚とお金VOL11_親の遺産は?離婚時の財産分与でもらえるものと、もらえないもの
  12. 離婚とお金VOL12_財産分与を現物でもらうのはアリ?離婚で不動産をもらうときの注意点
  13. 離婚とお金VOL13_財産分与と慰謝料を受け取ると税金がかかる?離婚と税金の関係について解説
  14. 離婚とお金VOL14_マンション頭金や結婚式費用は離婚時の財産分与でどうなる?
  15. 離婚とお金VOL15_相手の事業を手伝っていたが離婚した場合の財産分与について
  16. 離婚とお金VOL16_借金のある事業や夫の浪費癖により喪失した事業資産がある場合、離婚したら財産分与はどうなる?
  17. 離婚とお金VOL17_浮気した本人は離婚時に財産分与を受け取れる?慰謝料との関係も解説
  18. 離婚とお金VOL18_夫の借金の保証人になっていた場合、離婚時にやるべきことと財産分与について
  19. 離婚とお金VOL19_離婚による財産分与を分割でもらう際に必ずやるべきことと、ローンが残っている不動産のもらい方
  20. 離婚とお金VOL20_姑からのイジメも?離婚で慰謝料を受け取れるケースとその相場について解説
  21. 離婚とお金VOL21_慰謝料も財産分与も請求できる期限がある!不払いを防ぐ方法とは?
  22. 離婚とお金VOL22_事実婚で生まれた子は?養育費をもらえるケースとその期間について解説
  23. 離婚とお金VOL23_諦めたら損!養育費が決まらない場合にとるべき手段
  24. 離婚とお金VOL24_養育費の相場はいくら?年収で計算する方法を解説!
  25. 離婚とお金VOL25_養育費で損しないための対策!毎月払いと一括払いの利点欠点と、不払いを防ぐ方法
  26. 離婚とお金VOL26_養育費はあとから増額や減額ができる?具体的なケースを解説!
  27. 離婚とお金VOL27_失業や借金で養育費を払えないと言われた場合、今までどおり要求できるケースと諦めたほうがいいケース
  28. 離婚とお金VOL28_再婚したら養育費はどうなる?養子縁組との関係について解説
  29. 離婚とお金VOL29_財産分与や養育費の話し合いがうまくいかない場合に、まずやるべきこと
  30. 離婚とお金VOL30_DVが離婚原因の場合、直接会わずに慰謝料や養育費などの話し合いを進める方法を解説
  31. 離婚とお金VOL31_養育費の過剰な取り立ては訴えられるかも?やってはいけない催促とは
  32. 離婚とお金VOL32_養育費が支払われない場合は祖父母に払ってもらえる?法律上の支払義務とは
  33. 離婚とお金VOL33_養育費の支払いを内容証明で催促する方法を解説!
  34. 離婚とお金VOL34_養育費など離婚給付の話し合いがまとまらない場合に裁判を考えるタイミング3つ!
  35. 離婚とお金VOL35_養育費を要求するための少額訴訟のやり方
  36. 離婚とお金VOL36_財産分与が支払われない!借金取立てにも利用される「支払督促」について知っておこう
  37. 離婚とお金VOL37_いきなり裁判はできない!養育費が支払われないときに踏むべき手順について解説
  38. 離婚とお金VOL38_財産分与や養育費の取り決めを無視された場合に財産を差し押さえる手続き方法
  39. 離婚とお金VOL39_財産分与や養育費が支払われない場合、いくら差押えができる?
  40. 離婚とお金VOL40_離婚して子どもを夫に会わせたくないときに考えるべきこと
  41. 離婚とお金VOL41_夫と子どもとの面会は制限していい?祖父母に面会交流権はある?
  42. 離婚とお金VOL42_親権でもめて子どもを連れ去られたときに返してもらう方法を解説
  43. 離婚とお金VOL43_離婚後、子どもに会わせてくれなくなった場合に面会を求める方法とは
  44. 離婚とお金VOL44_離婚後も結婚中の姓を名乗るための手続き
  45. 離婚とお金VOL45_離婚して旧姓に戻っても子どもは夫の姓のまま?妻の戸籍に入り妻の姓にする方法
  46. 離婚とお金VOL46_子どもの姓を親権者ではない方の姓に変える手続き
  47. 離婚とお金VOL47_戸籍からバツイチを消す裏ワザ!注意点も解説
  48. 離婚とお金VOL48_子どもの親権者が虐待をしていたときに親権を変更する方法
監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

中野 和馬
石木 貴治

東京弁護士会

石木 貴治
山谷 千洋

東京弁護士会

山谷 千洋
堀 翔志

第二東京弁護士会

堀 翔志
水流 恭平

東京弁護士会

水流 恭平
福西 信文

東京弁護士会

福西 信文
川﨑 公司

東京弁護士会

川﨑 公司
大橋 正崇

弁護士法人AO

大橋 正崇
鵜飼 大

ウカイ&パートナーズ法律事務所

鵜飼 大
監修弁護士一覧
弊社が選ばれる3つの理由
離婚について知る