この記事でわかること
- 離婚届を取り下げたいときにできること
- 離婚届不受理の申出の方法
- 離婚届不受理の申出を検討すべきケース
離婚届不受理の申出の方法
離婚届不受理の申出は、原則は本人が市区町村役所の窓口に出向いて、離婚届不受理の申出の用紙を記入し、提出します。
提出先となる市区町村役所は、基本的には本籍地を管轄する役所になりますが、それ以外の役所でも提出することができます。
申出の際には、運転免許証などの本人確認資料を提出します。
本人が病気や多忙で市区町村役所の開庁時間内に提出できない場合は、郵送による提出や代理の人による提出も認められています。
※離婚届不受理の申出の流れについては図1を参照
離婚届不受理の申出を検討すべきケース
離婚や離婚条件を夫婦で話し合う前に離婚届を作成した場合
離婚をする際には、どの夫婦でもよく話し合う時間が必要です。
前提として離婚するか否かをはじめ、今後、財産分与や子供の親権などを含めて、決めなければならないことはたくさんあります。
しかし、夫婦仲が険悪で早く相手から解放されたい人は、話し合いが十分にできていない段階で早々と離婚届だけを記入して、相手に預けてしまうことも少なくありません。
離婚届は、本人が提出しなくても問題なく受理されてしまうので、離婚条件について十分な話し合いができていない段階で離婚届けが提出されて離婚が成立すると、その後、財産分与や子供の親権について話し合いができず、うやむやになってしまう可能性があります。
相手の希望に沿って離婚届だけは作成したが、離婚条件の話し合いなどができていない場合は、今後の自分の利益のためにも離婚届不受理の申出を検討し、一方の勝手な離婚届の提出を防ぐことが賢明です。
相手がとにかく離婚を急いでいる場合
相手が離婚を急いでいる場合は、離婚届の作成だけをとにかく急いで求められることが多いです。
そのような相手は、離婚条件の話し合いもろくに対応してくれないことは想像に難くないでしょう。
離婚条件の話し合いをする代わりに離婚届の作成を求められた場合は、事前に離婚届不受理の申出を済ませた後で、離婚届の作成に応じるのも一つの有効な手段です。
離婚届を記入したあとで離婚したくなくなった場合
離婚届を作成したあとで、よく考えてみると離婚したくなくなった、ということはよくあることです。
離婚は、夫婦がお互いに離婚意思が合致していなければ、本来、離婚の効力は発生することはありませんが、離婚届を提出された市区町村役所は離婚届が問題なく作成されていれば、受理せざるを得ません。
よって、離婚したくなくなった場合は、離婚届の提出を防ぐことが必要ですが、相手に離婚届を預けている場合は難しいと考えられます。
一旦、離婚届を提出されてしまったあとで離婚を撤回するには、後日、家庭裁判所に調停や取消しの訴訟を起こさなければならず、これには時間と手間がかかることになってしまします。
そこで、離婚届不受理の申出をしておくことで、離婚の成立を回避し、改めて離婚をするか否かの話し合いができるようになります。
離婚届不受理の申出の取下げ
以前は、離婚届不受理の申出後、最長6ヵ月間と制限がありました。
しかし、平成20年の法律改正により申出期間の制限は撤廃され、取下げがあるまで制限なく有効と取り扱われることになりました。
離婚届不受理の申出を提出した後、離婚をするか否か、財産分与や子供の養育費、親権などについて夫婦で話し合い、お互いの意思が固まり、離婚届不受理の申出が必要でなくなったあとは、申出人自身が、離婚届不受理の申出の取下げをすることが必要です。
郵送による取下げは認められていないので、申出人が管轄の市区町村役所に出向き取下げをすることが必要です。
また、離婚届不受理の申出をした申出人本人が、離婚届の提出をする場合には、申出の取下げをあわせてするものとみなされ、離婚届の提出前に離婚届不受理の申出の取下げをしておく必要はありません。
まとめ
離婚の成立は、離婚届の提出のみで成立してしまいます。
相手が離婚届の作成を急いでいる場合、自分の考えをまとめることなく離婚届に判を押してしまう人もいますが、離婚届が提出された後では、それを撤回することはとてもハードルが高いです。
そういった不利益を回避するために、離婚届不受理の申出の仕組み・内容・提出方法をよく理解し、離婚に際し、なるべく不利益がないよう準備しておきましょう。
▼離婚の手続き シリーズ
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