この記事でわかること
- W不倫とは何かがわかる
- W不倫のきっかけやハマりやすいタイプがわかる
- W不倫のリスクや慰謝料の相場がわかる
W不倫とは
不倫とは、「配偶者がいる人が、自分の配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」をいいます。
また、ダブル不倫とは、「お互いに別の異性と結婚している既婚者同士が不倫関係になること」をいいます。
日本の法律では、婚姻した男女は、配偶者以外の異性と肉体関係をもつことは、配偶者への不法行為となります。
ダブル不倫の場合、たとえば「夫A1と妻A2」「夫B1と妻B2」という2組の夫婦がいたとします。
夫A1と妻B2が不倫関係となった場合、夫A1と妻B2は、妻A2にも夫B1にも不倫の責任を負うことになります。
W不倫がはじまるきっかけ
W不倫は、どんなことがきっかけではじまるのでしょうか?
マイナビウーマンの調査によると、不倫は、仕事の相談をしたり残業で2人きりになったりといった、職場でのちょっとしたきっかけではじまることが多いようです。
参考:マイナビウーマン 「不倫のきっかけになることランキング」
W不倫のきっかけは、不倫のきっかけとそれほど変わらないかもしれませんが、既婚者同士なので話が合いやすいことや、お互いに相手に離婚してほしいと迫られることがない安心感から、より不倫関係に発展しやすいということがあるかもしれません。
お互いに配偶者に不倫を知られたくないという利害が共通することから、秘密も守られやすくなります。
以下では、ダブル不倫でよくある出会いのきっかけをいくつかご紹介します。
職場内での出会い
職場での上司と部下、同僚同士、取引先として知り合った男女がダブル不倫に陥るケースもよくあります。
毎日顔を合わせ、仕事という共通の話題があるため、仲良くなりやすいという傾向があります。
また、同じ職場の人や取引先の人と会うことは自然なことなので、配偶者にとがめられることもありません。
また、女性の場合、上司がスマートに仕事をしたり、自分のミスを庇ってくれたり適切なアドバイスをしたりしてくれたりしている姿をみて、異性としての魅力を感じてしまう場合も多いようです。
同窓会での再会
小学校や中学校の同窓会で初恋の人に再会して、不倫関係になってしまうというきっかけも多いようです。
昔の同級生が年月を経て素敵な異性になっていると、つい心が揺らいでしまうこともあるようです。
共通の思い出があるので、話が盛り上がるということもあるでしょう。
出会い系アプリやSNS
最近流行りの婚活や恋活アプリやSNSも、既婚者同士の出会いの場になってしまっていることがあります。
結婚相談所と違い、アプリなどのマッチングサービスでは、独身証明書などの提出が不要なところもあり、既婚であることを隠して活動できるサービスもあります。
いまの結婚生活に満たされないものを感じていたり、刺激を求めていたりする場合、既婚者が不倫相手を求める出会いの場として活用してしまうケースも多いようです。
配偶者が長期で不在になる
配偶者が長期で不在になるタイミングは、不倫が起きやすいです。
例えば妻が出産で実家に帰ったり、長期の出張に出たりと、ひとりになる期間は危険です。
「長期で不在になるから、バレるリスクは少ない」と思い、不倫をしてしまう人もいるようです。
W不倫にハマりやすい人の特徴と心理
家庭に満たされないけれど、家庭を壊したくない人
夫婦仲がうまくいっていないと、どうしても外部に癒しや刺激を求めてしまう傾向があります。
また、子供がいて家庭にそれなりに幸せを感じていても、配偶者以外の異性に優しくされたいと思っているような場合、お互いに秘密を守れる不倫の関係に心が揺らいでしまうことがあります。
経済力がある、または自分の自由になるお金が多い人
収入が高い、または資産家で自分の自由になるお金が多い人も、ダブル不倫にハマりやすい傾向があります。
不倫をすると、家族に使うお金のほかに、デート代、ホテル代、食事代など様々なお金がかかります。
配偶者に厳しく家計管理をされていると、支払いから不倫がバレてしまうことがよくありますが、自分で自由に使えるお金が多い人はバレにくく、不倫関係が長くのかもしれません。
日頃から忙しい人
日頃から忙しい人は不倫をしている場合がないのではと思いがちですが、意外と不倫にハマりやすいようです。
仕事で多忙な状態が続くと、ストレスがたまりがちです。趣味やスポーツなど不倫以外でストレスを発散する習慣がある人はよいのですが、不倫関係でストレスを解消してしまう人もいるようです。
特に、家庭で配偶者が愚痴を聞いてくれなかったり、忙しさに理解を示してくれなかったりする場合は、外の異性に癒しを求めてしまうこともあるようです。
また、日頃から出張や残業が多く休日出勤もざら、という場合は、仕事と偽ってデートに出かけても、家族に怪しまれることがありません。不倫がバレにくいということも、ついついはまってしまう要因の一つなのかもしれません。
時間が自由になる人
専業主婦であれば、昼間は夫も子供も外に出かけているため、日中に不倫をしていてもばれないケースがあります。
また、営業職など外回りの人も、外勤中に不倫をすることはそれほど難しくないでしょう。
異性への関心や性的欲求が強い人
異性への関心や性的欲求の強さは個人差が大きいものです。
特に夫婦関係に不満がなくても、配偶者だけでは満足できず、外に恋愛を求めてしまう人もいます。
特に、独身時代から浮気が絶えなかったタイプの人は、ダブル不倫に限らず不倫関係にハマりやすい傾向があると言えるでしょう。
ストレスが溜まっている人
ストレスが溜まっている人も、不倫にハマりやすいです。
なぜなら不倫することがストレス発散に繋がるからです。
特にバリバリ仕事をしている人は、その分ストレスも溜まっているため、不倫の危険性があります。
「不倫でストレスを発散すれば、家にストレスを持ち帰らずに家庭円満になり、罪悪感から相手にやしくできる」という自己正当化もします。
仕事や生活でストレスが溜まっている人は要注意です。
日々に退屈をしている人
不倫にはスリルがあるため、日々の生活に退屈している人はハマりやすいです。
不倫をすることで退屈な日々から現実逃避ができたり、そのときはだけはドキドキした感情や刺激を味わえます。
もし日常生活が充実していれば、わざわざ不倫をしてスリルや刺激を感じる必要もないでしょう。
単調な日々の繰り返しであったり、夫婦生活に退屈している人は、不倫の危険性があります。
W不倫のリスク
離婚となり家庭が壊れるリスクがある
日本の民法では理由なく離婚することはできず、基本的には双方の合意が必要ですが、「不貞行為、悪意の遺棄、回復しがたい重度の精神病など」の特定の場合は、法定離婚原因といわれ、この限りではありません。
不倫は法定離婚原因の一つで、不倫が配偶者に発覚して離婚を請求された場合、こちらが離婚したくなくても、判決により強制的に離婚となってしまうことがあります。
家庭を壊さずに不倫を楽しみたいから、発覚しづらいダブル不倫を選んだという場合もあるかもしれませんが、不倫相手が秘密を守ったとしても、不倫は他のちょっとしたことからばれてしまう可能性もあります。
高額な慰謝料の支払いをしなければならないリスクがある
不倫をした男女は、被害者である配偶者に対して慰謝料を支払う義務を負います。
民法709条は、故意過失により、他人の生命、身体、財産に損害を与えた場合、その損害を賠償しなければならない旨を定めています。また、民法710条はその損害は財産的損害に限られないとしています。
配偶者に不倫をされた被害者は通常大きな精神的ダメージを受け、不倫によって離婚となった場合、家庭の平穏という目に見えない法律上の利益をおかされたということになります。
不倫をした男女は、被害者が受けたそれらの損害を、「不倫慰謝料」として金銭的に賠償しなければなりません。
不倫慰謝料の相場は、不倫によって離婚しなかった場合は50万円〜100万円程度、離婚に至った場合は100万円〜300万円程度といわれています。
もちろんこれは目安であり、当事者が合意すればもっと高い場合も低い場合もありえます。また、夫婦の年齢、収入、子供の有無、不倫前の夫婦仲、結婚年数や不倫の長さ、頻度など個別の案件の事情によっても、認められる金額は変わります。
ダブル不倫の場合、被害者が2人いるので不倫カップルが負う損害賠償債務は2つとなり、金額も膨れ上がります。
求償権とは?
W不倫の解決が複雑になる要素の1つとして求償権の存在があります。不倫は共同不法行為となるため、不倫した男女は、不倫の損害賠償義務を被害者に対して連帯して負うことになります。
被害者は、自分の配偶者に対しても不倫相手に対しても満額慰謝料請求をすることができます。
請求された側は、被害者に対しては、相手にも半額請求してくれということはできず満額支払わないといけませんが、事後的に「相手に支払った慰謝料のうち責任分を請求する」ことはできます。これを、求償権といいます。
ダブル不倫の場合、2組の夫婦がそれぞれ、不倫の結果離婚する場合もありますし、離婚しないで夫婦関係を修復していく場合もありますが、離婚しない場合、被害者としては、不倫相手に求償権を行使されると困ります。
配偶者と被害者とは家計が1つであるため、求償権を行使されると、自分自身の家計から自分に慰謝料を払ったことと同じになり、意味がないからです。
2組の夫婦それぞれの決断と慰謝料請求の方法によっては、W不倫の慰謝料の計算方法は複雑になってしまう可能性があります。
社会的信用を無くすリスク
上述のように、不倫は法的にも不法行為ですが、社会的、モラル的にも非難される行為です。
配偶者やお子さんを傷つけてしまうほか、まわりにおおやけになってしまったら、社会的に信用をなくしてしまったり、友人が離れて行ったりしてしまうこともあるでしょう。
職場で懲戒を受ける可能性がある
不倫が職場にバレると、職場での懲戒の対象となる場合があります。
不倫は民法上の不法行為ではあり、刑法上の犯罪等ではありませんが、多くの企業では、風紀の維持の観点から、就業規則等により、不倫など不法行為を行った従業員について懲戒の対象にすると定めています。
懲戒の程度は職場によっても違いますが、降格や減給もありえるでしょう。
また、同じ職場内でのダブル不倫の場合、企業としても不倫カップルを同じ場所で引き続き勤務させるわけにいかないので、どちらかが異動となることもあります。
望まないタイミングでの異動となり、キャリアプランや出世に響いてしまうリスクもあります。
ダブル不倫の慰謝料相場は約100~500万円
ダブル不倫で慰謝料を請求する場合は、だいたい100~500万円が相場になります。
家庭に子供がいるか、相手が既婚者だと分かっていたのか、不倫で子供ができてないかなど多くの判断基準があります。
不倫の悪質さ、不倫による悪影響の大きさなどで慰謝料は増額すると覚えておきましょう。
もし自分が慰謝料請求するなら、ダブル不倫の悪質さを証明しすれば、慰謝料が増額するかもしれません。
反対に自分がダブル不倫をして慰謝料を請求された場合は、すでに夫婦関係が破綻していたことなどを証明すれば、慰謝料は減額される可能性があります。
離婚・別居が判断基準になる
慰謝料を決めるのに「離婚」「別居」の2つは大きな判断軸となります。
たとえば、不倫が原因で離婚した場合は一番慰謝料が高くなり、不倫が発覚しても以前と同じように同居して婚姻生活を送るなら、慰謝料は少なくなります。
ダブル不倫ではない、通常の不倫の場合は、下記のような金額になります。
- ・離婚・別居をせずに、夫婦関係を継続する:50~100万円
- ・浮気が原因で別居した:100~200万円
- ・浮気が原因で離婚した:200~300万円
不倫によるダメージが大きければ、それだけ慰謝料も増えると覚えておきましょう。
ダブル不倫の慰謝料請求は4つ
ダブル不倫は通常の不倫と違って、慰謝料の請求がややこしくなります。
夫A・妻A、夫B・妻Bがいて、夫Aと妻Bのダブル不倫が発生したとします。慰謝料を請求できるのは、夫に不倫をされた「妻A」と、妻に不倫された「夫B」です。
夫に不倫をされた「妻A」は、自分の夫である「夫A」と、その不倫相手「妻B」に慰謝料請求ができ、妻に不倫された「夫B」は、自分の妻である「妻B」と、その不倫相手「夫A」に慰謝料請求ができるため、全部で4方向の慰謝料請求が発生することになります。
慰謝料を請求するなら「証拠」が必須
慰謝料を請求するには、不倫の証拠が必要になります。
不倫の証拠になるのは、下記のようなものです。
証拠 | 内容 |
---|---|
写真 | 性行為・ラブホテルに入っている様子など |
音声・映像データ | 不倫相手との電話・旅行に行っている動画など |
クレジットカードの利用明細・レシート | ホテル・旅館などの利用明細 |
Suica・PASMOの利用履歴 | 他の証拠が必要になる |
メール・LINE・手紙 | 肉体関係があったことが分かる内容であること |
SNS・ブログ | 不倫している様子が分かる投稿 |
手帳・日記・メモ | 不倫相手と会う記録 |
GPS | ラブホテル・旅館などに行っている記録 |
住民票の写し | 配偶者が不倫相手と同棲している記録 |
妊娠・堕胎を証明できるもの | 女性の配偶者が不倫している場合の証拠 |
興信所・探偵の調査報告書 | 不倫している様子が分かるもの |
肉体関係があったことを証明できれば、不倫の証拠として効力が高くなります。
慰謝料請求や離婚手続きに進んでしまうと、相手が警戒して証拠が集めにくくなるかもしれないので、なるべく事前に有力な証拠を集めてから慰謝料請求をしましょう。
ダブル不倫で困ったら弁護士に依頼しよう
ダブル不倫は通常の不倫と違って、慰謝料請求が複雑です。
法律の知識がない状態で話を進めると、間違ってしまったり、自分に不利な交渉をしてしまうかもしれないため、早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
もし「精神的にダメージを受けたから、慰謝料請求したい」と思うなら、弁護士に依頼して、慰謝料の増額を目指しましょう。
弁護士は慰謝料が増額するポイントを抑えているので、自分で請求するよりも高い金額での慰謝料請求ができます。
自分だけで慰謝料請求をしてしまうと、相場より低い金額での合意になったり、そもそも相手が応じないかもしれません。
「夫婦の問題に弁護士を使いたくない」と思うかもしれませんが、相手に本気度を伝えるためにも、弁護士への依頼がおすすめです。
また依頼するなら、なるべく早い段階で弁護士に頼みましょう。
W不倫は普通の不倫に比べて、関係性が複雑なので、初期対応から弁護士を介入させることが早期解決に繋がります。
弁護士が代理人として対応してくれる
弁護士に依頼すれば、代理人として対応してくれるため、相手との直接交渉をしなくてもよくなります。
もし自分が不倫当事者の場合は、相手から慰謝料請求されるだけで、精神的ダメージもあるでしょう。
そんなときに弁護士が間に入ってくれるだけで、精神的にも楽になります。
また、自分が被害者で慰謝料請求する場合も、なるべく有利に交渉できるようなアドバイスをもらえます。
「1円でも多く慰謝料を取りたい」と思っているなら、プロである弁護士に依頼しましょう。
W不倫の結末
ダブル不倫の結末としては、不倫が成就して、夫婦2組ともが離婚する場合もあれば、不倫がバレて夫婦が話し合った結果、不倫関係は清算させたうえで夫婦2組とも結婚を継続する場合もありえます。また、不倫カップルも別れたうえで、夫婦も離婚というケースもありえますね。
何が幸せかは分かりませんが、不倫の結末として、不倫の恋が成就しないことはもちろん、離婚となり家庭も崩壊し、高額の慰謝料を支払うということは避けたいですよね。
離婚となれば、慰謝料のほかに、お子様がいる場合は養育費の支払い義務も負います。
また、婚姻期間中に築いた財産も分与の対象になりますので、大きな経済的負担が発生する場合もあります。ダブル不倫という甘い罠にハマってしまい、思わぬ不利益をこうむらないように注意しましょう。
まとめ
ダブル不倫がはじまるきっかけや、ハマりやすい人の特徴についてご説明しました。
W不倫は多くの人を巻き込んで傷つけてしまう可能性がありますし、ご自身にとっても経済的にも社会的にも大きなマイナスとなる可能性があります。
万一W不倫関係となってしまい、自分の配偶者や相手の配偶者とトラブルになっている場合、または配偶者がW不倫している可能性がある(不倫相手の配偶者から知らされるケースもあるようです)という場合は、一度離婚分野に実績がある弁護士事務所に相談してみましょう。
離婚分野を取り扱う弁護士であれば、ダブル不倫をはじめとした不倫問題の示談交渉、調停や訴訟等についての法律知識や過去の事例等に詳しいので、解決に向けた適切なアドバイスがもらえることでしょう。
弁護士料が気になられる場合もあるかと思いますが、法律事務所によっては初回面談無料で相談を受けてくれるところもあります。
また、弁護士会が母体の法テラスや、行政サービスが実施する弁護士相談会等の無料サービスもありますので、悩まれている方は、ぜひ一度弁護士に相談してみましょう。