この記事でわかること
- 離婚を弁護士に相談した方がよいケースがわかる
- 弁護士に無料相談できる場所やメリット・デメリットがわかる
- 弁護士を選ぶポイントや相談するタイミングがわかる
- 慰謝料請求の注意点がわかる
離婚を弁護士に相談した方がよいケースとは?
離婚を考えたとき、弁護士に相談した方がよいのは、次のようなケースになります。
早期に協議離婚をしたい場合
弁護士に離婚を依頼すれば、必ず裁判所を通して離婚することになるわけではありません。
弁護士は代理人として相手方と交渉できますから、弁護士に頼んで離婚協議を進めてもらい、協議離婚をすることも可能です。
弁護士が入れば、相手もこちらの離婚の意思が固いことを認識します。
弁護士からの請求に応じなければ裁判を起こされると思って、請求に応じてくれる可能性も高まります。
相手と直接話せない・話したくない場合
当事者同士では、冷静に離婚の話ができないこともあります。
DVがある場合にはなおさらでしょう。
弁護士に代理人になってもらえば、相手と直接話をしなくてもすみますから、落ち着いて手続きが進められます。
離婚協議書や公正証書を作成してもらいたい場合
協議離婚する場合には、離婚の条件を離婚協議書にして残しておけば、将来のトラブル予防に有効です。
離婚を弁護士に依頼すれば、離婚協議が成立したときに、離婚協議書を作成してもらえます。
養育費など将来に支払いが残るものについては、離婚協議書を公正証書にしておくことで、強制執行が可能な状態にできます。
弁護士には、離婚協議書の作成だけでなく、公正証書にする手続きもしてもらえます。
相手の不貞行為により離婚を考えている場合
相手が不倫したことで離婚を考えている場合には、証拠が必要です。
離婚や慰謝料を請求するのに十分な証拠を自分だけで集めるのは困難なので、弁護士に相談しましょう。
専門の探偵業者や調査会社を紹介してもらえることもあるので、十分な証拠の用意ができます。
離婚調停をする場合
協議離婚が困難な場合、離婚調停を申し立てて離婚を目指す方法があります。
離婚調停は自分でもできますが、弁護士に依頼すれば、裁判所の手続き全般を任せられるだけでなく、有利に離婚を進めることができます。
弁護士は、調停期日に裁判所に同行し、調停委員への事情の説明を手伝ってくれます。
必要に応じて主張書面を作成して提出してもらうこともできるので、こちらの言い分を理解してもらい、最良の条件で離婚できる可能性が高くなります。
弁護士に離婚の無料相談できる場所はどこ?
離婚を弁護士に相談したいなら、最初は無料相談を活用しましょう。
「弁護士に相談すればお金がかかる」と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、弁護士に離婚の無料相談ができるところはたくさんあります。
以下、弁護士に離婚の無料相談ができるところと、相談方法、相談するメリット、デメリットを比較してみました。
相談できるところ | 相談方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
法テラス | 事前に電話で申し込み | ・安心して相談できる ・相談先についてのアドバイスも受けられる ・無料で相談できる場合が多い ・民事法律扶助制度が利用できる | ・契約している弁護士にしか相談できない |
自治体の法律相談 | 市の広報やホームページに掲載 | ・住民は無料で相談できる | ・開催日時が決まっている ・一般的なアドバイスのみ ・相談した弁護士に依頼できない |
弁護士事務所の無料相談 | ホームページ等に掲載 | ・近くの弁護士に相談できる ・土日や時間外も対応可 | ・無料相談は1回のみ ・無料相談は30分程度 |
友人・知人からの紹介 | 友人・知人に紹介してもらう | ・評判を直接聞ける | ・断りにくい |
離婚の無料相談ができる場所別に詳しくみていきましょう。
法テラスの無料相談
「法テラス」とは、日本司法支援センターのことです。
法テラスでは、収入などの要件をみたしていれば、1つの問題につき無料で3回まで弁護士の法律相談が受けられます。
法テラスでの無料相談を希望する場合には、事前に電話で申し込みをし、必要書類等を確認しておきましょう。
受付:平日9時~21時、土曜9時~17時
【メリット】
●国によって設置された機関なので安心して相談できる
法テラスは、法律にもとづき設置されている機関なので、安心して利用ができます。
●相談先についてのアドバイスも受けられる
法テラスでは、離婚問題を解決するまでの道筋を教えてもらえます。
弁護士に相談すべきかどうかわからない人は、電話で適切な相談先を聞いてみましょう。
●離婚事件は無料で相談できる場合が多い
法テラスの無料相談には、収入や資産の要件があります。
配偶者の収入や資産は加算されませんので、女性の場合は、無料相談可能な人が多いです。
●事件を依頼する場合には民事法律扶助制度が利用できる
法テラスで無料相談した弁護士に、そのまま離婚事件を依頼することもできます。
また、民事法律扶助制度を利用して、弁護士費用を法テラスに立て替えてもらうことも可能です。
【デメリット】
●法テラスと契約している弁護士にしか無料相談できない
法テラスで無料相談できるのは、法テラスと契約している弁護士のみです。
自治体の法律相談
市区町村などの自治体でも、弁護士による法律相談を行っています。
自治体の法律相談の情報は、市の広報やホームページに掲載されています。
【メリット】
●住民は無料で相談できる
自治体の住民なら、無料で法律相談が受けられます。
相談場所も最寄りの市役所や区役所なので、気軽に出向くことができます。
【デメリット】
●開催曜日や時間が決まっている
自治体の法律相談は、通常、日時が決まっているため、仕事をしてるとなかなか相談に行けない可能性もあります。
●一般的なアドバイスしか受けられない
自治体の法律相談でも、30分などと時間が決まっており、アドバイスが受けられるのも一般的な内容に限られます。
時間が限られているので、十分なアドバイスが受けられないかもしれません。
●相談した弁護士に依頼できない
自治体の法律相談では弁護士の宣伝行為が禁止されているため、弁護士の名刺をもらったり、連絡先を教えてもらったりすることは基本的にできません。
依頼したい場合には、別途弁護士を探す必要があります。
弁護士事務所の無料相談
弁護士事務所では、離婚の相談は、初回無料のところも数多くあります。
無料相談の情報はホームページ等に掲載されていますから、確認してみましょう。
【メリット】
●近くの弁護士に相談できる
自宅や職場近くの弁護士を選んで、相談に行くことができます。
●土日や時間外の対応もしてもらえる
弁護士事務所に直接相談に行く場合、時間外の対応もしてもらいやすいため、相談のために仕事を休む必要がありません。
【デメリット】
●無料相談は1回のみ
弁護士事務所の離婚無料相談は、通常は初回のみになります。
聞き忘れたことがあっても、もう1回無料で教えてもらうということは基本的にできません。
●無料相談は30分程度
弁護士事務所の初回無料相談は、30分程度になります。
要領よく話をしなければ、十分なアドバイスが受けられないことがあります。
友人・知人からの紹介
友人や知人に弁護士を紹介してもらえば、無料相談が受けられるケースもあります。
【メリット】
●弁護士の評判を直接聞くことができる
実際に弁護士に依頼したことがある人に紹介してもらえば、どんな弁護士なのかを直接聞けるという安心感があります。
【デメリット】
●自分に合わなくても断りにくい
もし自分に合わなかった場合でも、紹介してもらうと断りにくいことがあります。
離婚弁護士を選ぶポイントは?
離婚の相談ができる弁護士はたくさんいますので、どの弁護士を選べばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。
以下、離婚弁護士を選ぶときに注目しておきたい点をピックアップしてご紹介します。
離婚事件の実績が豊富
いちばんに注目したいのは、離婚事件の解決実績がどれくらいあるかという点です。
というのも、弁護士が取り扱いできる事件の種類は幅広いため、離婚事件を担当した経験が少ない弁護士もいるからです。
離婚はよくあるトラブルなので、一般民事事件や家事事件をメインに扱っている事務所なら、離婚事件の件数もそれなりに多いと考えられます。
一方、会社・法人相手の企業法務や刑事事件を中心としている事務所では、離婚事件はそれほど扱っていない可能性があります。
ホームページを見て、どのような分野をメインとしているのかを確認し、離婚の相談件数や解決事例などが掲載されていないかもチェックしましょう。
交渉力がある
協議離婚の場合には、相手方と条件交渉をしなければなりません。
また、離婚調停をする場合でも、調停と並行して相手方と交渉することにより、協議離婚の成立を目指すことがあります。
離婚事件の早期解決のためには、弁護士の交渉力が非常に重要になってきます。
ホームページで協議離婚の解決事例が多ければ、交渉に長けた弁護士と考えられます。
無料相談にいったときには、こちらの希望を相手方にきちんと伝えてくれそうかどうかを見るようにしましょう。
気持ちに配慮した対応をしてくれる
離婚に至るまでには、傷つくこともたくさんあります。
離婚弁護士を選ぶなら、傷ついた気持ちに配慮くれる弁護士を選びたいものです。
一般には、若い独身の弁護士よりも、結婚歴がある年配の弁護士の方が、気持ちを汲んだ対応をしてもらえることが多いと思います。
無料相談で弁護士と話してみて、安心して任せられると感じた人を選びましょう。
費用についてきちんと説明してくれる
離婚を弁護士に依頼するとなると、費用がかかります。
かかる費用について明確な説明を行ってくれる弁護士を選びましょう。
弁護士に払う費用は、依頼時に支払う着手金と、事件終了時に支払う報酬とに分かれます。
さらに、書類取り寄せ費用や通信費などの実費は別に請求されることがあります。
着手金の額は決まっていますが、報酬は獲得した利益に応じて変わるので、具体的にいくらになるのかがわかりにくくなっています。
報酬の計算方法や、実費として何にどれくらいかかるのかをきちんと説明してくれる事務所を選びましょう。
離婚を弁護士に相談するタイミングなどはある?
離婚を考えている場合、どのタイミングで弁護士に相談すべきかも迷うところです。
弁護士に離婚相談する上では、以下のような点に気を付けておきましょう。
弁護士にはできるだけ早めに相談する
離婚を弁護士に相談する時期は、早い方がよいでしょう。
離婚を考えた段階で、何に気を付けたらよいかのアドバイスを受けておけば、有利に離婚を進められます。
特に、相手方の不貞行為で証拠が必要な場合、早いうちから証拠を集めておかないと、離婚の請求や慰謝料請求が困難になることがあります。
離婚の準備にとりかかる前に、とりあえず弁護士に相談しておくと安心です。
相手方の弁護士から連絡がきたらすぐに弁護士に相談
離婚の話になったとき、相手方が弁護士に依頼し、相手方の代理人弁護士から内容証明などで連絡が来ることがあります。
相手方の弁護士から連絡があった場合には、自分で返事をするのではなく、弁護士に依頼して対応してもらいましょう。
相手方の弁護士は、専門知識を駆使して、相手方が有利になるように話を進めようとします。
素人が自分で対処するのは困難ですから、こちらも専門家である弁護士に任せるのが賢明です。
慰謝料請求のタイミング・注意点
離婚を検討しているなら、弁護士依頼だけではなく、慰謝料請求のタイミングも気なるのではないでしょうか?
慰謝料請求のタイミングは3つあります。
慰謝料請求のタイミング
- ・離婚後に慰謝料を請求する
- ・離婚と慰謝料請求の手続きを同時に進める
- ・慰謝料請求をして、離婚手続きをする
この3つの方法のうち、どれが一番適したタイミングなのか紹介します。
おすすめは離婚後の慰謝料請求
慰謝料請求に一番適しているのは、離婚が成立した後です。
なぜなら「離婚をした」という事実があれば、慰謝料の増額が狙えるからです。
慰謝料の金額は、婚姻期間の長さ・相手の落ち度など様々な要素を考えて、決定されます。
中でも、金額を大きく左右する要素が「離婚に至ったかどうか?」という点です。
例えば、相手に不倫されて離婚した場合、請求できる慰謝料がもっとも高くなります。
不倫での慰謝料請求相場は、下記の通りです。
- ・離婚も別居もせずに夫婦関係を維持する:50〜100万円
- ・不倫が原因で別居になった:100〜200万
- ・不倫が原因で離婚になった:200〜300万
「離婚している」という事実があれば、慰謝料が上がります。
もし離婚時に慰謝料請求タイミングに迷っているなら、離婚後にするのがおすすめです。
不倫への慰謝料請求で注意する2つのこと
「配偶者の不倫に対して慰謝料請求したい」という人もいるでしょう。
不倫への慰謝料請求で注意することは、2つあります。
1つ目は、「配偶者と不倫相手が協力する」ことです。
もし配偶者と不倫相手が交際の継続・再婚を考えている場合は、あなたは「敵」として見なされます。
不倫の場合は配偶者だけでなく、不倫相手にも慰謝料請求ができますが、不倫相手が有利になるような証言をされるかもしれません。
不倫相手が支払う慰謝料を少なくするために、動く可能性もあります。
2つ目は、「配偶者が離婚に非協力的になる」ことです。
不倫相手への慰謝料請求を妨害するために、配偶者が離婚に応じないケースもあります。
日本では多くの離婚が「協議離婚(話し合い)」なので、配偶者が合意しないと離婚できません。
離婚の手続きを長期化させて、あなたを疲弊させるために、離婚手続きの妨害をする可能性があります。
離婚手続き・慰謝料請求でトラブルを避けたいなら、事前に証拠集めをしておきましょう。
録音・LINEの履歴など、有効な証拠が集まっていれば、相手も離婚に応じてくれる可能性が高くなります。
慰謝料請求を放置しない
慰謝料の請求は、離婚の成立から3年以内が期限です。
もし慰謝料請求をしようとしても、離婚から3年以上経っていれば、請求できません。
必ず離婚後の3年以内に、慰謝料請求をしましょう。
離婚無料相談を活用して自分に合った弁護士を選ぼう!
離婚を考えたら、まずは弁護士に相談するところから始めましょう。
離婚弁護士選びに迷ったら、複数の弁護士に実際に相談してみると判断しやすくなります。
離婚事件ではプライベートなことを話さなければなりませんから、相性が合う弁護士に相談したいですよね。
実際に相談してみると、問い合わせしたときの対応や事務所の雰囲気など、ホームページではわからなかったことも見えてきます。
直接に会ってみて、信頼できると感じた弁護士に依頼しましょう!