この記事でわかること
- モラハラとはどんな行為かがわかる
- モラハラ妻への対処法がわかる
- モラハラ妻との離婚や慰謝料請求について
モラハラに当たる行為とは?
モラハラとは、どういう行為のことをいうのでしょうか?
モラハラとは正式には「モラルハラスメント」といい、精神的な暴力や嫌がらせのことをいいます。
モラハラは近年肉体的な暴力とならんで、多くの夫婦の離婚原因ともなっています。
肉体的な暴力と違って、モラハラは他人の目に見える形での外傷がないので、発覚までに時間がかかります。
また、本人の感受性によって、被害者の自覚にも個人差が出やすいのが特徴といえます。
喧嘩するほど仲がいいともいいますが、どこまでが普通のコミュニケーションで、どこからが許されないモラハラにあたるのでしょうか。
モラハラ妻によくあるパターンをご紹介します。
モラハラ妻によく見られる特徴
モラハラ妻によく見られる言動には以下のようなものがあります。
一時的なものであれば、どの夫婦にもあることかもしれませんが、モラハラの場合は、以下のような攻撃的な言動が理由もなくずっと続きます。
- ・話しかけても、これといった理由がないのに無視される
- ・こちらの意見を否定する。意見をいっても言い訳として決め付けられる
- ・無能だ、醜い、せこい、など能力、見た目、性格を否定する
- ・「男のくせに」という性的な特徴をとらえて侮辱する
- ・あなたの親族への暴言をいう
- ・睨みつけたり威嚇的な態度をとる
- ・子供や親族に対して、夫の悪口をいう
モラハラ妻のモラハラが明るみにでにくい理由
モラハラは発覚までに時間がかかることが多く、周囲に相談しても考えすぎだとか、男なんだからしっかりしろと言われて相手にしてもらえないことも多いです。
また、モラハラ妻は自分を正当化し、モラハラをしているという印象を与えないようにうまく振舞うことが多いため、周りの人に理解してもらえないこともあります。
自分が常に正しいという態度をとる
モラハラ妻は、自分の価値観が正しいと思い込んでいることが多いです。
そのため、それに反する夫の言動はすべて間違っていると考えます。
女性は口が立つ人が多く、周囲にもいかに夫が間違っていて自分が正しいかを説明するので、周囲の人もまるで夫が悪いかのように思いこむこともあります。
また、夫の側も常に否定され続けていることで、自分に非があると思いこんでしまうこともあります。
外では良い妻を演じる
モラハラ妻は、夫婦2人きりのときには強烈な態度をとりますが、夫の親族、友達、職場の同僚が一緒にいる場面では、むしろ献身的な妻を演じたりします。
モラハラ妻はプライドが高く、幸せな結婚生活を送っているという印象を与えたい、良い妻だと思われたいという強い思いが、そのような矛盾した態度をとらせるのです。
嘘を平気でつく
夫を周囲から孤立させて、夫婦関係で自分が優位に立つために、平気で周囲の人に嘘をつきます。
本当はモラハラの加害者は妻側であるにもかかわらず、夫にモラハラをされている、とか浮気をされている、ギャンブルにはまっているなどと、ありもしない夫の悪口を周囲にいいふらし、自分の味方につけようとします。
特に、ご近所や子供の学校関係では、妻のほうが関わりが多いので、夫は悪い評判を否定する機会を与えてもらえず、孤立してしまうことがあります。
モラハラ妻になってしまう原因
付き合っていたときや、新婚当初は優しく素直だったはずの妻が、徐々にモラハラ妻になってしまう原因はどこにあるのでしょうか。
幼少期にモラハラを受けていた
モラハラの加害者は、過去に自分がモラハラを受けていたケースがあります。
幼少期に親から暴言を浴びせられていたり、威圧的な態度を取られたりすると、自分も同じようにモラハラをしてしまうことがあります。
また、親から過干渉を受けていたり、過保護な教育をされた場合も、モラハラの原因になります。
自分が親にされたように「相手をコントロールしたい」と思ってしまうんですね。
自己肯定感が低い
自己肯定感が低い人も、モラハラ加害者になる可能性があります。
他人をけなすことで、相対的に自分の地位を高めて安心します。
妻からモラハラを受けているなら、妻の自己肯定感が低くないかチェックしてみましょう。
妻に不満が溜まっている
夫婦は、ちょっとした気持ちのすれ違いで、心が通い合わなくなってしまうことがあります。
例えば、専業主婦の場合などであれば、一日中家事や育児におわれて、お洒落をして出かけることもままならない生活が続くと不満がたまっていきます。
そんなときに、夫が飲み会などで毎晩遅く帰ってきたりすると、自由な夫の生活が羨ましくなって、憎しみがつのることがあります。
これを防止するには、こまめに妻の愚痴をきいたり、家事・育児を男性が分担するという方法があります。
また、共働きの場合でも、まだまだ女性が子供の面倒をメインでみるものという風潮があり、妻は仕事や育児でいっぱいいっぱい、ということもあります。
こうした場合も、役割分担をうまく調整することで、モラハラが解決することもあります。
女性はホルモンの周期でイライラしやすい時期もありますので、まともにとらず受け流したほうがよいこともあるでしょう。
夫がまじめで気が優しい
妻からのモラハラ発言に対して、毅然と反論できる男性ばかりではありません。
まじめで優しい性格の男性ほど、妻からの理不尽な八つ当たりに対しても、自分に非がある、妻の期待に応えなければ、と頑張ってしまうことがあります。
モラハラタイプの妻は、このような夫の態度をみると、感謝するどころかより一層図にのってモラハラをエスカレートさせることがあります。
モラハラへの対応
妻のモラハラを改善させて、今後も夫婦関係を続けていきたい場合は、毅然とした態度でのぞみましょう。
妻の具体的な発言をとらえて、それがモラハラにあたりうること、モラハラで自分が傷ついていること、このままでは円満な夫婦関係が継続できないことを、冷静かつ理論的に伝えてみましょう。
妻のほうにも夫にまだ愛情があり、モラハラがついやってしまった八つ当たりという認識がある場合は、はっきり伝えられることにより反省することもあります。
コミュニケーションの癖や夫婦関係は一朝一夕には変わりませんが、根気強く伝え、双方が努力することで、よりよい夫婦に成長できることもあるでしょう。
モラハラであることを伝える
モラハラをしている自覚がない妻には、まずハッキリと「その行為はモラハラだ」と伝えましょう。
「何言ってるの?」と鼻で笑われることもあるかもしれませんが、実際にモラハラで慰謝料が発生した事例などを引き合いに出して「あなたの言動もこの例と同じだよね?」と説明すれば、事の重大さを認識してもらうことができるでしょう。
その際、「これは友人の話だけど…」と、友人夫婦がモラハラで離婚に至ったという形で話を進めるのも効果的かと思います。
他人の話に置き換えることで、自分たちの現状もより第三者の視点から見ることができるようになるでしょう。
あえて妻の言う通りにはしない
モラハラ妻の狙いは、モラハラを通して夫を自分の思い通りに支配することです。
「自分が相手をコントロールしている」という実感を味わうためにモラハラをしていることを認識しましょう。
なので、あえて妻の言う通りにせず、「コントロールさせている」実感を与えないようにします。
モラハラを受けている夫は優しくて言う通りにしてしまうケースもあるので、自分の意思で行動することが大切です。
自分の身を守るために別居する
モラハラを受けている場合、一番気をつけるべきなのは「自分の安全」です。
妻からモラハラを受けて、うつ病になってしまった夫もいるので、自分を追いつめないように気をつけましょう。
「これ以上は無理かも」と思ったらすぐに別居し、自分の精神的な安全を確保しましょう。
物理的な距離ができれば、精神的な余裕も出るかもしれません。
別居の事実があれば、離婚もしやすくなるため、離婚も視野に入れているなら別居はおすすめの方法です。
モラハラがおさまらず離婚したい場合
モラハラの様子をみて、夫の側も妻に対する愛情が冷めてしまった場合や、注意をしても全くモラハラが改善されない場合などは、離婚も選択肢のひとつです。
モラハラ妻と、スムーズかつ有利な条件で離婚するためにはどうすればよいでしょうか。
モラハラの詳細な記録をつけておく
モラハラの被害にあったら、妻の発言内容、日時、場所、その場に一緒に誰がいたか、などの状況を、できるだけ細かくメモに残しておきます。
可能であれば、ボイスレコーダーでモラハラの音声を録音したり、スマホのアプリで録画したりしておけば、後々強い証拠となります。
将来、モラハラを原因として離婚訴訟をしたり、慰謝料請求訴訟をしたりするときに、第三者に客観的に示すことができる証拠の有無で、結果は大きく違ってきます。
ただし、モラハラ妻にばれると逆上して、よりモラハラが悪化することもありますので、注意しておきましょう。
離婚を切り出す
まずは、当事者間の話し合いで円満に離婚できないか話し合いをしましょう。
モラハラをしてくる妻のほうも夫に愛情がないことも多いですので、すんなり離婚に応じてもらえる可能性もあります。
協議離婚なら、弁護士費用や訴訟費用もいらず、当事者の合意と離婚届の提出だけで離婚ができるのでスムーズです。
相手がモラハラを否定し、離婚を拒むようであれば、まずは別居してみることをおすすめします。
別居によってお互い冷静になって、円満に話し合いができるかもしれません。
別居中の妻の生活費や、子供の養育費は、妻が専業主婦だったりパート勤務だったりする場合は負担しなければならないことが多いです。
加害者は妻であるはずなのに、お金を払わなければいけないというのは納得がいかないかと思いますが、夫婦関係にある以上、どちらに責任があるかということは関係なく、婚姻費用は分担しなければなりません。
弁護士をたてて示談交渉をする
当事者間の話し合いで離婚がうまく進まないときは、離婚を扱っている弁護士に依頼して、示談交渉をしてもらいましょう。
離婚問題は、理屈のみでは割り切れない男女関係の感情が絡むため、当事者同士の話し合いでは過度の感情的になりすぎて、うまく話し合いが進まないことがあります。
その点、第三者であり離婚にまつわる法律のプロフェッショナルである弁護士であれば、冷静に状況をみたうえで、示談交渉を進めてもらうことができます。
こちらが弁護士を立てた場合は、相手も弁護士を立ててくることが多いですが、本人が対応することもあります。
まずは、配達記録つき内容証明等を送り、モラハラの事実について期間や内容などを特定したうえで、慰謝料や離婚を求めます。
このときに、先に説明したモラハラの詳細のメモなどが活躍します。
緊急性が高い場合は相談機関へ行こう
妻からモラハラを受けて、夫がうつ病になってしまった実例もあります。
もし子供がいる場合は、夫婦の仲の悪さが悪影響を及ぼすかもしれません。
モラハラの事件が深刻な場合は、専門家や機関への相談がおすすめです。
各自治体には配偶者暴力相談支援センターが設置されているので、利用してみましょう。
また法テラスや弁護士に相談するという手段もありますので、自分だけで抱え込まず、専門家や関係機関へ相談してください。
離婚調停をする
弁護士に示談交渉を依頼しても話がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停をおこします。
離婚案件は、調停前置主義といって、いきなり離婚訴訟を提起することはできません。
離婚調停をおこして、調停で離婚が成立すれば調停離婚、成立しなければ裁判をおこして裁判離婚ということになります。
離婚調停は、正式には夫婦関係調整調停といい、離婚するのかしないのか、別居中の婚姻費用の定めはどうするか、離婚する場合の慰謝料や財産分与、未成年の子供がいる場合の親権の帰属や養育費の支払などを、調停員2名をまじえて話し合います。
離婚の際の様々な話し合いのなかでも、婚姻費用と子供の問題はもめることが多いので、夫婦関係調整調停とは別に、婚姻費用調停と面会交流調停として、手続きをされることもあります。
調停には法的な拘束力はありませんので、調停での話し合いもあくまで当事者間の話し合いの延長ということになります。
ただし、調停の中で合意に至った場合は、調停調書に決定情報が記載され、それが判決と同様の法的拘束力をもつことになります。
離婚訴訟をする
離婚調停が不調に終わった場合は、いよいよ離婚訴訟をすることになります。
日本では三審制がとられていますので、第一審の判決内容に納得がいかない場合は、控訴することができます。
しかし、離婚訴訟の場合は、通常最高裁までいくことはなく、第二審までが事実審といわれており、第三審は法律審となります。
つまり、下級裁判所の判決内容が憲法に違反しているというような事情がない限りは、上告が却下されるのです。
離婚訴訟は性質上、憲法違反という問題に発展することはまずないので、第二審までで決着がつきます。
離婚訴訟にかかる期間は、平均すると1年程度で終結しますが、長引く場合は2年程度かかることもあります。
モラハラ妻とは早く離婚してしまいたいと思っても、裁判期日は通常月に1回程度しか開催されないので、終結までにそれくらいの時間が経過してしまいます。
裁判が進行していくと、途中で裁判官から和解勧告がでます。
和解勧告に応じるかどうかは当事者の自由ですが、和解勧告までに裁判所の心証はほぼ形成されているので、和解勧告にしたがって裁判上の和解を選択する当事者がほとんどです。
裁判上の和解、または判決がでて控訴されずに一定の期間が経過し確定すると、それが法律上の強制力を持つことになります。
離婚判決を添えて、離婚届を住民票所在地の市町村役場に提出することにより、離婚が成立します。
モラハラの法的評価
モラハラは法定離婚理由となる可能性がある
民法には5つの法定離婚原因があり、モラハラはこの中の一つの「その他婚姻を継続しがたい重大な理由」に該当するといわれています。
日本の家族法では、この法定離婚原因に該当しない限りは、相手の合意がなければ、裁判以外で離婚することはできません。
例えば、愛情が冷めたとか、性格が合わないというような曖昧な理由では、恣意的に離婚することはできないのです。
モラハラの場合は、単なる性格の不一致からくる口論ではなく、法定離婚原因に該当する不法行為であることを、被害者がきっちり立証していく必要があります。
妻が離婚を希望していない場合、モラハラ妻は単なる夫婦喧嘩だったと主張してくるので、その主張を退けて裁判官に納得してもらうだけの説得をしなければならないのです。
言動が常軌を逸してひどいことや、モラハラが恒常的・一方的だったということを具体的なモラハラの記録を示して、立証していくことになります。
モラハラについて慰謝料が請求できる場合がある
モラハラは民法709条の不法行為に該当する可能性がありますので、被害者としては加害者であるモラハラ妻に対して、慰謝料請求をすることができる可能性があります。
苦しんだ結果離婚するのですから、できればモラハラ慰謝料をもらいたいですよね。
慰謝料の根拠は、民法709条で「故意または過失により他人の生命、身体、財産を侵害した者はその損害を賠償する責任を負う」と定められており、710条で「その損害とは財産上の損害に限られない」とされていることです。
モラハラは精神的な損害を与えるものですので、それに対する金銭的補償を求めることができます。
具体的には、法定離婚原因の立証と同様、実際のモラハラの状況が記された証拠を提示して、不法行為の存在を立証していくことになります。
モラハラ妻との離婚は弁護士に相談しよう
モラハラ妻と離婚を検討しているなら、弁護士へ相談するのがおすすめです。
なぜなら、離婚は法的な手続きになるため、弁護士へ相談した方が有利な交渉ができるからです。
自分たちでも離婚手続きはできますが、法的な知識がないと結果的に自分が損をするかもしれません。
また、弁護士が代理人になってくれるため、モラハラ妻と直接交渉する必要がなくなります。
モラハラの被害を受けている場合、離婚の交渉ですら精神的に辛いと思います。
そんなときに弁護士が入ってくれれば、自分の精神的な負担も軽くなるでしょう。
最後に
モラハラ妻の言動に、精神的にも肉体的にも疲弊している方は、モラハラを立証することによって、慰謝料をもらって離婚することができます。
モラハラを含む離婚にまつわる事項については、離婚案件の取扱いがある弁護士に相談しつつ進めるのがおすすめです。
離婚弁護士マップでは、離婚に強い弁護士を無料でご案内しておりますので、お気軽にご相談ください。
土日、夜間もお電話を受け付けております。
その際に、モラハラの証拠などもご用意頂けるとスムーズにご相談が進むと思われます。