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減った?増えた?日本の離婚率と推移に見る離婚原因

離婚をお考えになっている方なら、世間では、どのくらいの夫婦が離婚しているのかが気になることでしょう。

この記事では、日本の夫婦の離婚率はどのくらいか?どんな理由で離婚しているのか?どんな離婚方法を選んでいるのか?調停や裁判で離婚が認められる割合は?など、離婚にまつわる色々な数字について解説します。

日本の離婚率はどれくらい?

厚生労働省は、毎年、日本の離婚率を発表しています。

それによると、2018(平成30)年における日本の離婚率は、「1.66」(※)とされています。

※厚生労働省「平成30年人口動態統計の年間推計」より(但し、この数値は推計です)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suikei18/dl/2018suikei.pdf

皆さんは、この数字を聞いても、ピンと来ないかもしれません。

そもそも離婚率とは、次の計算式で求められた数字です。

離婚率=年間離婚届出件数÷日本人の人口数(各年10月1日時点)×1000

つまり、離婚率とは人口千人当たりの離婚件数です。

離婚率と聞くと、「結婚したカップルが最終的に離婚してしまう確率」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、厚生労働省が発表している「離婚率」はそのような数字ではありません。

日本の離婚率は増えた?減った?推移はどうなっている?

では、日本の離婚率は増えているのでしょうか?それとも減っているのでしょうか?

この離婚率は、夫婦が離婚する確率を推測する役にはたちませんが、毎年の人口千人当たりの離婚件数を年度毎に比較してゆけば、離婚が増えているのか減っているのかを知ることはできます。

日本の離婚率の推移(過去11年間)

年度離婚率
2008年1.99
2009年2.01
2010年1.99
2011年1.87
2012年1.87
2013年1.84
2014年1.77
2015年1.81
2016年1.73
2017年1.70
2018年1.66(推計)

(厚労省「人口動態総覧の年次推移」を元に作成)

このように、過去11年間をみると、2009(平成21)年度の2.01から、日本の離婚率は、ずっと減少を続けているのです。

統計が発表されている1947(昭和22)年以降で、日本の離婚率の最高値と最低値を比較すると次のとおりです。

日本の離婚率の比較

最高値最低値現在値
2002(平成14)年1963(昭和38)年2018(平成30)年
2.300.731.66(推計)

(厚労省「人口動態総覧の年次推移」を元に作成)

実は、離婚率のピークであった2002(平成14)年以降、離婚率は減り続け、2009(平成21)年にわずかに増加に転じただけで、以後、現在に至るまで減少しているのです。

したがって、日本では「離婚は減っている」というのが事実です。

実際に、離婚の件数だけを取り出しても、次のとおり減少していることが明らかです。

日本の離婚件数の推移(過去11年間)

年度離婚件数
2008年25万1136
2009年25万3353
2010年25万1378
2011年23万5719
2012年23万5406
2013年23万1383
2014年22万2107
2015年22万6215
2016年21万6798
2017年21万2262
2018年20万7000(推計)

(厚労省「人口動態総覧の年次推移」を元に作成)

日本の離婚率は高いの?低いの?外国と比較してみると!

離婚率を諸外国と比較してみましょう。

主要国の離婚率ランキング1位から30位(2017年)

順位国名離婚率
1ギリシャ*1.02
2メキシコ*1.14
3ブルガリア1.47
4トルコ*1.58
5ルーマニア1.59
6イタリア*1.63
7日本1.7
8ポーランド1.72
9イスラエル*1.72
10シンガポール1.82
11オーストリア1.84
12ドイツ1.86
13ノルウェー1.87
14ハンガリー1.89
15オーストラリア*1.92
16オランダ1.92
17フランス*1.93
18ベルギー2.03
19韓国2.06
20エジプト2.08
21スペイン2.08
22ポルトガル2.12
23イラン*2.27
24スウェーデン2.41
25チェコ2.43
26フィンランド*2.47
27アメリカ**2.5
28デンマーク2.65
29キューバ2.87
30ロシア***4.65

(無印は2017年の数値。*のある数値の年度は以下のとおり。*2016、**2015、***2013
デンマークはフェロー諸島、グリーンランドを除く。フィンランドはオーランド諸島を除く)

「人口統計資料集2019 主要国の婚姻率および離婚率」(国立社会保障・人口問題研究所)を加工して作成

世界一離婚率が高そうなアメリカよりも、ロシアが突出して高い離婚率であることに驚きます。他方、日本の離婚率の低さは、先進国のトップクラスと言えそうです。

日本の離婚率が高い地域はどこ?

次に、日本の離婚率を地域別に見てみましょう。

日本の離婚率 地域別ベスト5、ワースト5

「ベスト5」

1富山1.30
2新潟1.31
3山形1.37
4秋田1.38
5島根1.39

「ワースト5」

47沖縄2.59
46宮崎2.02
45大阪1.99
44北海道1.97
43福岡1.93

出典 総務省統計局「日本の統計 2018」、「都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数(平成28年)(https://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html)を加工して作成

離婚率の低いベスト5は雪国が並んでいるのに対して、離婚率の高いワースト5は開放的なイメージが強い地域が並んでいる印象を受けます。皆さんは、どのように感じられるでしょうか。

日本の離婚率が高い年齢は?

日本の離婚率を年齢別に見てみましょう。

日本の離婚率 年齢別ランキング 2005(平成17)年

「男性」

順位年齢
130歳~34歳
235歳~39歳
325歳~29歳
440歳~44歳
545歳~49歳
650歳~54歳
720歳~24歳
855歳~59歳
9~19歳

「女性」

順位年齢
130歳~34歳
225歳~29歳
335歳~39歳
440歳~44歳
520歳~24歳
645歳~49歳
750歳~54歳
855歳~59歳
9~19歳

厚労省「夫妻の同居をやめたときの59歳までの年齢(5歳階級)別にみた離婚率(人口千対、同年別居)の年次推移」をもとに作成

男女ともに、30歳から34歳がトップです。また25歳から44歳までが4位までに入っていることも共通しています。

日本の離婚原因は何が多いの?

離婚に至る原因は様々なものがありますが、日本人は、どのような原因で別れてしまうのでしょう?

次の表は、全国の家庭裁判所へ婚姻関係事件(※)を申し立てた人の申立の動機について、各動機が全体に占める割合を示したものです(なお、動機は主なものを3つまでカウントしていますので、総計は100%を超えます)。

※婚姻関係事件とは、夫婦同居及び協力扶助、婚姻費用分担、夫婦関係調整、離婚などのほか、訴訟事件を除く、婚姻中の夫婦間の紛争一切を対象とします。

婚姻関係事件の申立ての動機別割合 平成29(2017)年

離婚動機全体
性格が合わない62%39%45%
異性関係14%17%16%
暴力を振るう8%22%18%
酒を飲み過ぎる2%6%5%
性的不調和13%7%9%
浪費する12%10%11%
病気4%2%2%
精神的に虐待20%25%24%
家庭を捨てて省みない6%8%8%
家族親族と折り合いが悪い14%7%9%
同居に応じない9%2%4%
生活費を渡さない4%29%22%
その他20%11%13%
不詳4%6%5%

(裁判所司法統計「婚姻関係事件数ー申立ての動機別申立人別ー全家庭裁判所」をもとに作成)

ベスト5をあげてみましょう。

夫の離婚動機妻の離婚動機全体
1位性格が合わない性格が合わない性格が合わない
2位精神的に虐待する生活費を渡さない精神的に虐待する
3位異性関係、家族親族と折り合いが悪い精神的に虐待する生活費を渡さない
4位性的不調和暴力を振るう暴力を振るう
5位浪費する異性関係異性関係

男女ともに「性格の不一致」がトップとなりました。
この統計は申立動機を複数カウントしたものです。離婚理由を聞かれたときに、複数の回答が可能であれば、多くの方が「性格の不一致」をあげるであろうことは予想できることです。

妻の動機に「生活費を渡さない」、「暴力を振るう」が上位に入っていること、夫の動機に「家族親族と折り合いが悪い」が上位であることから、今でも典型的な夫婦の問題が離婚理由の多くを占めていることがわかります。

日本の離婚原因は変わってきたのか?離婚原因の推移は?

では、このような日本の離婚原因には変化があったのでしょうか?

2000(平成12)年、2007(平成19)年、2017(平成29)年の3つの時期で比較してみましょう。

離婚関係事件申立動機の推移(妻側)

申立動機2000年2007年2017年
性格が合わない46%45%39%
異性関係27%26%17%
暴力を振るう31%29%22%
酒を飲み過ぎる11%9%6%
性的不調和6%10%7%
浪費する17%16%10%
異常性格9%9%統計なし
病気2%2%2%
精神的に虐待する23%25%25%
家庭を捨てて省みない16%12%8%
家族親族と折り合いが悪い11%9%7%
同居に応じない3%3%2%
生活費を渡さない22%23%29%
その他5%9%11%
不詳1%1%6%

妻側は、「異性関係」、「暴力を振るう」がそれぞれ10ポイント近く減少していることが目立ちますが、それに変わって特に大きく増加した理由は見当たりません。

離婚関係事件申立動機の推移(夫側)

申立動機2000年2007年2017年
性格が合わない63%63%62%
異性関係19%18%14%
暴力を振るう5%7%8%
酒を飲み過ぎる2%3%2%
性的不調和11%13%13%
浪費する14%14%12%
異常性格14%15%統計なし
病気3%4%4%
精神的に虐待する12%14%20%
家庭を捨てて省みない9%7%6%
家族親族と折り合いが悪い18%16%14%
同居に応じない11%10%9%
生活費を渡さない2%2%4%
その他10%17%20%
不詳2%2%4%

夫側も、せいぜい「精神的に虐待する」が8ポイント増加したことが目立つ程度です。

妻側も夫側も、少なくともここ17年間のうちでは、離婚の動機には顕著な変化はないと言えるでしょう。

日本の離婚方法は?

日本における離婚には、次の方法があります。

協議離婚夫婦が離婚に合意し、離婚届を作成して役所に提出して離婚成立
調停離婚家庭裁判所の調停での話合いで離婚に合意し、離婚することを記載した調停調書を作成することで離婚成立
審判離婚家庭裁判所の審判手続によって、離婚させる審判が確定することで離婚成立
和解離婚離婚訴訟における和解交渉で当事者が離婚に合意し、離婚することを記載した和解調書を作成することで離婚成立
認諾離婚離婚訴訟において、被告が離婚を認める旨を陳述し、認諾調書が作成されることで離婚成立
判決離婚離婚訴訟で離婚させる判決が確定することで離婚成立

どんな離婚方法が多くとられているのか?

では、このうち、どの手続きが多く用いられているのでしょう。少し古い数値ですが、これも統計があります。

次の表は、全離婚件数に対する各離婚方法の割合を示しています。

離婚における離婚方法の割合

1980年1990年2000年2008年
協議離婚89.90%90.49%91.47%87.80%
調停離婚8.99%8.45%7.66%9.73%
審判離婚0.03%0.03%0.03%0.03%
和解離婚統計なし統計なし統計なし1.39%
認諾離婚統計なし統計なし統計なし0.00%
判決離婚1.08%1.03%0.84%1.05%

厚労省 平成21年度「離婚に関する統計」の概況、第6表 離婚の種類別離婚件数の年次推移-昭和25~平成20年をもとに作成

圧倒的に協議離婚が利用されていることがわかります。また、裁判所を利用する場合も、ほとんどが調停で話合いのもとに離婚しており、訴訟の判決によるケースは、ごく僅かです。

離婚調停を申し立てるのは夫?それとも妻?

当事者の話し合いで協議離婚ができない場合は、裁判所を利用することになりますが、日本ではいきなり離婚訴訟を提起することは許されていません。必ず、家庭裁判所の調停手続を経る必要があります(調停前置主義)。

では、離婚のための調停手続、正式には「夫婦関係調整(離婚)調停」は、夫と妻、どちらからの申立が多いのでしょうか?

家庭裁判所へ離婚を申し立てした件数;2017(平成29)年

1万4579件34%
2万7746件66%

裁判所司法統計「婚姻関係事件数ー終局区分別 申立人及び申立の趣旨別ー全家庭裁判所」をもとに作成

離婚調停の3分の2は、妻側からの申立てであることがわかります。

離婚調停の結末は?どうなることが多いのか?

では、離婚調停の申立てがなされた結果、どのような結末となることが多いのでしょうか?

家庭裁判所へ離婚の申し立てがなされた件の最終結果:2017(平成29)年

「調停が成立したケース」

調停離婚25558件70.8%
協議離婚届出(※)415件1.2%
婚姻を継続(別居)9118件25.3%
婚姻を継続(同居)988件2.7%
総数36079件

※調停調書に離婚を記載するのではなく、協議離婚の離婚届を提出することを、調停調書で合意するケースです。

「調停を取り下げたケースの取下げ理由」

協議離婚が成立2650件18.6%
円満同居776件5.4%
金員の支払い等の協議成立745件5.2%
話し合いがつかない1522件10.7%
その他、不詳8546件60%
総数14239件

裁判所司法統計「婚姻関係事件数ー終局区分別 申立人及び申立の趣旨別ー全家庭裁判所」をもとに作成

離婚調停が申し立てされると7割が調停で離婚していること、調停を取り下げたケースでも、その2割近くが協議離婚が成立したためであることがわかります。
こうしてみると、離婚調停を申し立てるまでに至った夫婦においては、最終的に離婚に至る確率が非常に高いこともよくわかります。

離婚訴訟で争うと、離婚が認められる割合は何%?

最後に、話し合いがつかず、離婚訴訟の判決まで進んだケースで、認容判決、つまり離婚を認める判決が下された割合を見ておきましょう。

「離婚訴訟で認容判決出された割合」

2007200820092010201120122013201420152016
既済件数959295029262953293413709573891291148813
認容判決368636434853516358240463844348733322970
割合38.4%38.4%37.6%36.9%38.3%39.0%40.2%39.1%36.6%33.7%

最高裁判所事務総局家庭局「人事訴訟事件の概況(平成28年1月~12月)」をもとに作成

離婚訴訟となった場合、離婚が認められるのは、およそ3割から4割の事件ということができます。逆に言うと、訴訟の判決に至るまで争うほどの夫婦であっても、その6割から7割は、依然として離婚が認められないわけです。

まとめ

日本の離婚率から始まって、離婚訴訟で離婚が認められる割合まで、離婚にまつわる様々な数字を紹介しました。

皆さんにとって、これらの数字は意外な結果でしたでしょうか?それとも、想定内の結果でしたでしょうか?

いずれにしても、離婚をお考えなら、離婚に関する正確な情報を入手することが大切です。

監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

中野 和馬
石木 貴治

東京弁護士会

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山谷 千洋

東京弁護士会

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堀 翔志

第二東京弁護士会

堀 翔志
水流 恭平

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