「遺産を相続することになったが、税理士に依頼すべきか判断できない」
「そもそも、相続税の申告が必要かどうかも分からない」
「親が亡くなった後、何をしたらよいのか全く分からない」
この記事では、「相続税申告を税理士に依頼する必要があるのか?」「そもそも相続税の申告をしなければならないのか?」「自分で相続税申告するのと、税理士に依頼するのとでは何が違うのか?」などの疑問をスッキリと解消できるように解説しています。
のちのち税務調査によって税務署から指摘を受け、ペナルティとして追加で税金が課せられたり、特例や税額控除の適用を受け損ねて多額の納税が発生したりというリスクを回避するためにも、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修/取材協力
古尾谷 裕昭 税理士
相続専門の税理士法人の代表税理士(ベンチャーサポート相続税理士法人)。同事務所では、年間2,204件の相続税申告を行っており「99%税務調査が入ってこない」「税金を可能な限り安く」「親身に寄りそう」という方針で相続税申告のサービス提供をしている。
近藤 洋司 税理士
相続専門の税理士法人、ベンチャーサポート相続税理士法人横浜オフィスの代表税理士。税理士になる前は不動産の仕事をしており「誰よりも不動産に詳しい税理士になる」という志のもと税理士になる。不動産の評価にとても強い。
遺産の総額が一定額を超える場合、相続税申告の手続きが必要
被相続人(亡くなった人)が亡くなると、法定相続人へ財産を引き継ぐことになりますが、このときに必ず相続税申告の手続きが必要になるわけではありません。
相続税の基礎控除
相続税には基礎控除という非課税枠があり、遺産の総額がこの基礎控除額以下の場合、相続税申告は不要となります。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算します。たとえば、相続人が1人の場合、遺産の総額が3,600万円以下であれば相続税申告は不要で、相続税の納付も必要ありません。
なお、遺産の総額が基礎控除額を超える場合には、遺産の総額に相続税がかかるのではなく、基礎控除額を超えた部分に対して相続税が課税されます。
基礎控除の求め方についてはこちらの記事でご確認ください。
相続税はいくらからかかる?図解付き!税金を多く支払わない為の注意点など遺産に評価が必要な財産があると判断が難しくなる
預貯金や上場株式などのような、財産額がわかりやすい遺産だけであれば、相続税申告が必要かどうかの判断はそれほど難しくありません。
しかし、被相続人が自宅を所有している場合には、その不動産の相続開始時点における評価額を求める必要があります。この財産評価は非常に複雑なため、不動産などの評価を必要とする財産を所有している場合、申告が必要かどうかの判断が難しくなります。
相続手続きは自分で行うこともできるがリスクもある
相続税の申告は、税理士に依頼せずに自分で行うこともできますが、相続税の申告はとても難しく、税理士でも間違うことが珍しくありません。財産の評価方法を間違えたり、適用できる特例や税額控除を見落として本来支払うべき税額より高額な相続税を納めることになる可能性があります。個人が抜け漏れなく相続税申告を行うのは極めて困難であるといえます。
不備があると税務調査の対象になる可能性がある
税理士に依頼せずに自分で作成した申告書は、申告内容に誤りがあることが多いため、税理士による申告より税務調査の対象となる可能性が高くなります。
なお、本来支払うべき税額より少額の相続税を納めていることが税務調査で明らかになった場合、追加分の相続税だけでなく、過少申告加算税や延滞税も課されてしまいます。
不安がある場合は税理士の無料相談の活用がおすすめ
自分で申告書を作成しようと考えているものの不安があるときや、税理士に依頼するか決めかねているときは、税理士事務所が行っている無料相談を利用するとよいでしょう。
初回無料の税務相談を多くの事務所が行っており、疑問や懸念材料の解消に活用できます。
なお、税理士への相談が有料の事務所でも、契約に至った場合は税理士報酬から値引きしてくれることもあります。
相続税手続きを専門の税理士に依頼するメリット
相続税の申告手続きを税理士に依頼するときは、相続税専門の税理士に依頼するようにしましょう。
税理士といっても、すべての税目に詳しいわけではありません。法人税を得意とする税理士、所得税を得意とする税理士など、それぞれ得意不得意があります。
税理士業務は、知識だけでなく実務経験も必要になります。専門知識と実務経験の両方を兼ね備えているかどうかの見極めは、誤りのない申告を行うためにも重要となります。
相続税を専門とする税理士であれば、知識と経験が豊富なため、相続税申告はもちろん、相続手続き全般をスムーズに進めることができます。
資料の収集や申告書の作成を任せることができる
相続税の申告書を作成するには、被相続人の戸籍謄本や原戸籍謄本、住民票の除票、相続人の戸籍謄本、住民票が必要となります。さらに、被相続人が不動産を所有しているときは、名寄帳や住宅地図、公図、路線価図など多岐にわたる資料の収集が必要となります。
相続税申告に必要な資料は、役所の窓口などで取得する必要があるため、時間と手間がかかりますが、相続専門の税理士に依頼すると申告に必要な資料の収集を任せることができます。
財産をしっかり調査するため申告漏れを防止できる
申告を依頼された税理士は、被相続人と相続人の過去5年分程度の預貯金の調査や被相続人の確定申告の内容を精査します。
このほかにも、相続税を専門とする税理士であれば、これまで携わった申告案件からの類推などにより、相続人が把握していない財産があることを判明できることがあります。
自分で申告するより税務調査の可能性を軽減できる
相続税の申告書には税理士署名欄があり、税務署は、税理士の署名がある申告書は一定の知識のある者が作成したものと考えます。
さらに、書面添付制度を利用した申告の場合、申告書の内容に疑問点が見つかったとしても直ちに税務調査とはならず、まずは申告を担当した税理士に対して意見聴取が行われ、そこで調査官の疑問点が解消されれば税務調査は省略されます。
適切な財産の評価や特例・税額控除の適用により税額を抑えられる可能性が高い
たとえば、被相続人が自宅の敷地を所有していた場合、土地の形状によっては評価額を減額できたり、被相続人の配偶者や同居親族が相続するときに適用できる小規模宅地等の特例によって評価額を下げたりすることができます。また、相続人が未成年者や障害者であれば、税額控除を受けられます。
土地などの財産評価、特例や税額控除の適用要件は複雑であるため、相続税専門の税理士に依頼することで、相続税を抑えられる可能性があります。
申告期限に間に合うように手続きを進めてくれる
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月です。
この期限内に、通夜、告別式、初七日、四十九日、納骨といった儀礼的なものに始まり、死亡届の提出、世帯主の変更、年金受給停止の手続き、遺族年金受給手続きといった役所関係の手続きなどと並行して、必要な資料の収集や相続財産の評価、誰がどの財産を取得するのかの決定、申告書の作成などを行わなければなりません。
期限を過ぎると「相続税が安くなる特例が使えなくなる可能性がある」「罰金を課される」といったデメリットがあります。
申告を税理士に依頼すると、申告期限に間に合うように手続きを進めてくれるため、平日の日中にお仕事をしていてなかなか時間が取れない方でも安心です。
二次相続などを考慮した専門家ならではのアドバイスがもらえる
配偶者は、被相続人の財産構築に少なからず貢献していることから、配偶者の税額軽減(相続税の配偶者控除)という配偶者の相続税が軽減される規定が設けられています。
ただし、配偶者の税額軽減を最大限適用するために、配偶者が多くの財産を引き継ぐと、その後、配偶者が亡くなったときの相続で子どもの負担する相続税額が大きくなってしまうことがあります。
税理士に依頼すれば、そのときの相続だけでなく、次の相続のことも考慮した遺産の分割方法をアドバイスしてもらえます。
相続の状況によっては他の士業の協力が必要になる
税理士には、相続税の申告を依頼することができますが、被相続人の不動産の名義変更や相続人同士が揉めた場合の交渉から裁判までの法律行為の代理などは、他の士業に依頼する必要があります。相続税専門の税理士であれば、相続に強い他士業とのネットワークを持っているため、紹介してもらうことができます。
司法書士
不動産を相続した場合は、名義変更の手続きが必要となり、この手続きを相続登記といいます。
相続登記は、弁護士と司法書士が請け負うことができますが、一般的に弁護士は登記業務を扱わず、登記手続きを専門に行う司法書士に任せるケースが多くなっています。そのため、相続登記が必要なときは司法書士に依頼するとよいでしょう。
弁護士
相続人同士で話し合いがまとまらず、相続人同士が争うような状況になった場合に、交渉、調停、裁判などを自分の代理人として行ってくれるのが弁護士です。他の士業は、これらの法律行為において代理人となることはできません。
行政書士
自動車を相続した場合も、名義変更の手続きが必要です。自動車の名義変更は弁護士でも請け負うことはできますが、一般的には行政書士に依頼することがほとんどです。
また、行政書士は、戸籍謄本の取得や遺産分割協議書の作成を請け負うこともできます。従って、遺産の総額が基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要であるため、被相続人が不動産を所有していなければ、行政書士に依頼するだけで相続手続きを完結することができます。
まとめ
相続税申告は自分で行うこともできますが、相続税専門の税理士であれば、特例や税額控除など相続税を抑えるポイントだけでなく、その後の二次相続も考慮したアドバイスをしてもらえますので、相続税を専門とする税理士に依頼することをおすすめします。
被相続人が亡くなると、相続税の申告以外にもやらなければならない手続きが多くあり、申告期限である10カ月は想像以上に早く過ぎてしまうため、期限内に正しく申告できるように税理士に依頼すると安心です。
少なくとも税理士に相談だけでもして判断をしておくと、大きな失敗は避けられるはずです。
専門スタッフが
ご相談に乗っています
- 身内が亡くなった、今すぐ相談したい
- 相続税申告について何も分からない
- 相続専門の税理士を紹介して欲しい
相続に関することであれば、どんなご相談でもお受けしています。
相談は無料です。繋がらないときはお時間をおいておかけ直しください。
私たちの想い
相続後に、
遺産をしっかり受け取り、安心して日々を過ごすことができるかどうか。
その鍵は、相続に強い税理士に出会えるかどうかが握っています。
例えば・・
- 申告に漏れがあれば、税務署から調査を受け追徴課税を支払う可能性がある
- 税理士が見つからず申告が間に合わなければ罰金を受けたり税金が高額になる
- 税理士が不親切であれば、よく分からないまま申告を行うことになる
など
実際に、
令和2年には、5,106件の税務調査が行われ、1件あたりなんと943万円の追徴課税が課されています。
相続に強い税理士がついていれば、まず税務調査に発展する可能性も低く、
追徴課税を受けるような抜けや漏れもないため、安心して相続税申告を終えることができます。
相続後の生活は、相続に強い、良い税理士に出会えるかどうかで決まるといっても過言ではないのです。
「亡くなられた方の遺産を、大事な方々にしっかりと残して欲しい」
「相続税のことで悩んだり、支払いに追われる様な方を1人でも多く減らしたい」
このサイトは、そんな想いで運営されています。