この記事でわかること
- こんな行為はDV
- DV夫の特徴
- DVを受けている場合にするべきこと
- DVの離婚慰謝料の相場
DVとは?
DVとは、家庭内暴力のことをいい、特に配偶者、内縁のパートナー、恋人から精神的または肉体的な暴力を受けることを言います。
DVの定義は、『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律』という法律に定義されています。
法律上の配偶者のみならず、事実婚などの内縁関係のパートナーや同棲している恋人も含みます。
また、法律上の婚姻、事実婚などの関係が解消されている場合、つまり過去のパートナーも含みます。
DVの内容や程度はさまざまで、命に関わるような酷い肉体的暴力が振るわれることもあれば、モラハラのようなケースもあります。
暴力の頻度、程度、背景事情により、法定離婚原因となるか、慰謝料がいくらもらえるかが変わってきます。
DVは夫から妻に対するものが圧倒的に多い
DVは男女のどちらも加害者になりえますが、現実問題としては、妻である女性が夫である男性から暴力を受けているケースが圧倒的に多いようです。
理由としては、やはり肉体的に男性の方が力も強いので、有形力行使という場面では、加害者の立場になりやすいのでしょう。
警視庁による統計では、平成29年の女性からの被害相談は7005件、男性による被害相談件数は1416件と、女性からの相談は男性からの6倍になっています。
また、平成25年のDVの相談件数は2821件、平成29年は8421件と約3倍に増えており、性別を問わず、DVはここ数年で急増しています。
これは、実態としてDVが増えたというよりは、メディアなどで被害がとりあげられ話題になることで、人々の意識が高まり、これまでなかなか声を上げづらかった被害者が、DV被害について声を上げやすくなっているということが考えられます。
こんな行為はDV行為に当たりうる
DVには、殴る蹴るなどの身体的暴力だけではなく、無視や批判を繰り返すなどの精神的暴力もあります。
また、妻が他人と交友関係をもつことや、連絡を取ることを制限するという社会的暴力もあります。
人間には人との繋がりが大切なので、家庭以外の社会を閉ざされると精神的に追い詰められる可能性があります。
また、専業主婦である妻に生活費を渡さず困窮させたり、妻の預貯金の通帳を取り上げるなど経済的暴力もあります。
他にも、妻が妊娠を望んでいないのにもかかわらず、不当に避妊に協力しなかったり、性行為を強要するなどの性的暴力もありえます。
具体的にDVを疑うべきケースには、些細なことで怒られ殴ったり蹴られたりする、喧嘩の最中で殴ったり首を絞められるなどの暴力を振るう、刃物をつきつけるなどの脅しをする、突き飛ばしたり髪の毛を引っ張る、大声で罵声を浴びせる、メールやラインなどをチェックされる、夫の許可がないと外出できない、などがあります。
DV夫の特徴は?
夫婦は千差万別ですので、一概にDV夫とはこのような人ですと定義することはできません。
しかし、感情を抑えられず、配偶者というもっとも身近な人に暴力をふるうという極端な行為をしてしまう人には、いくつか特徴があるようです。
夫に以下のような特徴がある場合は、注意しましょう。
外部には愛想がよく、評判が良い
DV夫の特徴として、妻にだけ暴力的で、会社や地域、親族などのコミュニティでは良い夫を振舞っていることが多いということがあります。
そのため、あの人がまさかDVをしていたなんて、と後から驚かれることが多いでしょう。
また、二面性があるともいえ、普段は温厚でむしろおとなしい性格の人も多く、その分特定の相手に対してや、一旦怒りのスイッチが入ってしまった場合は、切れて手をつけられなくなってしまうことがあります。
外部からの評判がよいだけに、妻としてはなかなかDV被害を周りに相談できず、自分が悪いのではないかと抱え込んでしまうようです。
トラウマをかかえている
DVをする夫には、自分も子供時代に暴力を振るわれた経験など、何かしら心理的トラウマをかかえている人も多いです。
いわゆるアダルトチルドレンという場合も多いでしょう。
暴力をふるった後に優しくなったり、反省する
DV夫のなかには、暴力をふるったあとに、後悔して妻に優しくしたり、謝ったりする人もいます。
特に身体的暴力をふるう夫は、かっとなって暴れた後に、怪我をしている妻を見て慌ててそのような行為をとる人が多いようです。
精神的に幼稚で暴力をコントロールできないのですが、涙ながらに謝られた妻が情にほだされて許してしまい、同じことの繰り返しとなってしまう夫婦もいます。
DVをする人は繰り返し同じ行為をする人が多く、専門家の治療やカウンセリングを受けないで、ズルズルと一緒にいるのは危険とも言えます。
妻を悪者に仕立て上げてくる
妻を社会的に追い詰めて自分の味方を増やすために、周りにある事ない事を吹聴して、妻を悪者に仕立てるパターンもあります。
全く家事をしないと嘘をいったり、あえてシワシワのシャツで外出して、アイロンをかけてくれていないことを大げさにアピールしたりします。
関連記事
DVを受けている場合にするべきこと
DV被害者であることを自覚する
一度は愛して生涯を共にしようとした相手がDV夫であると認めることは、つらいことです。
また、長い間の異常な関係により、被害者がDV夫に洗脳されている状態になっていることも少なくありません。
私が至らないから暴力を受けるんだ、という不要な罪悪感を持っていて、私さえ我慢すれば家庭はうまく行くと考えている場合もあります。
また、共依存のような形になっており、DV夫は暴力を振るい妻をコントロールすることで依存し、妻はそんな夫には自分が必要という思い込みをしていることがあります。
しかし、暴力は傷害罪などの刑法違反行為にもなりうる重大な行為です。
被害を水に流してなかったことにしても、特に繰り返し暴力があるときには、そのままにしていても問題は何も解決しません。
まずは、夫から受けている行為はDVであり、自分は人権が踏みにじられている状態なのだと自覚することが大切です。
できるだけ証拠を残す
DVかもしれないと思い始めたら、その証拠を残すようにしておきましょう。
証拠があれば、慰謝料の示談交渉にも裁判にも有利に働きます。
具体的には、DVを受けた日時や内容、そのときの状況などを詳しく日記に残すなどして記録をしておきましょう。
バレないように録音や録画をしておくことができれば、客観的な資料として使うことができますのでより有効です。
怪我をした場合は、病院で外傷によることがわかる診断書をもらったり、怪我したばかりの箇所を写真で撮影し、記録しておきましょう。
暴力が激しい時は避難する
身体的暴力などで身の危険が迫っているときは、迷わず避難しましょう。
エスカレートして万一の事態が起きてからでは遅いからです。
実家や知人の家などに頼れる場合はそれがよいでしょうし、そうでない場合も配偶者暴力相談支援センターや自治体などで、一時的に避難できるシェルターを紹介してくれることがあります。
弁護士等に相談する
暴力を振るう夫と婚姻生活を続けることは、まず難しいといえます。
修復をするという場合は、継続的なカウンセリングを受けるなど夫側も深刻にDVを振るう自分を変えなければならないという意思を持ち、それに向かって行動することが大切です。
多くの場合は、DVはなかなか直らないので、離婚が選択肢に入るでしょう。
上述のように、DVは法律上の離婚事由となり、不法行為として慰謝料請求の対象となります。
DV夫と直接離婚の話をしたり慰謝料請求の話をしたりすると、興奮してまた暴力をふるうおそれもあるので、弁護士を通して交渉するのがおすすめです。
なお、離婚の原因となるためには、DVの程度がある程度重い、頻度が高いということが必要です。
2~3時間は暴れ続ける、妻が骨折などの怪我を負うという重度の暴力であれば、婚姻を継続しがたい重大な事由として、法定離婚事由が認められる可能性も高いでしょう。
また、毎日あるいは数日に一度暴力があったなどの頻度が高い場合も同様です。
逆に一度だけ、一回平手打ちしただけという場合、それだけでは離婚はできないかもしれません。
DVの離婚慰謝料はいくらくらいもらえる?
DVは民法上の不法行為ですので、加害者である夫には慰謝料を請求することができます。
DVに限らず、不倫などの不法行為が伴う離婚の場合、慰謝料の相場としては、100~300万円程度になることが多いようです。
慰謝料は、被害者が受けていたDVの程度や、実際に怪我を負ったのか、どのような事情が夫婦にあったのか、暴力を受けていた期間などを考慮して決定されます。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
DVをする夫の特徴や、被害に遭ってしまった場合の対応方法などについて解説しました。
自分はもしかしたらDVを受けているかも?と思ったら、早めに周囲に相談するか、弁護士に相談しましょう。