スピード離婚を表す「成田離婚」という言葉は、最近ではそれほど聞かなくなりました。しかし、結婚してまもない時期に不安や不満が募り、早い段階で離婚を考える人は、いつの時代もいると思います。
ここでは、成田離婚の現状や、スピード離婚にならないための対処法について説明します。最初に訪れる離婚危機を乗り切るために、参考にしていただければ幸いです。
成田離婚とは?
結婚してすぐ離婚するスピード離婚
「成田離婚」とは、結婚した後すぐ離婚する「スピード離婚」を意味する新語で、1990年代から使われています。バブル期以降、新婚旅行と言えば海外に行くのが当たり前になりました。「成田離婚」は、新婚旅行から成田空港へ戻ってきた途端離婚する状態をたとえて表したものです。
スピード離婚する夫婦はそれほど減っていない
厚生労働省の人口動態統計によると、同居期間1年未満で離婚した夫婦の数及び割合は、昭和60年以降次のようになっています。
同居期間1年未満で離婚した夫婦の数 | 離婚した夫婦の総数 | 同居期間1年未満で離婚した夫婦の割合 | |
1985(昭和60)年 | 12,656組 | 166,640組 | 7.5% |
1995(平成7)年 | 14,893組 | 190,016組 | 7.8% |
2005(平成17)年 | 16,558組 | 261,917組 | 6.3% |
2015(平成27)年 | 13,863組 | 226,215組 | 6.1% |
2017(平成29)年 | 12,895組 | 212,262組 | 6.0% |
(出典)2017(平成29)年人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/gaikyou29.pdf
バブル期以降、スピード離婚する夫婦の数に、大きな変化はありません。ただし、離婚件数自体が増えているため、スピード離婚の割合は多少減っています。成田離婚と呼ばれるようなスピード離婚は、特に減っているわけではなく、今でもそれなりにあるということです。
成田離婚になってしまう原因は?
い
生活習慣の違い
夫婦で長時間一緒に過ごすのは、新婚旅行が初めてというケースもあるでしょう。朝から晩まで何日も一緒にいることで、交際中はわからなかった生活習慣の違いが、気になってしまうことがあります。
たとえば、起きる時間や寝る時間、食事の回数、部屋の温度、お風呂の入り方、トイレの使い方、整理整頓など、細かな生活習慣の違いは、何日も一緒に過ごしてみなければわかりません。
相手が自分には受け入れられない習慣を持っていれば、共に生活していくことに不安を感じることもあるでしょう。生活習慣は簡単に変えられないことが多いですから、それならば離婚した方がいいと思ってしまうことがあります。
相手のお金の使い方に対する不満
お金の使い方も問題になりがちです。前は気前よくおごってくれていたのに、結婚した途端ケチになる男性もいます。女性が「せっかくの新婚旅行だから多少はぜいたくしたい!」と思っても、男性が何かと出し渋り、興ざめしてしまうこともあるでしょう。
結婚後のお金の管理について話し合っていない場合、どちらの財布から出すかでケンカになることも。自分のものにはお金を使うのに、他人へのおみやげには使いたくないなど、お金を通じて考え方の違いが浮き彫りになることもあります。
相手が頼りにならない
女性は、結婚したら男性を頼りにしたいもの。特に、海外ではどんなトラブルに巻き込まれるかわかりませんから、夫には頼りになる姿を見せてほしいのです。しかし、新婚旅行中、夫が全く頼りにならなかったという声はよく聞きます。
自分はガイドブックすら見ず、行く場所を決めるのも、ホテルやお店でのやりとりもすべて妻まかせという男性も珍しくありません。女性も、「好きなようにしてくれていいよ」と言われても、一から十まで全部自分で決めるのは疲れるでしょう。
海外旅行中は、財布をなくす、クレジットカードが使えない、スーツケースが紛れてしまうなどのちょっとしたトラブルが起こりがちです。そんなとき夫が頼りにならなければ、女性は、夫と共に生きていくことに不安を感じてしまいます。
そのほか離婚の原因についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
成田離婚にならないための対処法は?
自分の気持ちを言葉で伝える
新婚当初にどうしても納得がいかないことがある場合には、相手にきちんと伝えて、話し合うようにしましょう。「言わなくてもわかるはず」と不機嫌な態度をとっても、相手には何で怒っているのかがわかりません。
生活習慣の違いなども、まずは話し合ってみることが大事です。早い段階で話し合い、意見をすり合わせることで、離婚を防ぐことができます。
相手を尊重して意見交換する
結婚したら、相手を否定するのではなく、相手を尊重することを心がけましょう。違う環境で育ってきた他人ですから、考え方や価値観の違いはあって当たり前です。
「自分は間違っていない」と思っていても、夫婦はお互い様の部分があります。相手の考え方を頭から否定すれば、折り合いをつけることはできません。
相手の考えを尊重しながら自分の意見を伝えるようにすれば、早期の離婚という残念な結果を招かずにすみます。
まとめ
成田離婚は今でも珍しくありません。しかし、早期に離婚の選択をしなくても、問題解決できるケースもあるはずです。
お互いのことを理解して結婚したつもりでも、相手の知らない部分はたくさん出てきます。相手の自分と違う部分を一から否定せず、すり合わせをしながら関係を深めていくことを考えましょう。