離婚問題についてのよくある質問 | 離婚弁護士マップ
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離婚問題についてのよくある質問

調停期日呼出状が送付されても相手方が応じず出頭しません。どうすればいいでしょうか?
相手方が出頭しない場合、家庭裁判所調査官が出頭の勧告をすることとなります。
この出頭勧告に対し、正当な理由なく応じない場合、5万円以下の過料の制裁があります。
それでも相手方が欠席を繰り返すと、調停は不成立で終了します。
調停が不成立となった場合、相手に協議離婚の申入れをする、離婚裁判を申し立てるなどのアプローチを考えることになりますが、自分一人で解決するのは難しくなるため、調停不成立の時点で弁護士へ相談する方がよいでしょう。
離婚調停の成立まで生活費を相手に負担してもらうことはできますか?
家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停、または審判前の保全処分の申し立てを行い、生活費の支払いを求めることができます。夫婦の資産、収入、支出などの事情を家庭裁判所が総合的に見て、婚姻費用の分担を判断することになります。
「審判離婚」とはどういったものですか?
離婚調停が不成立になった場合に、家庭裁判所が離婚が相当であると判断した時は職権により審判を下して離婚を成立させることができ、これを「審判離婚」といいます。離婚審判が下されるケースは少ないのが実情です。
離婚を考えていますが、財産分与とはなんですか?
財産分与とは、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚する際夫婦それぞれの貢献度に応じて個人財産に分ける制度です。
財産分与の対象となる財産は、預貯金、株式等の有価証券、不動産、自動車、貯蓄性保険、家財道具など多岐にわたります。
名義が夫または妻どちらか一人のものになっていても、結婚期間中に夫婦の協力により築いた財産であれば財産分与の対象となります。婚姻期間中に取得した財産は、夫婦の共有財産と推定されます。
逆に対象外となるのは、結婚前に貯めた貯金など結婚期間外に個人で築いた財産です。また、親などから相続した財産についても、結婚期間中に相続した場合であっても対象外となります。
また、別居後の築いた財産も財産分与の対象とはなりません。
財産分与は、共有財産を清算する「清算的財産分与」が主たるものとなりますが、他に「慰謝料的財産分与」、「扶養的財産分与」もあります。
慰謝料的財産分与とは、離婚の原因を作った配偶者に対して、慰謝料込みの財産分与を求める場合の財産分与です。本来、慰謝料請求と財産分与は別々のものですが、慰謝料を含めた財産分与とすることで一度で金銭的な問題を清算することができます。
扶養的財産分与とは、離婚によって経済的に困窮してしまう配偶者に対してなされる財産分与です。無職や病気、高齢等で扶養が必要となる配偶者に対し、離婚後も一定額を定期的に支払うこととするのが一般的です。
専業主婦(主夫)ですが、離婚すると財産分与はどうなりますか?
財産分与の割合は、夫と妻それぞれの財産形成に対する貢献度に応じて決まります。専業主婦(主夫)で無収入であったとしても、家事労働は立派な労働として認められ、それにより財産の形成に貢献していたことになるので、財産分与を受けることができます。
個別の事情によっても異なりますが、原則的に専業主婦(主夫)の貢献度は50%と評価される傾向にあるため、婚姻期間中に築いた財産の2分の1の分与を受けられる可能性があります。
離婚時に退職していなくても、将来の退職金は財産分与の対象となりますか?
将来の退職金が財産分与の対象になるかどうかは、それぞれの事情によって異なります。
将来の退職金は、支給される予定日までの期間が長い場合、勤務先の経営状況や本人の役職がどうなるか、ずっと本人が勤務し続けるかなど不確定な要素が多いため、必ず財産分与の対象になるわけではありません。
将来の退職金が財産分与の対象になるかどうかは、退職金が高い確率で支払われるかどうかで判断されます。
勤務先の退職金規定や退職までの期間等の事情を鑑みて、支払われることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象として認められるケースが多い傾向です。
ただし、協議離婚の場合には双方の話し合いで退職金を財産分与の対象にすることは自由です。
離婚の際、ペットの所有権はどうなりますか?また、養育費は請求できますか?
ペットは家族の一員と考える人も多いですが、法律上は「物」として扱われます。そのため、婚姻期間中にペットを飼いはじめた場合は、他の財産と同様に財産分与の対象となります。
結婚する前に夫または妻が飼っていたペットであれば、財産分与の対象とはならず、元々飼育していた側に所有権があります。
財産分与の対象となる場合、夫または妻のどちらが所有するかを決めることとなります。
双方がペットを所有したいと主張する場合には、他の財産を譲る、対価を支払う等で調整し、相手を納得させてどちらかが所有することとなります。
ペットに関しては、養育費を支払う義務はありませんので、請求しても認められることはありません。
養育費は、未成年の子の養育に対して親が支払う義務を負うもので、ペットには適用されません。そのため、基本的にペットを所有することになった側が飼育に掛かる費用は負担することになります。
ただし、協議離婚の場合に任意で相手が支払うことは自由です。

 

配偶者の不倫相手から「収入がない」と言われました。慰謝料請求はできないのでしょうか?
配偶者の不貞行為の相手に対して慰謝料を請求することができますが、相手から収入がないから支払えないと言われることがあります。
この場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。
相手は慰謝料を支払いたくないために嘘をついている可能性もあります。
相手の財産状況を確認するため、弁護士を通じて財産開示請求をする方法があります。たとえ相手が現在無収入であっても、預貯金や有価証券等の資産を持っている可能性もあります。相手に慰謝料を支払う手段が本当にないのかどうかを見極める必要があります。
また、全額を一括で支払うことができない場合には、分割払いで少しずつ支払わせる方法もあります。この場合、合意内容を公正証書にしておくとよいでしょう。
公正証書にすることで、相手にとってはプレッシャーとなりますし、強制執行認諾文言があれば相手が支払わなくなった場合に裁判手続きをすることなく財産を差し押さえることができます。

 

配偶者と不倫相手が同じ勤務先です。不倫相手を退職させることはできますか?
残念ながら、法律上不貞相手に退職を強要することはできません。
また、相手が職場に居づらくなるように不貞行為について職場の人たちに言いふらすといった行為は、名誉毀損罪等の犯罪になる可能性もあるのでやめましょう。
相手に退職してほしいという希望を伝えるだけであれば問題ありませんが、強制力のあるものではありません。
相手が自主的に退職することを条件に、慰謝料を請求しないといった取り決めをすることは可能なので、相手の意向によってはそのような申し入れをしてみる方法もあります。
その場合でも、あくまで退職するかどうかを決めるのは本人なので、相手の判断にゆだねることになります。
相手が自主的に退職してくれない場合、現実的な方法で、できるだけ配偶者と不貞相手との接触を避ける対策を講じましょう。
たとえば、配偶者に不貞相手と接点がない部署への異動願を出してもらう方法もあります。
また、不貞相手と、「今後仕事と関係のない連絡は一切しない」という取り決めをして合意書を作成する方法もあります。
それでも、どうしても不貞相手と配偶者が同じ勤務先であることが耐えられない場合、自分の配偶者に退職してもらう方法が確実です。
離婚の際に財産分与や養育費について取り決めました。守られないことを防ぐ対策はありますか?
できるだけ、合意内容を公正証書にしておきましょう。
公正証書にすることで、合意内容についての強力な証拠となり、相手にとっては大きなプレッシャーとなり、不払いの防止にもなります。
また、公正証書に強制執行認諾文言を付けることで、相手が支払いをしない場合に、裁判手続きを行うことなく財産の差押え等ができるようになります。
相手が公正証書の作成に応じない場合には、最低でも合意書を作成し、双方の署名捺印をしておきましょう。

 

不貞行為を相手の配偶者に知られ、高額な慰謝料を請求されていますが支払えそうにありません。どうしたらいいでしょうか?
まず、そもそも慰謝料の支払い義務があるのかを見極める必要があります。
不貞行為のとき、すでに夫婦関係が破綻していた場合には慰謝料の支払い義務はありません。
慰謝料の支払い義務がある場合には、請求された金額の妥当性を判断する必要があります。
相手は、怒り心頭の心境で、あえて相場以上の金額を請求しているケースも多くみられます。
慰謝料の金額は、不貞相手の夫婦がその後離婚になったかどうかでも変わってきます。
相場としては、離婚にならなかった場合には高額な慰謝料が認められる可能性は低く、100万円以内というケースが多いです。
離婚に至った場合でも、慰謝料の相場は100万円から300万円の範囲内であることがほとんどです。結婚期間や不貞の期間・回数等の事情によっては100万円以下になる場合もあります。
また、不貞行為は不貞行為をした二人の共同責任となるため、自分一人で慰謝料を支払った場合は、不貞の責任割合に応じた金額を不貞相手に請求することができます。
慰謝料の金額には納得しており、単に一括で支払うことができない場合には、相手に分割払いの申入れをすることもできます。
法外な請求をされたり相手との話し合いがうまくいかない場合、弁護士に依頼すると安心です。
お互い何も請求しないと取り決めて離婚しましたが、その後に婚姻中の不貞行為が発覚しました。慰謝料請求はできますか?
離婚する際に、お互いに何も請求しない合意をして公正証書や調停調書を作成していた場合には、清算条項の文言が入っていることがほとんどです。
具体的には、「当事者双方は、本件離婚に関し名目を問わず何ら財産上の請求をしないことを確認する」「本協議書に定めるほか、互いに何らの債権債務がないことを確認する」等という文言が清算条項になります。
このような清算条項付きの合意をしている場合、後に元配偶者の不貞行為が発覚した場合でも、慰謝料請求をすることは難しいと言わざるを得ません。
後日の争いを防ぐために、あらかじめ財産上の請求権を放棄するという清算条項付きの合意をしているので、それを覆すのは難しいのです。
このような清算条項付きの合意文書がない場合には、慰謝料の請求が認められる可能性があります。離婚当時、不貞の事実を知らなかったので、何も請求しない合意は、錯誤による無効を主張できる可能性があるからです。

 

なお、清算条項付きの合意文書がある場合でも、それはあくまで元配偶者との間の合意であり、元配偶者の不貞相手に対しては別の問題です。
不貞相手との間では何の取り決めもしていないので、元配偶者への慰謝料請求ができない場合でも、不貞相手へ請求することは可能です。

不倫相手の配偶者の弁護士から慰謝料請求の通知が突然届きました。まずはどう動けばいいのでしょうか?
相手が弁護士を通して慰謝料を請求してきた場合には、自分一人で対応することは困難になります。
請求された慰謝料の金額等に納得しており、請求通りの内容で支払う意思があるのであれば別ですが、そうでない場合は速やかに弁護士に相談することが得策です。
相手が弁護士に依頼している場合、慰謝料請求の意思が固く裁判も視野に入れて請求してきている可能性が高いです。
あなたが請求を無視したり、支払いを拒否したりした場合、相手側はすぐに訴訟を提起するかもしれません。
訴訟を提起された場合、弁護士に相談せずに自分の判断で行動を起こしたり、裁判所からの呼び出しを無視したりするのは非常に危険です。
訴訟を提起されてから慌てて弁護士に相談に行くよりも、慰謝料請求の通知が届いた段階ですぐに相談に行くのがよいでしょう。
訴訟前のやりとりについても、自分の判断で行った言動によって不利な証拠となってしまう危険性があるため、最初から弁護士が間に入った方が有利です。
また、裁判までいかずに交渉をする場合でも、交渉のプロである弁護士と自分が直接接触することは不利にならざるを得ません。
弁護士が交渉する場合、どのような内容が法的に有利になるか、不利になるかをよく認識したうえで相手と接触するため、素人が直接コンタクトを取ると不利な情報を引き出されてしまうことがあります。
弁護士に相談することで、慰謝料の相場や妥当性についても知ることができ、慰謝料の減額交渉をしてもらうことも可能になります。

 

熟年離婚が増えた原因といわれる年金分割制度ですが、どういった仕組みですか?
年金分割制度を説明する前に、まず年金の仕組みについて説明します。
日本の年金は、2階建になっています。
20歳から60歳未満のすべての人が加入する1階部分が基礎年金です。基礎年金のみに加入する人が納付する保険料は定額です。基礎年金には、老後に受給する老齢基礎年金だけでなく、病気やケガなどで障害を負った場合に受ける障害年金、死亡した人の遺族が受ける遺族年金もあります。
ただし、基礎年金は同時に2種類以上を受給することはできず、たとえば老齢基礎年金と障害年金を両方同時に受給することはできません。どちらかを選択することになります。老齢基礎年金は、40年間納付すると満額が支給されます。
年金の2階部分が、厚生年金で、会社員や公務員が加入するものです。以前は公務員は共済年金に加入していましたが、現在は厚生年金に一本化されました。厚生年金の保険料は給料に対して定率となり、給料が多いほど保険料が高くなります。
厚生年金は、会社等の事業主が保険料の半額を負担し、本人負担分の保険料は給料から天引きされます。厚生年金の受給額は、納めた保険料に応じて金額が変わります。
自営業者や学生などで国民年金のみに加入している人を第1号被保険者といいます。
会社員や公務員など、国民年金と厚生年金に加入している人を第2号被保険者といいます。
第2号被保険者に扶養されている配偶者で、第3号被保険者といいます。
年金は他にも、第1号被保険者が任意で加入できる国民年金基金や、企業が任意で設立して社員が加入する企業年金などもあり、これらに加入していると、国民年金、厚生年金に上乗せされて受給することができます。

 

では、ここから年金分割について説明します。
年金分割は、婚姻期間中に納付した夫婦の厚生年金保険料の記録を分割する制度です。
年金分割の対象となるのは、厚生年金と旧共済年金(現在は厚生年金と一本化)です。
基礎年金、確定拠出年金、国民年金基金、厚生年金基金の上乗せ給付部分は対象となりません。
また、年金分割の対象は公的年金のみなので、保険会社で加入している個人年金なども対象となりません。
このため、婚姻期間中に配偶者が厚生年金に加入していなかった場合には、年金分割をすることはできません。
そのような場合には、年金分割ではなく財産分与によって財産を公平にわかることになります。
年金分割には、3号分割と合意分割の2種類があります。
まず、3号分割とは、第2号被保険者と第3号被保険者の夫婦が利用できる制度で、平成20年4月1日以後の3号被保険者だった期間における相手の厚生年金記録(標準報酬月額、標準賞与額)を2分の1ずつ夫婦間で分割する制度です。
3号分割には夫婦の合意は必要なく、分割してもらいたい当事者一人から手続きができます。分割割合は2分の1ずつと決められており、自分たちで決めることはできません。手続きは離婚後2年以内が期限となります。
次に合意分割とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金記録(標準報酬月額、標準賞与額)について、分割する割合を当事者間で決めて分割する制度です。
合意分割は、3号分割よりも準備や話し合いが必要となります。
まずは年金情報を知る必要があるため、年金事務所等を通じて「年金分割のための情報提供請求書」を提出して年金情報が記載された文書(年金分割のための情報通知書)を手に入れます。
その情報通知書の情報から、年金分割によってどれくらい年金額が変わるかを把握しましょう。
情報通知書には按分割合の範囲が書かれているので、その範囲内で夫婦間で年金分割の割合を決めることになります。
なお、当事者間で分割の合意ができず、裁判所での判断を求める場合、分割割合は2分の1ずつになることがほとんどです。

離婚で年金分割するにあたり、前もって年金見込額を知るにはどうすればいいですか?
50歳以上、または障害年金を受給している場合、年金見込み額を知る方法があります。
年金分割を希望している場合、あらかじめ年金事務所等を通じて「年金分割のための情報提供請求」をします。この請求をする際、50歳以上または障害年金を受給しているときは、年金分割をした場合の年金見込み額を照会することができます。
この照会をすると、①年金分割を行わない場合、②年金分割の割合を50%とした場合、③本人の希望による按分割合にした場合 の3パターンの年金見込み額を知ることができます。
年金分割をしたいのですが、配偶者が合意分割に応じてくれません。どのような方法がありますか?
当事者間の話し合いで年金分割の割合について合意ができない場合には、分割の割合を定めるために家庭裁判所に申し立てをすることになります。
離婚成立前の場合、離婚調停に付随して申し立てを行い、離婚成立後の場合、年金分割の割合を定める調停または審判の申し立てをします。
ただし、離婚から2年を経過すると、申し立てはできなくなります。
なお、裁判所の判断となると、分割割合は2分の1ずつになることがほとんどです。
すでに離婚していますが、年金分割は今からでも間に合うでしょうか?
離婚した日の翌日から2年以内であれば、年金分割の請求の請求をすることができます。2年以上経過している場合には、原則として年金分割の請求はできません。
年金分割には3号分割と合意分割がありますが、3号分割であれば元配偶者の同意は不要で自分一人で手続きをすることができます。最寄りの年金事務所で相談しましょう。合意分割の場合、元配偶者との合意が必要となります。
いずれにせよ、期限のあるものなので速やかに請求のための準備をした方が良いでしょう。
年金を受給中ですが、年金分割は可能ですか?
すでに年金を受給中の人であっても、離婚の日の翌日から2年以内であれば年金分割の請求をすることができます。これは、合意分割であっても3号分割であっても同じです。
3号分割の場合には、元配偶者の同意は必要なく、自分一人で請求の手続きをすることができ、自動的に2分の1の割合での年金分割となります。
受給する年金額が改定されるのは、請求日の翌月からとなり、すでに受給した過去の分まで分割してもらうことはできません。

 

3号分割は元配偶者の許可なく請求することができますが、元配偶者には年金分割の通知書が届くので、後のトラブルを避けるためには、手続きをしたことは知らせておく方がよい場合もあります。
合意分割の場合には、元配偶者との間で分割割合の合意が必要となります。元配偶者が話し合いに応じない場合や話し合っても合意に至らない場合などは、年金分割の調停または審判を申し立てて、年金分割の割合を定めることになります。

離婚すると氏は結婚前に戻るのでしょうか?それとも婚姻中の氏となるのでしょうか?
離婚をすると、結婚によって氏が変わっている当事者は、結婚前の氏に戻ることになります。
ただし、離婚の日から3カ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を本籍地または住所地の市区町村役場に届け出ることにより、結婚時の氏を引き続き使うことができます。
一度結婚時の氏のままにする届け出をすると、もう結婚前の氏に戻ることは原則的にできなくなりますので、離婚後の氏をどうするかは慎重に判断した方がよいでしょう。
離婚して結婚前の氏を選択した場合、戸籍はどのようになりますか?
この場合、2つの選択肢があります。1つは結婚前の戸籍に戻る方法です。
ただし、結婚前の戸籍が除籍されている場合(戸籍内の全員が死亡しているなど)、結婚前の戸籍に戻ることはできません。もう1つは自分を筆頭者とする新しい戸籍を作る方法です。
離婚した場合、子どもの氏はどちらになるのでしょうか?
離婚すると、婚姻による氏の変わった当事者の氏は結婚前の氏に戻ります。(復氏)結婚中の氏のままにするためには届出が必要です。
しかし、子供の氏は離婚によって自然に変わることはありません。子供の氏を親の結婚前の氏と同じ氏に変更するためには、家庭裁判所に子供の氏の変更許可申し立てをする必要があります。
この申し立てをせず、親権者が復氏している場合には、親権者と子供の氏が相違する状態になってしまうので注意が必要です。
養育費は具体的にどのくらいもらえますか?
養育費の金額は、実務上、子供の年齢、人数、養育費を請求する側の収入、請求される側の収入の4つの情報を基に算定することが定着しています。
家庭裁判所では、以下のような算定表を参考として活用しており、調停等の裁判所の手続きで養育費を決める場合、この算定表通りの金額となることがほとんどです。

 

引用:東京家庭裁判所

ただし、算定表によることが著しく不公平になるような特別な事情がある場合には、その事情を考慮した金額となることがあります。
当事者同士の話し合いで養育費を決める場合にも、自分たちで金額を決めることが難しい場合にはこの算定表を目安として決めることをお勧めします。

いつまで養育費を受け取れますか?
親は子供が未成熟な間は扶養する義務があるので、その間は養育費の支払い義務があると考えられています。
ではいつ未成熟でなくなるかというと、子供が経済的に自立して生活できる状態になるときまでとされており、成人するまでとすることが一般的です。
ただし、個別の事情に応じて、たとえば4年制大学を卒業する時までとする場合もあります。
また、子供が病気の場合や障害がある場合などの場合には、それ以上の期間となる可能性もあります。
養育費が増減するケースはあるのでしょうか?
養育費の金額や期間の変更が認められる場合もあります。
合意や調停、審判で決められた養育費を変更するには、養育費を定めた時点では予想することができなかった事情の変更等により、現状の養育費が不相当であると認められる必要がなります。
たとえば、養育費の減額が認められるケースとしては養育費を払う側の収入が著しく低下した場合や、増額が認められるケースとしては子供が病気になった場合等の事情の変更が考えられます。
すでに養育費の取り決めをしましたが、受け取り期間の延長はできますか?
養育費の期間について取り決めをした場合でも、合意した当時には予想できなかった事情の変更があった場合には養育費の支払い期間を延長することは可能です。これは、期間に限らず金額を変更することもできます。
養育費を払っている相手に期間の延長や増額を申し入れ、それを受け入れてもらえた場合には、再度養育費に関する合意内容を文書にするとよいでしょう。それを公正証書にしておけばより安心です。
相手が申入れに応じてくれない場合には、家庭裁判所へ調停の申し立てをすることになります。
調停でも解決できなかった場合には、家庭裁判所の審判によって決められることになります。
家庭裁判所で養育費の期間延長や増額を認めてもらうためには、養育費を取り決めた後に、取り決めた養育費の内容を維持するのは相当でないと判断されるだけの事情変更があったことを示す必要があります。
具体的には、子供が大学に進学するために20歳までと取り決めていた養育費を大学卒業まで延長するといったものがあります。また、子供側の事情ではなく、父または母の収入が取り決めをした当時と大きく変わるというような事情の変更もあり得ます。
なお、逆に相手から事情の変更による養育費の減額の請求をされるケースもあります。
養育費の取り決めをしたのに、数年前から支払われません。今からすべて請求できますか?
養育費の取り決めをしたにもかかわらず、相手の支払いが滞っている場合には、過去の養育費を請求することができます。
しかし、過去の養育費の請求が制限なく認められるわけではなく、どこまで遡って請求が認められるかは養育費を定めた方法によって異なります。
養育費の請求権は、原則定期金債権となり、5年間の消滅時効にかかります。
裁判所での手続きでなく、当事者間の話し合いで養育費を毎月いくら支払う、という決め方をしている場合、月々の養育費を請求できるのは支払うことになっている日(弁済期)から5年以内です。
一方、すでに弁済期が到来した過去の養育費について、確定判決、審判、裁判上の和解、調停等の確定判決と同じ効力のある裁判所の手続きによって確定した場合には、消滅時効は10年に延長されます。
なお、時効となっている場合でも、相手が任意に支払う分には受け取っても問題ありませんので、とりあえず時効を過ぎた分も含めて請求してみましょう。時効を主張するかどうかは相手次第です。

 

親権者とは具体的にどんな権限を持っていますか?
親権者は、未成年の子の身上監護と財産管理についての権限を持ちます。
具体的には、身上監護とは子供の身の回りの世話や教育をするといったことです。
財産管理とは、子供の財産を管理したり、契約等の子供の法律行為に同意することなどです。
父母が結婚している間は、親権は共同して行使することになります。
離婚する時に未成年の子がいる場合、父と母のどちらか一人を親権者に決めて離婚届に記載しなければなりません。
夫婦のどちらも親権を持ちたくない場合、それでも離婚できますか?
必ず父か母のどちらかを親権者と定める必要があります。未成年の子がいる場合、離婚届には、必ず親権者を記載しなければならず、親権者の記載のない離婚届けは受理されません。
当事者間の話し合いで決められない場合には、裁判所の手続きにより定めることになります。
調停の場合には、当事者の意思が一致しなければ親権者が定まりませんが、審判や裁判による離婚の場合、裁判所が子の福祉を考えて親権者を決定することになります。
監護権とはどのような権限ですか?親権と何が違うのでしょうか?
監護権は、基本的には親権の一部です。
親権には、身上監護権と財産管理権がありますが、この身上監護権の方が監護権になります。
監護権は、子供の身の回りの世話をしたり、しつけや教育を施す権利義務のことです。
監護権は親権の一部なので、通常は親権者が監護権を持つことになります。
ただし、親権者が子供を監護できない事情がある場合や、身上監護と財産管理を別々にした方が子供の利益を考えて相当である場合には、親権者と監護権者が別々になることもあります。
たとえば、財産管理については父が適当なので親権者は父とするが、父は仕事で不在がちなので監護権者は母にするといったケースです。
なお、親権者は離婚届に記載を要するため離婚時に必ず決める必要がありますが、監護権者については離婚後でも決めることができます。

 

あとになって親権者と監護権者を変更することはできますか?
親権者を変更するには、父と母の話し合いで決めることはできず、必ず家庭裁判所の調停、審判により行う必要があります。
ただし、親権者の変更が認められる場合は限られています。親権者は、あくまで子供の利益を守るという観点で定められるからです。
たとえば、親権者が虐待している場合や、親権者がギャンブルに興じて子供を放置している場合などには親権者の変更が認められることがあります。
一方、監護権者の変更は、当事者間(父と母)の話し合いで変更することができます。
離婚で揉めてしまい配偶者に子どもを連れ去られた場合、戻す方法はありますか?
まずは連れ去った配偶者と話し合いをしましょう。
これに応じない場合、家庭裁判所に子を引き渡すよう調停をを申し立てます。
調停の申し立てと同時に調停前の保全処分の申し立てをすると、調停成立前であっても、家庭裁判所は調停前の仮の措置として子の引渡しを命じることができます。
調停で解決しない場合、家事審判による子の引渡しの手続きになることがあります。
調停は当事者間の意見を調整する場ですが、審判は裁判所が決定を下すことになり、審判が下されると当事者はそれに従わなくてはいけません。
審判が下される前にも、裁判所は審判前の保全処分として子供の引渡しを命じることがあります。審判が下されるまで待つと、子供の身に危険がある等の事情がある場合に保全処分がなされます。
また、人身保護法に基づく子供の連れ戻しが認められることもあります。
これは、違法性の高い方法等により子の拘束を行っている場合に認められる場合があります。

 

離婚後の子どもとの面会交流について公正証書で取り決めたいのですが可能ですか?
面会交流についての取り決めを公正証書にすることは可能です。
未成年の子がいる夫婦が離婚する場合、養育費とともに面会交流についての取り決めを行うことが通常です。
面会交流についての取り決めを公正証書にする場合のポイントは以下のとおりです。
①面会交流について、頻度、日時、場所、方法などについて決めることとなりますが、ある程度状況に応じて柔軟に対応できるよう、「その都度協議して決定する」などという取り決め方をすることも可能です。
ただし、面会交流がきちんと実現するために、最低限、「月1回」など頻度は定めておく方がよいでしょう。
②面会交流は、強制執行が適する性質のものではないので、公正証書にしても法律上強制的に実現することはできません。そのため、後日のトラブルを防ぐために当事者間できちんと話し合い、相手が納得するような内容、条件としておきましょう。
③面会交流は、親の権利でもありますが子供の権利でもあります。あくまで、子供の健全な育成のためとなる子供の心情に配慮した内容としましょう。
また、元配偶者と子の接触を嫌がって面会交流をさせたがらないケースがありますが、子供のためにも取り決めは守りましょう。子供と元配偶者の面会を続ける方が養育費の不払いの予防にもなります。
両親が離婚した場合、親権者でない親から子どもへの財産相続はどうなりますか?
親権の有無にかかわらず、親が死亡したときは、子は相続人となるため財産を相続できます。
離婚をして親権がなくなっても親子である事実に変わりはありません。
親権のない親が離婚した後再婚し子が生まれた場合でも、前の配偶者の子と後の配偶者の子の法定相続分は同じです。
親権と相続については何らの関係もありません。
親権というのは、未成熟な子の保護を図るため、財産管理権と身上監護権を親などが担うものです。
一方、民法で定める相続制度は、被相続人(死亡した人)の財産を被相続人の親族関係に基づいて引き継がせていくことを趣旨としています。
そのため、離婚した夫婦は親族関係がなくなるため相続人ではなくなりますが、親子であれば親族関係がなくなることはないため相続人の順位が変わりません。
なお、親より先に子が死亡した場合、子に子供がいない場合は親が相続人となりますが、この場合も親が離婚しているかどうか、親権があるかどうかは関係ありません。
夫の暴力から逃げたいです。DV被害者を保護する制度や施設などありますか?
DVの相談窓口が各都道府県にありますので、まずはそこへ相談しましょう。
自治体によって名称は異なりますが、婦人相談所等の配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす公的施設がお住いの都道府県に必ずあります。
相談窓口が分からないときは、内閣府男女共同参画局が設置する「DV相談ナビ」に電話しましょう。発信地等の情報から、最寄りの相談窓口に電話が自動転送され、直接相談できるシステムになっています。
このような公的施設で受けられる支援としては、カウンセリング、一時保護、自立した生活を送るための情報提供、保護施設の情報提供などがあります。
また、民間団体やNPO法人等が運営するシェルターに相談することもできます。民間シェルターは、緊急時に一時避難できる施設ですが、一時保護だけでなく、自立へ向けたサポートなども行っています。
民間シェルターは、安全確保のために所在地は非公開になっているので安心です。
裁判所の手続きとしては、申し立てにより、DV加害者に対し接近禁止命令を出してもらうこともできます。
接近禁止命令が出されると、被害者である申立人の身辺をうろついたり、住所や勤務先の付近を徘徊したりすることが6カ月間禁止されます。この禁止に違反した場合、刑事罰が科されます。
その他にも、退去命令、電話等禁止命令といった保護命令もあります。

 

妻から暴力を受けています。女性からの暴力もDVとして認められますか?
DVは性別を問いませんので、女性からの暴力もDVと認められます。実際に、近年では男性からの被害相談も増えています。
DVの定義は明確ではありませんが、「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」を意味することが一般的です。DV防止法も、男女の区別はなく当然女性からの暴力にも適用される内容となっています。
加害者の性別を問わず傷害罪や暴行罪は成立しますし、民事上の損害賠償請求をすることもできます。また、DVは裁判離婚をする場合の法定離婚事由の一つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められており、加害者が妻の場合でも夫の場合でも同じです。
DVの程度によっては、申し立てにより、接近禁止命令、退去命令、子や親族への接近禁止命令といった保護命令を裁判所が出すことができますが、これにも加害者の性別は問いません。
このように、法律上DVに男女の区別はありませんので、1人で悩まずに公的窓口や弁護士への相談をお勧めします。

 

お互い慰謝料なしの合意があり離婚しましたが、後日請求されました。支払うべきでしょうか?
慰謝料なしの合意をして離婚した場合、原則的に後日慰謝料を請求することはできません。
ただし、離婚した時点では相手が慰謝料の請求原因となるような事実があったことを知らなかった場合、慰謝料なしの合意は錯誤によって無効だと主張し、慰謝料を請求できることがあります。
たとえば、離婚した後で元配偶者の不貞行為が判明した場合などです。
しかし、慰謝料なしの合意を文書にしている場合には、請求が認められる可能性は低いでしょう。
婚約破棄されましたが、慰謝料を請求できますか?
婚約が成立していると認められる場合には、正当な理由がなく婚約を破棄された場合、慰謝料を請求できる可能性があります。
婚約が成立していたかどうかは判断するのが難しい場合もあります。
結納や婚約指輪の購入、結婚式場の予約といった外形的に婚約を裏付ける状況があれば認定されやすいですが、単に「結婚しよう」と話していただけである場合、婚約が認定されにくくなります。
また、婚約している場合、結婚に向けて準備をしていることがあり、その準備のために費用が発生しているときは、財産的な損害を損害賠償請求できることがあります。
婚約破棄の正当な理由として認められるのは、相手が不貞行為をした場合や、暴力や激しい暴言をした場合などが考えられます。
夫が破産しました。生活費はもらえないのでしょうか?
夫が破産し、免責決定が下りた場合、夫の債務は免除されることとなります。
しかし、すべての債務が免除されるわけではなく、婚姻費用の分担義務に係る請求権については免責されません。そのため、婚姻費用の請求をすることは可能です。
とはいえ、請求をしても夫に収入や財産がない場合は支払わせることは現実的に難しいケースもあります。
婚姻費用の分担については、不払いなどのトラブルを避けるため、あらかじめ合意書などの書面にしておくことが肝要です。できれば、公正証書を作成しておくと強力な証拠となり相手へのプレッシャーとなります。
いざ不払いとなった場合にも、強制執行認諾文言を付しておくことで、強制執行ができるようになります。
配偶者に財産がない場合、財産分与は行われないのですか?
財産分与は、基本的に、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産を清算してそれぞれの個人の財産とする制度です。
そのため、夫婦で築いた財産がない場合には、財産分与を請求することはできません。
ただし、財産分与の対象となる財産とは、預貯金や不動産だけではなく、積立保険や財形貯蓄、近いうちに受け取る予定の退職金など多岐にわたりますので、本当に財産がないか確認しましょう。
また、相手が厚生年金に加入している場合には年金分割を請求することができます。
離婚の際、子ども名義の財産はどうなりますか?
子供名義の財産は、子供固有の財産として扱われる場合と、親の財産として財産分与の対象となる場合があります。
子供名義の預貯金は、お金の出所が親である場合、預貯金の使途や目的によって判断が分かれます。
たとえば、子供の学費など子供の将来に備える目的で預金してきたものである場合、子供への贈与があったものとして子供固有の財産と判断されることがあります。
一方、子供名義にしていたものの、実質は親が給料などを預金しているだけという場合、夫婦の共有財産として財産分与の対象と判断されることがあります。
なお、子供がお小遣いやお年玉を預金した場合には、子供自身が得た財産であるため、当然子供固有の財産となります。
離婚を考えていますが住宅ローンが残っています。財産分与はどうなりますか?
住宅ローンが残っている住宅の財産分与については、住宅ローンの残債額と住宅の市場価値の関係によって考え方が異なります。
残債額が市場価値よりも高額である場合、住宅を売却しても住宅ローンを完済することができません。そのため、現実的にみて売却することは困難となるため、夫婦のどちらかが住宅に住み続け、引き続き住宅ローンを返済していくこととするのがほとんどです。
この時、住宅ローンの債務者の変更手続きが必要となることがあり、借入先の金融機関への相談も必要です。
一方、残債額が市場価値よりも少額である場合、住宅を売却して住宅ローンを完済し、残った売却代金を分けるという選択肢もあります。また、夫婦のどちらかが住宅に住み続け、住宅を出ていく配偶者に対して金銭を支払って清算するという方法もあります。
いずれの場合も、住宅の登記名義が夫婦のどちらになっているのか登記事項証明書で確認し、名義変更が必要になるかも確認する必要があります。
配偶者と比べて経済力がなくても親権を取れる可能性はありますか?
親権について夫婦間の話し合いで合意できない場合、審判や裁判で親権者を決めることになります。
その際、裁判所は子供の福祉、利益を考慮して親権者を判断します。
判断材料の一つとして経済力もありますが、経済力については養育費で補うことができるためそれほど重きを置かれているわけではありません。
監護の継続性や子の気持ち、子の年齢、親の生活状況などが総合的に判断されます。
監護の継続性というのは、現状どちらかの親の元で安定した生活を送っている場合、引き続き現状を維持することを優先するという考え方です。
子の年齢は、幼いほど母親が優先される傾向があります。
配偶者より経済力が低い場合でも、その他の事情次第で親権を取れる可能性は十分にあります。

 

不倫の証拠を集めたいのですが、何が必要ですか?
調停や裁判で有効な証拠とするには、肉体関係があったことを立証できるものである必要があります。
不倫相手と一緒にラブホテルに出入りする写真や、不貞行為があったことを伺わせるような内容のメールや手紙などがあれば有力です。
このような決定的なものがない場合でも、二人でデートしていることがわかる写真や親密さのうかがえるメールなども残しておきましょう。
自力で証拠を集めるのが難しい場合は、調査会社に依頼する方法もあります。
DVを理由に離婚したいです。どうすればいいでしょうか?
DVを原因に離婚を望む場合、DV加害者は協議離婚に応じない場合も多く、最終的に裁判にまで発展する場合があります。
DVは「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当し、裁判離婚で離婚理由として認められますが、これを立証する必要があります。
DVを受けたときは、けがの写真を撮ったり、医師の診断書をとったり、日記をつけておくなどして証拠をその都度残しておくことが大切です。
また、身の危険を感じるときは、すぐに警察等にも相談しましょう。
性格の不一致で離婚はできますか?
当事者間の話し合いで離婚する場合には、性格の不一致での離婚は何ら問題ありません。実際、離婚理由で一番多いのは性格の不一致です。
ただし、裁判所の審判、裁判での離婚となると、性格の不一致が「婚姻を継続しがたい重大な事由」として認められるかどうかは判断が分かれます。
単に性格が合わないというだけでなく、長期間にわたる別居をしているなど事実上夫婦関係が破綻しているような場合には、夫婦関係は修復できないものとして離婚が認められることも多い傾向にあります。
義両親と仲が悪いという理由で離婚することはできますか?
当事者間の話し合いで離婚する場合には、離婚理由は制限がありませんが、裁判所の審判、裁判での離婚となると「義両親と不仲」というだけで離婚が認められる可能性は高くありません。
ただし、義両親と不仲というだけでなく、義両親からのいじめがあるにも関わらず配偶者が放置している場合など、夫婦の信頼関係が失われ、夫婦関係が破綻しているといえる状態である場合には、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして、離婚が認められる可能性が高くなります。
離婚を考え別居していますが、離婚が認められる別居期間はどのくらいでしょうか?
別居自体は直接の法定離婚事由ではありません。
そのため、何年別居すれば離婚が認められる、という画一的な基準があるわけではなく、別居期間は判断材料の一つです。
別居が直接の法定離婚事由ではないため、裁判所は、別居に至った原因や別居後の状況等を総合的に判断します。
とはいえ、判例等からみると、5年程度の別居期間があると離婚が認められることが多いため、一つの目安となるでしょう。
また、離婚を求めているのが離婚原因を作った有責者である場合には、さらに長い期間の別居期間がなければ離婚が認められない傾向があります。
たとえば、不倫相手と暮らすために勝手に別居をはじめた当事者からの離婚請求のようなケースでは、5年別居しても離婚が認められるとは限りません。
公正証書とはなんですか?離婚の際にどのような効力がありますか?
公正証書とは、公証役場で作成する公文書です。当事者間で合意した内容を公証人に文書にしてもらい、当事者と公証人の署名捺印をすることで完成させます。
公正証書は原本が公証役場に保管され、自分たちで作った文書よりも強い証拠能力があります。
離婚の際、財産分与、慰謝料、養育費等について当事者間で取り決めた場合、その内容を公正証書にし、強制執行認諾文言を付しておくとよいでしょう。
そうすることで、万一不払いになったときに裁判手続きを経ることなく強制執行することができます。
離婚届を提出する前に公正証書を作成しておくことで、当事者間の約束事が履行される安全性が高まり、後日のトラブルを防ぐことができるでしょう。
弁護士に依頼せず離婚を進めることは可能ですか?
配偶者と話し合いができるのであれば可能です。
離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚がありますが、協議離婚と調停離婚は基本的に当事者間の話し合いなので、お互いの意見の調整がうまくいけば弁護士に依頼せずに解決できるケースもあります。
ただし、法的な知識が十分にない場合、自分にとって不利な条件での離婚となってしまったり、自分の意向に沿った話し合いを進めることが難しいケースも多く見られます。
また、調停が不成立となる可能性がある場合、最終的に離婚裁判まで進展することもあり、そうなると法的な主張による争いとなるため、自力での対応は難しいでしょう。
少しでも不安がある場合には、弁護士に依頼すると安全です。
専業主婦ですが、離婚した場合の生活費はどうなりますか?
離婚後は夫婦の扶助義務はなくなりますので、基本的に元配偶者から生活費をもらうことはできません。
例外的に、扶養的財産分与が認められ、離婚後も自立できるまでの生活費をもらえるケースもありますが、まれです。
離婚する前に、離婚後の生活費をどうするのかはよく考えておきましょう。
就職する、実家に帰るなどの準備をしたり、公的扶助が受けられるかどうかも検討しましょう。
また、財産分与や慰謝料がどの程度得られるかも検討しましょう。
ストーカー行為が心配なので、相手に離婚後の住所を知られたくありません。方法はありますか?
離婚届や住民票の異動の届出の手順等に気を付けることで、相手に住所を知られずに済む可能性が高いです。
具体的な手順については、離婚届の提出や住民票の異動をする前に弁護士等の専門家に相談する方がよいでしょう。
離婚を考えていますが、どんな方法があるのでしょうか?
離婚の方法は、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚があります。
当事者間の話し合いで合意できれば①の協議離婚が成立しますが、それがうまくいかない場合、家庭裁判所に②の調停を申し立てることになり、調停も成立しないと審判、裁判離婚に発展してしまうことになります。
まずは配偶者と話し合いを行い、協議離婚を目指しましょう。
協議離婚の場合にも、当事者間の話し合いがうまくいかない場合は弁護士への相談をお勧めします。
相手が離婚に応じません。どう進めればいいのでしょうか?
配偶者に離婚を申し入れても応じてくれない場合、代理人に弁護士を立てて交渉する方法があります。
当事者の申し出には応じない場合でも、代理人が仲立ちすることで交渉に応じる場合もあるからです。
相手が離婚に応じないからと、一方的に別居を開始してしまう人がいますが、これはなるべく避けた方がよいでしょう。
一方的な別居は夫婦の同居義務違反になりますし、離婚の際に有責配偶者となって不利になってしまうことがあります。
相手が話し合いに応じない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。
調停も基本的には当事者同士の話し合いの場ですが、家庭裁判所が相手方に対して呼び出し状を送付し、場合によっては出頭勧告をしてもらえるので、相手にとってはプレッシャーとなり出頭してくれることもあります。
離婚調停では、離婚することの合意だけでなく、財産分与、慰謝料、親権、養育費、面会交流等の問題を含めた話し合いをすることができます。
調停も不成立となってしまうと、裁判離婚を視野に入れることになります。裁判で離婚する場合、法定の離婚事由があることが必要です。
性格の不一致などによる離婚を希望している場合には、法定離婚事由として立証することが難しく、離婚が認められない場合もあります。
裁判離婚が難しいケースでは、離婚を望む側は、財産分与で相手の要望に沿う形にしたり、解決金という名目で金銭を支払ったりして、相手の納得する条件を提示して協議で離婚する方法を模索することになります。
配偶者が家を出て住所もわかりません。離婚するにはどうすればいいでしょうか?
配偶者の住所がわからない場合、まず本籍地の市区町村役場で「戸籍の附票」を取得し、配偶者の現住所がどうなっているか確認しましょう。
戸籍の附票の住所が古い住所のままだったり、連絡しても音信不通の場合には、訴訟を提起することになります。
通常、協議離婚できない場合には、調停を申し立てることになりますが、配偶者が行方不明の場合は出席させることができないので調停をする意味がありません。
そのため、このようなケースでは例外的に調停を経ずに訴訟の提起が認められます。
訴訟では配偶者に訴状を送る必要がありますが、住所も勤務先もわからない場合は、裁判所の掲示板に呼び出し状を掲示することで訴状を送ったことにできます。
相手が欠席の場合でも裁判は行われ、判決を得ることができます。
離婚の話し合いでは何を取り決めるべきでしょうか?
主なものは以下のとおりです。
①財産分与・・・婚姻期間中に夫婦で築いた財産を清算し、夫婦それぞれの財産に分けます。
②年金分割・・・婚姻期間中に厚生年金に加入していた場合、分割対象になります。
③慰謝料・・・離婚原因を作った配偶者に対し、請求できることがあります。
未成年の子がいる場合、以下についても必要です。
①親権者・・・子の親権者を父か母どちらかに決めます。
②養育費・・・金額、期間、支払い方法などを決めます。
③面会交流・・・最低限、面会の回数は決めておく方がよいでしょう。
離婚について弁護士に依頼したいのですが、費用の相場を教えてください
弁護士費用は、通常①相談料、②着手金、③報酬に分かれます。
相談だけであれば、相談料だけで済みます。相談料は、30分当たり5000円が一般的です。
相談だけでなく、実際に手続きを依頼する場合には、通常、手続きに着手する段階で着手金を支払う必要があります。
最初に支払う着手金は、30万円前後とする弁護士が多いです。
報酬は、手続き完了後に支払う費用です。これについては、「30万円+経済的利益の10%」などという定め方をしている場合が多いです。
離婚の事案で弁護士に依頼する場合、相手との交渉だけで済む場合、調停を申し立てる場合、審判、裁判まで進む場合など困難の度合いや解決までの時間などもケースごとに異なります。
また、離婚事案は、離婚の合意だけでなく、慰謝料、財産分与、親権、養育費、面会交流等の多数の項目をまとめて解決しなくてはならないという特徴があります。
弁護士費用の目安を出すのは難しいですが、100万円を超えることが少なくありません。
弁護士の費用がいくらくらいかかるか心配だと思いますが、弁護士に依頼する場合は、事前に報酬がどのように算定されるか、どの手続きまでやってどれくらいかかるのかを説明してもらい、納得の上で依頼しましょう。

 

離婚届に記入する際、注意すべきことはありますか?
届出人の欄には、自分と配偶者の自署で署名押印しましょう。
住所や本籍地は、住民票や戸籍の記載どおりに記載しましょう。証人が二人必要なので、頼める人を見つけておきましょう。
また、未成年の子がいる場合、親権者の記入が必須となります。
離婚届はどこに提出しますか?
夫婦の本籍地、または住民登録している住所地の市区町村役場に提出します。
本籍地でなく住所地の市区町村役場に提出する場合は、夫婦の戸籍謄本の提出が必要です。本籍地が遠方の場合などは、郵送での提出も可能です。
相手の同意なしに勝手に記入した離婚届を提出しても問題ありませんか?
問題がありますので、絶対にしないでください。配偶者の同意のない離婚届を提出しても離婚は無効です。
さらに、このような行為は、「公正証書原本不実記載罪」等の犯罪となる恐れがあり、非常に危険です。また、配偶者から損害賠償請求をされる可能性もあります。
離婚届に記入し相手に渡しましたが、考え直したいです。どうすればいいでしょうか?
配偶者に離婚を考え直したい旨を伝え、離婚届が提出される前に提出先の市区町村役場に「離婚不受理の申し出」をしましょう。
この申し出をすると、配偶者が離婚届を提出しても受理されません。
まだ離婚届に記入していない場合でも、配偶者が勝手に離婚届を提出してしまうおそれがある場合にはこの申し出をしておくとよいです。
すでに配偶者が離婚届を提出し、受理されてしまった場合には、離婚の無効を争うためには、調停、審判または訴訟を行わなければなりません。
別居中でお互いの所在地が違いますが、離婚届の提出先を教えてください
離婚届の提出先は、本籍地または住所地の市区町村役場です。
夫婦の住所地が異なる場合、夫婦どちらかの住所地または本籍地の市区町村役場へ提出することとなります。
なお、本籍地以外の市区町村役場に提出する場合、夫婦の戸籍謄本を添付する必要があります。
離婚を考え別居していますが、別居後に取得した財産は財産分与の対象ですか?
原則として財産分与の対象とはなりません。
財産分与の対象は、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産ですが、離婚を前提とした別居状態では、夫婦での協力関係は認められないからです。
また、年金分割についても、離婚を前提とした別居開始後の分は分割対象とならないことがあります。
離婚したいので別居を考えています。相手の同意なく出ていくことは問題ですか?
配偶者の同意なく一方的に別居を始めることはできるだけ避けるべきです。
夫婦には同居義務があり、一方的な別居をすると同居義務違反となる可能性があります。
長期の別居を続け、事実上夫婦関係が破綻すると、「婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められることがあります。
しかし、あなたが一方的に別居を開始した場合、あなたは離婚の原因を作った有責者となってしまうことがあり、あなたからの離婚請求は認められにくくなったり、より離婚が成立するまでに時間がかかってしまう原因となることがあります。
また、場合によっては配偶者から慰謝料請求をされてしまう可能性もあります。
ただし、すでに夫婦関係が破綻している場合や、配偶者からのDVを受けているなどの事情がある場合には、同居を拒否する正当な理由があるとされるケースもあります。
そのような事情がない場合には、配偶者と話し合ったうえで別居を開始することをお勧めします。

 

収入がありませんが離婚したいです。別居の引っ越し代や当面の生活費を相手に請求できますか?
離婚前に別居をする場合、別居中であっても夫婦には婚姻費用の分担義務があるため、あなたに収入がないのであれば生活費を請求することはできます。
配偶者が払ってくれない場合、婚姻費用分担調停を家庭裁判所に申し立てることになります。ただし、引っ越し費用は一般的に婚姻費用には含まれないと考えられるため請求することは困難です。
特に、あなたが一方的に別居を望んでいる場合には難しくなるでしょう。
双方が別居を望んでいる場合には、配偶者との話し合いで、引っ越し費用を負担してもらう余地はあるでしょう。
離婚後に別居する場合、すでに婚姻費用の分担義務はありませんので生活費や引っ越し費用を請求することはできません。
離婚届を提出するまでに、引っ越し代なども含めた離婚後の生活設計を考えたうえで、離婚条件について交渉する必要があります。
自分でこのような交渉をすることが難しい場合には、弁護士に依頼するのも一つの方法です。
離婚前提の別居で今は子どもと住んでいます。相手に子どもを会わせたくないのですが、方法はありますか?
子供を配偶者に会わせたくない理由にもよりますが、基本的に会わせない方法はありません。
別居中や離婚後に離れて暮らす親が子と会うことを面会交流といいます。面会交流は、親の権利でもありますが、子の権利でもあります。
裁判所の判断では、特殊な事情がない限り、月1回以上の面会交流を許可させる審判が下されます。
裁判所が例外的に面会交流を否定するのは、子に対する虐待や暴力がある場合、15歳以上の子が自らの意思で面会を拒絶している場合、夫婦間の対立が激しく面会交流の実施が著しく困難である場合などです。
面会交流をすることで子供に悪影響を及ぼすような場合に限られるということになります。
これらに該当しない場合は、原則として面会交流を妨げることは認められません。
面会交流を続けることは、子の精神の安定や健全な育成にもつながります。
両親が離婚や別居になっても、子供にとっては親であることに変わりはありませんので、親の都合で面会交流を妨害することは避けましょう。子供の立場に立った対応が求められます。
また、面会交流を続けることで、別居していても子への愛情が維持され、離婚後の養育費の不払いを防ぐ効果も期待できます。
協議離婚の手続きはどう進めればいいですか?
協議離婚は、当事者間で話し合い、離婚することに合意して離婚届を提出することとなります。
協議する内容は、未成年の子がいると親権や養育費、面会交流など多くなります。
また、財産分与や慰謝料、年金分割といった財産関係についてもきちんと協議しておく必要があります。
協議した内容は、文書にして双方の署名捺印をしておきましょう。
自分たちだけで、手抜かりなくこれらの内容を協議することに不安がある場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
協議離婚において、離婚理由にできないものはありますか?
裁判離婚の場合とは異なり、協議離婚であれば離婚理由に制限はありません。
どのような理由で離婚しても、双方が合意しているのであれば問題ありません。
ただし、相手に離婚意思がなければ協議離婚は成立しません。
協議離婚のための費用はいくら必要ですか?
当事者間で協議をし、離婚協議書を自分たちで作って離婚届を提出するだけであれば費用は掛かりません。
ただし、離婚協議書を公正証書にする場合や、協議離婚を弁護士等の専門家に相談する場合には費用が掛かります。
協議離婚の際に弁護士に依頼するメリットはありますか?
協議離婚は当事者同士の話し合いで意見がまとまれば、費用をかけずに自分たちで済ませることができます。
しかし、離婚する際は、財産分与や親権、養育費等の解決しておくべき項目が多く、当事者間では解決する項目が漏れていたり、後日トラブルになるような取り決めになってしまっている場合があります。
また、自分たちで協議内容を文書にしても、法的な効力のない文面になってしまっているケースもあります。
弁護士に依頼することで、そのようなリスクをなくし、後日の紛争を避けることができます。
また、煩雑な手続きや交渉をスムーズに進めることができます。
相手から「協議離婚に応じなければ生活費を渡さない」と迫られています。どうすればいいでしょうか?
婚姻中の夫婦には、お互いに扶助義務があり、婚姻費用の分担義務があります。これは離婚協議中や別居中の夫婦の場合も同じです。
相手から強引に離婚を迫られて生活費が支払われなくなった場合、夫婦それぞれの収入等にもよりますが、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を起こす方法があります。
あなたに離婚する意思がなかったり、離婚の条件等に納得できていない場合、相手の要求に応じてすぐに協議離婚をする必要はありません。
調停離婚に必要な費用を教えてください
自分で申し立てる場合は実費で2000円程度です。
内訳は、調停の申し立て費用の印紙代が1200円と、郵便代が1000円程度(裁判所によって前後します)です。
郵便代は余った分は後日返却されます。弁護士に依頼する場合は、弁護士費用が発生します。
監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

中野 和馬
石木 貴治

東京弁護士会

石木 貴治
山谷 千洋

東京弁護士会

山谷 千洋
堀 翔志

第二東京弁護士会

堀 翔志
水流 恭平

東京弁護士会

水流 恭平
福西 信文

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福西 信文
川﨑 公司

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川﨑 公司
大橋 正崇

弁護士法人AO

大橋 正崇
鵜飼 大

ウカイ&パートナーズ法律事務所

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