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夫婦の財産は公平に分ける?子供を抱えて離婚した場合の財産分与の割合を解説

弁護士法人佐々木法律事務所_佐々木弘道監修弁護士:佐々木 弘道 先生(弁護士法人佐々木法律事務所)

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■所属弁護士会:群馬弁護士会
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この記事でわかること

  • 財産分与の割合は2分の1ずつが原則だが、一方の貢献度が高いと判断される場合などに例外的に割合が修正されることがある
  • 財産分与には清算的財産分与以外に扶養的財産分与、慰謝料的財産分与があり、片方が離婚後の生活に困窮する場合に扶養的財産分与が認められることがある
  • 子供を育てる親が離婚後の生活に困窮する場合、2分の1を超える財産分与が認められるケースがある

離婚する場合、夫婦が婚姻期間中協力して築いた財産を分けることになります。

これを財産分与といいますが、具体的にどのような割合、方法で財産を分けていくことになるのでしょうか。

また、子供がいる場合、財産分与に影響があるのでしょうか。

今回は財産分与方法や子供がいる場合の財産分与について説明していきたいと思います。

夫婦で築いた財産は公平に分けるのが原則

婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、離婚するときにそれぞれの貢献度に応じた割合で分けることになります。

「貢献度」というのは、財産形成のためにどれだけ貢献したかということですが、具体的にどのように計算するのでしょうか。

財産分与の貢献度は、収入だけで計られるのではなく、家事や育児についても含まれます

したがって収入が非常に高額など、特別な事情がない限りは半分ずつで分けることが基本です。

そのため、専業主婦(夫)で、相手の収入によって生活している場合でも、貢献度は同じであるとみなされるケースが多いです。

財産分与の対象となる財産

財産分与をするときには、まず財産分与の対象となる財産を確定する必要があります。

具体的に財産分与の対象となる財産にはどのようなものがあるでしょうか。

 

財産分与の対象となるのは、夫婦の共有財産なので主に次のようなものが考えられます。

 

【財産分与の対象となる財産】

  • ・預金
  • ・マイホームなどの不動産
  • ・株などの有価証券
  • ・車
  • ・保険解約払戻金
  • ・家具などの家財
  • ・退職金

共有財産になるかの判断は、実質的な事情によって判断されるので、どちらの名義であるかどうかは問われません。

というのも夫婦が持っている財産のうち、婚姻期間中に取得したものについては原則として共有財産であると推定されるからです。

そのため、夫名義の財産であっても、婚姻期間中に夫婦が協力して築き、維持した財産であれば共有財産だと判断されます。

 

具体的にいうと、婚姻期間中の給与所得によって貯めた預貯金については、夫と妻のどちらの名義の口座であろうと共有財産です。

有価証券や解約返戻金のある生命保険、車などについても同様です。

夫婦が共同名義で購入した不動産はもちろん、どちらかの単独名義で購入した場合であっても、婚姻期間中に協力して購入したものであれば共有財産となります。

厚生年金保険についても、婚姻期間中に納めた分の記録は共有財産となり、財産分与の対象となり、これを年金分割といいます。

 

財産分与の対象となる共有財産になるか否かは、夫婦の家計が別になったときと考えられています。

つまり、離婚前に別居したときには別居した日、離婚まで同居していたときには、離婚時が一般的な基準となります。

財産分与の対象とならない財産

婚姻期間中に取得した財産であっても、財産分与の対象にならない財産があります。

夫婦関係によらず、そのひと個人が取得した財産は夫婦の共有財産とみなされず、財産分与の対象外です。

このように個人の身分などによって取得した財産のことを特有財産といいます。

具体的にどのようなものが特有財産になるかというと、相続や贈与によって取得した財産が考えられます。

また、結婚する前に貯めていた預貯金、婚約指輪などについても特有財産に含まれます。

ただし、特有財産が一切財産分与の対象にならないわけではありません。

例えば、相続で取得した現金を、夫婦生活で利用している口座で管理した場合、共有財産と特有財産の線引きが難しくなってしまいます。

そのため、特有財産なのか共有財産なのかはっきりわからないときには、共有財産としてみなされます

負の財産(借金)について

共有財産にはプラス(正)の財産だけでなくマイナス(負)の財産もあります。

マイナスの財産というのは、債務のことです。

具体的にいうと、住宅ローンや自動車ローン、生活費等のために夫婦の一方が借りた借金などが考えられます。

夫婦生活を送っていくうえで発生した債務は財産分与の対象になるのでしょうか。

結論からいうと、債務は結婚生活のために借り入れたものであれば夫婦が共同して担うべき債務と考えられ、財産分与のときに考慮されます。

ただし、結婚生活とは無関係にギャンブルや浪費などを理由に夫婦のどちらかが負った債務については、そのひと自身の債務となります。

債務が夫婦共同のものとされた場合、プラスの財産とマイナスの財産の評価を比較して、マイナスの財産の評価の方が上回ったときには、財産分与をする財産はなしという判断になります。

というのも、マイナスが上回った場合の債務については連帯債務者になっているなどの特別な事情がない限り、債務を作った本人がひとりで負担することになるからです。

一方でプラスの財産が上回る場合には、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた残りの財産を夫婦で分けることになります。

具体的な財産分与方法

財産分与は大きく次の3つの種類に分けられます。

清算的財産分与共有財産を公平に分け合う
扶養的財産分与離婚後の生活維持が難しい人に対して、扶養として多くの財産分与を行う
慰謝料的財産分与慰謝料請求を含んだ財産分与

それぞれどのような特徴があるのか詳しく確認していきましょう。

清算的財産分与

基本的に財産分与というと清算的財産分与のことを指します。

清算的財産分与というのは、結婚期間中に夫婦で築いた財産を清算するために分け合うという考え方に基づく財産分与方法です。

清算的財産分与は、共有財産を公平に分け合うことが目的であり、離婚原因をどちらが作ったかどうかは関係ありません。

というのも、離婚原因を作ったからといって、今まで財産に寄与した貢献度が低くなるわけではないからです。

そのため基本的に2分の1ずつ分け合うこととなり、離婚原因を作った方から財産分与を求めることも可能です。

扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、離婚後配偶者が生活に困窮するような状況の場合に例外的に認められるもので、生活の扶助を目的とした財産分与方法です。

例えば、夫婦のどちらかが重病を抱えていたり、就労したりすることができない事情を抱えていたりした場合などに認められることがあります。

多くの場合、経済力の高い当事者が扶養の必要な元配偶者に対し、離婚後も一定の金額を定期的に支払っていく方法で財産分与する方法がとられています。

慰謝料的財産分与

離婚原因をどちらか一方が作った場合、離婚時に慰謝料請求をすることができます。

慰謝料と財産分与は、本来まったく別の性質のお金ですが、どちらも金銭的な請求であることに変わりないので、便宜上まとめて請求することができます。

支払う側の当事者にとっても、慰謝料としての支払うよりも、財産分与として支払う方が、自分が離婚原因を作ったことが明確化されずに抵抗感が薄れるケースもあります。

財産分与割合が修正されることも

財産分与の割合は、原則として平等に2分の1ずつとされており、夫婦それぞれ半分ずつ財産を分けることが基本です。

ただし、財産分与の割合は財産形成の貢献度によって決まるため、状況によって財産分与の割合が修正されるケースもあります。

具体的にいうと夫婦の一方に特殊な技能、才能があり、それによって高収入を得ているといった事情が考えられます。

このようなケースでは、高収入を得ている要因が本人の技能や才能などによるため、貢献度が2分の1よりも高くなることがあります。

 

例えば、夫がアーティストや会社経営者などで本人の高い能力によって多額の資産形成をした場合、財産分与の割合が夫7割、妻3割などとされることもあります。

また、スポーツ選手のように、高額収入を得られる期間が長くなく、前倒しで将来賃金をまとめて得ているようなケースでは、前倒しで築いた財産まで半分ずつ分け合うのは公平ではないとして、分与割合が2分の1より高くなるケースもあります。

当事者が合意すればどのような分与割合でもよい

基本的に夫婦の共有財産は、夫婦それぞれ半分ずつ分けるのが基本ですが、双方の合意があればどのような割合にしても問題ありません。

極端にいえば、双方が納得さえしていれば、夫婦の一方が一切の共有財産をもらわず、もう一方がすべての財産を取得することも可能です。

ただし、基本の半分から極端にかけ離れた財産分与を行うと、場合によって贈与税が加算されるというトラブルになる可能性もあるので注意が必要です。

また、早く離婚を成立させたいばかりに、安易に財産分与の請求を諦めてしまうと、後になって後悔することもありますので慎重に判断してください。

子供を育てる親の財産分与の割合は変わる?


子供がいる場合に財産分与の割合に影響はあるのでしょうか。

基本的に、子供がいるというだけで財産分与の割合が変わることはありません

 

経済的に自立していない子供がいる場合、親権者(監護者)は非親権者に対して養育費を請求することができますが、これは財産分与とは別のものです。

離婚後の生活で困らないためにやるべきこと

離婚するときには、離婚した後のことを見据えて事前に準備をしておかないと、仕事が見つからなかったり、お金が足りなかったりして生活が困ってしまうことになりかねません。

離婚後の生活が困らないようにするためにすべきこととはどのようなことがあるのでしょうか。考えていきましょう。

養育費を取り決める

子供の親権者(監護者)となった場合、元配偶者に対して養育費の請求を行うことができます。

養育費とは子供が経済的に自立するまでに毎月もらえるお金のことです。

養育費の金額は通常、裁判所で公表されている養育費算定表をもとに計算することができます。

養育費算定表には、ご自身と相手の収入、子供の人数、子供の年代によって細かく相場が書かれています。

そのため養育費を取り決める際には、養育費算定表を使って取り決めを行うと良いでしょう。

相手が話し合いに応じてくれなかったり、主張が折り合わなかったりするときには一度弁護士に相談することを検討してみても良いでしょう。

離婚時の条件を公正証書にまとめておく

離婚時に決めた条件は、離婚協議書として必ず書面にして、手元に残しておきましょう。

というのも、離婚が成立した後に元配偶者が離婚時の約束を反故にする可能性があるからです。

特に、扶養的財産分与や養育費等、離婚後も継続してお金を支払ってもらうときには、必ず書面にしてください。

また、可能な限り強制執行認諾文言付きの公正証書として残しておくことが大切です。

夫婦で取り交わした離婚協議書では、元配偶者が養育費などを滞納したときに給料差し押さえといった強制執行を行うことはできませんが、強制執行認諾文言付きの公正証書であれば可能だからです。

長期にわたって支払ってもらうお金があるときには、リスクヘッジのためにも公正証書を作成することをお勧めします。

弁護士に依頼する

離婚に関してお悩みの場合には早い段階で弁護士に依頼することも手段のうちです。

弁護士は「敷居の高い」イメージがあり、なかなか依頼まで踏みきれない方もいるかもしれません。
しかし弁護士は依頼者の方の代理人であり、あなたの味方です。

弁護士に自分の置かれた状況や最終的な自分の希望を伝えて依頼をすると、その希望が叶うように尽力してくれます。

そのため、「自分ではどうしようもない」と困ったときにはまずは弁護士への相談を検討してみてください。

まとめ

財産分与は2分の1ずつの割合が基本ですが、夫婦双方が納得すれば、ある程度自由に割合を決めることができます。

相手と財産分与について折り合いがつかなかったり、その他離婚の話し合いがうまくいかなかったりしたときには、「もういいや」とあきらめるのではなく、一度弁護士に相談してみてください。

監修弁護士
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