この記事でわかること
- 不貞行為の慰謝料相場や計算方法がわかる
- 不貞行為の慰謝料額に影響する要素や増額のコツがわかる
- 不貞行為の慰謝料を請求するときの注意点を理解できる
不貞行為の慰謝料を請求したい人や不貞行為による離婚を検討している人は、自分がどのくらい慰謝料請求できるのか知りたいと思うのではないでしょうか。
不貞行為の慰謝料の相場や計算がわかれば、慰謝料額の把握に役立つので便利だと思いませんか。
この記事では、不貞行為の慰謝料をケース別に計算してご紹介します。
あわせて、不貞行為の基本的な慰謝料相場や慰謝料計算に影響する要素、慰謝料増額のコツ、請求時の注意点など、不貞行為の慰謝料請求で知っておきたいポイントを集約しました。
不貞行為とは
不貞行為とは「配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」です。
不貞行為は民法770条の離婚事由に該当し、貞操義務違反になります。
慰謝料請求の場面では不貞行為といいますが、一般的には不倫や浮気も不貞行為と同じ意味で使われています。
ただ、一般的な不倫や浮気は人によって基準が違い、必ずしも肉体関係をともないません。
たとえば、夫が自分以外の異性と歩いている場面を妻が見てしまったとします。
ふたりは一緒に食事をしたり買い物をしたりと、いわゆるデートをしていました。
肉体関係は一切ないと仮定します。
このようなケースでは、浮気かどうかは個人の基準次第です。
異性とデートしていれば浮気だと判断する人もいるでしょうし、まだ浮気ではないだろうと判断する人もいます。
不貞行為の場合は基本的に肉体関係をともないます。
配偶者以外と肉体関係を持ったかどうかが不貞行為の判断基準になるのです。
そして、慰謝料請求の基準になるのも不貞行為の有無になります。
慰謝料請求時の判断対象としては、デートやキスだけで不貞行為と判断されるのは難しいといえます。
不貞行為があれば慰謝料請求の対象になり、不貞行為ではないという判断であれば慰謝料請求が難しくなるのです。
不貞行為の基本的な慰謝料相場
不貞行為の慰謝料とは、不貞行為をされた人がこうむった心の苦痛に対する賠償金です。
不貞行為の慰謝料相場は50~500万円になります。
慰謝料相場にかなりの開きがあると思うのではないでしょうか。
不貞行為の慰謝料は心の賠償金です。
そのため、心の苦痛の程度や不貞行為の事情などによって慰謝料の金額がかなり変わってきます。
ただ、精神的な苦痛は目に見えませんし、簡単に金額換算できません。
人によって「私の心の苦痛は1,000万円だ」など、主張する金額や金額換算も変わってくることでしょう。
慰謝料は心の苦痛の賠償金だからこそ、金額換算が難しいのです。
不貞行為の慰謝料は、基本的に不貞行為による離婚があれば、より精神的な苦痛が大きいと判断され、慰謝料相場が大きくなる傾向になります。
離婚の次に精神的な苦痛が大きいと判断されるのは、不貞行為が原因で別居などにいたったケースで、最も精神的な苦痛の評価が小さめになるのは、不貞行為の後も変わらず夫婦生活を続けたケースです。
離婚や別居にいたった場合も婚姻生活を継続した場合も、すべて不貞行為をされたという共通点があるのですが、夫婦関係への影響や精神的苦痛の度合いを考慮して、以下のように慰謝料相場が変動します。
- ・不貞行為が原因で離婚した / 150~500万円
- ・不貞行為が原因で別居した / 100~200万円
- ・不貞行為後も別居などなく婚姻生活を継続した / 50~100万円
不貞行為の慰謝料相場を見ていくと、離婚したケースの慰謝料相場が最も高くなっていることがわかるはずです。
離婚は夫婦関係に取り返しのつかない亀裂を生じさせたことになります。
その分だけ、慰謝料相場も高くなるのです。
ただし、慰謝料相場はあくまで過去の判例などを参考にしたものにすぎません。
慰謝料は最終的に不貞行為の細かな事情により金額が変動するため、必ずしも相場通りの金額になるわけではありません。
不貞行為の慰謝料相場より高額になるケースもあれば、低くなるケースもあります。
不貞行為の細かな事情が慰謝料の算定に影響を及ぼすため、慰謝料相場はあくまで目安でしかありません。
不貞行為の慰謝料計算には明確な計算式がないのです。
不貞行為の事情などを考慮して、慰謝料はケースバイケースで算出されます。
個別のケースによって慰謝料の額が変わってくるということです。
不貞行為で慰謝料請求したからといって、自分も相場金額を必ず受け取れるわけではない点に注意してください。
不倫による慰謝料請求に影響する要素
不貞行為の慰謝料は不貞行為の事情などを考慮して個別に算出されるとお話ししました。
では、不貞行為の慰謝料の算定に関係する事情とは何でしょうか。
どのような事情が不貞行為の慰謝料請求や慰謝料額に影響してくるのでしょう。
不貞行為による慰謝料請求ならびに慰謝料額の計算に影響するのは次のような要素です。
なお、以下の要素があったからといって必ず増減がおこなわれるわけではありません。
あくまで増減につながる可能性があるということです。
また、慰謝料請求に影響する要素があっても「この要素があれば100万円増額する」など、具体的な慰謝料の増減額が決まっているわけでもありません。
このことに注意してください。
不貞行為の年数
不貞行為をどのくらいの年数続けたのかは、不貞行為の慰謝料の計算に影響します。
不貞行為を続けた年数が長いほど慰謝料が増額傾向になるのです。
対して不貞行為の年数が短いと、減額傾向になります。
不貞行為を長い年数続けられたということは、それだけ不貞行為をされた側の精神的な苦痛が大きいと評価される傾向があるため、慰謝料に影響します。
不貞行為の年数は年単位(1年以上)で長いと判断され、3カ月程度では短いと評価される傾向にあるのです。
不貞行為を17年もの長期に渡って続けていた不貞行為では、慰謝料額が相場より高額な800万円と算定されたケースもあります。
婚姻生活の期間
夫婦としてどのくらいの婚姻生活を共に歩んだのかも、慰謝料の計算に影響します。
婚姻期間が長いほど慰謝料の増額要素になるのです。
不貞行為により婚姻生活に亀裂を生じさせるおこないは、不貞行為をされた側の配偶者にとっては心の苦痛になります。
婚姻生活が長く夫婦円満で生活していれば、その分だけ亀裂は深刻であり、配偶者の心の苦痛は大きいものであるはずです。
婚姻生活は3年が判例上の基準になっています。
3年以下であれば婚姻生活が短いと判断され、慰謝料の減額要素になる可能性があるのです。
不貞行為の回数
不貞行為の回数が多ければ慰謝料が増額される可能性があります。
回数を重ねている不貞行為はそれだけ悪質であり、不貞行為をされた配偶者の精神的な苦痛も大きいと判断されるからです。
過去の判例から、不貞行為の回数は数回ほどがひとつの目安になります。
不貞行為の回数が数回ほどだと回数が少ないと判断される傾向にあります。
対して20回以上だと多いと判断される傾向にあるのです。
配偶者との間に幼い子供がいる
不貞行為をされた配偶者と不貞行為をした配偶者との間に幼い子供がいれば、慰謝料に影響する要素になります。
幼い子供がいて不貞行為に走ると、その分だけ配偶者の精神的な苦痛が大きいと評価される傾向にあるのです。
加えて、不貞行為により配偶者だけでなく幼い子供の心や生活にも影響を与えるのですから、不貞行為により家庭に与える影響はより深刻になります。
そのため、養育を必要とする幼い子供が夫婦の間にいるケースでは、慰謝料が増額される傾向にあります。
配偶者が妊娠している
不貞行為された配偶者が妊娠していれば、不貞行為の慰謝料が増額される可能性があります。
妊娠中の女性の体はデリケートです。
妊娠によるストレスもあるでしょうし、体調が思わしくないこともあるはずです。
このようなときに不貞行為をされるのは、妊娠中の配偶者にとって裏切りであり、精神的な苦痛も大きくなるのではないでしょうか。
また、母子の健康を考えるならば、妊娠中に不貞行為という配偶者に精神的なストレスを与えるようなことは避ける必要があるはずです。
それなのに不貞行為に走ったという事情を考慮して、妻の妊娠中の不貞行為は慰謝料額が増額される傾向にあります。
不貞行為発覚後の態度
不貞行為発覚後の態度が慰謝料の計算に影響する可能性があります。
心から謝罪するなど誠意のある態度を見せた場合は減額される可能性があり、謝罪もなく態度が褒められたものではないと判断されると、慰謝料が増額されることがあるのです。
不貞行為発覚後に謝罪がなかったことを原因のひとつとして、実際に慰謝料が増額された判例があります。
発覚後に不貞行為をやめたか
配偶者が不貞行為を知ったときに不貞行為を継続したかどうかによっても慰謝料が変わってくる可能性があります。
不貞行為が発覚して配偶者が「不貞行為の相手と別れて欲しい」「やめて欲しい」とお願いしたにも関わらず不貞行為を継続した場合は、慰謝料が増額される傾向にあるのです。
不貞行為が発覚しても続けるということは配偶者の精神的な苦痛が大きく、悪質だからという理由からです。
慰謝料を払う側の収入や社会的立場など
慰謝料を払う側(慰謝料請求される側)の収入状況や資産、社会的な立場なども慰謝料額に影響する要素になります。
慰謝料請求される側の年収が多ければ、慰謝料の相場額を請求しても、あっさり払われて終了する可能性があるはずです。
年収が多い人にとって慰謝料の相場額程度では懐がまったく痛まないかもしれません。
慰謝料を払う側の収入状況を考慮して、慰謝料の額を増やすことがあります。
また、不貞行為をした人の社会的な地位や年齢が高いと、地位や年齢を考慮して慰謝料額を増やすことがあります。
不貞行為が発覚する前の夫婦仲
不貞行為が発覚する前の夫婦仲も慰謝料額に影響する可能性があります。
たとえば、不貞行為の前は夫婦円満で家庭生活も順調な夫婦がいたとします。
しかし不貞行為により良好だった夫婦仲に亀裂が生じてしまったのです。
このようなケースでは、円満な家庭や良好な夫婦仲に亀裂を生じさせたわけですから、慰謝料額が増える可能性があります。
もとから夫婦仲が悪かったケースと夫婦仲が良好だったケースでは、後者の方が慰謝料の増額につながりやすいのです。
精神的な苦痛の度合いや損害
不貞行為による精神的な損害や精神への影響が大きいと判断されれば、不貞行為の慰謝料が高額になる傾向にあります。
たとえば、不貞行為が原因でうつ病やノイローゼになり医師に診断を受けたケースや、自殺未遂をはかったケースなどは、事情を考慮して慰謝料額に反映される可能性があるのです。
不貞行為の相手が2人以上の複数人
不貞行為の相手が1人ではなく2人以上の複数人だった場合は慰謝料の額に影響することがあります。
1人と不貞行為をしても複数人と不貞行為をしても、不貞行為であることは変わりません。
しかし2人以上の複数人と不貞行為をしていた場合は、配偶者もその分だけ呆れるのではないでしょうか。
精神的な苦痛も大きく、不貞行為としても悪質です。
配偶者の精神的な苦痛や不貞行為としての悪質さが金額に反映され、慰謝料が増額になることがあります。
配偶者の約束違反があった
配偶者が過去の不貞行為をしており「二度としない」と約束したのに反故にしたケースでは、不貞行為の慰謝料計算に影響する可能性があります。
不貞行為に気づいた配偶者が夫(妻)と不貞行為の相手に対して不貞行為をやめるように告げ、二人は「不貞行為はやめます」と約束しました。
しかし、約束直後は不貞行為をやめていましたが、後から再び不貞行為をしていたことが発覚したのです。
このようなケースでも、慰謝料が増額される可能性があります。
約束を反故にして不貞行為を繰り返すことは悪質だからです。
不貞行為の慰謝料の計算結果をケース別に紹介
不貞行為の慰謝料の増減要素を知っても、自分で増減要素を反映させて慰謝料額を計算することは難しいはずです。
慰謝料相場を知っても、最終的に計算は不貞行為の個別ケースにより変わってくるため「自分はどのくらい請求できるのか判断できない」と困ってしまうことでしょう。
そこで、不貞行為の慰謝料の計算結果をケース別に試算し表にまとめました。
この不貞行為慰謝料の計算表には個別事情なども可能な限り反映させています。
不貞行為の実情により即した慰謝料額になっています。
慰謝料額の参考にしてください。
婚姻期間 | 離婚・別居の有無 | 慰謝料の目安 |
---|---|---|
長い(15年以上) | 離婚した | ~300万円 |
別居した | ~200万円 | |
離婚や別居なし | ~100万円 | |
3~15年 | 離婚した | ~300万円 |
別居した | ~150万円 | |
離婚や別居なし | ~75万円 | |
短い(3年以下) | 離婚した | ~200万円 |
別居した | ~100万円 | |
離婚や別居なし | ~50万円 |
請求できる慰謝料額をより正確に知る方法
上記でご紹介した不貞行為の慰謝料の計算式には別居や離婚の有無、婚姻期間などの要素を反映させています。
ただし、それ以外の個別事情などは基本的に考慮していません。
婚姻期間や離婚、別居などが当てはまるからといって必ず計算表の慰謝料額になるわけではないため、注意してください。
不貞行為の事情もいろいろあります。
たとえば、不貞行為の相手に子供がいたケースや、婚姻期間自体は長いが不貞行為前から夫婦仲が悪かったケースなど、いろいろな事情が考えられるはずです。
より不貞行為の事情を反映させた慰謝料額を知る方法としては、弁護士に試算してもらう方法があります。
ご紹介した計算表で大体の不貞行為慰謝料の目安を知り、そのうえで弁護士に慰謝料額をより詳細に計算してもらうと、自分がいくら請求できるのか把握しやすいはずです。
離婚問題や男女問題に強い弁護士に相談すれば事情にあわせて試算してもらえます。
より詳細な慰謝料額を把握するためにも、弁護士に相談してみてはいかがでしょう。
不貞行為の慰謝料を増額させるコツ
不貞行為の慰謝料を請求するときは、慰謝料額を低く見積もられてしまうより、より高額を払ってもらいたいと思うのではないでしょうか。
不貞行為の慰謝料を増額させたい場合はどうすればいいのでしょう。
不貞行為の慰謝料を増額させるコツは5つあります。
不貞行為の証拠を集める
不貞行為の慰謝料は、証拠がなくても請求相手が支払いに応じさえすれば払ってもらえます。
しかし、仮に不貞行為の慰謝料を証拠なしで請求したとして、素直に払う人がいるでしょうか。
不貞行為に対してよほど罪悪感を抱いているなら話は別ですが、基本的には「不貞行為などしていない」と言い逃れされたり、「不貞行為の証拠はあるのか」と言い返されたりするはずです。
不貞行為をした配偶者や不貞行為の相手の言い逃れを防ぎ、慰謝料をしっかり払わせるためにも、不貞行為の証拠を集めておくことが重要です。
不貞行為の証拠は「肉体関係があったことを証明するもの」 が必要になります。
不貞行為の証拠になるものには以下のようなものです。
- ・写真 / ラブホテルに宿泊した写真や性行為がわかる写真など
- ・メールやSNS / 不貞行為がわかるやり取りのものなど
- ・興信所や探偵の調査報告書
- ・ブログや手記など / 不貞行為について書かれているブログ記事など
- ・明細や領収書 / ラブホテルの利用がわかるクレジットカード明細など
- ・音声や動画データ / 性行為の映像や音声など
この他にも証拠として使えるものがあります。
また、それ自体は肉体関係の証明にならない微細な証拠でも、他の証拠と組み合わせることで証拠としての力を発揮することがあります。
不貞行為の証拠になりそうなものは収集・保管しておき、弁護士などに証拠の精査をお願いすることもできます。
集めるべき証拠がわからない場合や証拠収集自体が難しい場合は、弁護士にアドバイスを受けたうえで証拠収集に動くことをおすすめします。
不貞行為の慰謝料の増額は慰謝料請求の準備を整えてこそです。
まずは慰謝料請求のための足場を固めましょう。
不貞行為による損害の証拠も用意する
不貞行為の慰謝料は、不貞行為による心の苦痛(損害)の賠償金です。
なので、どのくらいの損害があったかを証明する証拠を準備することで、損害に見合った慰謝料を期待できます。
具体的には、精神的な損害を裏付ける証拠があれば、慰謝料請求のときに準備しておきましょう。
不貞行為による心の損害を証明する証拠としては、不貞行為が原因でうつ病になった場合の医師の診断書などがあります。
不貞行為が原因で心療内科などに通院しているなどの事情があれば、医師に診断書を書いてもらうなど、心の損害を証明できる証拠を準備しておきましょう。
不貞行為の回数や期間などを証明する証拠も集める
不貞行為の回数や期間は慰謝料の金額に影響を与えるとお話ししました。
不貞行為を証明するために「肉体関係があったこと」を証明する証拠も重要ですが、慰謝料額を高額にするためには、不貞行為の内容に踏み込んだ証拠を集めることも重要になります。
不貞行為の期間が長い場合や回数が多い場合は、回数や期間を証明する証拠を集めることができれば、慰謝料の増額が期待できます。
不貞行為の回数や期間についての証拠も、弁護士などに相談しながら収集することがコツです。
配偶者だけでなく不貞行為の相手にも慰謝料請求する
配偶者が不貞行為をしたときは、配偶者だけでなく不貞行為の相手にも慰謝料請求が可能です。
たとえば、不貞行為をした配偶者に200万円の慰謝料を請求したとします。
慰謝料請求をされた配偶者は慰謝料請求に応じましたが、自分の預金などから払うことができませんでした。
仕方なく、家計のお金から200万円を出し、慰謝料を請求した配偶者に渡しました。
これでは、家計からお金が出て行って、家計にお金が戻ってくるのと同じことです。
慰謝料を増額する以前の問題ではないでしょうか。
不貞行為の相手に慰謝料請求すれば、家計から出て行って家計に戻ってくるなどの問題は回避できます。
また、配偶者にお金がなくて払えず、慰謝料請求はできても現実的に払ってもらえないというケースもあります。
このようなケースの場合は不貞行為の相手に請求すれば、配偶者の資力のなさをカバーすることも可能です。
ただし、不貞行為の相手に慰謝料請求する際は注意点があります。
注意点については後の章で説明します。
慰謝料問題に強い弁護士に依頼する
不貞行為の慰謝料を増額するときのコツとして、弁護士に依頼する方法があります。
不貞行為の証拠があれば自分でも慰謝料請求できると思うかもしれません。
しかし、仮に不貞行為の証拠があったとして、その証拠を使って増額の要素なども見抜きながらスムーズかつ適切な慰謝料額を請求できるでしょうか。
すでにお話ししましたが、不貞行為の慰謝料には判例などから計算した相場があります。
しかし、不貞行為の事情を慰謝料額に反映させて個別の慰謝料額を計算するため、計算表で示した金額や一般的な慰謝料相場はあくまで目安でしかないのです。
増額要素などを把握していても、その増額要素によってどのくらい増額できるのか、実務や法律の知識がないと計算が難しいのではないでしょうか。
また、慰謝料を増額できる要素があっても、慰謝料請求時に見逃してしまうかもしれません。
結果、慰謝料の増額どころか、正当な慰謝料額の請求がかなわないかもしれないのです。
不貞行為の慰謝料請求に通じた弁護士に依頼することで、増額要素を見落とすことがなくなります。
弁護士が不貞行為の個別事情をふまえて慰謝料を計算しますので、事情にあった慰謝料を請求可能です。
自分で慰謝料を請求するより弁護士に依頼した方が、高額な慰謝料を払ってもらえる可能性が高くなります。
不倫による慰謝料を請求するときの注意点
不貞行為による慰謝料を請求するときは注意したいポイントがふたつあります。
不貞行為の慰謝料を請求できないことがある
不貞行為の慰謝料は請求できないこともあります。
以下のような事情があれば不貞行為の慰謝料請求が困難になる可能性があるのです。
弁護士に相談して、慰謝料請求の可否を判断してもらった方がいいでしょう。
- ・不貞行為の慰謝料請求の時効(3年)が過ぎている
- ・不貞行為の証拠がない
不貞行為の慰謝料請求には3年という時効があります。
時効が経過すると、慰謝料請求が困難になるのです。
不貞行為から時間が経ってから慰謝料請求する場合はまず弁護士に時効を計算してもらうことをおすすめします。
不貞行為の証拠が一切ない場合も慰謝料請求が困難です。
配偶者と不貞行為の相手の肉体関係を示す証拠が見つからない場合は、証拠の探し方などをよく考える必要があります。
配偶者が巧妙に隠しているケースなども考えられるからです。
弁護士からは不貞行為の証拠集めについてもアドバイスを受けられます。
不貞行為の相手に慰謝料請求するときは求償権に注意
不貞行為の慰謝料は、不貞行為をした配偶者だけでなく、不貞行為の相手に対しても請求可能です。
配偶者に資力がないときなどは、不貞行為の相手に慰謝料請求することで慰謝料を支払ってもらえるというメリットがあります。
それに、不貞行為はもともと当事者2人で責任を取るものですから、不貞行為の相手に責任を取らせるという意味で慰謝料請求することは、何もおかしなことではないはずです。
ただ、不貞行為の相手に慰謝料請求する場合は求償権に注意が必要になります。
不貞行為の責任は当事者で負います。
たとえば慰謝料200万円を請求する場合は、不貞行為をした配偶者が100万円の責任を負い、不貞行為の相手が100万円の責任を負うのが基本です。
不貞行為の相手に200万円請求すると、もう一方の当事者である配偶者が不貞行為の相手から「当事者なので責任を半分負ってください」と請求される可能性があるのです。
具体的には、不貞行為の相手が200万円払ったとしたら、不貞行為のもう一方の当事者である配偶者に100万円(半分の責任分)を求償(請求)される可能性があります。
求償をどのように封じるか、対策するかが問題です。
まとめ
自分が請求できる不貞行為の慰謝料額が気になる場合は弁護士に相談してみることをおすすめします 。
離婚や男女問題の解決実績のある弁護士は慰謝料算定のプロフェッショナルです。
個人が見逃す増額要素も見逃すこともありません。
増減要素などを考慮したうえで自分だけの不貞行為の慰謝料を算定してもらうことができます。
自分でケース別の慰謝料を確認して請求するより高額を請求できる可能性があるのです。
まずは弁護士事情を話して慰謝料を算定し、そのうえで慰謝料交渉の進め方などを検討してみてはいかがでしょう。