この記事でわかること
- 特別定額給付金の概要について理解できる
- 配偶者などからDVを受け非難していても受給できることがわかる
- 特別定額給付金申請手続きの方法がわかる
配偶者や親族などのDVにより避難されている方も少なくありません。
「コロナ離婚」といわれる、コロナ禍を原因とした離婚をする夫婦もいます。
新型コロナウイルス問題により外出自粛や休業要請が行われる状況下で、生活への不安やストレスなどから配偶者などから暴力(DV)を受けてしまう、子どもが虐待を受けてしまうといった被害の深刻化が懸念されています。
被害に遭われた方は然るべきところへ相談し、適切な支援や保護を受けることが必要です。
内閣府と厚生労働省は、地方公共団体に対してDVの相談対応や保護に至るまで支援の継続や迅速な対応を依頼しています。
全国民に給付される10万円の特別定額給付金は、DV避難していても給付を受けることができるのでしょうか。
だとすれば、いったいどのような手続きが必要なのでしょうか。
下記の解説が、少しでもお役に立てれば幸いです。
特別定額給付金とは?
特別給付金の目的は、
「緊急事態宣言の下、人々が連帯して、一致団結し、見えざる敵との戦いという国難を克服しなければならないという状況の下、医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち、簡素な取組で迅速かつ的確に家計への支援を行うもの」
とされています。
給付金額 | 世帯構成員1人につき10万円 |
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申請期限 | 郵送方式の申請受付開始日から3ヶ月以内 |
給付対象者 | 基準日(令和2年4月27日)において住民基本台帳に記載されている者 |
受給権者 | その者の属する世帯の世帯主 |
※支給申請の受付開始は居住市区町村により異なりますので、詳細はお住まいの市区町村にお問い合わせください。
配偶者などからDVを受け避難していても給付金は受け取れる
気になるのは、「受給権者」の要件ではないでしょうか。
「世帯主」と記載があります。
DVが原因で避難されている方の多くは、女性で、世帯主ではない方が多いのが現状です。
こういった場合、いったいどうなるのでしょうか。
配偶者やその他親族などからの暴力、性暴力被害、貧困その他の理由が複合的に重なるなどして避難している方で、事情により令和2年4月27日以前に居住している市区町村に住民票を移すことができない方への支援として、給付金の受給が可能となりました。
ただし、受給には特別定額給付金の申請手続きとは別に、一定の手続きが必要となります。
大変な状況であると思いますが、ご参考にしていただきお早めに手続きされることをおすすめします。
以下で解説していきます。
給付金を受け取れる要件
配偶者、その他親族などからの暴力などを理由に避難している方の要件
配偶者暴力防止法に基づく保護命令が出されている |
「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」または「市区町村、民間支援団体などによる確認書」が婦人相談所より発行されている |
令和2年4月28日以降に住民票が現在居住している市区町村に移され、住民基本台帳の閲覧制限等の「支援措置」の対象となっている |
このような要件を満たせば、世帯主ではなくても同伴者の分も含めて「現在お住まいの市区町村」に特別定額給付金の申請を行い、給付金を受け取ることが可能となります。
いま一度ご自分の状況を確認してみてください。
なお、手続きを行なった方(避難されている方)とその同伴者の分の特別定額給付金は、世帯主(DV加害者)からの申請があった場合でも、世帯主へは支給されません。
受給に必要な申請書類
「配偶者やその他親族などからの暴力などを理由に避難している方」の申請手続きに必要な書類は以下のとおりです。
申出書
配偶者やその他親族などからの暴力などを理由に非難していることを申し出るものとされています。
お住まいの市区町村窓口や、婦人相談所や総務省ホームページなどから入手することができます。
※4月30日(事前申出期限)を過ぎても申出をすれば給付金を受け取ることはできますが、まずは速やかに各市区町村役場の窓口にご相談なさってください。
申出書の確認書類
「配偶者やその他の親族からの暴力などを理由に非難していることが確認できる書類」として、下記のいずれかの書類が必要になります。
- ・婦人相談所などが発行する「証明書」又は市区町村、福祉事務所、民間団体などが発行する「確認書」
- ・「保護命令決定書」の謄本または抄本
申請時の注意点
申出書を提出する際に注意したい点がありますので、しっかりとおさえておきましょう。
- ・同伴者がいる場合は、同伴者についても記載されていることなどが必要となります。
- ・令和2年4月28日以降に住民票が現在居住している市区町村に移され、住民基本台帳の閲覧制限等の「支援措置」の対象となっている方は、申し出をすれば市区町村において確認が取れるため、上記の書類は必要ありません。
- ・自分で申出や申請することが困難な場合は、代理申出、代理申請が可能です。
- ・上記の「確認書」や「証明書」を申請時に提出できない場合は、給付金支給申請時に提出することが可能です。
(重要!!)
申請することにより、DV加害者に現在の住所を知られることはないのでしょうか。
とても心配なことですので、確認しておきましょう。
・申出書に基づき、住民票がある市区町村への連絡はあるが、「申出書」に記載された現在居住している住所などの情報は知らされない
手続き方法と期間
特別定額給付金の申請手続きは2つの方法があります。
- ・郵送申請
- ・オンライン申請(パソコン・スマホ可)
申請期限は、各市区町村の郵送方式の受付開始日から3ヶ月以内です。
郵送申請
「郵送申請」の場合は、住民票所在の「世帯主宛」に給付対象者(住民基本台帳に記録されている者)の申請書が郵送で送られてきます。
- ・申請書に必要事項を記載
- ・振り込み口座確認書類
- ・本人確認書類
この3点を住民票所在の各市区町村へ郵送すると申請完了となり、給付されるのを待ちます。
支給までの期間は、各市区町村により異なりますが、オンライン申請よりは時間がかかるようです。
オンライン申請
「オンライン申請」の場合は、「マイナポータル」への事前準備が必要となります。
- ・世帯主(申請者)のマイナンバーカード
- ・マイナンバーカード読み取り対応のスマホまたはパソコン、ICカードリーダー
- ・「マイナポータルAP」のインストール
事前準備が完了したら、マイナポータルへアクセスをして申請を行います。
必要事項を入力・選択し、電子署名をして申請完了となり、給付されるのを待ちます。
各市町村により申請受付開始時期や支給までの期間が異なりますので、詳細は各市区町村に問い合わをする必要があります。
また、申請書が届く前に特別給付金に関する連絡(電話やメール)があった場合は、詐欺の恐れがありますのでくれぐれも注意してください。
まとめ
とりわけDVは男性から女性に対して行われることが多いのが現状です。
DVを含め女性に対する暴力は重大な人権侵害です。
どのような状況下においても許されることではありません。
被害に遭われた方は、肉体的にも精神的にも計り知れないダメージを負います。
命からがら逃げ出し、別の場所に避難せざるを得ない状況で、かつコロナの影響で仕事もままならず経済的にさらに追い詰められている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の特別定額給付金の10万円を生活の足しにして、一時的にでも難局を乗り越えるための一助とすることが必要不可欠です。
どうしても自分一人では解決できない時には、一人で抱え込まずに相談しましょう。
また、周囲でこのような状況下でお困りの方がいたら適切な場所に相談することをぜひ伝えてあげてください。
国難ともいえるこの状況が早く収束することを願わずにはいられません。