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離婚の慰謝料請求のポイントを弁護士が解説!

弁護士 川崎公司(カワサキ コウジ)

離婚とは、いったん法的に結合した「家族」を解体する行為です。そして家族の形はそれぞれ違うため、争点が複雑に絡み合い、当事者だけでは解決ができないケースが多々あります。当事務所では、まずお客様から詳しくお話をお伺いし、どのような結果を目指すのか、そのためにはどのような争点を解決しないといけないのかを適切に把握し、その上でお客様に最も適した解決方法を提案することにしています。

金融機関で10年以上ビジネスマンとして勤務しておりましたが、より高度な専門性を身に付けてお客様のお役に立ちたい、という気持ちから、社会人になってから、仕事をしながら法律の勉強を始めました。
金融に絡む相談や会社関係のご相談を受けることが多いですが、一方で、弱者保護をできること、権力に立ち向かっていくお手伝いができることが他の専門職にはない、弁護士としての唯一の特権であるという信念から、個人のお客様からも民事・刑事問わず多くのご相談を頂いています。
弁護士と聞くと、敷居が高いイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、私は、金融機関に10年ほど勤務しておりましたので、法律だけでなく、これまでの社会人生活で培った経験を活かし、ご依頼者の皆様に寄り添った弁護活動をしております。

慰謝料の相談について

インタビューアー:

今日は、お時間をいただきありがとうございます。離婚問題に強い法律事務所ということですが、お話をお伺いできればと思います。宜しくお願い致します。

川崎弁護士:

こちらこそ宜しくお願い致します。
少しでも参考になるお話ができればと考えておりますので、何卒よろしくお願いします。

インタビューアー:

離婚や慰謝料について、なかなか弁護士に相談することを躊躇される方も多いのではないかと思いますが?

川崎弁護士:

弁護士という敷居の高さとは別に、夫婦の問題を外部の第三者に話すということに抵抗を感じる方が多いのではないかと思います。
ですが、我々には守秘義務がありますし、現実的な問題としても、時間がたてばたつほど証拠が散在してしまって証拠収集が難しくなるなどの問題も生じますので、早めに相談にきていただくのが一番だと思います。

インタビューアー:

夫側と妻側それぞれの立場による離婚相談の内容に違いはありますか?

川崎弁護士:

男性側からは金銭感覚の違いに関するご相談が多いです。

女性側からは、夫が育児に協力的でないとか家庭に関するご不満が多い印象ですね。
しかし、やはり男性女性のいずれの立場においても性格の不一致に関するご相談が一番多いです。

インタビューアー:

共通して多いのは性格の不一致なんですね。

川崎弁護士:

民法は、裁判で離婚が認められる要件、いわゆる離婚事由について、

①配偶者に不貞な行為があったとき、
②配偶者から悪意で遺棄されたとき、
③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、
④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、
の5類型が770条で定められています。
性格の不一致については、この⑤その他離婚を継続し難い重大な事由があるときに該当するかどうかの判断になりますので、仮にその該当性が認められれば、他の離婚事由同様に慰謝料が認められることになります。

インタビューアー:

なるほど。「重大な事由」とは具体的にどのような行為でしょうか?

川崎弁護士:

身近なものとしては、DVや暴言侮辱などのパワハラ、セックスレス、嫁姑問題、浪費癖などが当てはまります。

あとは宗教上の対立や犯罪行為によって家庭が破たんするというような理由になります。
なので、言葉通りの、「性格が合わない」という意味の性格の不一致では重大な事由になるのは難しいかと思います。

インタビューアー:

なるほど、DVも「重大な事由」に該当するのですね。最近ニュースなどでDVが取り上げられていますが、DVでの慰謝料請求の相談というのはやはり増えていますか?

川崎弁護士:

悲しいですが増えている印象です。
これまでは、他人であれば犯罪であるような行為も夫婦間では「夫婦喧嘩」等とひとくくりにされてしまう風潮がありました。
被害者の方も被害を申告しにくい状態でしたが、最近、DVという言葉が広がったことで申告しやすくなったということも一つの原因だと思います。
DV被害者の方は被害が深刻になる前に、一刻も早く相談に来てほしいと思っています。
ちなみに離婚という観点でみると、DV加害者はいわゆる有責配偶者というものになります。

インタビューアー:

有責配偶者側が離婚請求をすることも可能なのでしょうか?

川崎弁護士:

結論からいうと可能です。

この点は判例があるのでご紹介しますね。
「最高裁判所大法廷判決昭和62年9月2日判決」は、有責配偶者から離婚請求された場合の要件として、
①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること、
②夫婦の間に未成熟の子が存在しないこと、
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれるなど離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められないことの3つをあげました。
これらの要件が認められれば、すでに婚姻関係が破綻しているものとして、有責配偶者からの離婚請求でも認められるということになります。
逆に、これらの要件が一つでも欠けていれば有責配偶者からの離婚請求はできないということになります。

インタビューアー:

不貞行為により離婚となった場合、配偶者と不倫相手どちらにも慰謝料を請求できるのでしょうか?

川崎弁護士:

もちろん可能です。
不貞行為は法的には不法行為とされますので、そういう意味では不貞当事者はいずれも不貞された側にとっては加害者になります。
ですが、実際には配偶者に対しては慰謝料請求しないで、夫婦関係をやり直すという場合も多いです。

インタビューアー:

不倫相手への慰謝料請求がなかなか認められないケースにはどういったものがありますか?

川崎弁護士:

よくあるのは、不倫相手が既婚であることについて知らなかったとか、すでに婚姻関係が破綻していたケースや消滅時効が認められてしまうケースです。
既婚であることを知らずに肉体関係を持ったとしても、その場合には不法行為の要件である「故意過失」が否定されますし、婚姻関係の破綻の事実や消滅時効は不貞相手が抗弁として反論する事情になります。
あとは、そもそも証拠が足りないと請求自体難しかったりもします。

インタビューアー:

なるほど。そのほかで慰謝料請求が認められた相談で珍しいケースというのはありますか?

川崎弁護士:

不貞関係にあった者同士で慰謝料請求するということもあります。
例えば、XとYが不貞関係になったきっかけとして、YがXに対して「最近家庭がうまくいっていない。すぐに離婚するから付き合ってほしい」といっていたとします。
その後、その話が嘘であったことが判明し、YがXに別れを切り出した場合、Xは当然納得できないでしょうし、XがYに対して慰謝料請求するということがありえます。
この場合、Yの嘘の程度が重かったり、不貞関係を誘発させた寄与度が高いとされれば慰謝料請求が認められます。

慰謝料の金額や請求について

インタビューアー:

慰謝料について、相場等はあるのでしょうか?

川崎弁護士:

一般的には50万~300万といわれていますが、色々な要素でそれ以上にもそれ以下にもなりえます。

インタビューアー:

そうなんですね。慰謝料の増減を決める要素にはどういったものがありますか?

川崎弁護士:

婚姻期間、婚姻状況、子の数、不貞期間や態様、その後離婚することになったかどうか等が主な要素になります。

それ以外にも請求者が相手を許しているかどうか、謝罪があったかどうかや被告の経済状況等も考慮されます。

インタビューアー:

それでは、慰謝料が比較的高くなるケースとして主にどのような場合がありますか?

川崎弁護士:

婚姻関係が長く、同居して子どもが数人おり、家庭状況も円満であったにもかかわらず、何年もの間不貞関係を続けており、しかも妊娠中絶を繰り返していたようなケースで、不貞関係がバレて円満な家庭が壊れてしまったような場合には慰謝料が高くなるのは当然です。

インタビューアー:

ちなみに、先生が手がけられた案件で、もっとも高額な慰謝料請求はどのぐらいだったのでしょう?

川崎弁護士:

守秘義務の関係で詳しくは話せませんが、裁判前の交渉で1,000万を超える金額の支払いを認めさせたことはあります。

インタビューアー:

それは高額ですね。実際にスムーズに支払いはされたのでしょうか?

川崎弁護士:

もちろん一括では難しいので、何年もかけて分割で支払っていただいております。

インタビューアー:

万が一、慰謝料が支払われない場合にはどのような方法がとれますか?

川崎弁護士:

交渉段階であれば、分割交渉をしたり証拠を提示して支払ってもらえるよう交渉することが考えられます。

相手が交渉に応じないようであれば、次に内容証明郵便で支払いを要求します。

これでも支払わないようであれば、裁判で判決をとったり、判決獲得済であれば給料に強制執行をかけたりすることも考えられます。

インタビューアー:

相場より多くの慰謝料を受け取るにはどのような方法がありますか?

川崎弁護士:

やはり一番大事なのは証拠です。

こちらの主張を裏付けるという意味もありますが、逆に相手からの反論を潰す際にも証拠が重要になります。

ですので、できるだけ初期の段階から質のいい証拠を速やかに正確に集めることが何よりも重要になります。

インタビューアー:

証拠が重要なんですね。では、提示された慰謝料が少ない場合、どうしたらよいのでしょうか?

川崎弁護士:

すぐに我々にご相談ください。

任意交渉の段階では我々弁護士が依頼者様の窓口となって交渉にあたりますし、裁判であれば訴訟代理人として全面的に対応させていただきます。

インタビューアー:

離婚時に請求できるお金として、慰謝料以外にありますか?

川崎弁護士:

お子さんがいれば養育費、別居開始後で離婚前であれば婚姻費用分担請求、離婚後は財産分与を求めてお金を請求します。

手続きや慰謝料請求を行う前に気を付けること

インタビューアー:

離婚の際や離婚前に、慰謝料の請求について考えておくべきことや備えておくことはありますか?

川崎弁護士:

先ほども申し上げた通り、とにかく証拠が大事です。

証拠は正確なものを迅速に収集することが求められますので、証拠集めを始めるのに早すぎるということはないと思っていいと思います。

インタビューアー:

とにかく早く離婚したいとの思いから、慰謝料請求を後回しにしてしまうこともあるかと思いますが、離婚原因となった行為が起きてから慰謝料を請求できる期限はありますか?

川崎弁護士:

慰謝料請求権も権利ですので消滅時効の対象となり、請求できる期限があります。

ただし、一概に慰謝料請求権といっても、不貞行為等に対する「個別的慰謝料請求」と離婚したことに対する「離婚慰謝料請求権」があり、それぞれ時効の起算点が異なります。

具体的には、個別的慰謝料については不貞行為等の存在を知った時から3年間、離婚慰謝料については離婚成立時から3年間となります。

インタビューアー:

離婚が成立したあとに慰謝料の請求はできるのでしょうか?

川崎弁護士:

もちろんできます。

ただし、先ほど述べた通り、時効が完成するまでの期間ということになります。

インタビューアー:

では、請求権を放棄した後、再度慰謝料の請求はできるのでしょうか?

川崎弁護士:

例えば請求権放棄の意思表示が書面に残っていたりすると難しいですが、そうでないような場合や無理やり放棄させられた等の事情が認められれば理論上は可能です。

インタビューアー:

受け取った慰謝料は課税の対象になりますか?

川崎弁護士:

慰謝料は受けた精神的な損害を補填する性質を有しますので、その部分に課税はされません。

ただし、受けた精神的損害を超える金銭的な賠償がなされたと認められれば、その部分については課税がされます。

インタビューアー:

本日は、お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
弁護士に相談を検討している、あるいは相談したいが躊躇をされている方へのメッセージをいただければと思います。

川崎弁護士:

より高額な慰謝料を求めるのであれば、早期の対応が求められます。

証拠収集などは専門的な知識も求められます。

一人で悩まず、できるだけ早くご相談いただければと思います。

インタビューを終えて

離婚の慰謝料の相談となるとついつい躊躇してしまいますが、早めの相談によって証拠収集などもしやすくなると聞き、ハッとしました。相談は無料でできますので、少しでも気になることがある方は一度ご相談してみてはいかがでしょうか?川崎先生、本日はありがとうございました。

監修弁護士
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