この記事でわかること
- 離婚が子どもに与える影響がわかる
- 親が子どもを寂しい気持ちにさせないための配慮がわかる
- 離婚後の子どもの戸籍や相続について理解できる
夫婦が離婚するときは、子どもへの影響も考えてしまうのではないでしょうか。
離婚によって子どもを寂しい気持ちにさせてしまうかもしれない、子どもにマイナスの影響が出てしまったらどうしようと、子どもへの影響や子どものことを不安に思い、離婚に踏み切れないケースもあるのです。
この記事では離婚が子どもに与えるプラスとマイナスの影響や、子どもを寂しい気持ちにさせないために親ができること、離婚後の子どもの戸籍や相続などについてわかりやすく説明します。
離婚が子どもに与える影響
離婚は夫婦関係の解消です。
夫婦にとっても、これまで共に生活してきた相手と別の人生を送り、家計や生活が別々になる大事になります。
離婚したことによって元配偶者が側から消えるわけですから、離婚する夫婦それぞれにも影響があることでしょう。
子どもにとって離婚は親の片方と共に暮らせなくなることであり、生活環境の変化でもあります。
両親の状況や生活環境が変わることによって、親の離婚が子どもに少なからず影響を与える可能性があるのです。
離婚が子どもの与えるマイナスの影響
親の離婚が子どもに与えるマイナスの影響について、精神面、生活面、金銭面の3つの側面から考えてみましょう。
離婚が子どもに与える精神面でのマイナスの影響
両親が離婚することにより、恋愛や結婚にマイナスの印象を抱く可能性があります。
実際に側で離婚した両親を見ているわけですから、結婚に対して冷めた視点を持ち、場合によっては拒否感を抱くこともあるのです。
また、配偶者の不貞行為による離婚などの場合、事情を理解している子どもは異性に対してマイナスの印象を持ってしまうかもしれません。
両親が離婚することによって子どもが情緒不安定になったり、攻撃的になったりするなどのマイナスの影響も考えられます。
離婚が子どもに与える生活面でのマイナスの影響
離婚は子どもに生活面でのマイナスの影響も与えます。
たとえば、今まで学校から帰ると必ず専業主婦の母親が出迎えてくれました。
両親の離婚により、親権者である母親が働きに出るようになり、子どもは母の帰宅時間までひとりで過ごすことになりました。
生活のためには仕方のないことかもしれません。
しかし、子どもにとってはこの生活の変化により、寂しさというマイナスの影響が出る可能性があります。
離婚が子どもに与える金銭面でのマイナスの影響
夫婦が離婚することにより、家庭の収入状況も変わります。
収入状況が変化した結果、子どもが進学を断念するというマイナスの影響を受ける可能性があるのです。
離婚した被親権者が養育費を払うと言っても、本当に払われるかは実際に離婚してみないとわかりません。
また、子どもの大学進学の際にはまとまった資金が必要になりますし、学部によっては多額の学費も必要になります。
たとえば子どもが医学部などお金のかかる学部に進学を希望している場合などは、離婚後の親の収入状況や養育費の入金状況、学費の分担状況などによっては進学を断念せざるを得ない可能性が出てくるのです。
子どもの進学費用など、金銭面においてもマイナスの影響が出る可能性があります。
離婚が子どもに与えるプラスの影響
離婚が子どもの与えるのは、マイナスの影響だけではありません。
ときに両親の離婚がプラスの影響を与えることもあります。
両親の離婚による子どもへのプラスの影響は、以下の通りです。
離婚が子どもに与える精神面でのプラスの影響
夫婦が離婚前に喧嘩を繰り返していたようなケースでは、夫婦の離婚によって子どもがプラスの影響を受ける可能性があります。
両親の喧嘩を見ている子どもは辛いはずです。
また、いつ離婚するか分からないという不確定な状況に置かれるわけですから、子どもの精神は常に不安定な状況になります。
夫婦が離婚することによって、両親の喧嘩や離婚するかどうかという不確定な状況から解放され、子どもの気持ちがかえって落ち着いて生活できることも考えられるのです。
離婚が子どもに与える生活面でのプラスの影響
離婚することにより、生活面でも子どもの影響にプラスになることがあります。
たとえば家庭内で夫婦が毎日のように喧嘩していたとします。
子どもは両親の喧嘩が気になって、勉強や習い事に身が入りませんでした。
結果、習い事や勉強で思うような成績を上げられなかったとしたらどうでしょう。
両親が離婚することによって家庭内不和が終わりますので、子どもが勉強や習い事に専念できる環境になることもあるはずです。
両親の離婚により家庭内の不安定さや不和が解消されたため、子どもの生活が健全になり、習い事や勉強の成績が上がるというプラスの影響が出る可能性があります。
家庭内不和により情緒不安定になり、問題行動を繰り返していた子どもが、家庭内不和の解消により情緒が安定し問題行動を起こさなくなることもあるのです。
離婚が子どもに与える金銭面でのプラスの影響
離婚することにより、子どもに金銭的なプラスの影響が出る可能性もあります。
たとえば夫があちこちに借金を作り、浪費癖もあったらどうでしょう。
夫の借金や浪費のために妻の稼ぎも使われているようなケースでは、子どもの教育費や生活費に思うように資金を回せないケースがあるはずです。
このようなケースでは、夫婦が離婚することによって夫の浪費や借金に悩ませられることがなくなるため、かえって子どもの習い事やお小遣い、学費、進学費用にお金を回せるかもしれません。
子どもにとって金銭面でのプラスになります。
子どもは離婚をどう思っている?
子どもが両親の離婚についてどう思っているか知っておけば、離婚後の子どもへの接し方のヒントになります。
そもそも子どもは両親の離婚についてどう思っているのでしょうか。
両親が離婚した子どもは離婚を以下のように思っているといわれています。
- ・離婚して安心した
- ・親と離れられてよかった
- ・生活が不安だ
- ・周囲の目が気になる
- ・親と離れて寂しい
家庭内不和が続いているケースでは、子どもは「離婚してほっとした」と思う傾向にあるようです。
両親の仲が悪いと子どもの緊張状態が続きますから、離婚により緊張状態が解けてほっとするわけです。
両親の片方が不貞行為や暴力、モラハラなどに走っており、子どもとしても一緒に生活することが辛い状況にあったケースでは、親と離れられてよかったと思うケースもあるようです。
反対によき親であった場合は、離婚により親と離れてしまって寂しいと思っているケースもあります。
離婚により子どもが今後の生活を不安だと思っているケースや、離婚のことを話題にされたりしないかと、周囲の目を気にするケースもあるのです。
親が子どもに対してできる支援と配慮
両親は離婚しても、子どもの親であることに変わりはありません。
離婚という事情があったからこそ親として子どもを寂しがらせないよう、そして不安にさせないよう支援や配慮をおこなうことが重要ではないでしょうか。
子どもを寂しがらせない、生活で不安にさせない経済や精神の支援には次のような方法があります。
子どもを寂しがらせないよう離婚しても親だと伝える
子どもから見れば離婚は「お別れ」という印象があります。
親がお別れすると同時に自分の別居する親(非親権者の親)とお別れしなければならないと思ってしまうのです。
離婚がよくわからないくらいの年齢の子どもだと、離婚によって親は親でなくなり、もう二度と会えないと思って寂しくなるかもしれません。
子どもを寂しがらせないためにも、離婚後も子どもの親であることは変わらないことをしっかり伝えてください。
また、両親は離婚するが永遠の別れではなく、面会交流などで会えることも伝えて子どもの寂しい気持ちに配慮することが重要です。
子どもの近くに住んだり定期的に面会交流をおこなったりする
子どもがある程度大きくなるまでは子どもと会える距離に住むことも、子どもの寂しい気持ちに対する配慮方法になります。
子どもの病気や事故などがあればすぐに駆けつけられる距離がいいでしょう。
子どもの近くに住むことによって、面会交流もしやすくなります。
子どもにとっても「近くに親がいる」という安心感につながるのです。
子どもの養育費について忘れずに取り決めをおこなう
離婚後の子どもの経済的な支援方法として、代表的なものが養育費です。
養育費は子どもの生活を保持し、養育するための大切なお金です。
離婚時は、養育費の取り決めを忘れずにおこなうことが重要です。
離婚時に養育費の取り決めをしていなければ、子どもの生活のためにも、離婚後にしっかりと養育費について決めておきましょう。
養育費の取り決めをしたら、後のトラブル防止のために決めた内容を書面にまとめておくこともポイントになります。
養育費は、取り決めだけでなく実際に払ってこそ意味があります。
養育費を決めても、支払いがなければ子どもを経済的に支えることはできません。
養育費は夫婦(元夫婦)の話し合いで決めることも可能です。
裁判所が公開している「養育費算定表」なども養育費を決めるときの参考になるはずです。
養育費の額以外には、養育費をどのような方法で毎月何日に払うかなど、支払いについても決めておきましょう。
子どもの寂しい気持ちに寄り添うと同時に、子どもを経済的にも支えることが重要ではないでしょうか。
離婚後の子どもの戸籍や相続はどうなる?
夫婦が離婚した後の子どもの戸籍や相続はどうなるのでしょうか。
離婚後の子どもの戸籍と相続について、それぞれ分けて説明します。
離婚後の子どもの戸籍や名字はそのまま
夫婦が離婚したからといって、子どもの戸籍や名字も自動的に変わるわけではありません。
夫婦が離婚しても、子どもの戸籍や名字は基本的にそのままです。
離婚後の親権者は母親になるからといって、離婚後に母親の旧姓に子どもも自動的に変わるようなことはありません。
離婚後に子どもの名字や戸籍を変える場合は、家庭裁判所へ「子の氏の変更許可」を申し立てる必要があります。
子どもには離婚後も相続権が残る
離婚すると、夫婦はお互いの相続権を失いますが、子どもは離婚後も両親の相続人になれます。
また、夫婦は離婚により縁が切れることになるため、元夫婦でも婚姻関係を解消した以上は赤の他人です。
お互いに相続が発生しても赤の他人である以上、元妻や元夫の相続に際して相続人になることはありません。
離婚は夫婦の縁を切る手続きであり、両親と子どもの縁を切る手続きではないので、
離婚しても夫婦は変わらず子どもの父親であり、母親です。
離婚しても親子であることは変わらないからこそ、両親が離婚しても子どもは父親の相続と母親の相続について相続権があり相続人になれます。
まとめ
離婚は、大人にとっても大事だからこそ子どもにも影響が出る可能性があります。
離婚によって子どもが寂しいと感じる気持ちや生活への不安もありますので、離婚の際は子どもの気持ちや経済的な支援について考えることも重要なことです。
子どもの経済的支援や寂しい気持ちへの配慮をケースバイケースで考えるためにも、まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょう。
子どものために何をするべきか、専門家への相談によって見えてくるはずです。