この記事でわかること
- 親の離婚が子供に与える影響がわかる
- 子供へのストレスを減らす離婚タイミングや離婚の伝え方がわかる
- 親の離婚が子供に与えるストレスを少なくする接し方が理解できる
親の離婚は子供にとっても人生の一大事です。
両親のいる生活が親の離婚によって大きく変化します。
親の離婚による目まぐるしい生活環境の変化により、子供の心が影響を受けてしまう可能性があるのです。
子供がいる離婚では、子供への影響も考えて親の離婚を進めることが重要になります。
この記事では、親の離婚が子供に与える良い影響と悪い影響を解説します。
あわせて、子供へのストレスを減らす離婚のタイミングや親の離婚を子供に上手く伝える方法、離婚後の子供との接し方などについても考えてみましょう。
親の離婚が子供に与える良い影響
親の離婚といえばマイナスの印象があるかもしれません。
そのため、子供に与える親の離婚の影響もマイナスのものだろうと考えがちです。
親の離婚が子供に与える影響は悪いものだけではありません。
親の離婚が子供に良い影響を与えることもあるのです。
まずは親の離婚が子供に与える良い影響について説明します。
両親が離婚するのではないかという不安から解放される
両親が離婚するかどうかという場合や両親が不仲である場合は、子供は常に「両親は離婚するかもしれない」「今の生活が両親の離婚により変わってしまうかもしれない」という状況に置かれます。
これは子供にとってストレスであり、精神的にも不安を抱えた状況になるのです。
大人にとっては「悪い結果になるかもしれない」という不確定な状況はストレスではないでしょうか。
子供にとっても同じです。
両親の離婚により、子供は「両親が離婚するかもしれない」という不確定な状況から解放されます。
両親の離婚があるかもしれないという不安におびえずに済むようになるため、ストレスから解放されるという良い影響があるのです。
ストレスや不安から解放されることにより、子供の心や生活も良い意味で変わるかもしれません。
子供が両親の不和によるストレスから解放される
離婚する前の段階で両親が不仲で顔を合わせる度に喧嘩している。
両親が不仲で家庭内別居あるいは別居中であり、家で顔を合わせる度に緊張感が漂っている。
両親が不仲で、両親のどちらかと楽しく話しているともう片方の親が良い顔をしない。
両親が不仲でほぼ口をきかず、子供心ながらに両親の仲を取り持とうと苦心している。
このようなケースでは、子供は両親の不和により心を痛めると共にストレスを覚えている状態です。
両親の離婚にまで発展する不仲は前段階として不和や別居などがあるケースが少なくないため、子供の方が気をつかうのです。
両親の不和による緊張やストレスの状態が長く続いていると、子供の心や生活にマイナスに影響があります。
大人も自分の家族や職場の同僚が不仲で緊張状態だと、同様にストレスを覚えることでしょう。
大人の場合は自分のお金でストレスを発散したり、別の場所に移るなど自分なりに対処したりできますが、子供には収入はありません。
また、子供の基本は学校と家庭ですから、家庭が緊張状態でも逃げ場がないのです。
両親の離婚により子供は両親の不仲や家庭内の緊張状態、親に気をつかう状況から解放されます。
状況から解放されることによって子供の悩みがひとつ減り、心や生活に良い影響を与えるのです。
子供が肉体的な暴力や言葉の暴力から解放される
離婚の原因がモラハラや暴力だった場合は配偶者だけでなく子供にも被害がおよんでいるケースがあります。
親の離婚により子供が親に心ないことを言われたり、暴力の被害にあったりすることから解放されます。
親の離婚により子供が身体や心のダメージ、暴力や言葉によるストレスから解放され、平穏な毎日を過ごせるという良い影響があるのです。
子供が勉強や習い事などに専心できる
親の離婚により子供が勉強や習い事に専心できるという良い影響があります。
家庭内が不和だと、どうしても子供は気になってしまいます。
親の不和が子供の心に影響し勉強や習い事にも集中できません。
親の離婚の前段階で不和の状況でも子供は勉強や習い事くらいできるだろうと思うかもしれません。
しかし、考えてみてください。
大人も居住環境内で喧嘩が起きると気になりますし、周囲の治安が悪い状況だと不安を覚えて生活や仕事に専心できないはずです。
親の離婚の前段階は、まさに家庭内の喧嘩や治安悪化の状況ですから、子供にとって勉強などに専心できない状況になります。
大人と同じです。
親が離婚することで親の不和状態は終焉を迎えますので、子供は親のことが気になって勉強や習い事に集中できない状況から解放されます。
子供が勉強や習い事に集中できていなかった場合は、親の離婚が良い影響になる可能性があるのです。
新生活や新しい親子関係の構築につながる
親が離婚すると子供は離婚後の親権者と新しい生活をはじめます。
離婚後は夫婦の不和に割かれていた時間や、夫婦の不和によって使われていた時間がなくなります。
たとえば悪意の遺棄(家に生活費を入れない)ことによって不和になっていた夫婦がいたとすれば、生活費のために子育てを頑張っていた親が働かなければならない状況だったかもしれません。
親の離婚により子供との新生活がはじまりますので、今までの生活維持のために使われていた時間をいくらか子供のために使える可能性があるはずです。
子供との時間を増やせれば、親子関係を再構築し、親子として新たな生活をスタートできます。
子供と新しい生活をはじめる。
今まで家庭生活の維持に使っていた時間を子供に使えるようになる。
以上のことから、子供の気持ちや生活にも良い影響を与えられる可能性があります。
親の離婚が子供に与える悪い影響
親の離婚は子供にマイナスの影響を与えることもあります。
親の離婚を進める前に、親の離婚が子供に与える悪い影響も確認しておくことが重要です。
新しい親子の関係や生活に馴染めず不安定になる
親の離婚後の新生活が子供の良い影響を与える可能性がある反面、逆に子供にストレスや悪い影響を与える可能性もあります。
たとえば親の離婚後の生活のために親権を持った親が働き通しになってしまったとします。
子供と過ごす時間は当然減ります。
離婚前により子供と過ごす時間が少なくなり、子供とのすれ違いが起きるようになりました。
結果、子供は精神的に不安定になってしまったのです。
親と二人きりという新生活にも子供は馴染めませんでした。
親の離婚が子供に良い影響を与える可能性もありますが、離婚後の生活状況や親と過ごす時間、親との関係によってはストレスやマイナスの影響が出る可能性もあります。
子供が進学など夢を諦めなければならない
離婚後の生活状況によっては子供が大学進学などの夢を諦めなければならないというデメリットがあります。
親権を持つ親が負担できる学費には限界があります。
仮に養育費があっても、夫婦そろっていたころより世帯の収入状況が下がっているケースが多いはずです。
そのため、医学部などお金のかかる学部を志していた場合や私学の高校に進学を予定していた場合などは、子供の進学の夢が資金や生活の問題でかなわない可能性があります。
奨学金などでまかなうにしても、やはり限界があるのです。
子供に進学できるだけでの学力がある場合は、子供にとって非常に辛い状況になることでしょう。
子供が親の離婚により情緒不安定になってしまう
親の離婚により親の不和から解放されて子供の情緒が安定する可能性がある反面、子供が親の離婚により情緒不安定になってしまう可能性もあります。
親の離婚により多感な時期に片親と別居することになり、さらに生活環境ががらりと変わってしまいます。
離婚後の親権者の生活事情によっては、学校や生活する地域が変わる可能性もあるのです。
加えて、子供の進路さえ変わってしまうことがあります。
急激な生活や家庭の変化から子供の情緒がマイナスに影響やストレスを受けてしまった結果、闊達だった子供が自分の殻に閉じこもってしまったり、優しかった子供が急に攻撃的になってしまったりする可能性もあるのです。
親の離婚後の両親との関わり方に悩んでしまう
離婚した親は子供によって自分の親であることに変わりはありません。
しかし父母が離婚したことにより別々の人生を歩むため、子供は親との関わり方に悩んでしまったり、関係性に遠慮が生まれてしまったりする可能性があるのです。
たとえば、母親が親権を得て子供と生活し、父親が別の住居で暮らしていたとします。
はじめは子供も父親と面会交流をおこなっていましたが、やがて父親が再婚して別の女性と暮らしはじめました。
子供にとって父親は父親です。
しかしながら、父親には別の家庭があり、どのようにつき合ったらいいのかわからなくなってしまい、悩みやストレス、戸惑いに発展してしまいます。
子供が親との付き合い方に悩んだ結果、親子の間に溝が生じてしまうこともあるのです。
子供が結婚や恋愛にマイナスのイメージを抱く
親の離婚により子供が結婚や恋愛にマイナスのイメージを抱く可能性があります。
子供が結婚や恋愛にマイナスのイメージを抱くかどうかは子供の年齢や性格、離婚のときの状況などによって変わってきます。
ただ、親の離婚が波乱に満ちたものであれば「結婚しても離婚が待っているのだ」と結婚や男女関係全般に冷めた視点になってしまうことは、十分にあり得ることです。
子供へのストレスを減らす離婚のタイミングは?
子供へのストレスや親の離婚によるマイナスの影響を減らすためには、どのタイミングで離婚すればいいのでしょうか。
親の離婚の良いタイミングとしては「子供の人生の節目」が挙げられます。
子供の学校の学期の区切りや高校の卒業など、ひとつの人生の節目や生活の節目に親の離婚をすると、もともと生活に変化がおとずれることが決まっていたわけですから、子供のストレスなどを軽減できる可能性があるのです。
親の離婚の悪いタイミングは「子供の人生の重要時」です。
たとえば子供が大学受験を控えていたとします。
このようなときに親が離婚してしまうと子供は少なからず生活や金銭、心の影響を受けますので、人生の重大事にも影響を受ける可能性があるのです。
親の離婚が引き金になりストレスや不安で受験に失敗してしまうかもしれません。
なお、子供へのモラハラや暴力がある場合はストレスを減らすタイミングをみはからう以前に、心や体の安全を考えて早期に離婚することが望ましいと言えます。
子供に離婚を上手に伝える方法
親の離婚を進める以上、どこかのタイミングで子供に離婚を伝えなければいけません。
ただ、子供にどのように伝えればストレスや不安が少ないのか、親としては心配ではないでしょうか。
子供に離婚を上手に伝える3つの方法をご紹介します。
離婚しても父母であり子供を大切に思っていることを伝える
親の離婚はあくまで夫婦をやめることであり、子供の親をやめることではありません。
親の離婚があっても親として子供を大切に思っており、子供の親であることは変わらない点をしっかり子供に伝えることが重要です。
そのうえで離婚することを伝えましょう。
子供の中には親の離婚により片親(親権を得ない側の親)ともう会えなくなるのではないかと不安がる子供もいます。
子供と親には面会交流権がありますので、同居はしないが別居する親と会えないわけではないことも伝えてあげると子供のストレス軽減につながります。
離婚の原因が子供にあるわけではないとはっきり伝える
子供の中には両親の離婚の原因が自分にあるのではないかと自分を責める子供もいます。
親の離婚を進めるときは「離婚は親の都合である」ことと「責任は子供にはない」ことをしっかり伝えることがポイントです。
親の離婚の際には子供が自分を責めてストレスにならないよう、子供の気持ちに寄り添って伝えることが重要になります。
離婚前も後も離婚した配偶者の悪口を子供に伝えない
親の離婚を子供に伝えるときは、離婚前も離婚後も子供に配偶者の悪口を言わないことが重要になります。
離婚した配偶者はすでに赤の他人といった立場かもしれません。
離婚の理由が不貞行為などの場合は、配偶者の裏切りにあったような気分になるかもしれません。
そのため、配偶者を責めるような気持ちや憎い気持ちから子供に配偶者の悪口を言ってしまうことがあります。
子供にとって離婚する(離婚した)配偶者は親です。
配偶者が離婚する配偶者に悪感情を持っていても、子供の方は違うかもしれません。
あくまで親の事情で離婚するのですから、親の悪感情に子供を巻き込まないようにすることが重要です。
自分の親に自分の親の悪口を言われる。
子供にとっては複雑です。
年齢によっては悪口を言う親に対してかえって悪感情を抱く可能性もあります。
親の離婚を子供に伝えるときは、配偶者の悪口は控えることがポイントです。
離婚が子供に与える影響を少なくする接し方
親の離婚は子供の気持ちや生活に少なからず影響を与えます。
しかし、離婚時の子供への接し方次第では子供に与える影響を少なくできるのです。
離婚時に子供に与える影響を少なくするためにはどのような接し方をすればいいのでしょうか。
親の離婚について子供の気持ちを聞く場を設ける
親の離婚を親が決めるのは当然のことかもしれません。
親の離婚理由によっては子供のストレスなども考えて子供の耳には入れたくないと考えることでしょう。
しかし、親の離婚は子供の人生に与える影響も甚大です。
親に対して子供が思っていることや、親の離婚についての子供の気持ちなどもあるのではないでしょうか。
子供の意見や気持ちを聞く機会を設けなければ、子供は一生その気持ちを抱えて生きることになります。
たとえ親の離婚が決定事項であっても、一度は子供の意見や気持ちを聞く機会を設けてはいかがでしょう。
子供の気持ちや意見を聞く機会を設けて離婚する配偶者と子供の言葉に耳を傾けることで、子供も自分をないがしろにしているわけではないと、理解を示してくれるかもしれません。
親の言い分だけを一方的に押し付けず、子供の気持ちにも配慮することが重要です。
親の離婚後に別居している親との面会交流を実施する
親の離婚後にも別居した親(離婚した配偶者)と面会交流する機会を設けることで、子供へのマイナスの影響やストレスを軽減できる可能性があります。
特に子供と離婚する配偶者の仲が良好だった場合は親の離婚により子供がふさぎ込んでしまうかもしれません。
面会交流をすることにより親の絆が切れていないことや、親の離婚によっても親子であることを子供にしっかり伝えましょう。
子供に伝えることで、子供へのマイナスの影響を軽減できる可能性があるのです。
子供がいる夫婦が離婚するときに考えておくこと
子供がいる親の離婚では子供の心情やストレスなどの他にも考えておくべきポイントがあります。
離婚後の子供のことです。
子供がいる親の離婚では、離婚を進めるときに以下のことも考えておきましょう。
親の離婚後の子供の親権をどうするか
子供の親権が決まっていないと離婚できません。
なぜなら、離婚届の親権欄に記載がないと離婚届が受理されない取り扱いになっているからです。
離婚するためには子供の親権を父母のどちらが得るか決めなければいけません。
子供のストレス緩和について考えると共に、子供の親権についても考える必要があります。
親の離婚後の子供の養育費をどうするか
親の離婚のときに考えたいのは子供の養育費のことです。
親の離婚があっても、子供は両親の子供であることに変わりはありません。
そのため、離婚後も子供を養育する必要があります。
親権を得る側の親が子供と同居して養育し、別居する親が養育費の支払いというかたちで養育に参加するのが基本です。
子供を親の離婚後に養育するためにも養育費は重要になります。
親の離婚時は忘れずに養育費のことも考えておきましょう。
なお、裁判所では養育費の目安になる「養育費算定表 」を公開しています。
養育費を決めるときの参考になります。
親の離婚後の子供の姓をどうするか
親の離婚があっても、子供の戸籍は自動的に手続きしてもらえるわけではありません。
離婚後に親権者の戸籍に子供を入れるためには、親の離婚手続きの他に別途手続きが必要になるのです。
また、親権者の戸籍に子供を入れる場合は、子供と親の姓が違うと手続きできません。
親と子供の姓を合わせる必要があります。
親の離婚により親権者が旧姓に戻った場合は、子供の姓を親に会わせるために裁判所での手続きを要するため注意が必要です。
裁判所の手続きで子供の姓を変更したら、さらに自治体の窓口で入籍届を提出することになります。
自分や子供の姓をどうするか、離婚時によく考えておくことが重要です。
離婚後の姓についての手続きについてわからないことがあれば、弁護士や自治体の窓口に確認をとっておきましょう。
親の離婚後に非親権者と子供の面会をどうするか
親の離婚後も子供は非親権者と面会交流を通して会うことが可能です。
親の離婚事由によっては面会交流を控えるべきケースもありますし、子供と離婚した配偶者を会わせることに抵抗を持つ人もいるかもしれません。
しかしながら親の離婚後も子供と親は親子ですから、親子の交流の場面を設けることは子供のストレスや不安を軽減するという意味でも重要なことです。
基本的な面会交流の他に、子供の行事などのときに離婚した配偶者が参加できるかどうかなども考えてみてはいかがでしょう。
離婚した配偶者も親である以上、子供の節目に立ち会う権利があります。
成人式や卒業式などはどうするか、離婚する夫婦で話し合っておくことが重要です。
まとめ
親の離婚は子供の取って大きな環境の変化であり、人生の大事です。
親の離婚は子供に良い影響と悪い影響をおよぼす可能性があるため、離婚のときは自分たちのことだけでなく子供のことも考えて進めることがポイントになります。
子供のことも考えて進め、親の離婚によるストレスや不安を軽減するよう努めることが重要です。
親の離婚のときは子供のストレスや不安、影響を考えることも重要ですが、この他に親権や養育費、姓について考えておくことも必要になります。
離婚についてわからないことがあれば、先に弁護士などの専門家に相談して、適切な流れや手続きについて理解を深めてはいかがでしょう。
そのうえで子供のストレスや不安対策をしながら離婚を進めてはいかがでしょうか。