この記事でわかること
- 慰謝料を払えないときにすべきことがわかる
- 慰謝料が払えないときの減額や分割の交渉ポイントを理解できる
- 高額の慰謝料が免除になるケースがわかる
不倫相手の配偶者から高額の慰謝料を請求されたとき、慰謝料額が高額で「払えない」と困ることがあります。
高額の慰謝料は、必ず一括で請求された高額を払わなければならないのでしょうか。
不倫慰謝料は減額や分割払いの交渉が可能です。
交渉次第で不倫慰謝料を大幅に減額できたり、分割払いで払うことを許してもらえたりするのです。
また、不倫慰謝料の請求ケースによっては、不倫慰謝料自体が免除されることもあります。
この記事では、不倫慰謝料が高額で払えないときの減額や分割払いの交渉のポイントについて解説します。
あわせて、高額の慰謝料を請求されて「払えない」と困ったときはまず何をすべきかなど、慰謝料が高額で払えないときにすべきことや慰謝料免除ケースについてもお話しします。
慰謝料を払う義務があるか冷静に確認
高額の不倫慰謝料を請求されたときは、まず「その慰謝料を本当に払う義務があるのか」について確認してください。
不倫慰謝料を請求されると驚いて「何とか払わなければ」と思うかもしれません。
しかし、そもそも不倫慰謝料を請求されるようなことが本当にあったでしょうか。
中には「慰謝料請求される理由がない」というケースもあるのです。
不倫の慰謝料請求をされたら、まずは慰謝料を支払い義務はあるのか、そして金額などは妥当かを確認しましょう。
不貞行為といえない場合は慰謝料を払う必要がない
慰謝料請求の対象になるのは不貞行為です。
不貞行為の有無は肉体関係の有無がラインになります。
つまり、肉体関係があれば不貞行為だと判断されて慰謝料請求が認められやすくなり、肉体関係がなければ慰謝料請求が認められるのは難しくなるのです。
肉体関係がなければ、慰謝料請求は難しいという判断になります。
肉体関係を持っていないのに慰謝料請求された。
特に浮気の関係ではないのに、仕事や私事で連絡をやり取りしていたら誤解された。
このようなケースでも慰謝料請求されることがあるため、まずは不貞行為に該当するか、慰謝料請求に応じる必要自体があるのか、冷静に考えてみましょう。
判断が難しい場合は弁護士に相談することをおすすめします。
不貞行為の慰謝料相場と照らし合わせて金額が妥当か確認する
不貞行為の慰謝料相場は50~300万円です。
慰謝料は最終的に増減要素などを考慮してケースバイケースで判断されるため必ず相場通りの金額になるとは限りませんが、慰謝料相場はひとつの目安として使えます。
たとえば、不貞行為は確かにありましたが、数カ月程度の期間ですぐにやめ、肉体関係の頻度も少なかったとします。
慰謝料請求の時点で、縁はすでに切れていました。
このようなケースで1,000万円の慰謝料を請求されたらどうでしょう。
相場と比較して、あまりに高額ではないでしょうか。
不貞行為で慰謝料請求される理由に心あたりがあっても、慰謝料額が必ずしも適切とはいえません。
相場に対して慰謝料があまりに高額ではないかなど、慰謝料額についても考えてみましょう。
慰謝料相場についてわからないことがあれば、弁護士に確認してください。
不貞行為の慰謝料は当事者2人に責任がある
不貞行為の慰謝料は、浮気相手だけに責任があるわけではありません。
なぜなら、浮気は浮気をした配偶者と浮気相手のふたりでおこなう「共同不法行為」だからです。
責任は基本的に当事者ふたりで負います。
浮気相手が慰謝料200万円を請求された場合、同様に共同不法行為の当事者である浮気した配偶者に対して「責任を半分負って欲しい」という請求が可能です。
具体的には、浮気相手が200万円の慰謝料を払ったら、浮気をした配偶者に半分の100万円を請求(求償)できます。
なお、不貞行為の示談書などでは、配偶者に求償されないように、あらかじめ求償を封じる文言を記載しておくことが一般的です。
示談書などにサインする前に、弁護士に示談内容などについてもチェックしてもらい、アドバイスをもらうといいでしょう。
慰謝料の減額交渉のポイント
慰謝料は請求額をそのまま払う必要はありません。
慰謝料については請求側と請求された側の話し合い(示談交渉)などで最終的な金額を決めます。
不倫慰謝料は減額交渉も可能です。
ただ、慰謝料が高額で払えず減額して欲しい旨を相手に伝えても、減額交渉に応じてくれるとは限りません。
減額を認めてもらいやすくするためにも、ポイントをおさえて減額交渉を進めることが重要になります。
高額で慰謝料が払えないときの減額交渉のポイントはふたつです。
最初に請求される慰謝料額は相場より高額である
不倫の慰謝料は最初の請求額をあえて相場より高額にしているケースがあります。
これは、相手が減額交渉をしてくることを考えて、あえて高額に設定しているからです。
減額交渉されることを前提に慰謝料の金額を設定しているということです。
慰謝料が払えないからといって減額交渉して大丈夫だろうかと気兼ねする必要はありません。
収入状況に対して慰謝料が高額で払えないなど、事情があれば請求相手に伝えましょう。
減額交渉の際は「いくらなら払える」と払える具体的な金額を伝えることもポイントになります。
また、不貞行為をしたという事実があるわけですから、自分の事情だけを強固に押し付けたりせず、相手の心情にも配慮した交渉を心がけましょう。
浮気の慰謝料には期間や頻度などの減額要因がある
浮気の慰謝料は減額交渉をしたからといって必ず減額してもらえるわけではありません。
ただ、減額されやすい要因があれば、その分だけ高額の慰謝料が減額されやすい傾向にあります。
浮気慰謝料の減額要因があれば、事情を説明して減額してもらえるよう交渉することがポイントです。
慰謝料減額の要因は、浮気の期間の短さや頻度の少なさ、謝意、既婚者だと知らなかった、などです。
この他に、夫婦が浮気で離婚していないなどの要因があれば、家庭に与えた影響が少ないとして減額の可能性があります。
浮気慰謝料の減額要因はいくつも重なっていることがありますので、弁護士に事情を話して減額の可能性があるポイントをチェックしてもらったうえで、交渉のアドバイスなども受けておくといいでしょう。
慰謝料の分割交渉のポイント
浮気の慰謝料が高額で払えない場合は分割払いを申し入れるという方法もあります。
ただ、減額と同じく請求側は必ず分割払いに応じる義務はないため、ポイントをおさえて交渉することが重要になるのです。
分割払いの交渉ポイントはふたつあります。
分割1回で払える金額や期限などを相手にしっかり伝える
分割払いの申し入れをしたとしても、具体的に月あたりどのくらいの金額を払えるのかわからなければ、請求側は分割払いに応じるかどうかの判断が難しくなります。
月あたりどのくらいの金額を払えるのか。
何回払いを希望しているのか。
支払い期限はいつがいいのか。
以上のような情報は、請求相手にしっかり伝えましょう。
なお、慰謝料は一括払いが基本です。
なぜ分割払いでなければ払えないのかなど、事情も伝えることで交渉に応じてもらいやすくなります。
連帯保証人などの条件をつけられたら弁護士に相談する
分割払いの交渉をすると「もしものために連帯保証人をつけて欲しい」などの条件をつけられることがあります。
慰謝料は基本的に一括払いであり、分割払いに応じることには請求側にも「滞納があるかもしれない」「途中で逃げられるかもしれない」などの不安があるため、条件をつけることがあるのです。
連帯保証人などの条件をつけられたら、弁護士に一度相談することをおすすめします。
相手側が要求する条件にハードルが高いと感じるときも即座に承諾せず、一度条件を持ち帰ってしっかり検討することをおすすめします。
そのうえで、連帯保証人をつける必要があり、引き受けてくれる親などの親族がいれば話してみるといいでしょう。
慰謝料が免除になるケースとは?
浮気の慰謝料請求の中には、慰謝料自体が免除になるケースもあるのです。
浮気の慰謝料を免除できる可能性があるのは、次のようなケースになります。
配偶者から高額の慰謝料を受け取っている
浮気の慰謝料を二重取りはできません。
浮気の慰謝料が200万円の場合、浮気相手から200万円、配偶者からも200万円受け取れるわけではなく、浮気相手と配偶者共同で200万円の責任を負います。
配偶者からすでに十分な慰謝料を受け取っている場合に慰謝料請求された場合は、慰謝料の減額や免除ができる可能性があるのです。
浮気前から夫婦関係が破綻していた
浮気前から夫婦関係が破綻していた場合は、浮気慰謝料を免除できる可能性があります。
夫婦関係が破綻していれば、家庭という守るべきものはなく、浮気によって家庭が壊れることもあり得ません。
すでに壊れていたわけですから。
浮気をした時点ですでに家庭が壊れていた場合は浮気による不法行為が成立せず、慰謝料請求の対象にならない可能性があるのです。
既婚者だと知らずに浮気をした
既婚者だと知らずに浮気した場合や、浮気相手に「結婚していない」とウソをつかれて浮気した場合は慰謝料が免除される可能性があります。
浮気について過失がなければ、浮気慰謝料の請求対象にはなりません。
そもそも浮気をしていなかった
浮気慰謝料を請求されても、浮気自体をしていない場合は浮気慰謝料の支払い義務はありません。
していないことの責任を取る必要はないからです。
浮気をしていないケースとは、配偶者から勘違いされたなどのケースが該当します。
弁護士に相談することで減額・分割・免除がスムーズになることも
浮気慰謝料の減額・分割払い・免除の交渉をするときは弁護士に相談することをおすすめします。
浮気の慰謝料を減額してもらえるかどうかや、分割払いに応じてもらえるかどうかは、浮気慰謝料の請求相手との交渉次第です。
浮気慰謝料の請求相手は必ずしも減額や分割払いに応じる義務はないからです。
浮気慰謝料を支払う側の払えない事情や減額要因などの、どのように主張するかも問題になります。
相手は浮気によって心が傷ついたから慰謝料請求しているわけですから、交渉時の言葉や態度によっては減額などに応じてもらえない可能性もあるのです。
また、浮気慰謝料の減額や免除を求めるためには、浮気の事情の中に減額や免除できる要因があるのか判断できなければいけません。
減額や免除の要因があるか判断するためには、実務や法律の知識が必要になります。
浮気慰謝料の請求相手とスムーズに交渉したい。
免除や減額の要因を正しく判断し、主張したい。
このようなときは自分で交渉や判断せず、専門家である弁護士に任せることをおすすめします。
まとめ
浮気の高額慰謝料を請求されたときは、まず「この慰謝料は本当に払う必要があるのか」という点から検討することが重要です。
浮気の事実がなければ慰謝料を払う必要はありません。
他にも浮気慰謝料には慰謝料免除の要因などがあるため、浮気事情の整理などもおこないましょう。
浮気慰謝料を払わなければならない場合でも、高額で払えないときは減額交渉などが可能です。
弁護士に相談し、ケースにあわせて適切な交渉や主張をおこなうことがポイントになります。
不安なことがある場合も、早めに弁護士に相談しましょう。