この記事でわかること
- 支払い能力ない相手から慰謝料を回収する方法がわかる
- 強制執行の方法とデメリットを理解できる
- 弁護士への相談で慰謝料回収できるケースがわかる
不倫相手に慰謝料を請求しても、その不倫相手が必ずしも潤沢な資力を有しているわけではありません。
中には慰謝料を請求しても、不倫相手が慰謝料を払えないというケースがあるのです。
支払い能力ない不倫相手の場合は、慰謝料を諦めなければいけないのでしょうか。
支払い能力ない不倫相手から慰謝料を回収する方法もあります。
支払い能力ない不倫相手だからといって慰謝料を諦める必要はないのです。
この記事では、支払い能力ない不倫相手から慰謝料を回収する方法について解説します。
相手に慰謝料の支払い能力がない
不倫相手に慰謝料を請求しても、不倫相手に支払い能力がなければ、慰謝料を払ってもらうことは難しいのが現実です。
たとえば、不倫相手に預金がなく、収入も生活するのにぎりぎりだったとします。
この状況で慰謝料を請求しても、無い袖は振れません。
結果、慰謝料を請求しても払ってもらえず、泣き寝入りしなければならないと思うのではないでしょうか。
不倫慰謝料は不倫という不法行為に対する責任です。
「お金がないから」で払わなくていいというわけではありません。
支払い能力ない不倫相手から慰謝料を回収する方法もあるのです。
不倫相手から「払えない」といわれたときは、不倫相手に慰謝料の支払い能力がない からと諦めず、強制執行や弁護士への相談といった方法で慰謝料を回収できないか検討してみましょう。
強制執行で財産を差し押さえることも可能
慰謝料を請求した不倫相手に支払い能力がない 場合は「強制執行」という方法で慰謝料を回収できる可能性があります。
強制執行とは、裁判所に申し立てることによっておこなう「不倫相手の財産を強制的に回収し、回収した財産から慰謝料を受け取る」という方法です。
強制執行は借金や養育費などの回収でも使われることのある、強力な回収方法になります。
不倫相手が「お金がない」といっても、強制執行の前では意味がありません。
公権力による強制的な回収ですから、言葉や情で強制執行をやめてもらうことはできないのです。
強制執行の対象になるのは、給与などの債権、不動産、動産などです。
強制執行の対象になる財産により、「動産執行」「不動産執行」「債権執行」など、名前が異なっています。
不倫相手から強制執行で慰謝料を回収する流れ
不倫相手から強制執行で慰謝料を回収するときは、まず強制執行の材料である債務名義などがそろっているか確認します。
給与へ強制執行する場合は、不倫相手の財産状況や給与をもらっている勤め先なども確認しておく必要があります。
強制執行の条件がそろっており、なおかつ財産の在り処なども確認できたら、必要書類をして裁判所に強制執行の申し立てをおこないます。
申し立てが適正に受理されれば、強制執行がおこなわれるという流れです。
不倫相手の不動産に強制執行する場合は、不動産を差し押さえて、不動産を競売で換金して売却金から慰謝料を回収するという流れになります。
動産の場合も同じく競売などで売却し、売却金から慰謝料を回収するのです。
不倫相手の給料に強制執行した場合は、差し押さえの通知が不倫相手の勤め先に届きます。
しかる後に、給料から慰謝料の回収をおこなう流れです。
不倫相手に支払い能力なくても、給料や不動産への強制執行を使えば、慰謝料を回収できる可能性があります。
強制執行のデメリット
強制執行は慰謝料の回収方法として強力な方法ですが、デメリットもあります。
デメリットを考えず「不倫相手に支払い能力ないので強制執行をしよう」と行動をおこすと、思わぬデメリットで足元をすくわれる可能性もあるのです。
不倫の慰謝料を強制執行で回収する場合は、強制執行のデメリットと強制執行で得られるメリットを比較して決めることが重要です。
強制執行が適切かどうか判断できない場合は、弁護士に相談して決めることをおすすめします。
不倫相手に慰謝料の支払い能力ない場合の強制執行のデメリットは3つです。
債務名義がないと強制執行できない
強制執行は強力な慰謝料の回収方法です。
不倫相手が「支払えない」といっても、公権力による財産の強制的な回収ですから、お目こぼししてもらうことなどできません。
強制執行が発動した以上、財産の回収は強制です。
ただ、強制執行は強力ゆえに債務名義などの材料がそろっていないと、使えない方法になります。
債務名義とは、債務の存在がわかる公文書のことです。
裁判の確定判決や公証役場で作成した執行認諾文言付き公正証書などが債務名義にあたります。
債務名義がなければ、裁判や公正証書の作成など、債務名義を取得するところからはじめなければいけません。
なお、不倫相手と取り交わした私的な示談書は私文書ですから、債務名義にはなりません。
私文書ではなく、公文書でなければいけないのです。
強制執行の手続きには実務や法律の知識が必要
強制執行で支払い能力ない不倫相手から慰謝料を回収するとします。
しかし、回収すべき財産を持っているのか、そして具体的にどこに財産があるのか、どのように調べるでしょうか。
不倫相手に尋ねても、強制執行されることを理解して教えてくれる人など、まずいないことでしょう。
強制執行は財産の情報が必要ですから、財産についてどのように調べるかが問題になるのです。
強制執行の前段階として財産の情報を掴むことや、財産状況を探ることは、強制執行に慣れた実務経験のある弁護士だからこそスムーズにできることです。
強制執行に慣れていない人には、支払い能力ない不倫相手の財産状況を掴むことは困難だというデメリットがあります。
さらに、強制執行の手続きには法的な知識が必要です。
強制執行の手続きは裁判所でおこないます。
法的な知識がなければ手続きに時間がかかってしまい、支払い能力ない不倫相手に、慰謝料の強制執行を察知されてしまうこともあるのです。
慰謝料の請求側が自分でおこなうためには、実務経験や法的知識がネックになるというデメリットがあります。
強制執行しても支払い能力ない不倫相手から回収できないことも
強制執行をしたからといって必ず慰謝料を回収できるわけではありません。
たとえば支払い能力ない不倫相手が無職だった場合、会社の給料に強制執行することは不可能です。
不動産を所有していなければ、不動産を差し押さえて強制執行することもできません。
預金がなければ、預金をおさえて慰謝料を回収することもできないのです。
このように、強制執行をしても不倫相手から慰謝料を回収できないこともあります。
支払い能力ない不倫相手の場合は、不動産や預金などを潤沢の持っていることも、あまりないかもしれません。
給料も生活に必要な最低限で、強制執行が制限される可能性もあります。
強制執行をしても、執行対象になる財産がなければ慰謝料の回収はできないというデメリットがあるのです。
弁護士に相談することで慰謝料を回収できる場合も
支払い能力ない不倫相手から慰謝料を回収する方法としては、強制執行よりも弁護士へ慰謝料回収の相談をする方が現実的かもしれません。
慰謝料の請求のときに支払い能力ないことを理由に「払えない」といった不倫相手でも、弁護士が交渉することで支払いに応じる可能性があります。
慰謝料請求側が相手なら「払えない」で慰謝料の支払いを誤魔化せると思っていても、弁護士が出てくると「裁判になるかもしれない」「専門家が出てきた」と警戒するからです。
弁護士が交渉することで、当初「払えない」だけだった慰謝料について、交渉次第である程度の額を払ってもらえるケースが実際にあります 。
また、本当に支払い能力ないという場合でも、不倫という結果に対して責任追及したい場合は、弁護士が粘り強く交渉することで、不倫相手が可能な限り払える額で交渉をおこない、払ってもらえるケースがあります。
このように、弁護士が支払い能力ない不倫相手に慰謝料の交渉をすることで、ケースや事情にあわせた慰謝料を回収できる可能性が高い のです。
弁護士に相談のうえで、弁護士から不倫相手に慰謝料の交渉をしてもらうといいでしょう。
まとめ
不倫相手に慰謝料を請求しても、不倫相手に慰謝料の支払い能力ない場合は、慰謝料を払ってもらうことが難しくなります。
不倫相手によっては支払い能力ないことを理由に、慰謝料の支払いを拒絶することもあるのです。
また、生活面から慰謝料の支払いが難しいケースもあります。
支払い能力ないからといって、不倫慰謝料を払わなくていいというルールはありません。
不倫相手に支払い能力ない場合は、強制執行や弁護士による交渉で回収する方法があります。
不倫慰謝料問題に強い弁護士に、まずは相談してみてはいかがでしょう。