この記事でわかること
- 浮気相手が慰謝料を払わない理由がわかる
- 浮気相手が慰謝料を払わないときに払わせる方法が理解できる
- 慰謝料の不払いトラブルを未然に防ぐ方法がわかる
浮気の慰謝料を請求しても、浮気相手が素直に支払いに応じるとは限りません。
資力などの関係で浮気相手が慰謝料を支払うことが難しいケースもあれば、慰謝料の支払い自体を拒否するケースもあります。
慰謝料を払わない浮気相手に慰謝料を払わせる方法はあるのでしょうか。
この記事では、慰謝料を払わない浮気相手の事情にあわせて、慰謝料を払わせる方法を解説します。
あわせて、浮気慰謝料の不払いトラブルを未然に防ぐ方法についても説明します。
浮気相手が慰謝料を払わないのはなぜ?
そもそも、浮気相手はなぜ浮気の慰謝料を払わないのでしょう。
浮気相手には浮気相手の理由があります。
理由によって慰謝料を払わせる方法が違ってくるため、まずは浮気相手が慰謝料を払わない事情にどのようなものがあるか、事情を理解するところからはじめましょう。
浮気相手が慰謝料を払わない理由は6つあります。
浮気をしていないから慰謝料を払わない
浮気の慰謝料請求をする側にとっては「浮気した」という確認があったからこそ慰謝料請求したわけですが、浮気の慰謝慮を請求された側にとっては「浮気などしていない」というケースがあります。
浮気慰謝料を請求された側が浮気をしていないからこそ、慰謝料の請求に応じないわけです。
このケースでは、本当に浮気をしておらず誤解であるというケースと、浮気はしたが「していない」と言い張っているケースがあります。
浮気がなければ、慰謝料請求の原因自体がないわけですから、慰謝料請求はできません。
浮気をしたのに「していない」と言っている場合は、どのように対処するか考える必要があります。
既婚者だと知らずつき合い結果的に浮気になった
浮気の中には、浮気だと知らずに付き合ったケースがあります。
たとえば、配偶者が「未婚だ」と嘘をついて浮気をし、浮気相手も過失なく既婚者ではないと信じたケースです。
このケースでは、本当に既婚者ではないと信じて付き合ったケースと、既婚者だと知らないと主張すれば責任を免れられると思って主張しているケースがあります。
後者の場合は、どのように慰謝料を回収するか方法を検討する必要があるのです。
婚姻関係について誤解があったので慰謝料を払わない
夫婦の婚姻関係が破綻していると勘違いして浮気したケースになります。
婚姻関係がすでに破綻している場合、浮気をする前にすでに夫婦仲は壊れていたわけですから、浮気によって壊れる夫婦仲は存在しませんでした。
婚姻関係が破綻している状況で浮気をしても、浮気の責任追及はされません。
ただ、誤解していた場合は話が別です。
たとえ婚姻関係が破綻していたと思っていても実際は破綻していなかった場合は、浮気は浮気です。
しかしながら、浮気相手が「家庭が壊れていたと言われていた」と言い訳し、慰謝料の支払いを拒むことは、十分にあり得るケースになります。
浮気関係が無理矢理によるものだった
浮気相手が自分の意思で浮気をしたのではなく、無理矢理性的な関係になったケースもあります。
たとえば、暴力や脅迫などで肉体関係に及んだ場合は、配偶者が異性と関係を持ったとしても、浮気とは異なり、場合によっては犯罪になる可能性があるのです。
ただ「無理矢理だった」と浮気相手が主張しても、ただ単に「何度も誘われた」「強気に迫られた」などのケースは、脅迫や暴力とは異なります。
断ろうと思えば断れるケースを「無理矢理だった」と表現し支払いを免れるための言い訳に使っているのか判断したうえで、慰謝料の回収を進めることが重要です。
自分だけ浮気の責任を追及されることが不満である
浮気はふたりでするものです。
配偶者の責任は追及せず浮気相手だけに責任追及すると「あなたの配偶者も浮気の当事者だ」「なぜ自分だけ責任追及されるのか」と浮気相手が憤り、慰謝料請求に応じないことがあります。
慰謝料を当事者のどちらに請求するか。
あるいはどちらにも請求するかは、浮気の被害者側の裁量です。
浮気については、双方が全額の慰謝料の支払い義務を負うため、自分にだけ責任追及されて不満だから払わないという主張は通用しません。
責任追及について不満を主張する浮気相手からどのように慰謝料を回収するかが問題になります。
経済状況から慰謝料の支払いができない
浮気の慰謝料を浮気相手が払うつもりがあっても、なくても、資力自体がなければ、浮気相手は慰謝料の支払いはできません。
たとえば、浮気相手は浮気について責任を感じており、謝意も持っていました。
慰謝料の請求にも応じるつもりでした。
しかし、現実問題としてお金がありません。
収入は生活費やローンの支払いなどで精一杯で、預金もありません。
このような状況では、慰謝料請求に応じたくても支払い自体ができないはずです。
慰謝料請求の相手に資力がない場合は、そのような方法で慰謝料を払ってもらうかが問題になります。
慰謝料を払う能力がない場合の対応方法
浮気相手に資力がない場合はどのような対応方法で慰謝料を回収したらいいのでしょう。
浮気相手の資力の問題で浮気相手が慰謝料を払ってくれない、あるいは払うことが難しいという申し入れがあった場合は、ふたつの慰謝料を払わせる方法が考えられます。
慰謝料の減額をするかわりに払うように説得する
ひとつ目の方法は「慰謝料の減額をするかわりに慰謝料を払ってくれるよう提案する方法」になります。
たとえば、慰謝料の額が200万円だったとします。
浮気相手は慰謝料200万円を一括で支払う資力がないため、慰謝料には応じる姿勢を見せているものの、現実的に慰謝料を払えないという状況でした。
このようなケースでは、慰謝料額を浮気相手と調整のうえで減額し、減額した慰謝料を払ってもらう方法があるのです。
例の200万円の慰謝料請求ケースで浮気相手が「170万円なら払える」と言うなら、慰謝料をおまけして170万円に切り替えて、減額するかたちで払わせる方法です。
慰謝料を分割払いで払うよう提案する
浮気相手が一括で慰謝料を払うことが難しい場合は、分割払いで払わせる方法もあります。
一括で200万円の慰謝料の支払いが難しいケースでも、月10万円など、少額なら浮気相手も払えるかもしれないからです。
まとまった慰謝料額自体の支払いが難しい場合や、慰謝料を一括で払ってもらうためにはあまりにも減額しなければ資力の関係で支払いできないケースなどは、分割払いを検討する余地があります。
ただ、慰謝料の分割払いは、慰謝料を受け取る側にとってはリスクとデメリットのある方法です。
慰謝料を一括払いしてもらえば、一括でまとまった金額が手に入り、一回の支払いで浮気相手との縁も切れます。
対して分割払いでは、まとまった金額を一括で入手できず、浮気相手との縁も続くというデメリットがあります。
分割払いにした場合に浮気相手が約束をしっかり守って支払うという確証もないのです。
浮気相手が支払いから逃げたり、滞納したりするリスクもあるため、分割払いで浮気の慰謝料を払ってもらう場合は、支払いが遅れたときの遅延損害金のルールなどを定めておきましょう。
慰謝料の支払いを拒否しているときの対応方法
浮気していない。
自分だけ責任を取るのは不公平だ。
何らかの理由で浮気相手は慰謝料の支払いに応じない場合や慰謝料の支払い自体を拒絶している場合は、4つの慰謝料を払わせる方法があります。
ケースにあわせて適切な対応方法を選びましょう
浮気相手に証拠を見せて払わせる方法
浮気相手が浮気を否定しているために慰謝料の支払いを拒否している場合は、浮気の証拠を提出して言い逃れできないようにして、慰謝料を払わせる方法があります。
浮気を否定している相手でも、浮気の証拠を突きつけることで浮気を認め、慰謝料請求に応じるかもしれません。
浮気の証拠には、以下のようなものがあります。
- ・ラブホテルに出入りしている写真や動画
- ・性行為の写真や動画
- ・探偵の調査報告書
- ・浮気を認める自白の音声データ
- など
浮気の証拠は「肉体関係を持ったことがわかる証拠」が必要です。
ただ、決定的な証拠がない場合でも、いろいろな証拠を積み上げて浮気を証明できる可能性があります。
内容証明郵便で慰謝料を払わせる方法
内容証明郵便を使って慰謝料の支払いを促すという方法があります。
内容証明郵便とは、日本郵政つまり郵便局に送付の事実と内容が残る郵便のことです。
内容証明郵便は証拠の残る郵便ですから、普通郵便や電話、口頭での慰謝料請求のように「見ていない」「知らない」などの言い逃れができません。
また、法的な手続きの前段階(証拠づくり)の際にも内容証明郵便は使われますので「この後、裁判を起こされるのではないか」と警戒心を抱き、慰謝料を素直に払ってくれる可能性があるのです。
慰謝料請求裁判で払わせる方法
裁判所で慰謝料請求裁判を起こして浮気相手に慰謝料の請求をおこないます。
裁判では主張や証拠を出し合い、最終的に裁判官から判決を下されるかたちになるのです。
慰謝料の話し合いに応じなかった浮気相手や、慰謝料の支払いを渋っていた浮気相手も、裁判になれば慌てて出てきたり、判決があれば諦めて払ったりする可能性があります。
裁判は法的な知識を要するため、弁護士に相談することをおすすめします。
強制執行で慰謝料を払わせる方法
裁判をしても、判決を無視して払わない浮気相手もいます。
裁判をしたからといって裁判所が自動的に慰謝料を回収してくれるわけではなく、浮気相手が支払いに応じない場合は自分で回収しなければならないのです。
このときに使える方法が強制執行です。
強制執行とは、浮気相手の財産を強制的におさえて回収する方法になります。
裁判の判決などの債務名義を持っている人だけが使える強力な慰謝料を払わせる方法です。
なお、債務名義さえ持っていれば、いきなり強制執行が可能です。
浮気の慰謝料について執行認諾文言が記載されている公正証書などを持っている人は、その公正証書でも強制執行できます。
不払いのトラブルを未然に防ぐには?
不払いのトラブルを未然に防ぐためには、弁護士に相談することが効果的です。
先に弁護士に相談することで「不払いが起きたらどうするか」も視野に入れたサポートを受けられます。
たとえば、浮気慰謝料の話し合いをまとめた段階で公正証書を作成しておけば、不払いが起きたとき即座に強制執行が可能です。
公正証書などを作成することで、浮気の当事者に「支払わなければならない」というプレッシャーも与えられます。
浮気の当事者が不払いを起こすことを想像して対策できますので、弁護士に相談してケースにあわせた対策を取っておきましょう。
まとめ
浮気相手が慰謝料を払わないことには経済力などの理由が存在している可能性があります。
資力などを理由に払えない場合は、減額や分割払いなどの方法で、浮気相手が慰謝料を払ってくれることもあるため、方法をよく検討してみてください。
他の理由の場合も、浮気相手が慰謝料を払いたくない理由に応じて慰謝料の回収方法を使い分けましょう。
浮気の慰謝料を払ってもらえない。
浮気相手の言い分に困惑している。
慰謝料の適切な回収方法がわからない。
このようなときは弁護士に相談することをおすすめします。
あらかじめ慰謝料の未払い対策をしたいときも、弁護士に相談しておきましょう。