誰に頼めばいい?離婚届の証人欄 | 離婚弁護士マップ
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誰に頼めばいい?離婚届の証人欄

離婚を成立させるために役場に提出するのが離婚届です。法律上、離婚届には2人の証人に署名してもらうことが必要とされています。婚姻届の場合と比べて、離婚届の証人は誰になってもらうべきなのか悩むことが多いでしょう。
この記事では、離婚届に証人の署名が必要とされる理由や、誰に証人になってもらえばいいのか、頼める人がいない場合にどうすればよいのかについて解説いたします。さらに、離婚届に証人の署名をもらうときの具体的な注意点についても説明します。

離婚届の書き方について詳しく知りたい方は、「提出前に確認しておこう 正しい離婚届の書き方」を参照してください。

離婚届に証人の署名が必要な場合とは

離婚を成立するための手続には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つがあります。協議離婚とは夫婦間の話し合いに基づき離婚を成立させる手続をいい、調停離婚、審判離婚、裁判離婚は夫婦間に争いがある場合に家庭裁判所を介して離婚を成立させる手続をいいます。
いずれの場合でも離婚を成立させるためには基本的に離婚届の提出が必要です。ただし、離婚届に証人の署名をしなければいけないのは4つの手続のうち「協議離婚」のみで、家庭裁判所を介した手続では必要とされていません。

協議離婚について詳しく知りたい方は、「協議離婚の進め方 注意点やポイント 後悔しないために確認したいこと」を参照してください。

離婚届に証人の署名が必要な理由

では、協議離婚の場合に離婚届に証人2名の署名が必要とされているのはなぜでしょうか。その理由は主に2つあります。

1. 虚偽の離婚の届出がなされるのを防ぐため

役所は離婚届の形式的のみチェックし、わざわざ当事者に離婚の意思があるかどうか確認することはしません。日本で年間に提出される離婚届の件数は数十万件にも及び、その一件一件について当事者の意思を確認することは現実的ではないからです。
そこで、離婚届が当事者の意思の元で作成された真正なものであるということを一定程度担保するために、証人の署名が必須とされているのです。
調停離婚、審判離婚、裁判離婚では証人の署名が必要とされていないのは、家庭裁判所が関与することにより離婚が正当であることを担保できるからです。

2. 当事者が軽い気持ちで離婚をしてしまうのを防ぐためです。

離婚は当事者だけでなく子どもや親族など周囲の人にも影響を与えうるものです。当事者だけで話をしていればつい感情的になってしまい、冷静な判断ができない可能性が高いでしょう。証人による署名を必須とすることで、本当に離婚すべきなのか第三者に意見を聞き、一定の覚悟をした上で離婚届を提出してもらうことができます。
配偶者が離婚したがっているがあなたが離婚を求めていない場合は、相手に証人を立てるように求めることにより、離婚を思いとどまってくれる可能性もあります。

離婚届の証人になると不利益はある?

離婚届の証人になってもらったからといって、その人に何らかの不利益が課されることはありません。先に述べたとおり、証人による署名はあくまで手続上の要件として求められているに過ぎず、お金の借入れをするときの連帯保証人のように、それにより法律上の権利や義務が発生するものではないのです。
ただし、人によっては離婚届に署名・押印をするという行為が精神的な負担となる可能性があります。証人になることを依頼するときには、証人になることにより何ら不利益はないことを説明するとともに、丁重にお願いするべきでしょう。

離婚届の証人になれる人とは

離婚届の証人は「離婚をする本人以外の成人」であればよく、法律上、それ以外の資格は要求されていません。証人は2人必要ですが、夫と妻の双方から一人ずつ選ばなければいけないという決まりもありません。例えば夫の両親が証人となっても構いません。
それゆえに、離婚届を作成するときには誰に証人になってもらうべきかが問題となります。

離婚届の証人を誰に頼めばよいか

1. 両親に頼む

すぐに思い浮かぶのは両親でしょう。
親は最も身近な存在ですし、自分の子どもの人生のためであれば証人になることを引き受けてくれる可能性が高いでしょう。また、離婚は夫と妻の両家の関係に影響を与える行為ですので、婚姻の届出をするときと同様に、お互いの両親に話を通した上で婚姻を解消するというのが自然でもあります。誰に頼むか悩んだときには、まずお互いの両親に頼めるかどうか検討するのがよいでしょう。
ただし、離婚に至った経緯によっては両親に話をしづらい、あるいは離婚に反対されていて頼みづらい場合もあるでしょう。また、両親がすでに他界しているということも考えられます。そのような場合には別の人に他の頼むのがよいでしょう。

2. 親族に頼む

兄弟・姉妹やおじ・おばなど、両親以外の親族に頼むのも一つの手段です。特に、仲の良い兄弟や姉妹であれば両親に頼みづらいこともお願いできることが多いでしょう。子どもが証人になっても問題ありませんが、歳に達していなければ証人にはなれませんので注意しましょう。

3. 知人・友人に頼む

両親や親族に依頼しにくい場合は、信頼できる知人・友人に頼むのも一つの手段です。離婚するべきかどうか悩んでいるときに相談した友人や、過去に離婚経験がある友人が周りにいれば、お願いしてみるのもよいでしょう。
ただし、あくまで丁重に依頼し、断られたときにはしつこくならないように注意をしないと、最悪の場合は友人関係に傷がつくおそれもあるので注意しましょう。

離婚届の証人を頼める人がいない場合

どれだけ考えても証人になってもらうよう頼める人がいない、あるいは証人になってくれそうな人に頼んだけれども断られてしまったような場合はどうするべきでしょうか。

1. 弁護士に頼む

離婚手続を依頼した弁護士がいれば、弁護士に証人になってもらうよう依頼する方法があります。
離婚手続の専門家である弁護士は離婚届の証人になることで何ら不利益が生じないことを当然理解していますし、離婚事件の依頼を受けた弁護士は依頼者の離婚が成立させることを目的として活動していますので、承諾してくれる可能性があるでしょう。ただし、弁護士によっては依頼者の証人にはならないと決めている場合もなくはありませんので、不安であれば委任契約を締結する前に確認しておくのがよいでしょう。

2. 離婚届証人代行サービスを利用する

離婚届証人代行サービスといって、1万円程度の費用で離婚届の証人となってくれるサービスもあります。誰も頼める人がいない、親族や友人に知られずに離婚を成立させたい、あるいは親族や友人との間に心理的なわだかまりを残したくないような場合には、このようなサービスを検討するのもよいでしょう。

証人に署名を頼むときの注意点

離婚届の証人欄には、証人の署名、生年月日、住所、本籍、そして印鑑が必要です。
印鑑を捺す際には必ず朱肉を使う必要があり、シャチハタなどでは受理してもらえません。
さらに注意が必要なのは、同姓の人に証人になってもらうときの印鑑です。両親に証人になってもらうような場合、届出人と証人、あるいは2名の証人の苗字が同じ場合があります。そのような場合、印鑑はそれぞれ別のものを使用する必要があり、同じ印鑑は使用できません。

最後に

離婚届に証人が必要とされているのは、婚姻関係を終了させることは当事者だけでなく周囲にも影響する重みのある手続。離婚は婚姻関係を終了させる手続であると同時に、人生の新たな一歩を踏み出すための手続でもあります。誰に証人になってもらうか検討するときに、離婚を選択することの意味についても今一度思いを巡らせてみるのもいいかもしれません。

監修弁護士
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