この記事でわかること
- 不貞行為で慰謝料を請求できるケースがわかる
- 慰謝料の基本的な相場を理解できる
- 不貞慰謝料増額ケースや増額で請求する方法がわかる
不貞行為の慰謝料を請求しても、その慰謝料の額に納得できないことがあります。
せっかく勝ち取った慰謝料の額に納得できないと、徒労感に襲われる人もいるでしょう。
そういう人にお伝えしたいのは、不貞行為の慰謝料はケースによって増額できる可能性があるということです。
この記事では不貞行為の慰謝料を請求できるケースで、慰謝料を高額に請求する方法や不貞慰謝料を増額できるケースについて解説します。
不貞行為をされて、慰謝料を増額したいと考えている人は参考になさってください。
不貞行為をされたときに慰謝料請求ができるケース
不貞慰謝料の増額ケースや増額請求する方法を説明する前に、まずは不貞行為の慰謝料請求の基本的な知識について確認しておく必要があります。
不貞行為をされても必ず慰謝料請求できるわけではありません。
不貞行為をされた場合、慰謝料請求できるケースとできないケースがあるのです。
慰謝料請求できないケースでは、そもそも慰謝料自体がありませんから、不貞慰謝料増額もできません。
具体的にどういうことか見てみましょう。
慰謝料請求できるケースの条件とできないケース
不貞行為で慰謝料請求するためには3つの条件があります。
- ・不貞行為が実際にあったこと
- ・不貞行為に故意や過失があったこと
- ・権利の侵害があったこと
不貞行為により慰謝料請求が認められるためには、実際に不貞行為がなければいけません。
たとえば、妻が夫の不貞行為を指摘したとします。
しかし、妻は夫と部下の女性が喫茶店で仕事の打ち合わせをしているシーンを不貞行為だと勘違いしていました。
このような勘違いで慰謝料請求が認められてしまうと、世の中が慰謝料請求だらけになってしまいます。
実際に不貞行為がなければ慰謝料請求はできません。
また、人によって浮気の定義はさまざまです。
人によっては異性と話していただけで浮気を疑うかもしれません。
慰謝料請求が認められる不貞行為のラインは、肉体関係です。
手淫や口淫など、性交類似行為も不貞行為になります。
肉体関係や性交類似行為が不貞行為のラインになりますので、これらがない場合は慰謝料請求が認められにくくなるのです。
不貞行為や性交類似行為があれば、慰謝料請求は認められやすくなります。
不貞行為には故意と過失も必要になります。
故意とは知っていて不貞行為をしたことを意味します。
結婚していると知っているのに不貞行為に走ったことが故意です。
過失とは注意不足のことを意味ます。
少し注意すれば結婚していると気づけたはずなのに、注意力不足で気づかなかった。
このようなケースは過失ありと認められ、慰謝料請求できる可能性があります。
不貞行為で慰謝料を請求するためには、権利侵害がなければいけません。
たとえば、円満な関係を築いていた夫婦がいたとします。
夫婦の片方が不貞行為に走ったせいで、関係が壊れてしまいました。
このようなケースでは、権利の侵害が認められる可能性があります。
対して夫婦関係がすでに破綻していた場合は、侵害する権利はありません。
権利侵害が認められず、慰謝料請求が難しい可能性があるのです。
慰謝料請求の基本の相場とは
不貞慰謝料が増額できるケースや増額請求のためには、不貞行為の基本的な慰謝料相場をおさえておくことも重要です。
なぜなら、慰謝料相場をおさえておかないと、自分の請求する慰謝料が高額なのか分からないからです。
高額請求や、不貞慰謝料増額のためのベースになる知識です。
不貞行為の慰謝料相場は50~300万円です。
不貞行為の慰謝料相場は、離婚に至ったかどうかによって変わってきます。
不貞行為で離婚に至っていないケースの慰謝料相場は、50~100万円です。
不貞行為が原因で離婚したケースの慰謝料相場は、100~200万円になります。
ただし、不貞行為の相手が妊娠や出産したなどのケースは慰謝料金額の相場がアップする可能性があり、ケースによっては300万円以上になることもあるのです。
不貞行為の慰謝料は、ケースによって慰謝料の額が判断されるため、相場はあくまで目安になります。
たとえば、不貞行為で離婚した場合の慰謝料相場は100~200万円ですが、事情を考慮した結果、相場より額が小さくなることもあるのです。
反対に、増額できるケースに該当して、慰謝料額が不貞行為の慰謝料相場より高額になることもあります。
慰謝料をできるだけ高額に請求する方法
不貞慰謝料の増額請求のためには5つの方法があります。
方法を順番に説明します。
不貞行為の証拠をしっかり集めて請求する方法
不貞行為の証拠が乏しければ、不貞行為の相手や配偶者は証拠が乏しいことを根拠に、慰謝料額を低く見積もるかもしれません。
肉体関係があったことが分かる写真や動画、ラブホテルに出入りしている写真や画像など、証拠になるものをしっかり用意することで、浮気相手や配偶者の言い逃れを封じます。
結果的に、正当な慰謝料額を請求できる方法になるのです。
不貞行為による損害を立証して請求する方法
不貞行為による損害が大きければ、不貞慰謝料の増額請求ができる可能性があります。
家庭が破綻したことによる精神的な苦痛などの損害は、不貞慰謝料を増額して請求するためにも重要なことです。
家庭が破綻したことや精神的な損害を裏付ける証拠を準備して請求する方法で、できるだけ高額の慰謝料が認められる可能性があります。
不貞行為の回数や期間を証明して請求する方法
不貞行為の回数が多い場合や、期間が長い場合は不貞慰謝料増額の可能性があります。
不貞行為が多いと判断される回数の目安は、過去の判例によると20回です。
不貞行為の期間や回数を証明する証拠を準備して慰謝料請求を行いましょう。
不貞行為相手の社会的地位や支払能力を把握して請求する方法
不貞行為の相手の社会的地位や収入状況、支払能力は不貞行為の慰謝料の額に関係します。
たとえば会社役員が不貞行為をしたとします。
不貞行為の相手の夫から慰謝料請求をされました。
夫にとって妻の不貞行為の相手は、会社役員という社会的地位を持っているのです。
社会的地位に応じて不貞行為の慰謝料額が高額になる可能性があります。
不貞行為の相手が高収入の職に就いている場合は、慰謝料額そのものが高くなることがあります。
また、収入が高い場合は支払能力も高いわけですから、支払能力に応じて不貞慰謝料増額になる可能性があります。
不貞行為の相手の収入状況や社会的地位、支払能力を把握して慰謝料請求することが、できるだけ不貞行為慰謝料を高額にする方法です。
弁護士に依頼して不貞行為の慰謝料を請求する方法
不貞慰謝料増額の方法のひとつに、弁護士に依頼して不貞行為の慰謝料を請求する方法があります。
個人で不貞行為の慰謝料を請求すると、請求相手に甘く見られて慰謝料額を低く見積もられてしまう可能性があるのです。
弁護士は慰謝料請求と交渉の専門家です。
法律のプロでもありますから、慰謝料請求の相手に甘く見られることはありません。
加えて、不貞行為の慰謝料請求の際に、増額できるケースを見逃さないのが弁護士です。
不貞行為の慰謝料を増額できるケースでは、弁護士はしっかりと増額した慰謝料を請求します。
慰謝料をできるだけ高額にしたい場合は、弁護士に不貞行為の慰謝料を請求してもらうといいでしょう。
慰謝料を増額できるケースとは
不貞慰謝料を増額請求できるケースは5つあります。
不貞行為の慰謝料を増額請求したい場合は、増額できる要素を見逃さないように注意しましょう。
不貞行為の期間や回数で増額できる
すでにお話ししましたが、不貞行為の回数や期間が長いと、不貞行為の慰謝料が高くなる傾向にあります。
不貞行為の期間が長いと判断される目安は1年です。
不貞慰謝料増額のためにも、不貞行為の回数や期間はしっかりと確認し、回数や期間で増額できそうなら慰謝料額を再考してみてはいかがでしょう。
不貞行為の相手や配偶者の態度で増額できる
不貞行為の相手や配偶者の態度によっては、不貞慰謝料増額が可能です。
たとえば、不貞行為の相手や配偶者が、不貞行為を否定していたらどうでしょう。
決定的な証拠を突きつけても否定し、謝罪のひとつもありませんでした。
このようなケースでは、不貞慰謝料を増額できる可能性があります。
また、不貞行為の相手が「もう会わない」と約束していたのに再び会っていたなどの事情があれば、約束違反として不貞慰謝料を増額できる可能性があるのです。
子どもや妊娠によって慰謝料を増額できる
夫婦の間に子どもがいれば、不貞行為が子どもの生活や心に影響を与える可能性があります。
不貞行為の相手と配偶者の間に子どもができれば、配偶者に与える精神的な苦痛もより大きくなるはずです。
このようなケースでは不貞慰謝料を増額できる可能性があります。
婚姻期間が長い場合は慰謝料を増額できる
婚姻期間が長いと、慰謝料が高くなる傾向にあります。
婚姻期間の長さは夫婦によって異なります。
1年間夫婦円満で家庭を維持してきた夫婦と10年間円満に暮らしてきた夫婦は、家庭や円満という点では同じですが、共に家庭を維持した年月が異なります。
同じに考えることはできません。
このように、婚姻期間の長さによって不貞慰謝料を増額できる可能性があります。
不貞行為の相手の社会的地位や支払能力で増額できる
不貞行為の相手の社会的地位や、支払能力によっても不貞慰謝料を増額できる可能性があるのです。
不貞行為の相手が会社の役員や著名人などの社会的地位のある人の場合や、資産家や収入の多い職についている人の場合には、慰謝料の増額ができそうか検討してみるといいでしょう。
まとめ
不貞行為の慰謝料は増額できるケースがあります。
ただ、増額できるケースでも必ず増額が認められるわけではありません。
不貞行為の相手などが増額に応じない可能性があるのです。
個人で不貞行為の慰謝料を請求する場合は、増額できるケースに該当していたのに気づかない可能性もあります。
不貞慰謝料の増額をしたい場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士なら不貞慰謝料増額できるケースを見逃すこともありません。
弁護士に相談し、不貞行為の事実確認などを通して、不貞慰謝料増額できるか検討してみてはいかがでしょう。