この記事でわかること
- 浮気相手からの慰謝料請求が認められるケースを理解できる
- 浮気相手から慰謝料請求されたときの対処法や相場がわかる
- 浮気相手から慰謝料請求されて払えないときの対処法がわかる
配偶者と浮気相手が浮気をしたら、浮気をされた側の配偶者が慰謝料請求するのが基本だと思うかもしれません。
しかし、中には浮気相手から慰謝料請求されたというケースがあるのです。
ケースによっては浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があります。
浮気をされた配偶者からではなく、浮気相手からの慰謝料請求。
予想外の慰謝料請求が認められるのは、一体どのようなケースなのでしょうか。
また、浮気相手から慰謝料請求されたらどのように対処すればいいのでしょう。
浮気相手からの慰謝料が認められるケースや対処法、浮気相手からの慰謝料請求の相場などを解説します。
浮気相手からの慰謝料請求という予想外の事態に直面して困っている方は、この記事の基礎知識を参考になさってください。
浮気相手からの慰謝料請求が認められるケース
浮気相手から慰謝料請求されるケースとは、どのようなケースでしょうか。
まずは浮気相手からの慰謝料請求が認められるケースについて確認しておきましょう。
浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があるのは、次の3つのケースです。
(1)配偶者がウソをついて浮気していた
浮気をした配偶者が浮気相手に「未婚だ」などのウソをついて浮気をしていたケースです。
浮気相手にも「既婚だと知っていれば浮気をしなかった」「未婚だと信じておつき合いをしたのにだまされた」などの事情があるわけですから、配偶者がウソをついて関係を結んだことに対しては被害者的な立場です。
- ・自分が独身だとウソをついて配偶者が浮気した
- ・既婚者なのに「結婚しよう」とウソをついて肉体関係を持った
- ・浮気相手が年齢的に若かったなど既婚者だと気づくことができず未婚だと信じた
このように、浮気相手がウソをつかれてつき合い、結果的に浮気になってしまったケースでは、浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があります。
既婚者だと隠して結婚を仄めかした場合は、浮気相手の結婚の機会や他の人と性的関係を結ぶ機会も奪っているわけです。
自分の性については自分で決められる「性的自由に関する権利(貞操権)」の侵害だと解釈されます。
(2)浮気相手の妊娠や中絶があった
浮気相手の妊娠や中絶が即座に慰謝料請求につながるわけではありません。
浮気相手の妊娠は、浮気相手と浮気した配偶者の双方に責任があります。
中絶についても、浮気相手と浮気した配偶者が双方納得の上で決めたことなら、特に問題ありません。
浮気相手と浮気した配偶者は、妊娠や中絶について、責任を持って対処したといえるのではないでしょうか。
しかし、浮気した配偶者が浮気相手の妊娠や中絶に対して無責任な言動をしていたらどうでしょう。
たとえば、浮気相手の妊娠がわかった途端に浮気した配偶者が逃げ回り、浮気相手が妊娠や中絶について話し合おうとしても、話し合いも拒否していました。
結果、浮気相手は中絶のタイミングを逃してしまいました。
浮気した配偶者が逃げ回ったり、話し合いを回避したりという無責任な行動をしたため、浮気相手が中絶できなくなってしまったのです。
このようなケースでは、浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があります。
浮気相手の妊娠や中絶に対して配慮する義務を怠った。
権利侵害をした。
責任ある行動を取らなかった。
浮気した配偶者が以上のような言動をとっていると、浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があります。
(3)浮気相手と重婚的内縁関係にあった
夫婦関係が破綻しており、浮気相手と内縁関係にあった場合は浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があります。
内縁関係とは双方をパートナーと認識し、夫婦としての実態のある関係です。
夫婦としての実態がありながら婚姻届の提出をおこなっていないところから、事実婚とも呼ばれます。
内縁関係は法律婚(婚姻届を提出する婚姻関係)に準ずる婚姻関係として保護の対象になります。
婚姻した夫婦の関係が破綻して、もはや夫婦としての実態はなかった。
夫が浮気相手を作って、その浮気相手と事実婚の関係になっていた。
このようなケースは法律婚と事実婚の重婚関係になります。
法律婚の夫婦関係が破綻している状況で事実婚が上手くいっている状況だと、事実婚のパートナーである浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があるのです。
慰謝料請求をされたときの対処法
浮気相手から慰謝料請求されたときの対処法は2つです。
浮気相手から慰謝料請求されたらまず話を聞く
配偶者が浮気をすれば、当然のように浮気相手から慰謝料請求されるわけではありません。
浮気相手からの慰謝料請求が認められる可能性があるのは、妊娠や中絶、配偶者がウソをついて浮気していたなど、一部のケースに過ぎません。
浮気相手が「浮気によって傷ついた」などと主張しても、それだけで慰謝料請求が認められることは基本的にないのです。
浮気相手がどのような「事情」にもとづき、どのような「理由」や「証拠」によって慰謝料請求しているのか、話を聞いて判断する必要があります。
たとえば浮気相手が「傷ついた」と主張しても、その主張が「浮気相手の奥さんから文句を言われて腹が立った」では、浮気相手の慰謝料請求の事情や理由としては、理不尽なものではないでしょうか。
しかし、浮気相手が「無責任な言動によって中絶のタイミングを失った。
傷ついた」と主張した場合、慰謝料請求の根拠になる事情や理由が変わってきます。
浮気相手の慰謝料請求にしっかり対処するためにも、浮気相手の慰謝料請求の事情や理由は確認しておきましょう。
また、浮気相手が慰謝料請求の証拠を持っているかどうかも確認したいポイントです。
- ・独身だとウソをついたときの録音やメール
- ・妊娠や中絶に対して無責任な言動を取ったときの動画や音声の録音
- ・婚姻関係が破綻しているときに結んだ内縁関係を一方的に切ったことがわかる証拠
- など
以上のような証拠を浮気相手が所持していると、裁判で浮気相手から慰謝料請求されたら認められる可能性があります。
証拠を持っているかも、確認しておきたいポイントなのです。
浮気相手から慰謝料請求されたら弁護士に相談する
浮気相手の主張や証拠によって慰謝料請求の可否や慰謝料請求が認められる可能性が変わってきます。
慰謝料請求の可否を判断するためにも、浮気相手から確認した内容を弁護士に話して、浮気相手からの慰謝料請求に対して具体的にどのような対処すべきか、慰謝料の交渉をどのようにおこなうべきか、対策や方向性を固めておくことをおすすめします。
なお、浮気相手が最初から弁護士を立ててコンタクトを取ってきた場合は、浮気相手に有利な条件で慰謝料請求が決まる可能性があるため注意が必要です。
浮気相手から慰謝料請求されたときすでに浮気相手に弁護士がいる場合は、浮気相手にコンタクトを取る前に弁護士へ相談することをおすすめします。
法律と交渉のプロに相談の上、対処しましょう。
事例から見る慰謝料の相場
浮気相手から慰謝料請求されたときの相場は、事例によって変わってきます。
また、慰謝料の額は最終的にケースバイケースで決まるため、浮気相手に必ず相場通りの慰謝料額を払う必要はありません。
交渉などで決まった額が慰謝料額になり、相場はひとつに目安に過ぎません。
貞操権の侵害が認められた場合の慰謝料相場は50~200万円になります。
中には300万円という相場以上の慰謝料が認められたケースもあります。
300万円の慰謝料が認められたケースは、既婚を隠して浮気し、浮気相手が出産したケースです。
出産後も連絡を取り、既婚が発覚したときも誠意ある態度を見せなかったとして相場以上の慰謝料が認められるにいたりました。
浮気相手の妊娠や中絶の慰謝料は数十万円から10万円ほどです。
妊娠や中絶は浮気相手だけの責任ではありません。
浮気した2人双方が背負う責任になるため、相場は貞操権の侵害よりも低めになっています。
ただ、婚約破棄をしてなおかつ妊娠後に態度を豹変させたケースでは、相場以上の額である160万円の慰謝料が認められています。
重婚的内縁関係の場合は夫婦関係によって慰謝料額がかなり変わってくるため、一律に相場の算出はできません。
夫婦関係によってケースバイケースの慰謝料額になります。
ただ、婚姻関係が破綻しており浮気相手と内縁関係にあった事例の中には400万円の慰謝料が認められたケースもあります。
このケースでは、内縁関係は20年におよんでいました。
慰謝料を支払えないときの対処法
浮気相手から慰謝料請求されたときに払えない場合は、払えない理由に応じたふたつの対処法が考えられます。
浮気相手から慰謝料請求された期限まで払えない
浮気相手が慰謝料請求する場合、慰謝料の支払い期限を定めていることがあります。
浮気相手の定めた慰謝料請求期限に法的な拘束力はないため、絶対に慰謝料請求の支払い期限まで払わなければならないというわけではありません。
期限を定めることには「慰謝料を請求してもリアクションがないかもしれない」「早めの期限を設定して様子を見よう」という意図もあります。
浮気相手から慰謝料請求された期限までの支払いが難しい場合は、期限までの支払いが難しい旨を素直に話し、期限について交渉する方法があります。
期限について配慮してもらえるよう弁護士を通して交渉してみてください。
浮気相手から慰謝料請求された額が払えない
浮気相手から慰謝料請求された額が大きく、払えないケースもあります。
慰謝料額については減額交渉できる可能性があります。
慰謝料額として大きな額を設定している場合は、はじめからその額を払ってもらえると思っていないこともあるのです。
弁護士を通して減額交渉することもひとつの対処法になります。
まとめ
浮気の際は浮気した配偶者や浮気相手に対して慰謝料請求するものという印象が強いかもしれません。
例外的に浮気相手から慰謝料請求されるケースがあります。
浮気相手から慰謝料請求されたときは、浮気相手からの慰謝料請求の事情や理由などをよく確認することが重要です。
浮気相手から慰謝料請求された事情や理由を確認し、弁護士に相談するなどの対処法をとりましょう。