慰謝料なしで離婚できるケースと離婚時に気をつけるべきポイント | 離婚弁護士マップ
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慰謝料なしで離婚できるケースと離婚時に気をつけるべきポイント

この記事でわかること

  • 慰謝料なしで離婚できるケースが理解できる
  • 慰謝料なしで離婚したときに気をつけるポイントがわかる
  • 慰謝料なしで離婚できないときの対処法を理解できる

離婚は、慰謝料がセットだと勘違いしていませんか。

離婚ケースの中には慰謝料なしで離婚できるケースもあります

慰謝料の発生しない離婚とは、果たしてどのようなケースなのでしょうか。

この記事では、慰謝料なしで離婚できるケースや慰謝料なしで離婚できるケース、慰謝料が発生したときの対処法などを解説します。

慰謝料と離婚の関係について理解しておきましょう。

慰謝料なしで離婚できるケース

「慰謝料」とは、不法行為の損害賠償の中でも精神的な損害に対して支払われるお金です。

心の痛みや損害は本来金銭に換算することはできません。

心はかたちのないものですから、人によって痛みはさまざまです。

同じ事柄についても、人によって受ける心の痛みの程度は違うからです。

しかし「かたちがないから金額換算できない」で終わってしまっては、心の損害への埋め合わせができないことになります。

仮に金額換算をして、心の痛みや損害について支払う金銭―これが慰謝料になります。

離婚では慰謝料が発生すると思われがちですが、すべての離婚ケースにおいて慰謝料が発生するわけではありません。

慰謝料は心の損害や苦痛への補填としての性質を持った金銭ですから、不法行為などで配偶者に精神的な苦痛や損害を与えていなければ原則的に慰謝料なしでの離婚が可能です。

慰謝料なしで離婚できる主なケースは8つあります。

それぞれ詳しくご紹介していきます。

(1)相手が慰謝料請求をしなかった

離婚の際に慰謝料請求ができても、配偶者が慰謝料請求を行わない場合があります。

慰謝料請求は義務ではありません。

離婚のときに慰謝料請求ができても、あえて慰謝料請求をしないと判断する配偶者もいるのです。

配偶者が慰謝料請求しないケースでは、慰謝料なしで離婚できます。

なお、離婚のときに慰謝料請求しなくても、離婚から時間を置いて慰謝料請求が行われるケースもあります。

このケースは、離婚後も一切慰謝料請求しなかったケースです。

(2)慰謝料発生の原因がない

離婚の際に慰謝料が発生する原因が一切なかったケースです。

離婚の際に慰謝料が発生するケースには不貞行為やDVなどの不法行為があります。

不貞行為やDVなどの不法行為が一切なく、配偶者の親族と不仲であったり、夫婦で話し合った上で将来のために離婚したり、慰謝料発生原因なく離婚したケースでは慰謝料はなしになります。

(3)夫婦双方に慰謝料発生原因があった

離婚のときに夫婦の片方ではなく双方に慰謝料発生原因があったケースです。

夫が不貞行為をし、妻も不貞行為をしていた、というように双方が不法行為をしていたケースが該当します。

夫婦は双方に慰謝料請求できるため、話し合いにより慰謝料を相殺することがあるのです。

双方の慰謝料が相殺する結果、慰謝料なしで離婚できる可能性があります。

(4)離婚の原因が性格の不一致である

離婚の原因のひとつに性格の不一致があります。

性格の不一致は「性格が合わなかった」ということですから、配偶者のどちらかが悪いというわけではありません

慰謝料請求の原因になりませんから、慰謝料なしで離婚できます。

仮に性格の不一致により自分や配偶者が精神的に苦しい思いをしても、性格が合わないことは不法行為ではありません。

よって、基本的に慰謝料請求はできないと解釈されます。

(5)浮気をしたが肉体関係がなかった

浮気のラインは人それぞれです。

異性と配偶者がレジャー施設に遊びに行ったら浮気だと判断する人もいれば、肉体関係を結べば浮気だと判断する人もいます。

個人の浮気への価値観はさまざまですが、法廷で慰謝料請求するケースにおいては、慰謝料請求が認められるひとつのラインがあるのです。

浮気をした場合に慰謝料請求が認められるラインは肉体関係の有無になります。

浮気相手と肉体関係があれば慰謝料請求が認められる可能性が高くなり、肉体関係がなければ慰謝料請求が認められにくくなるのです。

浮気をしたが浮気相手と肉体関係がなかった場合、慰謝料なしで離婚できる可能性があります。

(6)不法行為を立証できなかった

不貞行為などの不法行為があったとしても、慰謝料請求のためには不法行為を立証しなければいけません。

たとえば法廷で慰謝料請求について争ったときに、慰謝料請求を求める側が立証に必要な証拠を提示できなかったとします。

法廷での慰謝料請求は裁判官などの第三者の目から見て「不貞行為などの不法行為があった」と判断できるような証拠が必要です。

証拠の提示ができなければ、慰謝料請求が認められる可能性はかなり低くなってしまいます。

不貞行為などの不法行為があった、あるいは、あった可能性があるが、証拠が乏しく立証できなかった

このようなケースでは、慰謝料なしで離婚できる可能性があります。

(7)夫婦関係が破綻していた

不貞行為のときすでに夫婦関係が破綻していれば原則的に慰謝料請求はできません。

夫婦関係が不貞行為によって壊れてしまった場合は、不貞行為という不法行為による心への損害や痛みがあることでしょう。

しかしすでに夫婦関係が破綻しているのであれば、そこには保護すべき夫婦関係もなく、不貞行為による破綻や損害、補填すべき心の痛みはありません。

よって、夫婦関係が破綻していた場合は慰謝料なしで離婚できる可能性があります。

なお、夫婦関係の破綻は主張するだけでは足りず、証拠によって立証が必要です。

(8)慰謝料請求が時効だった

慰謝料請求には時効があります。

たとえば不貞行為の場合、浮気相手と損害を知って3年という時効があります。

この他に不法行為から20年という除斥期間が定められているため、時効や除斥期間を超えてしまうと原則的に慰謝料請求ができないです。

離婚の際に慰謝料請求ができても、慰謝料請求をしなかったケースや、後から慰謝料請求しようとしても、時効や除斥期間の関係で慰謝料請求ができなかった、というようなケースもあり得ます。

慰謝料なしで離婚した時に気を付けること

慰謝料なしで離婚したいときに気を付けたいポイントはふたつあります。

後から慰謝料請求される可能性がある

配偶者が慰謝料請求できるケースの場合、離婚のときには慰謝料請求しなくても、後から慰謝料請求される可能性があります

慰謝料請求は離婚のタイミングでしなければならないというルールはありません。

証拠などを配偶者がそろえていれば、離婚後に慰謝料請求してくる可能性もゼロではないのです。

離婚のときに慰謝料請求の原因があったが、配偶者が慰謝料請求しないと言っていたとします。

その言葉を信じて慰謝料なしで離婚しても、後から請求されるリスクは考えておく必要があります。

配偶者が慰謝料なしで離婚することに同意した場合は、「慰謝料なし」という点について証拠を残しておくことが重要です。

後日の慰謝料請求を防ぐためにも、しっかりと対策しておきましょう。

公正証書などで慰謝料請求対策をしておく

慰謝料請求対策としては、公正証書の作成が代表的な方法として挙げられます。

慰謝料なしで離婚することを書面に証拠として残しておくのです。

慰謝料なしでの離婚の証拠は、自分や配偶者が作成しても差し支えありません。

しかし、自分や配偶者が作成した書面はあくまで私文書です。

離婚後に「勝手に書面を作られた」「決めた内容と異なる」などのトラブルに発展する可能性があります。

後日のトラブルを防ぐためにも、私文書ではなく公文書である公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書は作成に公証役場が関与する証拠としての力が強い文書です。

慰謝料なしの証拠として公正証書にまとめておくと、自分や配偶者が文書を作成するよりも安心できるはずです。

慰謝料をなしにできないときの対処法

慰謝料なしで離婚できないときは、慰謝料というまとまった額の支払いが発生することになります。

では、慰謝料の支払いが苦しい場合はどのように対処したらよいのでしょうか。

対処法はふたつ考えられます。

それぞれをみていきましょう。

請求された慰謝料の減額を求める

相手から請求された慰謝料額をそのまま支払う必要はありません。

なぜなら、慰謝料請求では請求額が高めに設定されていることがあるからです。

たとえば、不貞行為で離婚に至ったケースの慰謝料相場は200~300万円だといわれています。

離婚する配偶者からの慰謝料請求額を確認すると、400万円になっていました。

請求の際の大きな額を設定していることは、十分にあり得ることです。

慰謝料の請求が難しい場合は、配偶者と交渉してはいかがでしょうか。

「慰謝料を払えない」ではさらなる揉め事に発展する可能性があります。

慰謝料の支払い自体に応じる気持ちはあることを説明し、請求額の支払いが苦しいことを素直に告げた上で話し合いをしてはいかがでしょう。

個人での交渉が難しい場合は弁護士に間に入ってもらうとスムーズです。

分割払いを減額交渉に利用する

離婚する配偶者は慰謝料を一括で払うように請求してくることでしょう。

分割払いだと、支払いが滞ったり、途中で逃げられたりするリスクがあるからです。

一括払いで払ってもらえれば、離婚する配偶者と今後の支払いという名の縁を維持する必要もありません。

慰謝料を減額したい場合は、分割払いを求めるという対処法もあります。

請求者が分割払いにリスクを感じるという心理を利用し、分割払いを持ちかけるのです。

慰謝料の分割払いに難色を示したら「このくらいの額に減額してくれたら一括で支払いできる」と減額交渉を持ちかけます

一括払いして欲しい配偶者の場合は、この方法で減額での一括払いに応じる可能性があるのです。

ただし、相手は精神的な損害を受けたからこそ慰謝料請求していることを忘れないよう注意が必要になります。

交渉の流れや言葉選びによっては、相手を怒らせてしまう可能性もあります。

トラブルを防止しつつ減額を成功させるためにも、離婚問題を得意として弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

まとめ

離婚のときは必ず慰謝料が発生するわけではありません。

ケースによっては慰謝料なしで離婚できることがあるのです。

離婚のときの慰謝料が心配な人は、自分の離婚ケースは慰謝料なしなのか確認してはいかがでしょうか。

詳細な判断を求める場合は、弁護士に相談して慰謝料支払いの要否を判断する方法もあります。

慰謝料なしにできない場合も減額を求めるなどの対処法があるのです。

不安があれば早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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