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婚約破棄の手切れ金・慰謝料請求では税金申告は必要か

この記事でわかること

  • 婚約破棄の慰謝料請求の対象がわかる
  • 慰謝料と手切れ金の違いが理解できる
  • 慰謝料が課税対象になるかわかる

婚約破棄でも慰謝料を請求できるケースがあります。

しかし、実際に慰謝料請求したとして、その慰謝料に課税があるかが不安要素ではないでしょうか。

婚約破棄の慰謝料に課税があれば、それだけ手元に残るお金が少なくなってしまいます。

また、慰謝料ではなく手切れ金として受け取った場合はどうでしょう。

婚約破棄の慰謝料請求において、課税されるか否かは重要な問題です。

婚約破棄で慰謝料請求できるケースや慰謝料と手切れ金の違い、慰謝料への課税の有無など、婚約破棄の慰謝料請求で知っておきたい知識を集約しました。

婚約破棄は慰謝料請求の対象

婚約破棄はケースにより慰謝料請求できる可能性があります。

ただし、婚約破棄があればただちに慰謝料請求が認められるわけではありません。

婚約は口約束でも成立しますが、婚約が成立していたことを立証できなければ慰謝料請求が認められることは難しくなります。

婚約成立が認められやすいのは次のようなケースです。

  • ・お互いの親族の顔合わせをしていた
  • ・両親に婚約者として紹介していた
  • ・婚約指輪の受け渡しがあった
  • ・結婚後の新居を決めて契約していた
  • ・結婚式場の予約を入れていた
  • ・新婚旅行を予約していた
  • ・結婚を理由に会社を辞めた(寿退職)

口約束でも婚約自体は成立しますが、言葉のみだと証明が難しいため、婚約破棄による慰謝料請求が認められることは極めて難しくなります。

指輪の授受や式場の予約などがあると証拠が残りますから、第三者が客観的に見ても「婚約が成立していた」とわかるのです。

そのため、婚約破棄による慰謝料請求が認められやすくなります。

婚約破棄の慰謝料請求の対象になるのは次のようなケースです。

  • ・婚約相手が婚約者(自分)以外と肉体関係を持っていた
  • ・婚約相手のモラハラやDVがあった

この他にも婚約破棄による慰謝料請求が認められるケースがあります。

婚約破棄による慰謝料請求の可否については弁護士に相談することをおすすめします。

婚約破棄の原因別の慰謝料相場

婚約破棄で慰謝料請求できるとして、具体的にどのくらいの金額が認められる可能性があるのでしょう。

慰謝料はそもそも心の痛みや心の損害に対する補填です。

人の心はそれぞれなので、金額換算は非常に難しいところがあるのです。

また、婚約破棄の事情やケースなどもすべて違っています。

婚約者間の事情はすべて違っていますから、AとBの婚約破棄案件をCとDにそのまま当てはめることはできません。

最終的にどのくらいの慰謝料額が認められるかはケースバイケースになります。

ただ、過去の判例などから大体の相場を割り出すことは可能です。

婚約破棄の慰謝料の平均相場は30~300万円になっています。

ケースによって相場より低い金額になることもありますし、高い金額になることもあります。

婚約破棄の慰謝料請求で必ず相場金額が認められるわけではないため注意してください。

浮気が原因で婚約破棄し慰謝料請求が認められたケースでは、100~300万円が認められたケースが判例に散見されます。

一方的な婚約破棄に対しての慰謝料請求で70万円、愛情がさめたなどの理由で婚約破棄しているケースでは、100~400万円が認められた判例があります。

個別ケースによってかなり変わってきますので、気になる場合は弁護士に相場や請求金額について相談する方法も検討してみてください。

婚約破棄の「慰謝料」と「手切れ金」の違い

婚約破棄の際は慰謝料の他に「手切れ金」という名目のお金が登場することがあります。

手切れ金と慰謝料は違うのでしょうか。

結論からいうと、婚約破棄の「慰謝料」「手切れ金」は意味合いが異なっています。

慰謝料は損害賠償の一種になります。

婚約破棄による精神的な苦痛や心の損害を補填するためのお金です。

慰謝料は法的な要件を満たせば請求でき、裁判などの法的な手続きで支払いを求めることもできます。

手切れ金は人間関係の清算のためのお金です。

慰謝料とは異なり、法的に当然発生するお金ではありません。

法的に当然発生するわけではないため、慰謝料のように裁判などで支払いを求めることもできません。

手切れ金の支払いを強要すると違法に問われる可能性があるため注意してください。

なお、婚約破棄の場合、精神的な苦痛をともなわなくても清算的な意味合いで手切れ金が支払われることがあります。

精神的な痛みや心の損害の補償という意味合いを持っていた慰謝料と比較してください。

慰謝料は「心の賠償」であり法的な要件を満たせば支払ってもらえ、法的な手続きで支払いを求めることもできる。

対して手切れ金は「人間関係の清算」であり、法的に当然発生する支払いではない。

支払いの強要も基本的にできない。

以上の点を整理してください。

手切れ金の相場は10~100万円

婚約破棄に対する手切れ金が支払われる場合、相場はどのくらいの金額なのでしょうか。

手切れ金の金額でよく使われているのは10~100万円の範囲になります。

ただ、基本的に手切れ金についても相場はありません。

手切れ金もケースバイケースだからです。

最終的に双方が納得できる金額かどうかが問題になります。

婚約破棄の慰謝料は基本的に非課税

婚約破棄で慰謝料請求したとして、支払ってもらった慰謝料に課税があるのかが問題になります。

日本は給与に対しては所得税などの課税があり、相続などで遺産を受け取ると相続税の課税対象になるのです。

金銭などの財産をもらうと基本的に贈与税の対象になります。

婚約破棄の慰謝料に課税があるのかどうかは、婚約破棄慰謝料の請求を検討している人や婚約破棄慰謝料請求を決断した人にとって大きな疑問です。

課税に有無についてはどうなっているのでしょうか。

結論からいうと「婚約破棄の慰謝料は非課税」になっています。

慰謝料は損害に対する穴埋めの意味合いを持っています。

婚約破棄の慰謝料は婚約破棄に対する心の痛みや心の損害を埋め合わせるものですから、原則的に非課税になっているのです。

手切れ金についても慰謝料的な性質を帯びている場合は非課税として取り扱われるケースがあります。

ただ、婚約破棄の慰謝料には例外的に課税されるケースもあるため注意が必要です。

慰謝料が課税対象になるケース

婚約破棄の慰謝料でも例外的に贈与税などの課税対象になるケースがあります。

婚約破棄の慰謝料が課税対象になるのは次のようなケースです。

(1)婚約破棄の慰謝料として高額を受け取った

受け取った慰謝料があまりに高額だった場合は課税対象になる可能性があります。

慰謝料に見せかけた贈与ではないかと疑われることがあるからです。

婚約破棄の慰謝料については、具体的にいくらからが高額というルールは定められていません。

社会通念上ふさわしい金額は非課税となっていますが、この社会通念上ふさわしい金額かどうかは、あくまで税務署側の判断になります。

課税対策としては「婚約破棄の慰謝料である」と証明する書面の作成が挙げられます。

公正証書などで「婚約破棄の慰謝料である」「慰謝料額」などまとめ、税務署から贈与を疑われたら証拠により証明するという対策があるのです。

公正証書の作成については、公証役場や弁護士に相談するといいでしょう。

(2)慰謝料を金銭ではなく物で受け取った

婚約破棄の慰謝料を金銭の支払いではなく、不動産や車などの物で受け取った場合に課税される可能性があります。

不動産などを金銭の代わりに渡すと、時価による譲渡とみなされるのです。

譲渡による譲渡所得が発生し、課税対象になる可能性があります。

(3)その他のケース

第三者に婚約破棄の慰謝料を立て替えてもらった場合や、婚約破棄の慰謝料に見せかけて贈与を行った場合などは課税対象になる可能性があります。

手切れ金を受け取ったときの課税

婚約破棄の際に手切れ金の名目で金銭を受け取ったときの課税関係はどうなるのでしょうか。

婚約破棄の慰謝料という名目で受け取らなければ贈与税などの税金の対象になるかが問題です。

手切れ金の課税関係については2つのパターンが考えられます。

ひとつは手切れ金の名目で婚約破棄の慰謝料を受け取ったケースです。

このケースでは、手切れ金という名目ですが性質的には慰謝料になります。

課税関係も婚約破棄の慰謝料と同じで、基本的に非課税になるのです。

もうひとつは婚約破棄の慰謝料的な性質とは異なり、基本的に贈与税の対象になります。

ただ、贈与税には110万円の非課税枠があるため、110万円を超える金額を受け取った場合に課税問題になるのです。

婚約破棄でもらえる慰謝料と税金の相場

婚約破棄の一般的な慰謝料の目安は30~300万円ほどだと言われています。

婚約破棄した相手の社会的地位や資産状況によっても金額が変わってくるため、裁判では30~500万円ほどになるケースもあるのです。

婚約破棄の慰謝料がどのくらいの額で高額だと判断されるかは、国税庁は明確な基準を打ち出していません。

「社会通念上それに相応しい金額」の場合は基本的に課税対象外ですが、相場からかけ離れた金額の場合は贈与税の対象になる可能性があります。

婚約破棄の慰謝料相場より高い額を受け取る場合は、念のために税理士などに相談することをおすすめします。

婚約破棄の慰謝料が仮に贈与だと判断された場合、どのくらいの税金がかかるか試算してみましょう。

婚約破棄の慰謝料額が1,000万円だと仮定して試算します。

すでにお話ししたように、贈与税には非課税枠の110万円があります。

1,000万円から110万円を引くと890万円です。

890万円の贈与税率は40%。

40%の税率で計算すると356万円になります。

贈与税は税率に応じた控除額があり、40%の税率の場合は125万円を引くことが可能です。

356万円から125万円を引くと231万円。

贈与税の税額は231万円になります。

贈与税の税率は国税庁のホームページで確認可能です。

同じ流れで婚約破棄の慰謝料額に応じた税金相場を計算できます。

養育費も基本的には非課税

子供がいる場合は、婚約破棄・離婚によって養育費の支払いが発生するかもしれません。

養育費についても課税が気になりますが、基本的には課税されません。

なぜなら養育費は子供の生活・教育のために支払うお金なので、課税の対象にはならないからです。

しかし養育費の金額があまりに高かったり、相続や贈与として養育費の支払いをしている場合は例外になります。

基本的に養育には課税されませんが、課税されるかどうか気になる場合は、弁護士への相談がおすすめです。

事前に弁護士へ相談してアドバイスをもらっておけば、余計な税金の支払いも避けられます。

養育費の一括支払いは注意しよう

養育費は、毎月支払う分割払うこともあれば、一括で支払うこともあります。

基本的には子供が経済的に独立するまで支払うので、20歳分まで支払うことが多いです。

もし一括で支払った場合は、金額自体が高くなるため贈与とみなされて、贈与税がかかる可能性があります。

養育費は未払いになるケースが多く一括でもらった方が安心ですが、贈与税の支払いが発生する可能性もあるので、注意しておきましょう。

悩んだら弁護士への相談がおすすめ

もし慰謝料請求や手切れ金のことで悩んだら、弁護士への相談がおすすめです。

下記では弁護士に相談するメリットを紹介します。

間に入って交渉をしてくれる

弁護士に依頼すれば、自分の代わりに交渉してくれます。

婚約破棄・離婚は両者の話し合いで進めますが、お互いに感情的になってしまい交渉が難航したりします。

また法的な手続きになるため、専門的な知識がない状態だと、自分だけ不利な条件で離婚する危険性もあります。

そこで法律のプロである弁護士に任せれば、有利な交渉ができたり、面倒な手続きを任せられたりします。

「なんでも気軽に相談できるプロが味方にいる」という心強さもあるでしょう。

慰謝料が増額するケースも

弁護士に相談して、慰謝料が増えることもあります。

慰謝料金額は「離婚の原因をどれぐらい作ったのか?」によって変動します。

相手が不倫して離婚する場合は、相手に責任があるため、強気な慰謝料請求ができます。

弁護士に相談することで「どうすれば慰謝料を多く請求できるのか?」と教えてもらい、事前に証拠集めをしたり、準備もできます。

証拠があれば、有利な慰謝料交渉ができたり、相手が高額な慰謝料支払いも受け入れやすくなります。

また慰謝料以外にも請求できるお金は複数あるので、専門家である弁護士のアドバイスをもらうのは大切です。

まとめ

婚約破棄の慰謝料と手切れ金は混同されがちですが、基本的に別物になります。

婚約破棄の慰謝料は心の痛みや損害に対する支払いです。

手切れ金は基本的に人間関係の清算に使われる支払いになります。

ただし手切れ金という名目で慰謝料を支払うこともあるため注意が必要です。

手切れ金の話が出たら、その手切れ金はどのような性質を持つのかをよく考えてみてください。

婚約破棄の慰謝料については原則的に非課税になります。

婚約破棄の慰謝料や手切れ金でわからないことがあれば、弁護士や税理士に相談して疑問を解決することをおすすめします。

監修弁護士
中野 和馬

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