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20年前の浮気は離婚の理由にできる?慰謝料や消滅時効・除斥期間についても解説!

この記事でわかること

  • 浮気の時効が理解できる
  • 浮気が原因で離婚するときの理由や証拠がわかる
  • 20年以内の慰謝料請求や離婚について理解できる

浮気で離婚や慰謝料を請求できるという話は有名ではないでしょうか。

配偶者の浮気は離婚や慰謝料請求が可能ですが、その浮気が昔のことだったらどうでしょう。

10年、20年前の浮気では慰謝料請求や離婚はできるのでしょうか。

この記事では「昔の浮気の慰謝料請求と離婚の可否」について説明します。

合わせて浮気の時効や時効間際の慰謝料請求のポイントなども解説しますので、夫や妻の昔の浮気に悩んでいる人は参考になさってください。

20年前の浮気でも時効にならないケース

配偶者の浮気に対しては、慰謝料請求が可能です。

「慰謝料」とは、心の痛みや損害について支払われる金銭です。

結婚すると、配偶者は貞操義務を負います。

双方に対して「他の異性と関係を持ちません」と誓い合う関係になるのです。

浮気で他の異性と性的な関係になってしまうと、妻や夫を裏切ることになります。

浮気された側の配偶者は、浮気した側の配偶者や浮気相手に対して心の痛みと損害に対する慰謝料請求が可能になっているのです。

また、配偶者の浮気は不貞行為に該当するため、離婚事由に該当します。

民法770条には裁判上の離婚事由が定められています。

民法770条に定められる離婚事由に該当すると、裁判などで離婚を求めたときに認められる可能性が高くなるのです。

このように、配偶者の浮気は「慰謝料請求」と「離婚の原因」になっています。

ただ、浮気の慰謝料請求などを行ううえで気をつけなければならないポイントがあります。

それは「時効」です。

浮気には時効が定められており、時効を経過すると慰謝料請求が極めて難しくなります。

配偶者の浮気によって慰謝料請求などを行う場合は、時効を確認して動くことが重要なのです。

浮気の時効とは

浮気の時効は民法724条に定められています。

浮気の基本的な時効は3年です。

民法724条には「浮気相手(加害者)を知ってから3年」という消滅時効期間が記載されています。

また、もうひとつ、民法724条には20年という除斥期間が記載されているのです。

不法行為(浮気のとき)から20年行使しないときは時効によって消滅する」と民法724条に書かれています。

浮気の3年の消滅時効と20年の除斥期間についてもう少し詳しく説明します。

浮気相手(加害者)を知ってから3年の消滅時効

浮気の消滅時効は「浮気相手(加害者)を知ってから3年」です。

「浮気の事実も浮気相手も知っていた」というようなケースでは、浮気の慰謝料請求などは起算点から3年の経過で難しくなるのです。

浮気の3年の時効では「浮気相手(加害者)を知る」の意味が問題になります。

浮気相手がいることは知っているが、浮気相手の住所や氏名など個人的なことは一切知らないケースや、浮気相手の住所氏名など、慰謝料請求に着手できるくらいの情報は知っているといったケースもあるかと思います。

上記の中で、どの時点で「浮気相手を知った」と判断するかによって、時効の起算点がずれてしまいます。

浮気相手の名前や住所を一切知らない段階でも「浮気相手がいる」と感づいていれば3年の計算がはじまるのであれば、浮気相手の調査をしている間に時効が過ぎてしまう可能性があるはずです。

対して、慰謝料請求できるくらいの情報を持っている段階から計算がスタートするのであれば、前者よりは余裕を持って慰謝料請求できることでしょう。

「浮気相手を知った」とは、具体的にどのような状況を指すのでしょうか。

浮気の3年の時効の起算点である「浮気相手を知ったとき」とは「慰謝料請求できるくらいの浮気相手の情報を知ったとき」になります。

浮気の慰謝料請求をするためには、浮気相手の住所氏名などの情報が必要です。

報を掴んで「この人が浮気相手だ」と特定できたときが時効のスタート地点になります。

浮気相手がいることはわかっていても、浮気相手の名前も住所もわからない段階では時効が進むことはないということです。

浮気相手個人を特定でき、慰謝料請求もできる情報を掴んだ段階で時効が進みはじめます。

なお、調べればすぐに浮気相手に慰謝料請求できる情報を得られるのに「時効を進めたくない」という意図から浮気相手の情報を調べていなかった場合は、浮気相手を知っていたものとして時効が進みます。

この点には十分注意してください。

不法行為(浮気のとき)から20年の除斥期間

浮気相手に慰謝料請求できるほどの情報を持っていなければ一切時効は進行しないというわけではありません。

浮気の時効は3年の他に20年という除斥期間もあります。

浮気相手を知らず慰謝料請求できるほどの情報も持っていなくても「不法行為(浮気)のときから20年」すると、請求が極めて難しくなってしまいます。

この20年を除斥期間といいます。

時効は中断措置を取ることで計算を振り出しに戻せますが、除斥期間は時効と違って中断などによって時効の起算を振り出しに戻すようなことはできません。

浮気から20年で、浮気相手を知っているかどうかに関わらず慰謝料請求は難しくなるということです。

20年前の浮気でも時効にならないケースはある?

浮気をしたのが20年前の場合は「時効が過ぎている」と慰謝料請求などを諦めてしまうかもしれません。

しかし、中には20年前の浮気でも時効にならないケースがあります。

つまり、約20年前の浮気でも慰謝料請求などができる場合があるのです。

約20年前の浮気でも時効にならず離婚が可能なケースについて確認しておきましょう。

20年前の浮気でも離婚できるケース

基本的に約20年前の浮気で離婚することは極めて難しいといえます。

なぜなら、浮気を知ってから約20年間、夫婦として暮らしてきた現実があるからです。

約20年間、普通に夫婦として暮らしてきたというような事実があるわけですから、約20年前の浮気は夫婦の間ですでに解決済みであり、今さら離婚理由にはならないと考えられるのです。

約20年前の浮気から普通に夫婦として暮らしてきた妻や夫が、約20年経ってから離婚理由に約20年前の浮気を使うことは「難しい」が結論になります。

ただし、約20年前の配偶者の浮気を20年ほど経って知った場合はこの限りではありません。

たとえば30年前に結婚して、約20年前に夫が浮気。

夫の浮気の事実を20年ほど経って妻が知ったケースなどがこれに該当します。

この場合は20年ほど前に浮気を知り、それから婚姻関係を続けていたパターンではありません。

時間が経って「今知った」というケースです。

昔の浮気を時間が経ってから知ったというケースでは、昔の浮気を理由に離婚できる可能性があります

浮気が原因で離婚する際に必要な理由や証拠

除斥期間である20年に近い年月が経過してから浮気を知って離婚する場合、離婚に必要や理由や証拠はあるのでしょうか。

浮気から年月を経てから離婚する場合も離婚理由や証拠は基本的に必要です。

どのような理由や証拠が必要なのか、具体的にみてみましょう。

浮気が原因で離婚する際に必要な理由

約20年前の浮気が原因で離婚する際に必要になる主な理由は4つあります。

  • ・セックスレス
  • ・別居
  • ・悪意の遺棄
  • ・婚姻を継続し難い

主な理由4つにすべて該当する必要はなく、どれかひとつに当てはまっていれば問題ありません。

理由(1)セックスレス

夫婦間には基本的に性交渉があるのですが、何らかの要因や理由からセックスがなくなってしまうことがあります。

これがセックスレスです。

セックスレスは離婚理由のひとつになっています。

浮気が原因でセックスレスになった場合は離婚理由になるのです。

離婚のためには、セックスレス期間が長い方がより有利だといわれています。

夫婦の間にあるはずの性交渉が長い期間ないわけですから、婚姻関係を継続することが難しい状態だと判断されやすくなるのです。

ただし、セックスレスが離婚理由の場合はセックスレスを裏付ける証拠が必要になります。

日記やメール、手記、SNSなど、セックスレスであったことがわかるものの他、性交渉を断ったときの記録なども証拠として使える可能性があります。

理由(2)別居

過去の浮気が原因で別居した場合、別居を理由として離婚できる可能性があります。

夫婦は単身赴任など生活や仕事でのやむを得ない事情がなければ、基本的に同居して生活します。

しかし、同居していないということは夫婦として当然すべきことができない状態に他なりません。

別居が続いていると婚姻関係が破綻しているという判断から離婚が認められる可能性があります。

なお、ごく短期間の別居は離婚理由として認められないことが少なくありません。

月単位の短い別居期間では、離婚が認められる可能性が低くなります。

年単位の長期に渡る別居だと、認められやすい傾向にあるのです。

離婚の際の別居期間の目安は5~10年になります。

理由(3)悪意の遺棄があった

悪意の遺棄も離婚理由のひとつになります。

悪意の遺棄とは「夫婦で助け合わない」ことです。

夫婦は助け合って生活しなければいけません。

それなのに、夫が生活費を渡さなかったり、妻が無断で出て行ってしまったりした場合は、悪意の遺棄(助け合いをしていない)という判断から、悪意の遺棄が認められる可能性があります。

理由(4)婚姻を継続し難い理由がある

婚姻を継続し難い理由とは、性格の不一致などのことです。

婚姻を継続し難い理由は広い意味で使われています

別居やセックスレス、悪意の遺棄などに該当しない理由から結婚生活を継続することが難しい場合は、この「婚姻を継続し難い理由」を主張して離婚する可能性が考えられるのです。

浮気が原因で離婚する際に必要な証拠

約20年前の浮気が原因で離婚する際は、基本的に証拠が必要になります。

なぜなら「浮気が原因である」と主張しているからです。

浮気が原因での離婚なのですから、浮気が実際にあったことを証明する必要があります。

浮気が原因で離婚する場合、夫婦の話し合いで離婚を決めることもできます。

離婚は夫婦双方が納得して離婚届を記載して担当窓口に提出すれば成立するのです。

特に浮気の証拠がなくても夫婦で話し合って離婚という決断を下せば、問題なく離婚できます。

しかし、離婚話がこじれてしまうとこの限りではありません。

裁判所の調停や裁判で離婚話に決着をつけることになります。

裁判所の調停では、調停委員などの第三者が介在します。

裁判でも、もちろん裁判官という第三者が関与するのです。

証拠がないと、第三者から見て本当に浮気があったかどうか判断できません。

裁判や調停を申立てた本人にとって浮気は事実でも、裁判や調停では第三者が介在する関係上、客観的な証拠がなければ判断が難しいのです。

昔の浮気が原因で離婚する際も、第三者に離婚を証明できるような客観的な証拠が必要になります。

浮気の証拠としては、探偵の調査報告書や写真、動画、SNSやメール、領収書や利用明細、電話の通話記録、浮気の自白の録音などがあります。

証拠として力を持っているかどうかや実際に証拠として使えるかは、弁護士などの専門家に確認するとよいでしょう。

不貞行為が始まった時期から20年以内であれば慰謝料請求も可能

約20年前の浮気でも慰謝料請求できる可能性があります。

たとえば、19年前の浮気を今知り、浮気の証拠や慰謝料請求のための情報を19年目の段階で知ったとします。

時効は3年ですが、除斥期間は20年です。

残り1年は慰謝料請求できる可能性があります。

浮気の事実や浮気相手の情報を知ったときに浮気からかなりの年数が経っている場合は、弁護士などの専門家に消滅時効や除斥期間について見てもらうと安心です。

ただし、慰謝料請求の際は基本的に不貞行為を明確に立証する証拠を集めておくことがポイントになります。

20年以内であれば慰謝料請求できる可能性自体はありますが、証拠集めに手間取ってしまうと除斥期間が過ぎてしまいかねません。

証拠収集や手続きにある程度時間がかかる可能性を視野に慰謝料請求を進めましょう。

時効直前に慰謝料を請求するときのポイント

時効直前に慰謝料請求するときは、時効まで時間的な余裕がある場合より準備や手続きを効率的に進めなくてはいけません。

効率的に準備を進め慰謝料請求するためにも、3つのポイントを知っておきましょう。

  • ・時効を確認する
  • ・時効を中断させる
  • ・迅速に証拠を集める

以下で、それぞれのポイントについて詳しくみていきます。

ポイント(1)時効を確認する

慰謝料請求を決意した時点で時効までどのくらい時間があるか確認しておくことがポイントになります。

時効まで半年あるケースと残り1ヶ月のケースでは、最優先事項が変わってくる可能性があるのです。

時効まで残り少ない場合は中断を優先させることが考えられますし、時効まで余裕があるときは証拠集めや証拠の精査を優先することが考えられます。

時効までどれくらいの時間があるかによってスケジューリングが変わってくるため、まずは時効と残り時間をしっかり確認しておきましょう。

ポイント(2)時効を中断させる

時効直前に慰謝料請求をスタートすると、準備の段階で時効期間が経過してしまうことがあります。

時効を過ぎてしまうことを防ぐためにも、「時効中断」について検討する必要があります。

時効中断とは、時効を振り出しに戻す制度です。

たとえば、2年11ヶ月経過し、消滅時効の完成まで間がなかったとします。

慰謝料請求の準備をしているうちに時効期間を過ぎてしまうリスクがありました。

このようなときに時効中断は有効です。

時効中断により時効を振り出しに戻すことができます。

時効中断の方法には、請求や承認などがあります。

具体的には、裁判を起こすなどの方法があるのです。

他には、内容証明郵便を相手方に送っておき、6ヶ月以内に裁判を起こす方法などが考えられます。

なお、中断できるのは時効だけです。

除斥期間については中断できませんので、注意してください。

時効の起算には法律の専門知識を要します。

また、時効の中断措置をとっても、方法が間違っていたら大変です。

時効の起算や中断については、法律の専門家を頼ることをおすすめします。

時効期間や除斥期間が迫っているときの手続きも、弁護士などに相談して優先順位を確認しながらスムーズに行いましょう。

ポイント(3)迅速に証拠を集める

時効直前の慰謝料請求で証拠自体が不十分な場合、慰謝料請求に使う証拠収集も必要になります。

時効直前の請求では、浮気から時間が経過していることも多いため、証拠収集が困難になる傾向があるのです。

証拠が不十分な場合や時効直前の証拠収集は弁護士などに相談し、迅速に手を打つようにしましょう。

まとめ

約20年前の浮気で離婚や慰謝料請求できる可能性があるということがおわかりいただけたかと思います。

浮気は年数が経過すると証拠自体がなくなって行く関係上、慰謝料請求や離婚の証拠集めが難しいという特徴があるのです。

そのような場合は、弁護士などに昔の浮気であることを相談し、適切に対処しましょう。

また、約20年前の浮気の場合は消滅時効や除斥期間の問題もあります。

消滅時効や除斥期間の起算は専門的な知識を要しますので、合わせて弁護士に相談することをおすすめします。

監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

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石木 貴治

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