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協議離婚の証人は誰がなれる?証人がいないときは?事前に知っておきたい7つのポイント

この記事でわかること

  • 離婚届の証人が必要になる離婚方法についてわかる
  • 離婚届の証人のリスクや責任についてわかる
  • 離婚届の証人が見つからない場合の対処法がわかる

離婚の協議が無事に済めば、離婚届を提出することで協議離婚が成立します。

この離婚届を出すときに必要となるのが、証人です。

ここでは、誰に証人になってもらえばよいのか、証人が見つからない場合はどうしたらよいのかなどについて説明します。

離婚の証人とは?

離婚の証人とは、どのような人がなるもので、どのような役割があるのでしょうか。

離婚の方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つがありますが、そのうちで証人が必要となるのは協議離婚の場合だけです。

協議離婚は、当事者間の話し合いだけで離婚する方法で、裁判所が介在することがありません。

一方、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合には裁判官が離婚の事実を見届けているため、証人が必要ないと考えられています。

協議離婚の場合には、当事者間の合意だけで離婚という身分の変更を発生させる重大な効力が成立することから、第三者として離婚の事実を証明する人の存在が求められ、証人が必要となるのです。

他に証人が必要な身分に関する手続きとしては、結婚、養子縁組、養子縁組の解消があります。

それぞれ身分関係にかかわる重要な手続きであるため、証人が必要なのです。

証人になるとリスクがあるのか

離婚届の証人になることでリスクや責任がないかを心配される方もいるかもしれません。

基本的には、離婚届の証人にリスクや責任が生じることはありません

離婚届の証人は、単に「離婚の事実を知っている」というだけの立場の人であり、法的な責任などを問われる立場ではないのです。

ただし、虚偽の離婚に関与した場合には罪に問われることがあります。

夫婦のどちらか一方が、相手の意思に反して勝手に離婚届を作成し、相手の署名捺印を偽造して離婚届を提出すると、有印私文書偽造罪および同行使罪として罰せられる可能性があります。

もし、勝手に離婚届を提出しようとしていることをわかったうえで証人になった場合は、それらの罪に協力したこととなり、幇助罪等に問われる可能性があります。

必ずしも当事者双方からの依頼を受けなければいけないわけではありませんが、離婚の合意ができていることを確認したうえで証人になるようにしましょう。

協議離婚の証人が必要な理由

協議離婚をする場合に、証人が必要となるのはなぜでしょうか。

それには主に二つの理由があると考えられます。

離婚届けが本物であることを証明する

離婚届は、当事者二人が自分の離婚する意思に基づいて記入し、署名捺印するものです。

ですが、離婚届が本当に当事者二人が自分の意思で、自ら署名捺印した本物なのかどうかは、外形的に判断することは難しいでしょう。

離婚届を受理する役所は、現実的に考えて形式的な不備がないかのチェックしか行うことができず、当事者の意思確認をしっかりと行うようなことはできません。

しかし、離婚は、当事者の身分関係を解消する重大な手続きであり、何の保証もなく当事者が記入したという届け出をそのまま受理してしまうべきものではありません。

届出の方法が簡単であるがゆえに、虚偽の離婚届などが提出されるリスクが高くなります。

そのため、第三者である証人に署名押印させることで、離婚届けが本物であることをある程度担保して証明することが求められています。

離婚に対する最終確認になる

協議離婚は当事者同士の話し合いだけで成立するものです。

そのため、当事者以外が離婚の意思について確認することがありません。

当事者以外に離婚の証人を頼むことで、第三者に対して離婚の意思を表明することとなり、もう後戻りはできない状態となります。

それにより、二人の離婚に対する意思を最終確認することができます

離婚届の証人になれる人となれない人

証人は、どのような人がなることができるのでしょうか。

基本的に、20歳以上の人で当事者以外の離婚の事実を知る人なら誰でも証人になることができます

離婚する当事者とどのような関係の人であっても問題ありません。

一番多いのは、親やきょうだい、友人などですが、職場の同僚や近所の人、もっと関係の薄い人であっても問題ありません。

証人は二人必要ですが、二人とも夫の選んだ証人であってもかまいませんし、二人とも妻の選んだ証人であってもかまいません。

必ず一人ずつ選ばなければいけないという決まりはないのです。

また、夫婦の両方と面識がなければいけないといった決まりも特にありませんので、夫と妻のどちらかしか知らない場合であっても証人になることは可能です。

証人欄に記入する内容

証人欄に記入する内容は、「署名・押印」「生年月日」「住所」「本籍地」です。

本籍地は住所と同じ場合もありますが、異なる場合も多いので、自分でも正確に把握していない人もいます。

本籍地を確認するためには、戸籍謄本または本籍地記載の住民票を取得するなどしましょう。

運転免許証などの手元にある身分証明書には本籍は記載されていないので、証人になるためには事前に本籍地入りの住民票等を取り寄せて確認しておく必要があります。

証人は離婚届に自筆での署名と押印をすることになりますが、押印は印鑑登録している実印である必要はありません。

認印でも問題ありませんので、印鑑登録をしていない人でも証人になることができます。

ただし、シャチハタは不可となりますので、朱肉で押す印鑑を用意する必要があります。

離婚の証人が見つからない場合

離婚の証人が見つからない場合にはどうすればよいでしょうか。

そのような場合、主に二つの方法があります。

離婚届証人代行サービスの利用

離婚届けの証人を代行する民間のサービスがあるため、頼める相手がいない場合は利用を検討しましょう。

すべて郵送のやり取りだけで完結する場合が多く、費用についても数千円程度で済むものがほとんどです。

証人欄以外を記入した離婚届を書留などで送付し、証人欄が記入され、署名捺印されたものが返送されてくる方式となるサービスが多いようです。

離婚届の提出自体は自分たちで行います。

見ず知らずの人に証人を頼むことに抵抗がない人にとっては便利なサービスです。

また、自分の身近な人に離婚の事実を知らせたくない人にとっても都合がよいでしょう

どんな人が署名するのか心配という場合には、行政書士等が行っている代行サービスを利用することもできます。

行政書士は行政書士会に登録されていて実在することが確かなので、まったく身元がわからない人に依頼するよりは安心感があるかもしれません。

弁護士に依頼

協議離婚について弁護士に手続きを依頼していた場合には、弁護士に依頼してみましょう。

協議離婚の内容を理解している弁護士であれば、証人としてふさわしいと言えるでしょう。

弁護士や弁護士事務所の職員が証人になってくれる可能性があります。

離婚の手続きを依頼しておらず、証人にだけなってほしいという場合は弁護士に依頼するべきではありませんが、離婚手続きのついでであれば、協力してもらえる場合が多いでしょう。

自分で勝手に他人の名前などで証人欄を記入すると犯罪になる

代行サービスに依頼すると費用がかかりますし、いちいち頼むのが面倒だと感じる人もいるかもしれません。

そのため、筆跡を変えて証人欄を自分で書いて提出しまおうと考える人もいるかもしれません。

しかし、そういった行為は有印私文書偽造罪および同行使罪となる可能性がありますので、絶対に行わないようにしましょう。

相手が勝手に離婚届を提出する可能性がある場合

離婚届には、当事者が自筆で署名捺印する必要がありますが、実印を押さなければいけないこともなく、自筆かどうかを確かめることもできないため、勝手に出そうと思えば出すことができてしまいます。

まだ離婚の協議中だったり、離婚に合意していないにもかかわらず、相手が勝手に離婚届を提出してしまったりする可能性もあります。

また、一度は離婚に合意して、その時に離婚届に本人が署名捺印した場合でも、後から離婚の意思がなくなることも考えられるでしょう。

そのような時に、すでに記入した離婚届を相手が勝手に提出してしまう可能性があります。

このような心配がある場合には、離婚届不受理の申し出をしておきましょう。

この申し出を離婚届を提出する役所に提出しておくことで、離婚届けが受理されなくなります。

この離婚届不受理申出は、取り下げを行うまで有効です。

一度この申し出を行えば、本人が不受理申し出の取り下げをするまでは不受理の扱いが継続するため安心です。

その後夫婦で合意して離婚することになった場合は、不受理申し出の取り下げを行うか、不受理申し出を行った本人が離婚届けを提出しに行く必要があります。

離婚届は誰が提出すればよいのか

証人二人の署名捺印もしてもらい、離婚届の記入が完了すれば、後は役所に提出するだけです。

提出先は、本籍地または住所地の市区町村役場になります。

本籍地の役所以外で提出する場合は、戸籍謄本(全部事項証明書)の提出が必要となります。

この離婚届は誰が提出すればよいでしょうか。

届出人は離婚する当事者だが、提出は誰でもよい

離婚届の届出人は、離婚する当事者夫婦です。

実際に役所に提出を行うのも、基本的には離婚する夫婦二人か、夫婦のうちのどちらか一人がするのがよいでしょう。

どうしても夫婦が二人とも役所に提出に行くことができない場合、代理の人に提出してもらうことも可能です。

代理の人が提出する場合でも、特に委任状などは必要ありません。

ただし、代理の人が提出に行く場合、離婚届の記入内容に不備があった場合に、それを訂正することができません。

やむを得ず代理の人に提出を依頼する場合には、記入内容に誤りや漏れがないか、何度も確認しておきましょう。

離婚届けの訂正方法

離婚届の記載内容に不備があり、訂正する場合には、間違えた箇所に二重線を引いて消しましょう。

修正テープや修正液などを使用することはできませんので、注意が必要です。

二重線で消した横に、離婚届に押印した印鑑と同じ印鑑を訂正印として押印します。

正しい内容を、二重線を引いた箇所の近くに見やすく記入しましょう。

届出人の本人確認

離婚届の届出人に対しては、運転免許証等の提示による本人確認が行われます。

本人確認書類を持っていない場合にも届出を行うことはできますが、その場合は届出人の住民登録されている住所(住民票上の住所)に受理通知が郵送されます。

夫婦のどちらか一人が提出に行った場合で、提出に行った人の本人確認ができた場合には、提出に行かなかった夫または妻に対して受理通知が送られます。

夫婦のどちらか一人が提出に行った場合で、提出に行った人の本人確認ができなかった場合には、夫婦それぞれに受理通知が送られます。

代理の人が提出に行った場合には、夫婦それぞれに受理通知が送られます。

離婚届は郵送でもできる

離婚届は、役所の窓口まで実際に出向かなくても郵送で提出することもできます。

多くの自治体の公式ホームページで、離婚届をダウンロードすることができるため、離婚届も窓口に出向かずに入手することが可能です。

郵送先は、本籍地または住所地の市区町村役場ですが、本籍地であれば戸籍謄本の提出が不要になるため、本籍地の市区町村役場に提出するとよいでしょう。

離婚届を郵送で提出した場合、離婚日はいつになるのでしょうか。

これは、役所に離婚届が到着し、記入内容に不備がないかを確認のうえ離婚届を受理した日となります。

自分が離婚届を発送した日にはなりませんので、確実にこの日を離婚日にしたい、という場合には、郵送での提出は避けましょう。

また、直接窓口に出向いた場合には、不備がある場合その場で指摘してもらえるので訂正が可能ですが、郵送の場合は訂正をするために役所に出向く必要があり、かえって時間がかかってしまう可能性もあります。

まとめ

離婚届の証人は、特に責任やリスクを負うものではありません。

信頼できる人に頼んでみれば、案外あっさりと引き受けてもらえることが多いでしょう。

どうしても頼む人がいなかったり周囲の人に離婚のことを知られたくなかったりする場合には、代行サービスなどを利用することを検討しましょう。

監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

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石木 貴治

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