【不倫の慰謝料の時効を止める】2年前の浮気(不倫)で慰謝料請求は可能でしょうか? | 離婚弁護士マップ
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【不倫の慰謝料の時効を止める】2年前の浮気(不倫)で慰謝料請求は可能でしょうか?

この記事でわかること

  • 不倫の慰謝料の時効について理解できる
  • 2年前に発覚した不倫のケースでも慰謝料請求できる
  • 不倫の慰謝料請求の時効はケースによって異なることを理解できる
  • 不倫の慰謝料請求の時効の止め方がわかる
  • 不倫の慰謝料を請求する際の注意点について理解できる
  • 時効が迫った時の対処法がわかる

配偶者に不倫をされると精神的にとても大きなショックを受けてしまうものです。

そのショックはどれほどのものか計り知れません。

不倫をした当事者に対して、精神的に受けた苦痛に対する損害賠償を請求することができます。

イコール「慰謝料請求」です。

ですが、慰謝料請求には「時効」が存在することをご存知でしょうか。

その期限は意外にも短く、一人で思い悩んでいる間に刻々と時間だけが過ぎてしまいます。

いったい、不倫における慰謝料請求の時効とはどのようなものなのでしょうか。

正しい知識をもって適切に手続きを進めることが大切です。

あまり時間をかけ過ぎずに、スピーディーに解決させることが重要なので、ご参考にしていただければ幸いです。

2年前の浮気で慰謝料は請求できる?

結論からいえば、2年前の浮気の慰謝料を請求することは可能です。

実際に、配偶者が不倫をしても必死に隠すでしょうし、すぐには気づかないことも少なくありません。

時効とは不倫行為自体を無かったことにするものではなく、「不貞行為に対して慰謝料を請求することができる権利を失う期限」のことを指します。

慰謝料請求の時効には2つのパターンがあります。

消滅時効3年配偶者と不倫相手の不貞行為を知った日
除斥期間20年配偶者と不倫相手の不貞行為があった日(不法行為時)

※民法 724条(不法行為による損害賠償請求権の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。

不法行為の時から20年を経過したときも同様とする。

「消滅時効」とは、一定の期間内で請求権を行使しなければ、その権利が消滅してしまうことをいいます。

「除斥期間」とは、ある権利について法律が定めた「存続期間」のことで、権利行使がされないままその期間が経過してしまうと、その権利が法律上当然に消滅してしまうことをいいます。

慰謝料の時効は相手や状況次第

消滅時効も除斥期間もどちらも時の経過とともに消滅してしまうことがおわかりいただけたかと思います。

ですが、どちらも消滅する点が同じで、とても紛らわしくどのようなケースが当てはまるのかがわからないものです。

不倫のケースも千差万別であり、どのようなケースが自分に当てはまるのかを知ることが慰謝料請求をする上で重要です。

下記をご参考にしてください。

不倫相手に対する慰謝料の時効

不倫相手に対する慰謝料請求する場合は、「不倫があった事実を知り相手が特定できている場合、その日から3年」で時効により慰謝料請求権が消滅してしまいます。

不倫相手が特定できずに誰だかわからない場合は、時効は進行しません。

このようなケースでは、「除斥期間」が適用される可能性が考えられますが、不貞行為の事実を知りながら相手を特定しない場合、裁判になったときにすでに時効が完成していると判断されてしまう可能性がありますので注意が必要です。

とはいえ、不倫の事実は把握していても、なかなか相手の連絡先や素性がわからず苦戦してしまい、請求できないというケースも少なくありません。

不倫の事実に気づいたら、早急に、できる限り相手を特定することをおすすめします。

        

配偶者に対する慰謝料の時効

配偶者に慰謝料を請求する場合のケースごとの時効を以下にまとめてみました。

ご参考になさってください。

ケース時効
不倫の慰謝料を請求したい不貞行為を知った日から3年
不倫があったことに気づいたのが数年後不貞行為があった日から20年(以内)
※(参考)不貞行為が原因で離婚に至った場合の慰謝料離婚した日から3年

配偶者の不倫に気づいていた場合は、3年を経過すると、時効により慰謝料請求権が消滅してしまいますので注意が必要です。

配偶者の不倫に気づいた時点で、すでに3年を超えていた場合は、除斥期間を適用して慰謝料の請求をすることができます。

(参考)消滅時効とは?

消滅時効の目的は、「権利の上に眠るもの(行使しないもの)を許さない」ことや、「長期間にわたり権利行使されない事実状態を評価」して、相手方(債務者:不倫をした当事者)の期待(慰謝料請求されない期待)を保護することにあります。

権利を持っているからと安心していつまでも使わないで長期間経過させてしまうことは債権者(慰謝料を請求する者)に責任があり、相手方(債務者:不倫をした当事者)も「これだけ長期間なにも動きがないのだから、もう請求されないだろう」と期待するのが通常なので、保護に値するというものです。

(参考)除斥期間とは?

除斥期間の目的は、権利関係を速やかに確定することにあります。

除斥期間の場合は、不法行為の事実や不倫相手を知っている必要はありません。

不倫の事実をまったく知らなかったとしても、不倫があったときから20年経過すれば、法律上当然に慰謝料請求ができなくなります。

慰謝料の時効を止めるための方法

前述のとおり、不倫の慰謝料請求権の時効は原則3年です。

ですが、時効を止めることができるのです。

止めるといっても、催告(内容証明郵便などを使う)という手段をとり暫定的に6ヶ月間延長ができるだけです。

普段、内容証明を受け取ることは滅多にないことなので、内容証明を送ることにより相手にプレッシャーをかけることができます。

それにより支払いに応じてくれるケースもあります。

ですが、この手段が使えるのは1回きりなので注意が必要です。

一般的には、時効期限が迫っている場合に、先に催告をして、その間に訴訟提起(裁判)の準備をすることが多いのです。

時効を中断させる方法は3つありますので、下記で詳しくみていきましょう。

中断方法 その1 裁判上の請求

たとえば、不倫の事実と不倫相手を知り2年半が経過してしまい、時効期間が迫っている場合でも、訴訟提起し時効の中断をすることにより、時効がリセットされます。

リセットされてからまた3年の時効がスタートします。


時効の中断という制度は、被害者が慰謝料請求をする際に不利益が生じないようにするためにあります。

一方で、除斥期間には中断させる制度はありませんので注意が必要です。

なぜなら、除斥期間はあくまでも被害を知らなかった被害者のための制度だからです。

(参考)不倫相手の居場所がわからないケースはどうしたらよいの?

不倫相手の居場所がわからないケースは少なくありません。

このようなケースはどのように裁判が行われるのでしょうか。

相手が住民票上の住所に居住していれば、弁護士が職務上請求をして住民票を取得することができます。

これによりその場所に居住しているか否かがわかります。

もし、住民票上の住所に居住しておらず、転居先の異動の手続きもしていなければ追うことができません。

このような行方不明のケースでは「公示送達」という手続きをとることになります。

公示送達とは、裁判所の掲示板のようなところに紙で「裁判を起こしている」と掲示されます。

このことにより、相手への送達(訴状など)が有効に行われたとして扱うことができます。

公示送達の方法により時効中断の効果も得られるので安心です。

不倫の慰謝料請求権の時効を10年延長することができます。

(注意!)裁判を取り下げたら時効は中断しない

一度、訴訟提起して裁判が始まると取り下げをしてしまえば時効は中断しません。

取り下げをすることにより、はじめから無かったことになってしまいますので、注意が必要です。

中断方法 その2 債務の承認をさせる

債務の承認」とは、相手が債務を認めた時を「起算日」とすることができることをいいます。

この場合、債務を承認したことを書面化(いわゆる示談書を作成)しておくことが必須となります。

後々のことを考えて「公正証書」で作成することがおすすめです。

  • ・慰謝料を支払う旨を明記
  • ・不貞行為に対する慰謝料を支払う義務を承諾する旨を明記
  • ・署名捺印 など

を忘れずに記載してください。

ですが、債務の承認はなかなかハードルが高いといえます。

たとえ証拠があったとしても、不倫をした事実をそう簡単には認めないでしょうし、不倫相手であれば、なおさら認めないことが多いでしょう。

中断方法 その3 仮差し押え・仮処分・差し押えの手続きをする

相手が慰謝料の請求に応じ、前述のとおり公正証書で示談書を作成した場合に使える手段です。

この公正証書を用いて、差し押えをすることができます。

差し押えが行われたときから時効が中断されます。

この方法は、相手がすでに慰謝料の支払いに同意した上で示談書を作成しているので、回収できない場合に使うことになります。

不倫の慰謝料を請求する場合の注意点

時効について見てきましたので、慰謝料請求は早い段階で行うことが良いということは、おわかりいただけるのではないでしょうか。

慰謝料請求をする方法は以下の3つがあります。

  • ・不倫相手と直接交渉する
  • ・内容証明などを送付して請求する
  • ・慰謝料請求訴訟を提起する

慰謝料を請求する際の注意点が2つあります。

  • ・慰謝料請求は早めにする
  • ・証拠を集めること

慰謝料請求はお早めに!

一般的には、時間がかかり煩雑な手続きを要する裁判沙汰にはしたくないと思われる方が多いでしょう。

ですが、自分一人で不倫相手と直接交渉することは精神的にもかなり疲弊してしまいます。

また、大きく揉めてしまい、無駄に時間だけが過ぎて時効をむかえてしまうことも珍しくありません。

時間が経過することにより、本来集められたはずの証拠も処分されてしまえば元も子もありません。

不倫していた当事者が、不倫を解消してしまい時効をむかえてしまうかもしれません。

慰謝料請求自体ができなくなる前に、早めに適切に対処していくことが求められます。

証拠を集めることが重要!

前述した慰謝料請求をする前に、必ずおさえておきたいのが「証拠」です。

法的に認められる証拠(不貞行為を立証するためのもの)を用意する必要があります。

まず、証拠を集める前に理解しておくべきことは「不貞行為の定義」です。

  • ・婚姻関係、婚約関係、内縁関係にある人以外の異性と性交渉をすること
  • ・かつ不倫関係が継続していること

これらのことを客観的に示すことができる証拠を用意しなければなりません。

慰謝料請求をするには、不貞行為の証拠が必要です。

自分自身で集めることももちろんできますが、処分されてしまえばなかなか集められないでしょう。

また、証拠能力が高いものを判断することは難しいといえるでしょう。

証拠能力が高い「証拠」はなに?

一般的に証拠として認められるものは下記のようなものです。

  • ・メール、LINEなどの履歴(写メしたものでもOK)
  • ・音声のデータ(ボイスレコーダーなど)
  • 探偵や調査会社による報告書など
  • 決定的な場面の写真や動画

これらの中でも、探偵や調査会社による報告書などは特に証拠能力が高いといえます。

自分で証拠を集めることが難しい場合には、探偵会社や調査会社に依頼することも検討されてみてはいかがでしょうか。

その際、離婚や男女関係に精通した専門家を選ぶことをおすすめします。

証拠能力が高いものがどのようなものかを理解しているので、余計な時間をかけずに確実に証拠収集ができるので有益です。

肉体関係(性交渉)があると判断される行為とは?

性交渉(肉体関係)があると判断される行為とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

そもそも、その現場を目撃でもしない限りは実際にあったかどうかもわからないものです。

「肉体関係(性交渉)」があったと判断される行為を挙げてみました。

  • ・配偶者以外の異性とラブホテルに行き長時間利用した
  • ・配偶者以外の異性と宿泊をともなう旅行に行き同じ部屋を利用した
  • ・一人暮らしの異性の家に長時間滞在した

このようなケースが、誰が見ても客観的に肉体関係があったと判断される可能性が高いものということになります。

これらの行為は「一度きり」であっても不貞行為が成立します。

※裁判所に「不貞行為」を理由として認めてもらうためには、これらの行為(肉体関係)が「継続的に」あったという証拠が必要となります。

肉体関係と判断されない行為とは?

  • ・キスやハグ
  • ・2人きりで会う、食事をする、デート
  • ・メール、LINE、電話などのやりとり

人によっては、浮気や不倫のボーダーラインが異なるので、これらの行為があれば「もうアウトじゃん!」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、残念ながら、これらのことをしても法的には「肉体関係」があったとは判断されません。

判断に迷うよくあるケースQ&A

■ケース1
相談者:配偶者の不倫が原因で離婚を考えています。

不倫が発覚したのは6年前で、不倫相手が誰なのかも把握しています。

6年前に問い詰めたときは「別れるから」といっていましたが、最近になってLINEでやりとりしていることが発覚しました。

まだ続いていたようです。

離婚時に配偶者に慰謝料請求することはできますか?またこの場合の時効がいつになるのか教えてください。

弁護士:6年前から継続していて現在もやりとりしているのなら、時効はまだ完成していません。

時効は、最終的な行為から3年となります。

■ケース2
相談者:配偶者が7年前の不倫を告白してきました。

本人は「時効を迎えたから大丈夫」と開き直っています。

当時、私は怪しいと思い問い詰めましたが、「友人の一人だから」と認めることはありませんでした。

不倫から7年経過してしまったのですが、不倫相手に慰謝料を請求することはできますか?

弁護士:残念ながら、7年以上経過していると時効が完成しており慰謝料請求することはできません。

加害者である配偶者も「友人」と認識してしまっているので、時効が成立していると判断されてしまいます。

時効が迫っている場合

一人思い悩んであっという間に時間が過ぎ、気づけば時効間近でお困りではありませんか。

そのような時は、迷わず「男女問題・離婚問題に強い弁護士」へ依頼されることを強くおすすめします。

とにかく早く動き出すことが肝心です。

まずは、前述のとおり不倫をした当事者に内容証明による催告をして時効を暫定的に延長させましょう。

その間に、次のステップへの準備を適切にスピーディーに進めることが重要です。

ですが、自分一人では内容証明を作成すること一つとっても、とても大変なことではないでしょうか。

文言や形式の妥当性などを判断することは簡単ではありませんし、それだけで時間がかかってしまいます。

時効が迫っているのなら尚更です。

もし、内容証明が届かなくて不倫の当事者と交渉すらできないとなったらパニックになるのではないでしょうか。

また調停や裁判の手続きも煩雑で知識がなければとても時間がかかってしまいます。

時間は有限です。

間に合わなくて、慰謝料請求ができなかったと涙を飲む前に早めにアクションを起こしてください。

まとめ

慰謝料請求をするには事前準備がとても重要であるということはおわかりいただけたのではないでしょうか。

証拠集めや、不倫相手を特定するなど、やらなければならないことが山ほど出てきます。

たとえば、2年前の不倫が発覚したケースならば、時効までに時間がありません。

一人でなんとかしようとする前に、弁護士のもとへ相談だけでも行くべきです。

残された少ない時間と、ここのケースによりやらなければならないことを適切に判断してアドバイスを受けることができるでしょう。

不倫が発覚すれば、被害者の精神的ダメージは相当に重いものです。

そのような状態の中で、証拠集めをすることは、傷をさらに深くえぐる作業となることもあります。

肉体関係があったことを証明していかなければならないのですから当然のことです。

そのような写真や動画は見たくないでしょうし、自らが尾行して撮りに行くこともしたくないのではないでしょうか。

精神的な苦痛を慰謝料という形でしっかりと償ってもらい、新たな一歩を踏み出してください。

きっと、弁護士はあなたに寄り添い、強い味方となってくれることでしょう。

監修弁護士
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