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浮気・不倫の定義とは?どこから慰謝料を請求できる?不貞行為による慰謝料を請求するケースと方法

この記事でわかること

  • 「浮気・不倫」について理解できる
  • 法律上の不貞行為の定義について理解できる
  • 慰謝料を請求できるケースとできないケースについて理解できる
  • 不貞行為の慰謝料請求には時効があるので注意が必要!
  • 不貞行為の慰謝料の相場について理解できる
  • 不倫相手から慰謝料を請求できなくなったときの対処法がわかる

「不倫相手から慰謝料をとるにはどうしたらいいの?」
「どこからが不倫のボーダーラインなの?」

何の前触れもなく、ある日突然なにかの拍子に配偶者の浮気がわかり、精神的に大きなダメージを受けられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もしくは、以前から浮気されている予感や証拠をつかんでいて、いつ動き出そうかと日々悶々としながらも、どうしたらよいかわからずお悩みではないでしょうか。

そもそも、どこからが浮気・不倫で、慰謝料はどのくらい請求できるのでしょうか。

一方で、浮気をされた方の精神的ダメージは計り知れません。

いざ動き出す前に、浮気・不倫の定義をしっかりと理解して、早めに適切な対応をすることが大切です。

下記で、詳しく解説していきます。

ご自身のお気持ちに沿うような、解決への第一歩となれば幸いです。

どこからが浮気・不倫となるのか

「配偶者以外の人とメールやSNSで連絡を取り合ったら浮気?」
「配偶者以外の人と食事に行ったら浮気?」
「浮気相手が配偶者と同性のケースも不倫になるの?」

一般的な浮気・不倫のイメージはとても曖昧です。

仕事仲間との会食や、友人同士の飲み会など、配偶者以外の異性と話す機会はたくさんあります。

人によって「浮気・不倫」のボーダーラインも違うのではないでしょうか。

たとえば、異性と2人きりで食事に行っただけで浮気だと思い嫌な気持ちになる人も多いものです。

いくら浮気・不倫を主張しても、その行為が法的に認められていなければ「不倫」を理由とした慰謝料請求や離婚をすることはできません。

不貞行為の定義とは?

法的に認められている「不倫の定義」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

相手方に慰謝料を請求する、離婚をするためには、一定の「法的な要件」が必要です。

  • ・「不貞行為」に当たるかどうか
  • ・不貞行為を立証するための「証拠」(法的に認められるもの)

不貞行為の定義とは、婚姻関係、婚約関係、内縁関係にある人以外の異性と性交渉をすること。

さらに、不倫関係が継続していることをいいます。

浮気と不倫の違いってなに?

浮気とは、広く一般的に恋人同士でも使われる言葉です。

また、性交渉がなくても「自分以外の異性と食事に行った」「頻繁に自分以外の異性と連絡を取り合っている」などというケースにも当てはまります。

一時的な関係であっても使われます。

一方、不倫は「婚姻関係にある人が配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」を指します。

よって、浮気よりも当てはまる範囲が狭いといえるでしょう。

さらに、一時的な関係ではなく、「その関係が継続していること」が必要となります。

恋愛感情がなくても不貞行為に当たるの?

いわゆる「風俗店」で繰り返し性的サービスを受けているようなケースでは、不貞行為に該当する可能性が高いです。

たとえば、性交渉やそれに近い行為は、恋愛感情がなくても十分不貞行為と認められることとなります。

(参考)不貞行為の相手が同性のケース

前述のとおり、不貞行為の相手は「異性」ということを前提に考えてきましたが、「同性」のケースではどうなるのでしょうか。

結論からいえば、はっきりとした定義は定まっていません。

ただ、不貞行為の定義として「配偶者以外の異性と」となっていることから、定義どおりに考えれば不貞行為の相手が異性のケースでは「不貞行為」と認められなくなります。

ですが、不貞行為ではないからといって離婚などが認められないわけではありません。

たとえば、配偶者が不貞行為を行い、その相手が「同性」であったとしても、そのことにより夫婦関係が破錠してしまった場合などが該当します。

  • ・夫婦間で性交渉が無くなった
  • ・別居をすることになった など

「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する場合は、離婚請求ができる可能性があります。

不倫のボーダーラインと慰謝料を請求できる不倫とできない不倫

前述のとおり、不倫のボーダーラインは「配偶者と不倫相手との間に性交渉(肉体関係)がある場合」です。

また、不貞行為により慰謝料を請求することができるのは「平穏な婚姻共同生活の維持」という権利または法的保護に値する利益を侵害する行為があった場合が該当します。

慰謝料を請求できる不倫慰謝料を請求できない不倫
・肉体関係(性交渉)がある
・性交渉に類似した行為がある      
・肉体関係(性交渉)がない    
・すでに婚姻関係が破錠していたとき

なお、家庭をかえりみず異性の友人との交流が頻回なケースでも慰謝料請求が認められる可能性があります。

では、慰謝料請求が認められるためにはどのような「要件」が必要なのでしょうか。

よくある例として、配偶者や不倫相手に不倫の事実を問い詰めてもなかなか認めない場合です。

このような場合は、残念ながら不貞行為の慰謝料を請求する側が「性的関係があったこと」を証明していかなくてはなりません。

いわゆる「証拠」が必要となります。

肉体関係があると判断される行為とは?

そもそも性交渉(肉体関係)があると判断される行為とはどのようなものなのでしょうか。

通常、その現場を目撃でもしない限りは実際にあったかどうかもわかりません。

法的に「性交渉(肉体関係)」があったと判断される行為は以下のとおりです。

  • ・配偶者以外の異性とラブホテルに行った(長時間利用)
  • ・配偶者以外の異性と旅行に行き同じ部屋に宿泊した
  • ・異性の自宅(一人暮らし)に長時間滞在した

このようなケースでは、「客観的にみて肉体関係があった」と判断される可能性が高いです。

当事者がいくら否定しても覆すことは難しいでしょう。

そして、これらの行為は「一度きり」でも不貞行為が成立します。

※裁判所に「不貞行為」を理由として認めてもらうためには、「継続的に」肉体関係があったという証拠が必要です。

肉体関係に該当しない行為とは?

法律上、肉体関係に該当しないものは以下のとおりです。

  • ・キスやハグをする
  • ・2人で食事をする、デートをする
  • ・メール、LINE、電話をする

このようなことでも、人により「これってもうアウトじゃん!」と怒りたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、これらのことをしても法的にはいわゆる「肉体関係」には該当しないのです。

慰謝料を請求する場合は不貞行為の証拠が必要

前述のとおり慰謝料を請求するには、不貞行為の証拠が必要となります。

ただ闇雲に、自分の判断で集めるのではなく、法的に認められる「証拠能力の高いもの」を集めましょう。

一般的に認められる可能性が高いものは、以下の4つです。

  • ・探偵や調査会社による報告書
  • ・写真や動画(決定的な場面)
  • ・メール、LINEなどの履歴(写メでも可)
  • ・音声のデータ

証拠能力の高いものは4つのうちどれ?

探偵や調査会社の「報告書」は、非常に証拠能力が高いです。

当事者の行動(たとえば、ラブホテルに出入りしている写真など)の一部始終を写真や動画で記録し、それを添付して報告書を作成します。

自ら集めた写真や動画についても決定的な場面をとらえたものであれば、証拠能力が高いといえます。

メールやLINEの履歴は、単独では決定的な証拠にはなりません。

本人に自白を促すことができる材料となりますので非常に有効であるといえます。

また、ほかの証拠と組み合わせて証拠として利用することがあります。

夫婦で話し合った際に録音した音声データも証拠となります。

(不貞行為について話し合い、本人が不貞行為を認める内容の発言があることが必要です。)

自分で証拠集めをするのが難しいときはどうしたらよい?

法的に有効で、かつ証拠能力が高いものを自分で集めることは、素人ではなかなか難しいものです。

そのようなときは、専門家に依頼することも検討されてみてはいかがでしょうか。

  • ・離婚専門の弁護士
  • ・探偵・調査会社

離婚を得意分野とする経験豊富な弁護士であれば、個々のケースに合わせて「どのような証拠を集めればよいのか」など、適切なアドバイスを受けることができます。

後々、調停や裁判に発展した場合のことも想定してアドバイスを受けることができますので、無駄がありません。

前述のとおり、客観的証拠として非常に証拠能力が高いので、費用はかかりますが探偵や調査会社に依頼し報告書を作成してもらうことも有益です。

注意!不貞行為の慰謝料請求には時効がある!

慰謝料請求権には時効があるということを忘れないでください。

悩んでいる期間が長ければ長いほど気をつける必要があります。

夫婦間の問題は、大変センシティブな内容であり、弁護士に依頼するまでの間にも自分自身の中でさまざまな葛藤があるかと思います。

ですが、時効消滅してしまう間の期間は意外と短く、あまり悩んではいられないのが現状です。

  • 不倫の相手(加害者)を知ってから3年
  • 不倫関係が開始した時から20年

上記のうち、どちらか期間が「短い方」で時効が完成してしまいます。

※離婚後に「不貞行為に基づく慰謝料を請求」することも可能です。

心の傷を金銭で解決することに抵抗のある方も少なからずいらっしゃいます。

ですが、傷ついた自分自身を癒すために金銭が役立つことがあるかもしれません。

躊躇せずに、早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。

不貞行為の慰謝料の相場は?

いったい慰謝料の相場はいくらくらいなのでしょうか。

結論から申し上げれば、一般的には100〜300万円が相場です。

(婚姻期間が1〜2年ほどで短期であれば、これに満たないケースも多々あり)

心に大きな傷を負われたのですから、しっかりと賠償してもらいましょう。

正しい知識を備えて、適切な慰謝料額を受け取るべきです。

さまざまなケースがあり、慰謝料額は必ずしも一定ではありません。

下記に一例を挙げましたのでご参考になさってください。

例:婚姻期間10年 
配偶者の不貞行為により夫婦関係が破錠
  →300万円ほど

一般的に、慰謝料の金額の考慮要素として下記のものが挙げられます。

  • ・離婚するかどうか(子どもの有無)
  • ・婚姻期間
  • ・支払う者の地位や収入
  • ・不貞期間、回数(※一度だけの過ちの場合は不貞行為とは認められないケースもあり)
  • ・精神的苦痛の程度 など

離婚をしなくても慰謝料は請求できるの?

結論からいえば「可能」です。

なぜなら、離婚してもしなくても「不貞行為によって大きな精神的苦痛を受けた」ことに変わりはないからです。

ですが、離婚しない場合は、離婚した場合と比較すると慰謝料額が低くなることが多いです。

 
※民法 709条(不法行為による損害賠償)
故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不倫相手だけに慰謝料を請求することもできる!

不倫相手に償って欲しいと思われるのも自然な人間の感情といえます。

既婚者とわかっていながら、肉体関係を持った場合は償う義務があります。

慰謝料は誰に請求できるのでしょうか。

  • ・不貞行為をした配偶者
  • ・不倫相手
  • ・上記の両者

このように、どちらか一方のみに慰謝料を請求することもできますし、当事者である両者に請求することもできます。

法的には、不貞行為をした配偶者と不倫相手が「連帯」して支払い義務を負います。

※それぞれが「全額」の支払い義務を負います。

(それぞれに請求するからといって金額が2倍になるわけではありません)

(参考)不倫相手が慰謝料の支払いに応じない場合はどうしたらよい?

不貞行為の慰謝料を請求したのに、不倫相手が支払いに応じないケースは多いものです。

このような場合は、いったいどうしたらよいのでしょうか。

ご参考までに、簡単な流れを解説していきます。

  
話し合いが成立したら、「合意書」を作成しましょう。

支払い方法が一括払いではなく分割払いのケースでは「公正証書」で作成しておくとよいでしょう。

その際に、「相手が支払いをしない場合は、直ちに強制執行に服する」などの文言を入れておけば後々、支払いが滞った場合に、相手の給料や預貯金などの財産を対象に差し押さえることが可能となります。

これらすべての手続きを自分一人で行うことは、多大なストレスと労力を要します。

早い段階で弁護士に依頼すれば、適切なアドバイスを受けながら進めることができますので安心です。

合意できない場合は調停、裁判へ移行する

前述のとおり、合意が成立しなければ調停、裁判へと移行することになります。

不倫相手に慰謝料請求をする場合、十分な証拠を持っているのであれば、調停ではなく訴訟を起こした方が確実に慰謝料を支払わせることができる可能性が高いです。

十分な証拠を持っていないのであれば、調停を起こして慰謝料の支払いを請求するケースもあります。

調停や裁判手続きは煩雑であるため、弁護士に相談しながら最善の方法を選択し、早期解決することをおすすめします。

通知書についての予備知識

「通知書」を送るときには「内容証明郵便」を利用します。

内容証明は、郵便局と自分に控えを残すことができます。

  • ・配達員が直接手渡しを行い受領のサインをもらう
    (サインは本人である必要はなく家族・法人宛なら社員でも可)
  • ・自分の控えを使い相手方に送った文書の存在を証明できる
    (文書内容の真実性の証明ではない)
  • ・受け取りを拒否されれば、相手方が受け取りを拒否したことがわかる

相手方が受けとったかどうかは証明できないので、別途「配達証明」を付加することをおすすめします。

まとめ

不貞行為は、何故いけないのでしょうか?

それは、夫婦には「貞操義務」があるからです。

配偶者以外の異性と関係を持つことで貞操義務を破り、平穏な日常をもろくも奪い去ってしまいます。

被害者である、不倫をされてしまった妻(夫)の心の傷は一生癒えることはないでしょう。

慰謝料だけを受け取り、離婚せずによりを戻すご夫婦もいれば、離婚をすることで心機一転し再スタートをきる方もいらっしゃいます。

いずれの選択も、どうすることが正しいということはありません。

大きく揉めてこじれてしまう前に、専門家である弁護士にご相談されることが有益です。

その際は、男女関係や離婚問題に強い弁護士にご相談されることを強くおすすめします。

監修弁護士
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