18歳へ引き下げ?20歳まで?離婚後子供の親権は何歳まで有効なのか | 離婚弁護士マップ
  • tel-button
  • mail-button
top center bottom

18歳へ引き下げ?20歳まで?離婚後子供の親権は何歳まで有効なのか

この記事でわかること

  • 親権について概要がわかる
  • 成年年齢が18歳に改正された後の、親権の扱いについてがわかる
  • 親権を決める際の注意点がわかる
  • 親権者が死亡した際の未成年後見人の選任方法がわかる

民法の改正により、2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

この改正により、離婚後の子供の親権にどのような影響があるのでしょうか。

親権への影響や注意点などを説明していきます。

親権とは

親権とは、未成年の子供の財産を管理したり、子供の身の回りの世話をする身上監護の権利・義務のことです。

両親が結婚している間は、両親が共同して親権を持っていますが、離婚するときには、父と母のどちらか片方が親権を持つことになります。

親権の具体的な内容は、大まかに次のように分類できます。

1.財産管理権

  • ・子供の財産を管理する権限
  • ・子供の法律行為に同意する権限

2.身上監護権

  • ・子供の教育や身の回りの世話をする権限
  • ・子供の身分行為を代理する権限
  • ・子供の住む場所を決めたり、子供の職業を許可する権限

親権は、通常は財産管理権、身上監護権を総合したものを指し、親権者は全部の権利義務を持つことになります。

ただし、例外的に、身上監護権を親権の中から取り出し、監護権と親権を分ける場合があります。

たとえば、財産管理については父が適しているが、身上監護については母が適している場合に、親権は父親に、監護権を母親に持たせるというように分けることができます。

親権はいつまで持てる?

親権は、子供が未成年の間、親権者が持つものです。

子供が成年になると親権はなくなり、自分自身ですべての権利や義務を持つようになります。

今回の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられると、親権にも影響を及ぼします。

これまでは子供が20歳になるまで親に親権がありましたが、2022年4月からは、親権は子供が18歳になるまでのものとなります。

離婚の際に未成年者の子供がいると親権者を決めなければなりませんが、満18歳以上の子供であれば親権者を決める必要はなくなります。

ただし、親権と養育費は別問題です。

18歳が成年年齢になるからといって、養育費も18歳までにしなければならないというものではありません。

過去に「成年になるまで養育費を支払う」と決めていた場合にも、決めた当時は20歳を成年年齢という前提で決めていたものであれば、20歳まで養育費を支払うことが妥当です。

養育費をいつまで支払うかは、子供の進学予定などを踏まえ、いつまで必要なのかを決めることが大切です。

養育費は、「未成年の間」ではなく、「未成熟の間」支払うものとされているため、子供が現実的に経済的な独立ができる年齢まで支払うことが基本です。

親権を決める際の注意点6つ

親権を決める際には、どのような点に注意すればよいでしょうか。

親権者の決め方(協議なのか調停なのか)

まずは親権者をどのように決めるかという問題があります。

協議で決めることができるのか、調停に進めることになるのか、状況や相手の意向に気を配る必要があります。

協議で決めることができるのであれば、夫婦間でのやりとりだけですが、調停に進む場合には、調停委員や家裁調査官への対策も考えなければなりません。

養育費の額や支払方法

親権を決めるときにセットで決めるべきなのが、養育費についてです。

親権の有無にかかわらず親は子供の養育費は分担する必要があります。

養育費を決めるときには、家庭裁判所で採用している算定表などを利用して、適正な金額を定めましょう。

ただし、算定表はあくまでも参考数値です。

子供の進路について、医学部や大学院に進ませたいなど学費が高額になるような場合には、算定表を参考にしつつも、状況に応じた金額決定が必要です。

なお、支払い方法についてもきちんと話し合い、具体的に決めておきましょう。

親権を変更出来るのか

離婚時に決めた親権を後で変更できるかというと、可能です。

ただし、当事者同士の話し合いで変更することはできません。

親権者を変更するには、家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てる必要があります。

家庭裁判所は子供の福祉という観点で、親権者変更を認めるかどうかを判断することになります。

両親が親権者変更に合意していても、必ず認められるとは限りません。

安易に親権を決めて後悔することがないよう、慎重に決めましょう。

これまでの監護実績

離婚して親権者になれば、配偶者の手を借りずに子供を監護、養育していくことになります。

これまで監護してこなかった親が、離婚後急に子供を一人できちんと監護、養育していくことは現実的ではありません。

これまでの実績から見て、これからもきちんと監護していける見込みが高い方の親が親権を取ることが子供にとって良いことでしょう。

当事者同士の話し合いで合意できず、裁判所の手続きに移行した場合でも、監護の実績は重視されます。

裁判所は、離婚によって子供の成育環境や教育環境などが大きく変わってしまうことは望ましくないと考えているからです。

結果、現状の監護者をそのまま親権者とし、環境をできるだけ変えないという結論を出すことが多くなります。

子供の年齢、性別、きょうだいの存在

子供は両親の離婚により、心理的なダメージを受けてしまうことが多いです。

できるだけ子供に負担をかけないよう配慮することが大切です。

子供の年齢や性別も考慮して、どちらの親との生活が望ましいか考えましょう。

今の状況だけでなく、子供が成長して思春期になってからのことなども踏まえて検討することもおすすめします。

また、きょうだいがいる場合、できるだけ引き離すことはせず、一緒に生活できるようにしてあげることが望ましいでしょう。

裁判所が判断する場合も、子供の年齢、性別、きょうだいについては考慮されます。

子供の年齢が低いほど、母親が必要だと考えられているため母親が有利になります。

きょうだいについても、できるだけ親権者は別々にしないことが原則となっています。

親の意欲、心身の健康状態、監護補助者の存在

子供を養育する意欲は当然必要なことです。

自分優先で子供の存在を軽視する親は、親権を持つべきではありません。

そして、意欲だけでなく、子供をきちんと養育できるよう、心身が健康であることが必要です。

心身の健康状態に問題がある場合には、親権者としての役割を十分に果たすことができません。

そのような場合、裁判所も親権者にふさわしくないと判断することがあります。

また、子供を養育するときに、それを手助けしてくれる存在(監護補助者)がいるかどうかも大切です。

離婚後は両親どちらも仕事をするのが一般的なので、子供と一緒に過ごせる時間が限られる場合があります。

そのような場合に、それを補ってくれる人の存在は重要です。

両親など、サポートしてくれる人がいるかどうかも事前に検討しましょう。

裁判所でも、監護補助者の存在の有無は考慮に入れます。

離婚後、親権者が死亡した時は未成年後見制度が開始に

離婚後に親権者が死亡したら、どうなるのでしょうか。

未成年後見人とは

親権者が死亡すると、子供の親権を持たなかったもう片方の親がそのまま親権を引き継ぐと思われる方が多いと思います。

しかし、親権を持つ人が亡くなると、「未成年後見人」が選任され、親権者の代わりの役割を担うこととなります。

未成年後見人は、親権者と同じように、子供が成年するまでの間、財産管理権、身上監護権を持ちます。

未成年後見人の選任方法

未成年後見人は、どのように選任されるのでしょうか。

方法は、2つあります。

1つ目は、親権者が、遺言書で未成年後見人を指定する方法です。

遺言書で、自分が死亡した場合、誰を子供の未成年後見人にしたいかを指定しておくのです。

未成年後見人を指定する場合、必ず遺言書によって行う必要があります。

遺言書がある場合でも、裁判所に申し立てを行う必要はあります。

2つ目は、親族や利害関係人の申し立てによって、家庭裁判所の審判で選任する方法です。

申し立ての際は、事情説明書や後見人候補者の事情説明書を添付します。

事情説明書には、未成年者と後見人候補者の現状などについて記載します。

申し立てを行うと、裁判所が候補者や未成年者との面接を行ったり、家庭訪問をする場合もあります。

裁判所が慎重に判断のうえ、未成年後見人を選任します。

誰が選ばれるのか

家庭裁判所に未成年後見人の選任申立てをする際、後見人候補者を記載します。

ただし、候補者が必ずしも未成年後見人に選ばれるわけではありません。

裁判所は、未成年者の生活状況、財産状況、候補者の経歴や職業、未成年者の意向などを面接や家庭訪問、親族への聞き取りなどを通して調査し、総合的に判断します。

未成年後見人は、親族が選ばれることが多いものの、未成年者に多額の財産がある場合などは、弁護士などの職業後見人が選任されるケースもあります。

未成年後見人には報酬がある

未成年後見人と親権者の違いとして、未成年後見人は職務なので、未成年者の財産から報酬を得ることが認められています。

ただし、勝手に報酬を取ることはできず、家庭裁判所に申し立てをして、家庭裁判所が認めた金額を報酬として受け取ることができます。

報酬額は、財産の多寡や職務の内容によって異なりますが、通常月数万円程度です。

弁護士などの職業後見人が選任されている場合、金額が高くなるケースがあります。

親権変更の申し立てが認められる場合も

離婚して親権者にならなかった親が、親権者の死亡後に、家庭裁判所に親権者変更の申し立てをすることができます。

この申し立てが認められた場合、非親権者だった親が新たな親権者となります。

そうすると、親権者がいない状態にはならないため、未成年後見人の選任は行われません。

まとめ

親権者は未成年の子供の権利や心身を守るための存在です。

万一親権者がいなくなった場合には、それに代わる未成年後見人が選任されるのも、子供を守るための制度です。

そのような趣旨を理解したうえで、子供の親権についてしっかり話し合うことが大切です。

監修弁護士
中野 和馬

東京弁護士会

中野 和馬
石木 貴治

東京弁護士会

石木 貴治
山谷 千洋

東京弁護士会

山谷 千洋
堀 翔志

第二東京弁護士会

堀 翔志
水流 恭平

東京弁護士会

水流 恭平
福西 信文

東京弁護士会

福西 信文
川﨑 公司

東京弁護士会

川﨑 公司
大橋 正崇

弁護士法人AO

大橋 正崇
鵜飼 大

ウカイ&パートナーズ法律事務所

鵜飼 大
監修弁護士一覧
弊社が選ばれる3つの理由
離婚について知る