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離婚時 養育費にボーナス加算は可能です。損しないための養育費の相場と計算方法

子供のいる人が離婚を考えるときに心配するのが子供への影響です。

子供を育てていくにはお金もかかりますので、養育費をきちんともらえるかはとても重要な問題です。

ここでは、養育費の決め方や具体的な金額でのシミュレーション、ボーナス加算の方法を紹介します。

養育費を決めるための基本的な考え方

養育費はどのようなもので、どのように決めればよいのでしょうか。

養育費とは

養育費は、子供が成熟するまでの間、父母が公平に負担すべきものです。

離婚して子供と別居することになる親は、養育する方の親(通常は親権者)に対し、自己の負担すべき養育費を支払います。

養育費は、できる限り子供に離婚前と変わらない水準の生活をさせてあげるためのものです。

養育費には、子供に必要な食費や被服費、教育費、医療費、習い事代などすべてが含まれます。

養育費の決め方

当事者間の話し合いで決めることが基本です。

通常、月当たりの金額を決めて、子供が成熟するまで(通常は20歳になるまで)毎月支払っていく形になります。

金額は、父と母それぞれの経済力や子供の年齢、教育費の見込みなどを考慮して決めます。

話し合いでは決められない場合、家庭裁判所でも採用している養育費算定表を参考にするとよいでしょう。

参考:裁判所ホームページ「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」

養育費算定表では、支払う側と受け取る側の年収、子供の年齢、人数によって簡単に養育費の月額が算定できるようになっています。

それでも当事者間の話し合いで合意できない場合、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

ボーナスが年2回で合計年収700万円の時の養育費のシミュレーション

具体例として、夫が給与所得者で年収700万円、妻が給与所得者で年収100万円、離婚後に妻が子供を養育する場合の養育費について紹介します。

算定表による計算

養育費算定表によると、このケースでの養育費の月額は次のようになります。

【子供一人】

  • 15歳未満の子供一人  8~10万円
  • 15歳以上の子供一人  8~10万円

【子供二人】

  • 15歳未満の子供二人  10~12万円
  • 15歳未満の子供一人、15歳以上の子供一人 12~14万円
  • 15歳以上の子供二人  12~14万円

【子供三人】

  • 15歳未満の子供三人  14~16万円
  • 15歳未満の子供二人、15歳以上の子供一人 14~16万円
  • 15歳未満の子供一人、15歳以上の子供二人 14~16万円
  • 15歳以上の子供三人 14~16万円

この金額を見たときに、受け取る側は「少ない」と感じるかもしれませんが、支払う側は「負担が重すぎる」と感じるかもしれません。

ただし、どちらにとってもある程度公平性を保つことができるのがこの算定表による金額なので、基本的にはこの算定表の結果を基準にするとよいでしょう。

仮に裁判所の判断を仰ぐことになっても、結果はこの算定表通りの金額となることがほとんどです。

ただし、子供に病気があるなど特殊な事情がある場合には、それも考慮されることがあります。

なお、離婚時に妻が専業主婦の場合でも、通常は離婚後に働くことになるため、見込み年収で計算することになります。

ボーナス加算の方法とは

日本では、会社員や公務員の場合、毎月の給与に加えて年1回から3回程度の賞与(ボーナス)を支給することが多くなります。

養育費の算定表で計算する際の年収とは、ボーナスを含めた年収です。

ボーナスがあってもなくても、同じ年収であれば養育費の月額は同じ金額になります。

ただし、支払う側にとっては、年収のうちボーナスの比率が高い場合、毎月この算定表の金額を支払うことが現実的に困難な場合もあります。

年収700万円で、月収45万円、ボーナス80万円が年2回支給という場合で考えてみます。

この場合、ボーナスがない月の月収は45万円、ボーナス月は125万円となります。

そうすると、生活スタイルや住宅ローン等の有無によっては、ボーナスのない月に支払える金額の上限は10万円程度であるという可能性もあります。

月収45万円は額面の金額であり、手取り金額はそれより2~3割少ないことが通常だからです。

そのような場合に養育費を月額12万円としたいときは、どうしたらよいでしょうか。

方法として、ボーナス月以外は月額10万円として、ボーナス時に不足分を加算して支払ってもらうことも可能です。

12万円×12か月=144万円が本来受け取れる養育費の年額として、

10万円×12か月=120万円で不足する24万円をボーナス時に加算するのです。

ボーナス月以外10万円×10か月=100万円と、ボーナス月(10万円+12万円)×2か月=44万円で合計は同じ144万円となるように調整することができます。

受け取る側としては、毎月定期的に同額を受け取る方が安心かもしれませんが、現実問題として、支払いができない金額を取り決めたところで支払ってもらえなければ意味がありません。

それであれば、ボーナス払いを併用して、支払いの実現性が高い方法を取った方がよいでしょう。

ただし、注意点として、ボーナスは業績などにより変動することが普通です。

必ず想定通りの金額が支給されるわけではないので、それを踏まえて無理のない範囲でボーナス加算の額を決めましょう。

あまりにボーナス加算の比率を高くすると、リスクが高くなります。

また、住宅ローンのボーナス払いなどもある場合は、それも考慮して決めるとよいでしょう。

ボーナス月の養育費は公正証書で決めておこう

養育費のボーナス加算を取り決めた場合、必ず書面を取り交わしておきましょう。

その際、できる限り公正証書を作成することをお勧めします。

公正証書のメリット

公正証書を作成することには次のようなメリットがあります。

①証拠能力が高い
公正証書は、公証役場という公的機関で公証人が作成し、公証役場に原本が保管されるものです。

そのため、記載内容には私的に作った離婚協議書に比べて高い証拠能力があるとされます。

法的な争いになった際、高い証拠能力があることは強い武器になります。

特に、ボーナス加算など変則的な取り決めがある場合にはその証拠があることが重要です。

口頭でボーナス月に養育費を加算する約束をしていても、証拠がなければ請求は難しくなります。

ボーナス月に加算する旨とその金額、支払い方法について、きちんと公正証書に記載しておきましょう。

②強制執行ができる
公正証書に養育費の支払い義務を記載し、強制執行認諾文言をつけておけば、相手が養育費の不払いをしたときに、裁判手続きを経ることなく、相手の財産の差し押さえ(強制執行)ができます。

そのため、私的文書の場合よりも、不払いが起きたときの法的手続きの負担が軽くなるというメリットがあります。

③相手に対してプレッシャーとなる
公的文書を作成して約束することで、支払い義務者にとっては心理的なプレッシャーとなります。

残念なことに、養育費は継続して支払われるケースはとても少なく、支払われなくなってしまうことがとても多いのが現状です。

しかし、もし払わなければ自分の財産をすぐに差し押さえられると思えば、支払い義務者が安易な気持ちで不払いをする可能性は低くなるでしょう。

まとめ

養育費は当事者間で金額や支払い方法を決めることができ、場合によってはボーナス月に加算して支払ってもらう方法もあります。

双方の事情や意見を調整し、できるかぎり実現性の高い金額と方法での支払いを取り決めるとよいでしょう。

取り決めた内容については、公正証書を作成することで後日のトラブルを予防しましょう。

監修弁護士
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