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年収300万の場合の養育費の相場|子供の人数と年齢によって変わる

この記事でわかること

  • 養育費の算定方法がわかる
  • 義務者が年収300万円の場合の養育費の金額がわかる
  • 養育費の金額を決める要素について理解できる

離婚に際しては、決めなければならないことがたくさんありますが、最重要なものの1つが養育費です。

子どもを扶養するのは親の義務であり、たとえ離婚したからといって、その義務がなくなるわけではありません。

しかし、厚生労働省が行った平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、離婚した夫婦の54%が、養育費について取り決めをしていないという結果が出ています。

離婚時の状況にもよりますが、子どものためにも、可能な限り養育費はしっかりと決めておくべきです。

養育費の取り決めをするには、まず、適正な養育費の金額を知る必要があります。

そこで今回は、養育費を支払う人が年収300万円の場合、1か月あたりの養育費の相場はどれぐらいなのか、また、養育費に影響を与える要素とは何かについて、ご紹介していきます。

なお、この記事の養育費は、令和元年12月23日に公表された令和元年版の算定表に対応しています。

義務者が年収300万円の場合、養育費はいくら?

ここでの年収というのは、給与所得者の場合には、各種控除前の支払金額のことであり、自営業者の場合には、確定申告書の課税される所得金額のことです。

養育費は、通常、裁判所でも使用される養育費算定表にしたがって算定しますが、算定表では、給与所得者と自営業者で金額が異なるため、給与所得者と自営業者を分けて考えます。

なお、養育費を支払う人を義務者、養育費を受け取る人を権利者と言います。

義務者が給与所得者の場合

では、義務者の年収300万円の場合、養育費の相場はいくらぐらいなのかを具体的に見ていきたいと思います。

まず、義務者と権利者がともに給与所得者の場合です。

子どもの人数と権利者の年収によって、養育費の金額が決まります。

表を見てもらえばわかりますが、権利者が義務者より収入が多かったとしても、養育費の支払義務がなくなるわけではありません。

「義務者(年収300万円)、権利者ともに給与所得者の場合」

子どもの人数権利者の年収
合計(内訳)0100万200万300万400万以上
1人0歳~14歳1人4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万2万~4万
1人15歳~19歳1人4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳2人4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳1人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
15歳~19歳1人
2人15歳~19歳2人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
3人0歳~14歳3人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
3人0歳~14歳2人6万~8万4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万
15歳~19歳1人
3人0歳~14歳1人6万~8万4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万
15歳~19歳2人
3人15歳~19歳3人6万~8万4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万

次に、義務者が給与所得者、権利者が自営業者の場合、養育費は以下のとおりとなります。

「義務者:給与所得者(年収300万円)、権利者:自営業者の場合」

子どもの人数権利者の年収
合計(内訳)0100万200万300万400万以上
1人0歳~14歳1人4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万2万~4万
1人15歳~19歳1人4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳2人4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳1人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
15歳~19歳1人
2人15歳~19歳2人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
3人0歳~14歳3人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
3人0歳~14歳2人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
15歳~19歳1人
3人0歳~14歳1人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
15歳~19歳2人
3人15歳~19歳3人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万

義務者が自営業者の場合

養育費算定表においては、義務者が自営業者の場合、所得金額を年収と考えるため、支払金額を年収と考える給与所得者に比べて、養育費の金額が高くなります。

まず、義務者が自営業者、権利者が給与所得者の場合です。

この組合せが、養育費の金額が最も高額になります。

「義務者:自営業者(年収300万円)、権利者:給与所得者の場合」

子どもの人数権利者の年収
合計(内訳)0100万200万300万400万以上
1人0歳~14歳1人4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
1人15歳~19歳1人6万~8万4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳2人6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万2万~4万
2人0歳~14歳1人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
15歳~19歳1人
2人15歳~19歳2人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
3人0歳~14歳3人8万~10万6万~8万6万~8万4万~6万4万~6万
3人0歳~14歳2人8万~10万6万~8万6万~8万4万~6万4万~6万
15歳~19歳1人
3人0歳~14歳1人8万~10万6万~8万6万~8万4万~6万4万~6万
15歳~19歳2人
3人15歳~19歳3人10万~12万6万~8万6万~8万4万~6万4万~6万

次に、義務者と権利者がともに自営業者の場合です。

「義務者(年収300万円)、権利者ともに自営業者の場合」

子どもの人数権利者の年収
合計(内訳)0100万200万300万400万以上
1人0歳~14歳1人4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万2万~4万
1人15歳~19歳1人6万~8万4万~6万2万~4万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳2人6万~8万4万~6万4万~6万2万~4万2万~4万
2人0歳~14歳1人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
15歳~19歳1人
2人15歳~19歳2人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
3人0歳~14歳3人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
3人0歳~14歳2人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
15歳~19歳1人
3人0歳~14歳1人8万~10万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万
15歳~19歳2人
3人15歳~19歳3人10万~12万6万~8万4万~6万4万~6万4万~6万

これら4つの表を比較してみると、義務者が給与所得者か自営業者かによって、養育費の金額には大きな差が生まれますが、権利者が給与所得者か自営業者かは、あまり影響がないことがわかります。

養育費の算定額を左右する要素

養育費の金額は、様々な要素によって影響を受けますが、主なものをいくつかご紹介します。

権利者と義務者の収入

養育費の金額を決定する最大の要因が双方の収入です。

前述のとおり、給与所得者は控除前の年収を基準としますが、具体的には源泉徴収票の「支払金額」です。

当然、それ以外にも収入がある場合には、その金額を年収に算入しなければなりません。

なお、子どもを引き取った権利者が、児童扶養手当や児童手当を受給したとしても、それは年収に含める必要はありません。

子どもの人数と年齢

子どもの人数と年齢も、両親の年収と同様、養育費算定の大きな要素です。

子どもの人数が多ければ養育費も増えるのは当然ですが、年齢によっても養育に必要な費用は変わります。

そこで、算定表では0歳から14歳までと、15歳から19歳までとで、金額に変化を付けています。

ちなみに、養育費算定表には、子どもが複数の場合、子ども1人1人の金額ではなく合計金額が記載されていますが、その金額を元に、子ども1人あたりの養育費について、以下の要領で計算することも可能です。

0歳から14歳までの子どもの指数を62、15歳から19歳までの子どもの指数を85とし、算定表の養育費額をこの指数で按分します。

指数というのは、親を100とした場合に、子に充てられる生活費の割合です。

例えば、16歳、13歳、9歳の3人の子どもの養育費が、1か月8万円の場合、次の計算式で子ども1人あたりの養育費を求められます。

9歳と13歳の子どもの養育費
8万円×62/(62+62+85)=23732円

16歳の子どもの養育費
8万円×85/(62+62+85)=32536円

義務者の扶養家族の存在

養育費とは、子どもに対する親の扶養義務ですが、義務者に、養育費の対象となる子ども以外にも扶養家族がいる場合は養育費が減額される要素となります。

例えば、義務者に前の妻との間に子どもがいる場合や、親を扶養家族としている場合などです。

こういったケースでは、養育費算定表から養育費を導き出すことはできませんので、事案にあわせて、その都度計算することになります。

義務者が住宅ローンを支払う

離婚に際しては、不動産の処分をどうするかが、大きな問題になることがよくあります。

住宅ローンの支払が終わっていない場合には、自由に処分することも難しいため、そのまま所有して、ローンの支払いを継続していくことも珍しくありません。

自宅を処分しない場合、意外と多いのが、自宅の名義と住宅ローンの債務者がいずれも父親であるにもかかわらず、離婚で家を出ていくのは父親で、母親と子どもが居住し続けるというケースです。

母親は家賃の負担がなく、子どもの養育に使える費用が増えます。

一方、父親は住宅ローンに加え、自分が居住する住宅の家賃を支払う必要も出てくるなど、経済的な負担が大きくなります。

そこで、こういったケースでは、養育費が減額される可能性があります。

私立高校や私立大学の学費

養育費算定表は、子どもが公立の学校に通うことを想定して作成されています。

したがって、子どもが私立の学校に通う場合には、養育費算定表の金額では不足するということになり、養育費の増額が認められる可能性があります。

ただし、当然に増額されるわけではなく、義務者の資力や社会的地位等からみて、義務教育を超える教育費を負担することが相当と認められる必要があります。

養育費の算定方法が変わる

今回ご紹介した養育費算定表は、平成30年度司法研究の研究員が研究結果を踏まえて作成したもので、令和元年12月23日に公表された最新のものです。

それまで使用されていた養育費算定表は、平成15年に作成されたものですから、およそ16年ぶりの改訂ということになります。

養育費算定表が新たに作成された背景には、社会情勢の変化など様々な要素があります。

中でも、母子世帯と両親が揃っている世帯では、平均所得に倍以上の開きがあり、教育水準に大きな差が生じているという現状を改善する必要があるというのが、大きな理由の1つです。

この点、平成28年には、日本弁護士連合会が「新算定表」を発表するなど、養育費の増額を主張していました。

そして司法研修所は、平成30年7月に算定方法の見直しに着手し、今般、ようやく新たな算定方法が公表されたというわけです。

全体として、養育費が増額される方向での見直しが行われていますので、これから養育費の取り決めをする人や請求しようと思っている人は、一度、実際の算定表をチェックしてみてください。

資料:裁判所「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」

まとめ

この記事では、義務者が年収300万円の場合の養育費の相場と、養育費の算定に影響を与える要素についてご説明してきました。

養育費の支払というのは、生活保持義務と言われる非常に重い義務です。

経済的に余裕がないからといって、免除されるものではなく、自分の生活レベルを落としてでも、支払わなくてはならないものです。

もし、その義務が履行されていないのであれば、子どもの将来がかかっているのですから、遠慮無く請求するべきです。

自分1人では難しいと感じた場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。

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