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離婚慰謝料の基礎知識|相場・税金・増減要因について

離婚するときに慰謝料が問題になる場合があることは多くの方がご存じでしょう。

しかし、離婚慰謝料に関する詳しいことについては知らない方も多いのではないでしょうか。

ひとくちに離婚慰謝料といっても、何を根拠として支払われる慰謝料なのか、相場はどれくらいなのか、税金はかかるのか、金額が増減されるのはどんな場合かなど、注意すべきことはたくさんあります。

この記事では、相場や税金、金額の増減要因を中心に、離婚慰謝料の基礎知識を網羅的に解説します。

離婚慰謝料を請求したいとお考えの方はもちろん、離婚慰謝料を請求された方もぜひ参考にしてください。

そもそも離婚慰謝料とは

離婚慰謝料とは、配偶者の違法な行いによって夫婦関係が破綻し、離婚に至った場合に精神的苦痛を慰めるために支払われる金銭のことです。

法律的には、故意または過失によって他人の権利または利益を侵害する不法行為に対する損害賠償(民法第709条)として、精神的損害に対して支払われる賠償金のことを慰謝料といいます。

離婚すると必ず慰謝料が発生すると考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

注意が必要なのは、離婚慰謝料を請求できるのは、配偶者の違法行為によってこちらが不当に精神的損害を受けたときに限られるということ。

つまり、違法な権利侵害があったことが要件になります。

なかには、違法な権利侵害がないのに手切れ金のような意味合いで慰謝料が支払われるケースもあります。

しかしその場合、名目上は慰謝料であっても法的には損害賠償金としての慰謝料とはみなされません。

また、慰謝料は必ずしも夫から妻に支払われるものではありません。

妻の違法行為によって夫婦関係が破綻し、離婚に至るケースも多くあります。

このような場合は、夫が受けた精神的損害に対して、妻に慰謝料を請求することができます。

なお、配偶者の浮気や不倫が原因で離婚に至った場合は、配偶者に対する慰謝料請求とは別に、浮気や不倫の相手に対しても慰謝料を請求することができます。

この場合、配偶者に対して請求できるのは離婚慰謝料、浮気や不倫の相手に対して請求できるのは通常の損害賠償金としての慰謝料というように区別されますが、不法行為はひとつなので必ずしも2人分を合わせて2倍の金額を請求できるわけではないことに注意が必要です。

離婚慰謝料の相場とケース別の注意点をご紹介

離婚慰謝料を請求したい方も請求された方も、相場は気になるところでしょう。

離婚慰謝料の金額は個別のケースごとにさまざまな事情を考慮して決められるものであり、算定基準があるわけではありません。

おおよその相場としては、50~300万円程度です。

実際のケースでは幅が大きく、数万円のケースもあれば、資産家や有名人の離婚では数千万円や数億円にのぼることもあります。

ただ、世間一般の相場としては上記金額の程度に決まるケースが多くなっています。

金額の違いは離婚原因の種類によるというよりも、個別のケースにおける不法行為の悪質性の程度や精神的損害の程度によって決まるため、離婚原因別の慰謝料の相場の違いは特にありません。

それでも、傾向として慰謝料が高額になりやすいケースとそうでないケースがあるので、以下にご紹介します。

浮気や不倫など不貞行為があった場合

この場合は傾向として最も慰謝料が高額になりやすいといえます。

ただし、不貞行為の回数や交際期間、交際に至った経緯や夫婦関係の状況など、さまざまな要因によって金額が異なってきます。

DV、モラハラなどがあった場合

配偶者からの暴力や暴言、無視、人格否定なども離婚原因になり得ます。

理論上は不貞行為のケースと同等の慰謝料が認められるべきですが、DVやモラハラのケースでは立証が難しい場合もあることから、傾向としてはやや慰謝料額が低額になりがちです。

明らかな暴力によって被害を受けた場合は立証も比較的容易ですが、家庭内での発言や態度によるDV・モラハラの場合は不法行為の立証も精神的損害の立証も容易ではないため、立証上の工夫が重要になります。

悪意の遺棄があった場合

悪意の遺棄とは、生活費を渡さなかったり、正当な理由もないのに別居したりして、夫婦の同居・協力・扶助義務を果たさないことをいいます。

配偶者が夫婦関係の破綻をもくろんで愛人宅に入り浸り、生活費も渡さないようなケースであれば高額の慰謝料が認められます。

性格の不一致によって夫婦が疎遠になるようなケースでは慰謝料額は低くなる傾向にあり、場合によっては慰謝料請求が認められないこともあります。

遺棄の態様や程度は非常に幅が広く、性格の不一致に過ぎないようなケースも多いことから、高額の慰謝料が認められるケースはそれほど多くない傾向にあります。

浪費、借金などがあった場合

配偶者の浪費や借金などによって生活が立ち行かない場合にえ夫婦生活が破綻することも多く、離婚原因となり得ます。

この場合も、理論上は不貞行為のケースと同等の慰謝料が認められるべきですが、慰謝料を請求しようにも浪費や借金を重ねている配偶者には支払い能力がないことが多いので、結果として慰謝料は低額になってしまう場合が多いです。

また、借金をした理由にもさまざまなものがあり、家族の生活費のために借金した場合や、事業の失敗による借金の場合には慰謝料が認められないことや、認められても低額になる傾向にあります。

性格の不一致があった場合

性格の不一致を理由に離婚に至るケースは多いですが、基本的に慰謝料は認められません。

お互いの性格が合わないというときは、どちらかが不法行為を行ったわけでもなく、どちらが悪いかが明確でないことが多いものです。

このような場合は違法な権利侵害がないので、慰謝料は発生しないのです。

その他、健康上の問題や配偶者の親族との折り合いが悪いなどの理由で離婚にいたる場合も、違法な権利侵害が認められないので慰謝料は発生しません。

配偶者が特別に奇異な性格であったり、結婚前から健康上の問題があったりしたのに、それを隠して結婚していたような場合は慰謝料が認められることもありますが、それほど高額になるケースは少ないでしょう。

モラルハラスメント(精神的暴力)があった場合

精神的なストレスを与えるモラハラも離婚の理由になります。

実際にモラハラを理由に離婚する家族もいます。

モラハラは直接的な暴力とは違って表面的にはわからず、モラハラ被害を受けている方は「自分が悪いから」と精神的にコントロールされている可能性もあります。

少しでも「自分はモラハラを受けているのは?」と疑問を感じたら、医療機関に行って診断書をもらうようにしましょう。

受信記録・診断書があれば、慰謝料を請求するときに有効な証拠になります。

モラハラの頻度・内容・被害の大きさ・悪質性が立証できれば、慰謝料が高額になる可能性が高いです。

セックスレスだった場合

意外かもしれませんが、セックスレスも離婚の理由になります。

特別な事情がなくセックスを拒否している場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」と扱われて、離婚理由になるかもしれません。

またセックスレスを理由に慰謝料請求して、実際に請求が認めれたケースもあります。

セックスレスは離婚理由になり、慰謝料請求できる正統な理由だと覚えておきましょう。

慰謝料額が増減される要因とは

離婚慰謝料の金額を算定するための明確な基準はなく、夫婦間で自由に決めることができます。

しかし、法的に適正な慰謝料の金額を算定する際はさまざまな要因によって増減します。

まずは、一般的にどのような要因で増減するのか見てみましょう。

一般的な要因

離婚慰謝料が増減する一般的な要因としては、以下のようなものがあります。

  • ・有責行為の態様、回数、期間
  • ・結婚生活の期間の長短
  • ・夫婦関係が破綻していたかどうか、どの程度破綻していたか
  • ・未成年の子がいるかどうか
  • ・損害の程度

有責行為とは、夫婦関係を破綻させて離婚に至るような行為のことをいいます。

例えば浮気・不倫の離婚なら、下記のような要因で慰謝料金額が変わります。

項目慰謝料
不倫によって別居・離婚する増額
不倫があったが別居・離婚しない減額
不倫以前の婚姻生活が円満だった場合増額
不倫以前の婚姻関係が破綻していた場合減額
婚姻期間が長い増額
婚姻期間が短い減額
配偶者が不倫を主導していた増額
不倫相手が不倫を主導していた減額
子供がいる増額
子供はいない減額
不倫相手が謝罪しない増額
不倫相手が謝罪した減額

浮気や不倫、暴力によるDVなどのケースでは、有責行為の回数が多く、期間も長く、態様も悪質であるほど慰謝料額が増額されます。

結婚生活の期間は長ければ長いほど、その結婚生活破綻させた責任が重くなり、慰謝料額増額されます。

有責行為があった時点で既に夫婦関係が修復不可能なほどに破綻している場合は有責行為と離婚との因果関係が認められないので、慰謝料は発生しません。

夫婦関係が円満であったのに有責行為が原因で破綻した場合は、慰謝料額が増額されます。

未成年の子がいる場合は、いない場合に比べて離婚による精神的損害が大きいと考えられ、離婚後の生活も苦しくなることが通常なので、慰謝料額が増額されます。

損害の程度については、単なる精神的苦痛を超えて精神的な疾患にかかった場合や、暴力によって治療が必要な怪我をした場合に慰謝料額が増額されます。

個別的な要因

慰謝料額を増減される個別的な要因を挙げていくときりがありませんが、よくある主な要因としては以下のようなものがあります。

不貞行為において相手から執拗に誘われた場合

不貞行為の事実がある場合にも、その態様にはさまざまなケースがあります。

浮気や不倫の相手から不貞行為に誘われ、配偶者は断ったにもかかわらず執拗に誘われて不本意にも不貞行為に至ってしまった場合は、慰謝料額が減額される傾向にあります。

例えば、上司などから仕事上の立場を利用して肉体関係を迫られて、実質的に断ることができなかった場合は大幅に慰謝料額が減額されることがあります。

自分にも非がある場合

配偶者からの暴力で怪我をさせられた場合でも、一方的なDVというほどのものではなく、自分のほうからも日頃から相手に暴力や暴言をしていた場合は慰謝料額が減額される傾向にあります。

不貞行為の場合でも、自分が配偶者との夫婦生活に応じていなかったケースでは場合によって慰謝料額が減額されることがあります。

配偶者が正当な理由なくあまり家に帰ってこなかったり、別居したりしているケースでも、日頃から自分の言動によって配偶者に精神的苦痛を与えていたような場合は慰謝料額が減額されることがあります。

すで婚姻関係が破綻している場合は注意

慰謝料とは「損害を与えられたこと」に対して、請求しているお金になります。

たとえば結婚相手が不倫して、慰謝料請求したくても、不倫以前から夫婦関係が破綻していれば慰謝料請求できないかもしれません。

なぜなら慰謝料を請求するには、不倫によって夫婦関係が破綻して、自分が損害を受けたことを証明する必要があるからです。

すでに夫婦関係が破綻している場合は、不倫によって夫婦関係が破綻したのかどうか証明できません。

もし自分が離婚慰謝料の請求を検討しているなら、夫婦関係が破綻してないかどうかを振り返っておきましょう。

夫婦関係の破綻とは、別居・DV・モラハラ・お互いに修復する意思を失っている・性の不一致などが該当します。

離婚慰謝料には税金がかかることもある

離婚慰謝料には、原則として税金はかかりません。

慰謝料は損害賠償金の一種であり、不法行為によって受けた損害を補償するためのお金なので非課税とされています。

ただし、以下のような場合は税金がかかることがあるので注意が必要です。

実質的に贈与と評価される場合

名目上は離婚慰謝料として支払ったお金であっても、実質的に見て贈与にあたると判断される場合は贈与税が課せられることがあります。

例えば、通常の離婚慰謝料よりも著しく高額の慰謝料を支払った場合などが挙げられます。

不貞行為による離婚慰謝料は通常100万円~300万円程度ですが、5,000万円を支払った場合は通常よりも著しく高額なので、贈与税がかかる可能性が高いです。

また、離婚後に長期間が経過した後に慰謝料が支払われた場合も贈与税を課せられることがあります。

離婚慰謝料は必ずしも離婚と同時に支払う必要はありませんが、離婚と慰謝料の支払いの時期がずれる場合は離婚協議書を作成して、慰謝料の金額と支払時期を記載しておくことが大切です。

不動産などお金以外の財産で慰謝料を支払う場合

離婚慰謝料はお金だけでなく、自宅などの不動産やその他の高価な財産を譲渡することによって支払われる場合もあります。

これらの場合は、財産の譲渡に対して税金がかかることがあります。

不動産の譲渡によって慰謝料を受け取った場合は、不動産取得税や登録免許税がかかります。

その不動産を保有しはじめると、固定資産税もかかるようになるでしょう。

支払う側については、不動産に限らず財産を譲渡した場合、譲渡所得税がかかることがあります。

自宅の不動産所有権を離婚成立前にもらった場合

離婚前まで夫婦で住んでいた自宅を、慰謝料・財産分与として譲渡された場合も、基本的に税金はかかりません。

ただし離婚が成立する前に、慰謝料・財産分与として自宅の不動産を受け取ると、「贈与」と扱われて税金がかかってしまうため注意しましょう。

ただし下記の3つに当てはまる場合は、2,000万円の配偶者控除が受けられます。

  • ・20年以上の婚姻期間がある
  • ・受け取った不動産が居住用であること、居住用不動産を取得するために金銭の譲渡を受け、その金銭で居住用不動産を購入した
  • ・不動産を受け取った人、購入した人が翌年の3月15日までその不動産に住んでおり、その後も住み続ける見込みがあること

贈与税には年間110万の基礎控除があるため、2000万円の配偶者控除と合わせて、2110万円以内だと課税がされません。

不動産の登記手続きで税金がかかるケース場合

慰謝料・受け取る側の生活保護を目的として、不動産を受け取った場合は、不動産取得税がかかります。

夫婦の財産を分割することが目的で、不動産を受け取った場合は、課税対象にはなりません。

不動産取得税は、土地・住宅だと固定資産税評価額の3%になります。

例えば土地・住宅の固定資産税評価額が3000万だと、90万円です。

ただし不動産取得税にも控除があり、土地の場合は固定資産税評価額の半分の3%、建物の場合は新築なら1200万円が控除されます。

  • ・土地:1000万円
  • ・建物:2000万円(新築)

このような場合だと、土地の控除が15万円・建物の控除が1200万円になります。

課税対象は、下記のようになります。

  • ・土地:985万円が課税対象
  • ・建物:800万円が課税対象
  • ・合計:1785万円
  • ・不動産取得税:1785万円×3%=535,500円

このように慰謝料・生活保護として不動産を譲渡する場合は、不動産取得税がかかるので「どちらが払うのか?」を事前に決めておきましょう。

離婚慰謝料を請求する方法

いざ離婚慰謝料を請求したいと思っても、具体的にどうすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは離婚慰謝料を請求する方法を解説します。

まずは話し合う

まずは、離婚協議をするなかで慰謝料について話し合うことが重要です。

離婚後でも慰謝料の請求はできますが、離婚が成立してしまうと相手が慰謝料について真剣に考えなくなり、話し合いにも応じなくなる可能性が高いので注意が必要です。

また、適切な慰謝料を獲得するためには、前述した慰謝料の相場や増減要因を頭に入れておく必要もあります。

場合によっては税金がかかる場合があることにも注意しましょう。

話し合いがまとまったら、必ず離婚協議書を作成しましょう。

書面を作成することによって証拠を残しておかなければ、相手が約束を守らないときに追及することが難しくなりますし、「言った・言わない」の問題も起こりやすくなります。

離婚協議書は執行受諾文言付きの公正証書で作成することが望ましいです。

相手が約束を守らない場合は、裁判をすることなく給料や預貯金口座の差し押さえなどの強制執行ができるようになります。

離婚調停を申し立てる

離婚慰謝料の話し合いがスムーズに進まない場合は、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てることになります。

話し合いが決裂した以上は調停よりも訴訟を起こしたいと考える方もいると思いますが、離婚問題については訴訟を起こす前に必ず調停を申し立てる必要があるので注意が必要です。

調停では、調停委員という中立公平な立場の専門家や有識者を交えて話し合うので、当事者同士で話し合うよりも問題が解決する可能性が高まります。

調停で話し合いがまとまれば、調停調書が作成されます。

調停調書には確定した判決と同じ効力があり、取り決めた慰謝料を相手が支払わない場合は強制執行ができます。

離婚訴訟を起こす

離婚協議や調停で話し合いがまとまらなかった場合は、離婚訴訟を提起して、そのなかで慰謝料を請求することになります。

訴訟では、自分の主張、つまり相手が有責行為を行った事実と、その行為によって権利が侵害されたことを証拠によって証明する必要があります。

話し合いでは必ずしも証拠がなくても柔軟な解決を期待できる場合がありますが、訴訟では明確な証拠がなければ敗訴し、慰謝料をもらえないことが確定してしまいます。

訴訟を提起する前には、十分に証拠を集めておかなければなりません。

離婚慰謝料を請求する際の注意点

離婚慰謝料を請求するときには、気をつけておかなければ慰謝料を減額されたり、支払ってもらえなくなったりする注意点がいくつかあります。

離婚慰謝料の相場を把握しておく

離婚慰謝料の相場については、相場に見合った金額を請求することは大切だということを先ほど解説しました。

過大な金額を請求しても話し合いがまとまる可能性はあまりなく、話し合いがまとまらないといつまでたっても慰謝料を支払ってもらうことはできません。

消滅時効に注意する

慰謝料請求権は3年で消滅時効にかかります。

ただし、時効の進行が始まるのは相手が不法行為を行ったときではなく、こちらが損害と加害者を知ったときです。

つまり、配偶者が隠れて浮気をしていて、最後の不貞行為から3年以上が経過していても、こちらが事実を知ってから3年以内であれば消滅時効は成立しません。

この場合は慰謝料を請求することができます。

証拠を集めておく

訴訟を提起する前に証拠を十分に集めておくことが必要だということは先ほど解説しましたが、話し合いを始める前にも証拠を集めておくことは重要です。

円満な話し合いができるケースばかりではありません。

有責行為を行った事実を相手に否定されると、証拠がなければ反論することができず話し合いが進まなくなってしまいます。
「証拠ってなにを集めればいいの?」と思うかもしれません。
例えば、不倫を理由に離婚する場合は、下記のようなものが証拠になります。

証拠内容
写真性行為・ラブホテルに入っている様子など
音声・映像データ不倫相手との電話・旅行に行っている動画など
クレジットカードの利用明細・レシートホテル・旅館などの利用明細
Suica・PASMOの利用履歴他の証拠が必要になる
メール・LINE・手紙肉体関係があったことが分かる内容であること
SNS・ブログ不倫している様子が分かる投稿
手帳・日記・メモ不倫相手と会う記録
GPSラブホテル・旅館などに行っている記録
住民票の写し配偶者が不倫相手と同棲している記録
妊娠・堕胎を証明できるもの女性の配偶者が不倫している場合の証拠
興信所・探偵の調査報告書不倫している様子が分かるもの

そのほかにDVで離婚したい場合は、診断書・ケガの写真・メモ・病院の受信記録などが役立ちます。

離婚の理由が明確に立証できる証拠があれば、離婚の交渉や慰謝料の取り決めなども有利に進むでしょう。

相手の支払い能力が乏しい場合に慰謝料を支払ってもらうコツ

相手が慰謝料の支払い義務を認めたとしても、支払い能力が乏しいために話し合いが進まないこともあります。

そんなときに慰謝料を支払ってもらうコツをご紹介します。

分割払いの交渉をする

一括ではまとまった金額を支払うことができないものの、分割すれば支払えるという場合は分割払いの交渉をしましょう。

ただし、3年を超えるような長期間の分割払いでは、途中で支払われなくなることが多いので注意が必要です。

支払期間はできる限り1~2年以内としておくのが望ましいです。

とはいえ、月額が大きくなると、結局は相手が支払えなくなってしまうため、支払期間と月額との兼ね合いには難しいところがあります。

支払いの確実性を重視するなら、ある程度減額してでも一括で相手が支払える限りの金額を受け取ってしまうのもひとつの方法です。

財産分与として支払ってもらう

財産分与は慰謝料と異なり、離婚に至った責任がどちらにあるかには関係なく、夫婦が共同して築いた財産を原則として折半にすることです。

現金で支払うことが難しい場合は財産分与の割合を増やしてもらう形で慰謝料を支払ってもらうこともできます。

例えば、慰謝料として200万円を支払わなければならない場合、現金で200万円を支払うことはできないものの、不動産など他の財産が1,000万円あるケースを考えてみましょう。

このとき、本来であれば財産分与は500万円ずつ分け合うことになりますが、慰謝料を現金で支払わない代わりに財産分与として200万円分をプラスした700万円を分け与えることになります。

このように慰謝料的な意味合いで財産分与を行う場合、夫婦で住んできた住宅を分与するケースが多くなっています。

住宅譲渡によって支払ってもらう

現金の代わりに住宅を譲渡してもらう形で慰謝料を支払ってもらう場合には、注意すべき点がいくつかあります。

まず、住宅ローンが残っている場合は残債務をどちらが支払っていくのかをしっかり話し合って決めておく必要があります。

相手が支払っていくことになった場合は、やがて返済が滞って住宅を手放さなければならなくなる危険性があることを頭に置いておかなければなりません。

また、住宅の名義を変更する場合は税金がかかる場合もあるので注意が必要です。

離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼するメリットとデメリット

離婚慰謝料の請求を自分で行うのは不安だけれど、弁護士に依頼するにも不安があって迷ってしまう方もいらっしゃることでしょう。

そこで、離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼するメリットとデメリットをご紹介します。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するメリットとしては、良い結果を期待できることと、ご自身が楽になることが挙げられます。

早期解決が期待できる

当事者同士で離婚慰謝料の話し合いをしている場合では、いつまでも言い争いが続き、問題解決に至らないケースもよくあります。

話し合いが長引く大きな原因としては、お互いまたはどちらかが感情的になってしまうことが挙げられます。

こういったケースには、感情をぶつけ合うのみで、法的に意味のある協議ができていない場合が多いという共通点があります。

弁護士に依頼すれば、法的に意味のある点に絞って冷静に協議を進めてくれるので、話し合いが早く進みやすくなります。

また、話し合いでの解決は不可能と判断される場合は適切なタイミングで話し合いを打ち切り、調停や訴訟に進むこともできます。

いずれにせよ、いつまでも話し合いを続けるということがないので、早期解決が期待できるのです。

慰謝料の増額が期待できる

少しでも多くの慰謝料を獲得するためには、慰謝料の相場を把握しつつ、具体的な増減事由も知った上で、自分に有利な事情を主張することが必要になります。

これには交渉上のテクニックも必要ですし、裁判になったら裁判を有利に進める技術も当然必要になります。

このような知識や技術は一朝一夕に身につくものではないので、一般の方には難しいところがあるでしょう。

これを弁護士に依頼することによって、慰謝料の増額が期待できるのです。

全ての手続を代行してもらえるので楽になる

離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼すれば、全ての手続を弁護士が自分に代わって代行してくれます。

それによって手間や時間はもちろん、精神的にも格段に楽になることが多いです。

離婚や慰謝料の問題を相手と話し合うと精神的に大きな負担がかかりますが、弁護士が代理人として相手と話し合ってくれることで精神的に楽になれるのです。

時間、労力、精神面の負担から解放されることで冷静になることもできるので、より良い解決策が見つかる場合もあります。

弁護士に依頼するデメリット

離婚慰謝料の請求を弁護士に依頼するデメリットとしては、費用の問題のほか、弁護士選びに失敗するリスクなどが挙げられます。

依頼するには費用がかかる

弁護士に依頼するためには、決して安くない費用がかかります。

具体的に弁護士費用がどのくらいかかるのかはケースバイケースですが、離婚慰謝料の請求を依頼する場合の相場としては、話し合いで解決する場合で50万円前後、裁判まで必要となるケースで50~100万円程度です。

以上の金額は、着手金と報酬金を合わせた金額です。

弁護士によっては着手金を低めに設定し、獲得した慰謝料の金額に応じて報酬金で調整することもあり、費用の問題は弁護士選びの問題であるともいえます。
ただし多くの弁護士事務所では、初回の相談を無料で受けてくれます。

相談してみて「この人に依頼したい」と思えば実際に依頼して、「なんか合わない・・・」と感じたら、相談をしなくても問題ありません。

「弁護士費用を払う余裕がない」という方もいると思いますが、安心して初回無料相談を利用してみましょう。

費用の支払いや計算方法に関しては、弁護士に相談して、自分に合った支払い方法で対応してれる可能性もあります。

相手の感情を必要以上に害する場合もある

相手の性格次第では、こちらが弁護士に依頼したことによって必要以上に感情を害する場合もあります。

内々に話し合いを進めたいと思っていたのに、第三者である弁護士に介入されたことによって強行的な態度になってしまう人もいるのです。

ただ、内々の話し合いがスムーズに進まないからこそ弁護士に依頼するわけですから、これはやむを得ない面もあります。

弁護士の性格や交渉術によっては、相手の警戒や反抗を解いてスムーズに話し合いを進めてくれることもあります。

弁護士との相性が合わないこともある

弁護士であれば誰でも同等の知識や能力を持っているわけではありませんし、性格も弁護士によって異なることは言うまでもありません。

つまり、弁護士であっても交渉が苦手な弁護士もいますし、離婚や慰謝料の分野が苦手だという弁護士もいるのです。

せっかく依頼するなら、離婚慰謝料の請求に強い弁護士を選ぶことが大切です。

慰謝料以外にもらえるお金について

離婚時には慰謝料以外のお金がもらえる可能性もあります。

「慰謝料を少しでも多くもらいたい」と思うかもしれませんが、慰謝料以外のお金をもらえば、合計金額は増えます。

そこで下記では、離婚するときにもらえるお金を紹介します。

財産分与

財産分与とは、夫婦が共同で築いた財産を均等に分配する方法です。

たとえば夫婦で5000万円の預金があったとしたら、2500万円ずつ分けます。

財産分与の対象になるのは、下記のようなものです。

  • ・預貯金
  • ・車
  • ・有価証券(株など)
  • ・保険解約返戻お金
  • ・退職金

結婚している期間に築いた財産が対象になります。

そのため結婚前の貯金・資産や、結婚中だったとしても片方が相続した財産などは対象外です。

財産分与の分配は、片方が一切働いてなかったとしても、基本的には均等に分配されます。

会社員の夫・専業主婦の妻という組み合わせで、夫がすべての財産を築いたとしても、離婚時には均等に分配しなければいけません。

財産分与で損をしないためには、相手の資産を正しく把握することが大切です。

財産分与をしたくないので、自分の資産を隠すケースもあります。

弁護士に依頼すれば、相手の資産を調査できるかもしれないので、損をしたくなければ弁護士に頼むのがおすすめです。

養育費

養育費とは、離婚して子供がいる場合に成人するまで請求できるお金です。

夫婦の経済状況によって金額は異なりますが、相場は3~4万円になっています。

親権をとって子供を引き取った側が請求できます。

養育費は未払いになってしまうケースも多いため、請求する側なら注意しましょう。

離婚時に養育費の支払いを決めて、内容を文書で残しておくのがおすすめです。

もし相手が養育費の支払いをやめたときに、文書が証拠となり、法的拘束力を持って請求できます。

別居中の婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦で収入が多い方に対して少ない方が請求できる生活費のことです。

たとえば自分が専業主婦で収入がない場合でも、別居すれば相手に対して「生活するために婚姻費用が必要」と請求ができます。

婚姻費用の相場は月6万円程度で、別居中の生活を支えてくれるため、別居するなら必ず請求しましょう。

まとめ

離婚慰謝料の相場や増額要因、税金の問題をはじめとして、慰謝料を請求する方法や弁護士に依頼するメリット・デメリットについても解説しました。

実際に離婚慰謝料を請求する場合は、請求できる金額も、請求する適切な方法も、税金がかかるかどうかについても、事案ごとにさまざまな事情によって異なってきます。

弁護士に依頼しなくても自分で離婚慰謝料を請求することはできますが、最初に方針を間違ってしまうと納得できる結果は得にくくなります。

離婚慰謝料を請求したいと思ったら、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。

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