【損しないマンション売却】知っておきたい売却の流れ・期間・相場・費用・注意点
この記事でわかること
- マンションを上手に売却する方法がわかる
- マンションを売却した場合のコストがわかる
- 上手な不動産会社の選び方がわかる
マンションの取引は一戸建て住宅や土地と違って建物の1室を取引するということと、所有権移転が区分所有権ということになるため、一戸建て住宅や土地のように土地の広さなど測量する必要もないということもあり、非常に簡単に取引をすることが可能です。
ただ、マンションを売却する場合でも、売却の流れ、実際にかかる費用などをしっかり把握しておかないと、思った以上に売却することができません。
この記事ではそういうことがないように上手にマンションを売却にするにはどうしたらいいかということをご案内したいと思います。
目次
マンション売却までの期間や流れ
マンションを上手に売却するために、最も大事なことはどれだけしっかり準備をするのかということです。
この場合の「準備」というのは、まず、マンションの相場がいくらくらいであるということ知ることと、マンションを売却する際に信頼できる不動産業者にタッグを組むかということです。
あとは、マンションを売却する価格を決めて、不動産会社と媒介契約をして、買い手が見つかったら、売買契約をして、引き渡しをし、引き渡しをした翌年に確定申告をすることで、マンションの売却活動が終わりになります。
売り出し前
マンションを売り出しする前に流れとしては、
- ・マンションの査定価格を把握すること
- ・マンションの売却する不動産会社を決めること
- ・不動産会社と媒介契約をすること
です。
マンションに限らず、不動産を売却する場合には、売却の準備をしっかりするかどうかで売却に成功するかどうか決まります。
具体的には、まず、自分がこれから売ろうとするマンションがいくらで売却できるのか知ることから始まります。
ここで注意をしないといけないのは、1社だけで査定価格に納得してしまわないようにするということです。
少なくとも複数の不動産業者に査定をしてもらうと、それぞれの不動産会社には査定方法の特徴がありますので、その中から自分が納得できる査定を見つける事ができると思います。
マンションの価格の査定については、自分から複数の会社に個別に連絡をして確認してもいいですし、インターネットでは一括の査定サービスがありますので、そのようなサービスを利用するのもよいと思います。
あとは、戸数の多いマンションであれば、ほぼ必ずと言っていいほど売り物件が市場に出ていますし、マンション名を検索するといくら位で売りに出ているかということがわかりますので、そういう情報収集をすることでマンションの価格に対して、相場観を養うようにしましょう。
このように情報収集していると、同じマンションの場合、専有面積の平方メートルあたりの単価がわかってきます。
ちなみにマンションの場合、同じ広さでも階数の違いで価格が変わってきますし、方角によっても価格が若干変わってきます。
情報集をしていると、そういうことがよくわかるようになりますので、ぜひ情報収集をしてみてください。
次に査定価格が集まると、不動産会社選びということになりますが、不動産会社はマンションを売却して引き渡しまでタッグを組む事になる重要なパートナーですので、慎重に選ぶようにしましょう。
不動産会社を選ぶポイントの一つは、査定をしてくれたときに納得できる査定をしてくれたかどうかということです。
この場合、重要なことは論理的に価格を算出しているかどうかということです。
感覚で価格を案内してくる不動産会社は全く問題外です。
しっかりとした査定をしてくれた不動産会社であれば、こちらが疑問に思っていることを積極的に相談して見るようにしましょう。
売却を依頼する不動産会社が決まったら、今度はその不動産会社と媒介契約という流れになります。
媒介契約には
- ・専属専任媒介契約
- ・専任媒介契約
- ・一般媒介契約
があります。
一般媒介契約ですと複数の不動産会社に売却を依頼することができますが、不動産会社のモチベーションを上げてもらうには、他の業者の取引ができない専任媒介契約か専属専任媒介契約を契約刷ることをお勧めします。
専任媒介契約と専属専任媒介契約を契約しますと、不動産業者はレインズという不動産業者の情報ネットワークに登録をするので、日本中の不動産業者の目に触れるようになりますし、定期的に不動産業者から営業の進捗情報を報告してくれます。
この準備は早くて1ヶ月ほど、一般的には2ヶ月くらいかかるでしょう。
売り出し中
マンションの売却する金額が決まって、不動産会社との媒介契約を締結することになったら、不動産会社が営業を開始します。
販売図面の登録をしたり、レンズ以外の民間の不動産ネットワークに登録することなどをして買い手を見つけることになります。
不動産会社は買い手を見つけるために、様々な提案をしてくると思いますので、しっかりコミュニケーションを取って、不動産会社の営業をサポートするようにしましょう。
不動産会社へのサポートというと、例えばお客さんの物件案内をしてもらえる日には、最低でも部屋を掃除しておくとか、お客さんの印象を良くするようなことはしておいたほうがよいと思います。
売り出し価格が相場に近いものであれば、通常2〜3ヶ月ほどで買い手を見つけてこられます。
購入を検討する方も、不動産会社を通じて色々と質問をしてくるでしょうし、本気で欲しいお客さんであれば、価格交渉をしてきますので、条件等が折り合えば、売買契約という流れになります。
この期間は2〜3ヶ月ほどかかると思います。
売り出し後
売買契約が終わると、マンションの売却が終わるということではありません。
売買契約をした後にすることとしては、
- ・マンションの引き渡し
- ・マンションの引き渡しをした翌年に確定申告
です。
マンションの引き渡しをすることでマンションの持ち主が変わります。
つまり、マンションの引き渡しというのは、そのマンションの所有権が移転するということです。
これは買主が売買代金の残金を支払い、売主は所有権移転に必要な書類をすべて引き渡して、所有権の移転登記をして、住宅ローンを買主が利用する場合には、そのマンションに抵当権を設定します。
通常マンションを含めた不動産は、金額が大きいので、金融機関から融資を受けて購入しますので、売買契約をして1〜1ヶ月半ほどに引き渡しをします。
次に売主は、マンションを買主に引き渡した翌年に確定申告をします。
日程的には2月の中旬から3月の中旬に行います。
マンションを売却した場合に、譲渡益があれば税法に対応した納税をする必要がありますし、仮に損をしても是非確定申告をするようにしましょう。
その理由としては、日本の税制には損益通算という制度があり、他の収入と合算することができるからです。
具体的には、給与所得があり、それに対してマンションを売却した際の損益があるので、給与所得と不動産譲渡の損益を合算すれば、その年の収入はマイナスということになり、所得税や住民税の減税されます。
また、さらに売った年の所得よりも譲渡損失のほうが大きく、相殺し切れない場合は、翌年以降の所得からも繰り越して差し引ける「繰越控除」を利用できる場合があります。
これを「譲渡損失の繰越控除」といいますが、これらの特例を受けるためには確定申告をする必要がありますので、不動産を売却した翌年は必ず確定申告をするようにしましょう。
相場を把握するコツ
マンションを売却する場合に重要なことは、そのマンションが今どのくらいの価値があるのかということを知るということです。
正確な価格がわからなければ、それこそ無用に安く売ってしまって損をしてしまう可能性が高くなります。
では実際に相場を把握するにはどうしたらいいのかということですけれども、これは冒頭でも少し説明をしましたが、まずは不動産業者に査定をしてもらうということです。
ここで注意しないといけないのは、1社だけに査定を依頼するということです。
1社だけですと、その会社だけの価格ということになりますので、他と比較することができませんよね。
そういうことがないようにするためには、複数の不動産会社に査定をしてもらうようにしましょう。
査定をしてもらった場合の注意するべき点としては、どうしてこの査定価格になったのかという根拠を示してもらうということです。
これは作業は宅地建物取引業法という不動産会社の法律で、算出根拠を明示すると決められているので、遠慮はいりません。
自分でも相場を調べる方法はあります。
などで相場価格をチェックすることができます。
また、戸数の多いマンションは常に売り物が出ていますので、そういう情報も集めてみると相場観が養われます。
例えば、媒介契約を結んでいる業者などに、今売りに出ている同じマンションがどうして売れないのかなどを質問してみると、ますますそのマンションについて詳しくなるので、相場観が養われます。
マンション売却にかかる費用
マンションを売却する場合には、色々と費用がかかります。
この場合、純粋な費用の他に、税金がかかってきますので、この2つについて解説をします。
費用について:マンション売却にかかる費用
マンションを売却する上でいろいろな費用がかかりますが、メインとなるのは不動産会社に支払う仲介手数料です。
仲介手数料の金額については、媒介契約書に記載されていますが、法律で決められている仲介手数料は次の計算式になります。
仲介価格×3%+6万円+消費税
例えばマンションが3000万円である場合には、
3000万円×3%+6万円=96万円
96万円×10%(消費税)=9.6万円
96+9.6=105.6万円
という計算になります。
これ以外には、売却に関わる何かしらの費用などがかかると思いますが、翌年の確定申告で売却に伴い経費として利用できるので、領収書は必ず保管しておくようにしましょう。
税金について:マンション売却にかかる費用
マンションを売却した際には次の税金がかかります。
- ・印紙税
- ・譲渡所得税及び住民税
- ・復興所得税(令和19年まで)
まず、印紙税については、売買契約書に貼付する収入印紙になります。
これはどういう基準で決められるのかというと、売買契約書に記載されている売買価格になります。
契約金額 本則税率 軽減税率 10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円 50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円 100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円 500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円 1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円 5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円 1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円 5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円 10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円 50億円を超えるもの 60万円 48万円 (注) 不動産の譲渡に関する契約書のうち、その契約書に記載された契約金額が10万円以下のものは、軽減措置の対象となりません(税率200円)。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。
3 軽減措置の対象となる不動産の譲渡に関する契約書の範囲
軽減措置の対象となる「不動産の譲渡に関する契約書」とは、課税物件表第1号文書の物件名欄1に掲げる「不動産の譲渡に関する契約書」をいいますが、一の文書が、不動産の譲渡に関する契約書と同号に掲げる他の契約書とに該当するものも軽減措置の対象になります。(参考)
平成9年4月1日から平成26年3月31日までの間に作成された不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が1千万円を超えるものは、課税物件表の規定にかかわらず、次表のとおりとなります。
契約金額 本則税率 軽減税率 1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万5千円 5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 4万5千円 1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 8万円 5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 18万円 10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 36万円 50億円を超えるもの 60万円 54万円
譲渡所得税と住民税ですが、これはマンションを売却した場合に譲渡益があった場合に課税されます。
もう少し厳密にいいますと、売却して出た利益から売却に伴う経費を差し引いた金額が譲渡益となるので、ここに法律で定められた税率を課税することになります。
譲渡益についても長期と短期があり、それぞれ税率が異なってきますので、注意が必要です。
例えば、課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。
マンションなどの不動産を売った年の1月1日現在で、そのそのマンションなどの不動産の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
例えば、平成31年(令和元年)中に譲渡した場合は、その土地や建物の取得が平成25年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成26年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。
この他に令和19年までという限定で、復興所得税が課税されます。
これは東日本大震災の復興財源を確保するための時限立法になります。
こちらについては譲渡益に対して2.1%課税されます。
最後にこれらの税金の計算法ですが、次の通りとなります。
項目 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
---|---|---|---|---|
短期所得 | 5年以下 | 0.3 | 0.09 | 0.39 |
長期所得 | 5年超 | 0.15 | 0.05 | 0.2 |
なお、売却したマンションが居住用のマンションであれば、譲渡益に対して3,000万円の控除があります。
損をしないために注意すべきこと3つ
マンションを売却する際に、いわゆる売れないから損切りするオーナーは、実は少なくありません。
査定の段階で色々と問題を抱えていることが多いためです。
そこで、どうすれば、売却をする際に損をできるだけしないようにするにはどうしたらいいのかということを解説します。
適正価格にすること
マンションを売却する場合には、相場価格に準じる必要があります。
というのは、割高なマンションを買う人はいないからです。
もちろん、価格交渉が入ってくるからそれに合わせて、やや相場価格に上乗せするというのあれば大丈夫かもしれませんが、明らかに高いということになると、まず売れません。
不動産会社も売れないマンションの営業は積極的にしてくれません。
売れないマンションを営業しても、買う人がいないためです。
ですので、査定の際にしっかり価格を把握して、売却価格を決めるということが、いかに大事であるかということがわかりますよね。
いずれにせよ、売却価格を決める場合にはいろいろな条件を想定するべきです。
部屋をきれいにしておく
マンションを売りに出した場合には、興味のある人が不動産会社を通じて内見することになります。
お客さんは、部屋の間取りなどはもちろんチェックするのですが、汚れているところとかそういうところも必ずチェックしています。
もし、汚れているところがあったりすると、それを理由に値下げ交渉される可能性は当然あります。
そういうことに備えて、少なくともお客さんが内見する際には、部屋をきれいにしておくようにしましょう。
あまり値下げはしない
売出しをして2ヶ月位経過しても売れない場合は、売却を依頼している不動産会社から価格の値下げを提案してくる場合があります。
査定価格に基づいて売り出していあれば、通常は売却が可能ですので、安易に価格を下げないようにしましょう。
そういうときは、広告戦略が適正なのかどうか、部屋はきれいになっているのか、不動産会社としっかりコミュニケーションをとっているのかどうか、という点をチェックしてみましょう。
まとめ
マンションを売却する場合には、他の不動産同様最初が肝心です。
つまり、査定価格をしっかり把握するということと、信頼できる不動産会社をパートナーにできるかどうかということです。
そのためは、まずはマンションを売却するまでの準備を、しっかり時間をかけて行い、全て不動産会社に丸投げするようなことはせずに、自分でも相場価格をしっかり把握して、情報を整理することが大事です。