マンション売却前に知っておきたい 5つのポイント
マンションを売却する前には、価格がいくらになるのか、いつごろに売れるのか、売却して引き渡すまでどのような流れになるのかなど、不安が多いと思います。
そこで、売却前に知っておくといいことを解説します。
いろいろなポイントを知っておくことで、よりいい条件で売れる可能性が高くなります。
マンションを売却しようと考えている方は、ぜひ売却前にこれらのポイントを押さえておきましょう。
マンションを売却する際の流れ
マンションの売却を検討し始めてから、実際に売却するまで、いくつかのステップを踏む必要があります。
そこで、売却するまでにすべきことをその流れに沿って確認していきましょう。
事前準備
マンションを売却しようと思ってもすぐに売れるわけではありません。
また、何の準備もなく売却すれば、相場より低い金額で売却することにもつながるため、損をする可能性が高くなってしまいます。
売却する前に次のような準備を行いましょう。
売却を考えているマンションの相場をリサーチする
売却しようとしているマンションの近隣にある中古マンションの価格を調べてみましょう。
当然、売却時の価格は同条件の中古マンションより低くなりますが、実際の取引価格を知ることでおおよその相場をイメージすることができます。
不動産の情報誌、折り込みチラシ、インターネットなどあらゆる媒体で情報を得ることで、より相場をつかむことができるでしょう。
マンションのローンが完済できていない場合はローンの残高を確認しておく
ローンが完済していない物件を売却する場合、その手続きはローンがない物件とは異なります。
現在いくらのローンが残っているのかを不動産会社に伝えておく必要があります。
また、最終的に売却することでローンを完済できるのか、売却代金ではローンが完済できないのかも重要なポイントとなります。
この点は、早めに住宅ローンを利用している金融機関に相談しておくといいでしょう。
売却時期のイメージをつかんでおく
売却にかかる時間は、通常6か月以内とされます。
もちろん、実際にはそれより早く購入者が見つかる場合もありますが、売り急がないための目安の時期となります。
また、売却時期をある程度想定しておくことは、新たな自宅の入居時期や確定申告の年度を決める際にも必要となります。
価格の査定
実際の売却価格を知るためには、物件の査定を依頼しなければなりません。
通常、不動産会社に物件の査定をしてもらいます。
ただ、知り合いや取引のある不動産会社がないため、どこに依頼したらいいか分からないという人が多いかもしれません。
そのような場合は、まず不動産一括査定サイトを利用するといいでしょう。
不動産一括査定サイトは、文字どおり、複数の不動産会社に一度に不動産の査定を依頼することができます。
サイトでは、その不動産の所在地、築年数、床面積などの基本情報を入力するだけですから、手軽に利用することができるでしょう。
査定の際に重要なポイントは、タイプの異なる複数の不動産会社に依頼することです。
不動産一括査定サイトを利用すれば、多くの不動産会社に査定してもらうことができますが、同じようなタイプの会社が集まっている可能性もあります。
特定の地域の会社が集まったサイトや、特にマンションに強い会社が多いサイトなど、サイトによっても特色があるため、複数の不動産一括査定サイトに登録することも考えてみるといいでしょう。
この不動産一括査定サイトを利用する方法は、査定の中でも「机上査定」と呼ばれるものです。
築年数や所在地、間取りなどの情報から、近隣で過去に成立した売買の実績をもとに売却想定価格を求める方法となります。
物件独自の情報は査定に織り込まれていませんが、ある程度の価格を知ることはできます。
これに対して、実際に物件独自の情報を価格に織り込むために行われるのが「訪問査定」です。
訪問査定では、実際に不動産会社の担当者がその物件を訪問し、部屋の状態やマンション周辺の状況や日当たり、部屋からの眺めなど物件ごとに異なる情報を確認し、より実態に近い価格を算出してもらうのです。
訪問査定は、実際に担当者に来てもらわなければならないため、あまり多くの不動産会社に依頼することはできません。
机上査定を行ったうえで、気になる会社を3社ほど選んで訪問査定を依頼するのがいいでしょう。
不動産会社の選定
訪問査定まで行って、おおよその価格を把握したら、実際に売却を依頼する不動産会社を選定することになります。
査定価格が高かった会社に売却を依頼するのが一番だと思われるかもしれません。
確かに、不動産会社を選定する際には、査定価格はポイントの1つとなります。
ただ、査定価格はあくまで不動産会社がこの価格で売却できるだろうという見込みの価格です。
実際にその物件を購入するのは買い主であり、買い主が現れなければ、いくら査定価格が高くても意味がありません。
そこで、査定価格の根拠が明確な不動産会社を選ぶことを考えておきましょう。
あいまいな査定を行っている会社の場合、思いどおりに売却が進まないと、その価格を下げて売る可能性が高くなります。
その結果、売り主は損をすることとなってしまうのです。
査定価格の根拠が明確であれば、簡単にその価格を下げて売ることはしません。
売る方も買う方も納得できる価格を提示できる不動産会社を選定することが重要なのです。
この時、必ずしも大手の不動産会社がいいとは限りません。
地域密着で営業している不動産会社でも、地元の人に顔が広く、適切な価格で売却に導いてくれることがあります。
名前を聞いたことがある大手の不動産会社だからという理由だけで決めないようにしましょう。
マンションを売却する際には、不動産会社の担当者と何度もやりとりする必要があります。
また、不動産会社の担当者は購入希望者との交渉も行うこととなります。
つまり、担当者は売却にあたってのパートナーであり、相手方との交渉の窓口でもあるのです。
売却が完了するまで常に行動を共にすることになる担当者が信頼できるかどうかは、不動産会社選びにおいて重要なポイントです。
査定や不動産会社の選定の段階で、不信感を抱くような担当者のいる不動産会社とは契約しないようにしましょう。
不動産会社との契約
マンションの売却を依頼する不動産会社を決めたら、その会社と媒介契約を締結します。
一般的には不動産売買の仲介を依頼するといいますが、専門的には媒介といいます。
不動産会社と結ぶ媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれに特徴があるため、売却を依頼する人がどの契約を締結するかを決めることとなります。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できることや、自分で買い手を探した場合には仲介手数料が発生しないメリットがあります。
ただ、マンションを売却しようとしている人が自分で買い手を探し出すことはほとんどありません。
さらに複数の不動産会社に依頼すると、担当者とのやりとりも2倍、3倍となるため大変になるうえ、最後まで不動産会社同士の調整をしなければならず、肝心の売り時を逃してしまうリスクもあります。
また、一般媒介契約の場合、不動産会社から売り主に対する報告義務がないため、売却を依頼していても本当にそのために動いてもらえるかどうかは分かりません。
そのため、一般媒介契約はよほど慣れた人でなければお勧めできないのです。
専任媒介契約は、複数の不動産会社に依頼することができません。
そのため窓口を一本化でき、担当者とのやりとりもスムーズに行うことができます。
また、不動産会社は売り主に対して2週間に1回のペースで売却活動について報告義務しなければなりません。
そのため、不動産会社は売却のため何らかの活動をしてくれるはずです。
専属専任媒介契約の場合、自分で買い主を探した時には仲介手数料が発生しないというメリットもあります。
専属専任媒介契約も専任媒介契約と同様、1社としか契約できません。
また、不動産会社からは1週間に1回の報告が義務付けられています。
専任媒介契約との違いは、自分で買い手を探した場合にも仲介手数料が発生することですが、自分で買い手を見つけることはまれなため、大きなデメリットにはなりません。
したがって、不動産会社とは専任媒介契約あるいは専属専任媒介契約を結ぶようにしましょう。
自分で買い手を探す予定があるならば、専任媒介契約にしておくといいでしょう。
いずれの場合も、媒介契約を締結すればその会社にすべてを託すこととなるため、どの会社に依頼するか慎重に検討する必要があります。
売却交渉
不動産会社と媒介契約を締結すれば、早速、売却に向けて動き出すこととなります。
実際に売却するための活動は不動産会社が行うため、依頼者としてすべきことは、売却するために説明すべき点は事前に明らかにしておくこと、そして売却活動が適切に行われているかをチェックすることです。
担当者にそのマンションの魅力を伝えることも大事ですが、一方でマイナスの点もしっかりと伝えておく必要があります。
不動産の売買を行う際には、売り主は買い主に対してその物件のリスクについてあらかじめ説明しておく責任があります。
このことを「瑕疵担保責任」といい、雨漏りや事故歴などのマイナスを説明せずに売却してしまうと、後から損害賠償請求を起こされる可能性や、契約解除となってしまう可能性があります。
そこに住んでいたからこそ分かるマイナスのポイントも、隠さずに説明しておきましょう。
そのうえで売却を進めるためには、不動産会社やその担当者が適切に行動してくれているかをチェックする必要があります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、定期的に売り主に対する報告義務があるため、その内容を確認しましょう。
中には、報告は義務として行うがその中身がないというケースもあるため、しっかり売却に向けた活動をしてくれるよう、受け身にならないようにする必要があります。
マンションの売り主として知っておくといい用語がいくつかあります。
まずは「マイソク」と呼ばれるものです。
これは、物件の情報を記載した販売用の図面です。
間取りや外観・内観、築年数、最寄駅からの所要時間などあらゆる情報が載せられるため、スムーズな売却を行うためには非常に重要なものとなります。
不動産会社はこのマイソクをチラシにしたり、不動産情報のサイトに掲載したりします。
特に内観は、このマイソクで知ってもらうことが売却に向けた第一歩となるため、魅力が伝わるようなマイソクを作ってもらうようにしましょう。
次に紹介するのは「レインズ」です。
レインズとは、不動産会社しか利用することのできないサイトのことです。
現在売りに出されている物件の情報や過去の取引データなどが載っており、すべての利用者がその情報を共有することができます。
売却を依頼した不動産会社も、このレインズを利用して買い主を探すこととなるため、どのようなマイソクをレインズに載せているのかを確認するなど、不動産会社の担当者にすべてお任せにしないという姿勢が大事です。
購入希望者が現れれば、実際に物件を見てもらう内覧を行うことになります。
内覧は購入希望者にとっては、その物件と初対面の場となるため、第一印象を決める大切な機会です。
そのような時に、印象が悪くなるようなことは避けなければなりません。
購入に直接関係ないと思われるかもしれませんが、部屋の中が散らかっていたり、薄暗い照明の部屋だったりするだけで、その物件に対する印象はマイナスとなってしまい、購入をやめる原因となるのです。
また、内覧の日程が急に決まることがあります。
しかし、購入希望者の日程に合わせることができないと、内覧ができないまま購入希望者が他の物件を購入してしまい、売却のチャンスを逃してしまう可能性もあります。
不動産会社と媒介契約を締結したら、いつ内覧があってもいいように準備しておきましょう。
買い主との契約
買い主が見つかったら、売買契約を締結することとなります。
売買契約書は不動産会社が作成してくれるので、売り主として必要なものを準備しましょう。
一般的に、不動産の売買契約を締結する時に売り主として必要なものは、①実印、②印鑑証明書、③登記識別証明情報(いわゆる権利証)、④運転免許証などの本人確認書類です。
契約書に書かれている売買の条件は、契約を締結する前によく確認しておきましょう。
特に、売買代金の受領方法は、売り主として最も重要なポイントですから、契約書に書かれていても改めて確認するようにしましょう。
なお、売買契約の締結時に代金の中5~10%程度を手付金として受け取るのが一般的です。
また、買い主のローン審査の結果について、契約の締結前に聞いておくようにしましょう。
もし審査が通らないとローンが実行されないこととなり、売買契約自体が白紙になってしまいます。
審査が想定どおりに進んでおらず、まだ審査中ということであれば、焦らず契約の日程を変更する必要があります。
引き渡し
売買契約を締結したら、物件の引き渡しが行われます。
引き渡しの場では、部屋の中の状態を見てもらい、問題がないことを確認してもらい、鍵を渡します。
また、引き渡しの日には、代金の精算を行います。
売買代金の受け取りの一方、仲介手数料などの費用を支払います。
また、不動産の引き渡しは鍵を渡すだけでは不十分で、マンションの所有権の変更登記を行う必要があります。
登記は通常、不動産会社が紹介してくれる司法書士に依頼することとなります。
この時、住宅ローンが残っている人は注意が必要です。
物件の引き渡しの際には、所有権の登記を変更すると同時に、マンションに設定されている抵当権を抹消しなければなりません。
この抵当権も登記事項なので、所有権の変更と同時に法務局で手続きを行うこととなりますが、ローンを返済しなければ抵当権を抹消することはできません。
そのため、引き渡しの日には同時に住宅ローンの返済を行う必要があるのです。
住宅ローンを組んでいる金融機関には、必ずマンション売却の予定を伝えておかなければなりませんが、引き渡しの予定が決まったら、改めてその日にちを連絡しておきましょう。
査定や売却時の注意点
マンションを売却する経験は、多くの人にとって初めてのことです。
そのため、不動産会社の中には、何も知らない売却希望者をだますような手口で契約を取ろうとするケースがあります。
特に陥りやすい3つのケースについて説明するので、このような手口に騙されないようにしましょう。
高すぎる査定価格を提示してくる会社は注意
複数の不動産会社に査定を依頼すると、それぞれの会社が査定を行って金額を提示してきます。
査定価格は、その物件を売却する際の見積価格であるため、高い金額を提示する会社もあれば、低い金額を提示する会社もあります。
ただ、一般的には査定価格の差は目立って大きいわけではなく、大体似たような金額になることが多いと思われます。
そんな中、極端に高すぎる金額を提示する会社がある場合は注意しなければなりません。
この場合、媒介契約を獲得するためだけに査定金額を高くしている可能性があるからです。
というのも不動産の場合、車の買取のように査定価格で不動産会社が買い取るわけではありません。
査定価格が高いため、この会社に依頼すれば高く売れると考えて不動産会社を選定し媒介契約を締結しても、実際にその金額で売買が成立しなければ、最終的には売却価格を下げざるを得ないのです。
このような方法で契約を獲得している不動産会社は、売却のための地道な活動を手抜きしている場合があります。
そのため、当初の査定価格が低かった他の不動産会社の査定金額よりさらに低い金額でしか売却できないケースも多いのです。
査定価格が高いという理由だけで不動産会社を選定しないよう、注意しなければなりません。
売り出し価格を下げるのは最後の手段
マンションの売却をしようと思っても、すぐに売却できるわけではありません。
それどころか、問い合わせもなく内覧の申込もないまま時間だけが経過することも決して珍しくありません。
そのような場合、どうして問い合わせがないのかを冷静に考える必要があります。
特に、マンションを売りに出していることが知られていないケースや、想定される購入者と異なる人に対してアプローチを行っているケースなどが考えられます。
売却がうまく進まない場合には、それまでの売却活動を見直す必要があります。
「マイソク」はきちんと作成されており、物件の魅力が伝わる内容になっているでしょうか。
「レインズ」にはその物件の情報がしっかりと公開されているでしょうか。
誰もが目にすることのできる不動産情報のサイトや折り込みチラシなどに、物件の売却情報が細かく掲載されているでしょうか。
また、売却しようとしているマンションのタイプに合わせた広告宣伝が行われているでしょうか。
ファミリータイプのマンションなのに、単身者が多い賃貸マンションでポスティングを頻繁に行ってもあまり効果的とはいえません。
売却するために当たり前に行っていると考えられることを、不動産会社が行っていない場合も意外にあるのです。
そのような売却活動をせずに価格だけ下げるのは、不動産会社の努力不足といえます。
売り出し価格を下げるのは最後の手段と考えて、安易な値下げには応じないようにしましょう。
囲い込みをもくろむ不動産会社は要注意
不動産会社の中には、囲い込みを行って手数料を多く得ようとする場合があります。
売却を依頼された不動産会社は、レインズにその物件の情報を登録し、広く購入希望者を探します。
そして、購入希望者が現れて売買契約が成立した場合には、売主から「売却価格×3%+6万円」の手数料をもらうこととなります。
この場合、購入した人もその物件を探すことを依頼した不動産会社に、同額の手数料を支払います。
つまり、売り手と買い手がそれぞれ別の不動産会社に手数料を支払うこととなるのです。
もし、売却を依頼された不動産会社が買い手を見つけて売買契約が成立すれば、その不動産会社は、売り手と買い手の両方から手数料をもらうことができます。
このことを「両手仲介」といいます。
両手仲介にはメリットもあります。
不動産会社1社で売り手と買い手の希望を聞くため、交渉がスムーズに進みます。
購入希望者が現れれば、実際に引き渡しを行うまでの時間は短くなるケースが多いのです。
しかし、購入希望者が現れる見込みがないにもかかわらず、両手仲介をしたいがために、物件の情報を十分に公開しなかったり、内覧希望者に内覧をさせなかったりする不動産会社もあります。
このような「囲い込み」にあうと、売却まで時間がかかるだけでなく、本来の金額より低い金額でしか売却できないケースもあります。
囲い込みされないよう、担当者には売却の状況を事細かに確認するようにしましょう。
また、不安な場合は両手仲介を行わないことにしている不動産会社があるので、そのような会社に依頼することも考えてみましょう。
マンションを高く売るための5つのポイント
マンションの売却を考えている人が売却したいと考えている金額と、購入したいと考えている金額にはギャップがあります。
誰もが、売却する際に少しでも高い価格で売却したいと考えます。
前もって、マンションを売る前にいくつかのポイントを知っておくことで、売却時の価格が高くなる可能性があります。
1つ1つのポイントは決して難しいことではないため、実践してみましょう。
いくらくらいで売れるのか調べてみよう
マンション売却の際に多くの人が一番気になるのは、いくらくらいで売却できるのかということです。
自分で思っている不動産の価値と実際の価値が異なるのは珍しいことではないため、客観的な立場から不動産の価値を算出する必要があります。
もちろん、不動産会社に依頼すれば正確な査定金額を知ることができます。
しかし、不動産会社に正式に依頼する前に、自分である程度の金額を知ることができれば、売却に対する不安も少なくなりますし、売却後の計画も立てやすくなります。
国土交通省から発表される公示価格や、国税庁が公表する路線価、さらにはそのマンションの固定資産税評価額などを参考に、売却金額を想定しておきましょう。
ちなみに、公示価格は実際に不動産売買をする際の金額をもとに公表される金額である一方、路線価は公示価格の約8割、固定資産税評価額は公示価格の約7割に相当する金額となります。
売却しようとしている物件の近くの公示価格が分からない場合には、路線価や固定資産税評価額から公示価格に相当する金額を計算してください。
高く売りたければ早く売らない
どのようなものでもそうですが、早く売りたいと考えて購入希望者を探していても、高く売れることはありません。
そのため、売却を特に急ぐのでなければ、売り急がずにじっくり売却先を探すようにしましょう。
じっくり腰を据えて売却先を探しているうちに、高い金額でもいいから購入したいと考える人が現れるかもしれません。
しかし、あまり長期間にわたって購入希望者が現れるのを待っていると、その間に固定資産税を支払ったり、管理費や修繕費が発生したりしてしまいます。
また、年数がたってしまうと、マンション自体の評価額も下がってしまうため、待てば待つほどいい条件で売却できるわけでもありません。
希望の額に届かない場合でも、自分自身で納得のいく価格であれば、その金額で売る方が、後から振り返って納得のいく契約になるはずです。
周辺の相場を把握しておこう
自分の不動産の評価額を知るために、周辺のマンションの相場を自分で調べたり、不動産会社に周辺の不動産の価格を聞いたりすることは、安く売って損をしないために必要な行動です。
必ず周辺から似たような物件が売りに出ていないか、出ているとすればどれくらいの金額がついているのか、確認しておきましょう。
マンションの価格は、その立地や広さなどに大きく影響を受けますが、それ以上に周辺で売りに出ているマンションの価格に大きく左右されます。
もし、築年数や広さなどの条件が似たマンションが近所で売りに出ている場合、そのマンションの価格より高い金額ではなかなか売れないでしょうし、逆にそのマンションより低い金額では損をしてしまいます。
周辺で売りに出ている不動産の物件情報を確認し、損をしないようにしましょう。
参考:オリンピックに向けて東京の不動産価格は上昇中。売時について
清掃は丁寧に、整理整頓も忘れずに
不動産会社に査定を依頼した際や、購入希望者による内覧の際には、外観だけでなく部屋の中も見られます。
この時、きれいに片付いた部屋と乱雑に散らかった部屋では相手に与える印象が大きく変わってしまいます。
少しでもいい条件で売却したいのであれば、査定や内覧の直前だけでなく日頃から清掃や部屋の整理整頓に気をつかうようにしましょう。
日頃から部屋の清掃を行い、整理整頓を心がけることで、結果的にマンション自体の保存状態もよくなり、売却価格がより高くなる可能性があります。
また、きちんと手を加えて維持していると不動産会社に分かってもらえれば、物件や売り主となる所有者の評価も上がり、スムーズに話が進むことでしょう。
不動産会社選びは重要なポイント
不動産会社を選ぶ際、どのような点に着目して選べばいいのか分からない人も多いと思います。
買取の方法で売却するのであれば、提示金額が一番高い会社に売却すればいいのですが、仲介の場合は単に査定価格が高い会社を選べばいいわけではありません。
購入してくれる買い手を見つけられること、そして希望する価格で売却できることが売却を成功に導く重要なポイントです。
不動産会社には、特定のエリアを得意にしている会社や、多くの顧客が見込める会社があります。
そういった会社は、地域の事情に詳しく、また近くで別の物件が売りに出ているといった情報に精通しています。
どの会社に仲介を頼むか迷った場合には、会話の中にこのような情報がないか注意してみるといいでしょう。
マンション売却後のポイント
マンションを売却して利益が発生すると、その利益の額に対して税金がかかります。
また、売却後には登記を行ったり、ローンが残っている場合にはローンを完済したりしなければなりません。
マンション売却でかかる税金とは
マンションを売却しても、すべての場合に税金がかかるわけではありません。
売却して利益があった場合に、その利益に対して税金を計算するのです。
利益の額は、「売却代金-取得費-譲渡費用」で計算します。
取得費とは、マンションを購入したときの価格から、経過した年数に応じて価値が減少したものとして計算される償却費を引いて計算します。
年数が経過するほど償却費が増えるため、マンション売却時の原価に相当する取得費は減少します。
また、譲渡費用とは、マンションを売却するために直接かかった費用のことをいいます。
マンション売却時には、仲介手数料や契約書の印紙代などが発生します。
税額は5年を超えて保有していた場合には、利益の額に対して所得税15.315%、住民税5%がかかります。
保有期間が5年より短い場合には、所得税30.63%、住民税9%がかかります。
それまで住んでいたマンションを売却する際には、利益の額から3,000万円を控除できる特例があるため、税金が発生するケースはそれほど多くありません。
また、マンションを売却した後の譲渡所得の金額は、マイナスになることも多いと思います。
通常は譲渡所得がマイナスになっても、給与所得や事業所得などの所得金額と損益通算することはできないのですが、①居住用財産の買換えを行った場合に発生した譲渡損失、②住宅ローンの残高を下回る金額で売却して発生した譲渡損失で、それぞれ一定の要件を満たすものについては、他の所得と損益通算して税金の還付を受けることができます。
ただし、税金が発生する場合だけでなく、特例を適用する場合も確定申告をしなければならないため、忘れないようにしましょう。
マンションを売却した場合、その翌年に確定申告をする必要があります。
また、自分で確定申告をする自信がない場合には、不動産会社や知り合いなどを通じて、早めに税理士などの専門家に依頼するようにしましょう。
マンション売却後に行う登記とは
売却契約を締結した時点でマンションの売却は成立しますが、それだけでは真の所有者が誰かを証明することはできません。
不動産の売買をした際には、必ず不動産の所有者の移転登記を行うべきです。
移転登記を行う際に、売主側は権利証(登記識別情報)と印鑑証明書が必要になります。
また、売却するマンションの所在地と印鑑証明書の住所が異なる場合には、住民票も必要となります。
登記をする段階になってあわてないように、準備しておくといいでしょう。
マンション売却後にローンを返済する場合
ローンが残っているマンションを売却した場合、マンションの売却代金から諸費用を支払ったうえで、ローンの残りを精算しなければなりません。
ローンを完済しないと、金融機関が設定した抵当権を解除することができず、売却できないのです。
マンションの売却代金でローンを全額返済できれば問題はありません。金融機関に返済するとともに、抵当権設定登記を解除してもらいましょう。
売却代金でローンを返済してもまだローンが残る場合には、現金でローンを返済しないと売却できないこともあります。
ローンが残っているマンションを売却する際には、まずそのローンを組んでいる金融機関に相談しましょう。
まとめ
マンションを売却することは、ほとんどの人にとって初めての出来事です。
そのため、売却する前は不安も大きいと思います。
しかし、売却する際には流れがあるため、基本的には不動産会社にお任せしてしまっても問題ありません。
ただし、どの不動産会社に仲介を依頼するか、いくらで売却するかの最終決断は自分でしなければなりません。
少しでも高い金額で売却することも大切ですが、自分自身納得のいく売買にすることが何より重要です。
売却してから後悔することのないよう、売却前から情報を集め、マンションの維持管理を怠らないようにしましょう。
また、よりよい条件で売却するためには売り急がないことが重要です。
売却の予定がある場合には、売却予定の日から逆算して余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。