離婚の手続きVOL12 離婚訴訟はどのような終わり方?離婚できないケースとは? | 離婚弁護士マップ
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離婚の手続きVOL12 離婚訴訟はどのような終わり方?離婚できないケースとは?


離婚訴訟は、どのような結末を迎えることになるのでしょうか。

また、それでも離婚できなかった場合はどうすればよいのでしょうか。

離婚訴訟の終わり方について説明します。

離婚訴訟の結末とは

離婚訴訟はどのように終結するのでしょうか。

離婚訴訟をすると、基本的には判決が出て終結することになりますが、必ずしも最後まで訴訟を続けて判決を出してもらわなければいけないことはなく、訴訟中に和解をすることもできます。

終結方法

離婚訴訟の終結方法としては、

  • ①判決
  • ②和解
  • ③認諾
  • ④訴えの取下げなど

が挙げられます。

判決が出るまでに、当事者間で歩み寄り、和解によって裁判を終了させる場合があります(和解離婚)。

被告が原告の主張を全面的に受け入れて離婚が成立する場合もあります(認諾離婚)。

また、原告が訴えを取り下げて終了することもあります。

訴えの取り下げの中には、離婚自体を諦めた場合もあれば、協議離婚をする場合もあるでしょう。

離婚訴訟中の和解について

離婚訴訟は、判決が出るまで時間がかかります。

訴訟を起こすと、第一回口頭弁論期日から始まり、何度も期日が開催されるのが通常です。

そのため、申し立ててから判決が出るまでに、1年以上の期間を要することも決して少なくありません。

これは、原告にとっても、相手方にとっても大きな負担となります。

そのため、裁判所は、訴訟の途中で和解勧告をすることがあります。

この勧告に応じて和解すると、和解離婚が成立します。

ただし、勧告されたからと言って必ず応じなければいけないものではありません。

和解のタイミング

和解は、訴訟中のどの段階であってもすることができます。

裁判官は、当事者双方の様子を見て和解の可能性があると判断すれば、和解勧告をします。

第一回口頭弁論期日の段階で和解勧告をされることもありますし、数回期日を重ねて、当事者双方の機運が高まったタイミングで和解勧告をすることもあります。

一度和解の話し合いがうまくいかなかった場合でも、時期を見て再度和解の勧告をすることもあります。

このように、和解は訴訟中にいつでも何度でも試みることができます。

なお、和解離婚の成立は、訴訟手続きの中で和解調書が作成された時点です。

自分たちで役所に離婚届を提出する必要はありますが、それはあくまで事後報告的な届出であり、離婚自体は和解調書が作成されたときに成立します。

裁判上の和解のメリット

裁判上の和解をするメリットはどのようなことでしょうか。

1.早期解決できる

まず、和解の場合途中で裁判を終わらせることになるため、早期に離婚問題を終結させることができます。

裁判が長引けば長引くほど、双方にさまざまな負担がかかります。

精神的な負担もかかる上、弁護士費用も訴訟が長引くほど高額になるのが通常です。

離婚が成立するまでは、婚姻費用の分担義務がありますので、配偶者に生活費を払い続けなければいけないといった面もあります。

離婚訴訟にまで発展している場合、通常夫婦関係を立て直すことは相当難しい状況と言わざるを得ません。

このような状態で訴訟を続けることは、双方にとって、いたずらに時間や労力、金銭を費やすことになり消耗していくだけの場合が多いです。

そのため、和解によって早期解決を図ることが得策である場合が多いでしょう。

判決まで進んだ場合、どちらかが判決に不服な場合は控訴審まで進む可能性があり、そうするとさらに1年以上の時間を費やす可能性があります。

2.判決よりも良い条件で離婚が成立する可能性

和解によって離婚する場合、判決よりも良い条件で離婚できる可能性があります。

財産分与や親権等の離婚に付随する事項について、相手が早期の解決を望むために譲歩してくれる可能性があります。

また、慰謝料や養育費等の財産的給付についても、判決の場合は一括での支払いとなることが多いですが、和解の場合は分割払いや金額を減額してもらえる可能性もあります。

また、和解離婚の場合「和解金」が支払われるケースがあります。

これは、離婚を望む当事者が、これ以上訴訟が長期化することを避けるために、早期の離婚に応じてもらうための解決策として金銭を支払うものです。

3.戸籍の記載

離婚後の戸籍に記載される文言は、判決まで行った場合と、和解が成立した場合では異なります。

判決までいった場合には、「裁判により離婚」と記載されますが、和解で離婚すると、「訴訟上の和解により離婚」と記載されます。

戸籍は一生ついて回るものですので、意外とこの違いは人生の中で大きな意味を持つ場合があります。

たとえば、再婚を考える場合にも、裁判離婚が戸籍に記載されていることは、相手に不安やネガティブな印象を与える可能性もあります。

認諾離婚とは

離婚訴訟が認諾離婚として終結することがあります。

認諾離婚とは、離婚訴訟中に、被告が原告の言い分を全面的に受け入れることで訴訟が終了することです。

裁判中であっても、被告が認諾すればその時点で裁判は終了し、離婚が成立します。

ただし、親権や財産分与等の離婚に付随する問題を訴えの中に含めず、単純に離婚成立のみを求めていることが認諾離婚の条件となっています。

離婚成立以外の内容が含まれている場合は、認諾離婚は成立しません。

実際の裁判で認諾離婚が成立することは非常に少ないケースです。

離婚ができないときは

法定離婚事由がある場合でも、裁判所が必ず離婚を認めるわけではありません。

たとえば、配偶者の不貞行為を理由に離婚を請求し、不貞の事実を立証する言葉出来た場合でも、裁判所は、一切の事情を考慮し婚姻を継続した方が相当だと判断した場合には離婚の請求は棄却されます。

このような場合、離婚をそれでも望むときはどうしたらよいでしょうか。

控訴する

離婚裁判の第1審は家庭裁判所、第2審は高等裁判所、第3審は最高裁判所になります。

家庭裁判所で離婚請求が棄却されても、まだ争う道は残されています。

家庭裁判所から高等裁判所に控訴する場合、控訴理由に制限はありません。

事実認定の誤りがあったことなどを控訴理由とすることができます。

離婚は認められたものの、親権や財産分与などの付帯的な問題についての判決に不満がある場合も、一部敗訴部分について控訴することができます。

家庭裁判所で棄却されたのに高等裁判所で離婚が認められるかについては、ケースによって異なります。

ただ、家庭裁判所の裁判で1年程度は通常かかっており、その後さらに高等裁判所へ控訴してまで争っている事実があるため、その事実そのものが婚姻関係が破綻しているという認定につながる可能性は十分にあります。

裁判所としても、そこまでして離婚に当事者の一方がこだわっているのであれば、理由はどうであれ修復の見込みはないとして、離婚を認める傾向があるといえます。

控訴審でも判決に不服がある場合は、最高裁判所への上告を検討することになります。

ただし、上告ができるのは憲法違反や法令違反がある場合に限られます。

まとめ

離婚訴訟の終了について説明してきました。

離婚訴訟まで至っている場合、現実的に見て夫婦関係の修復は相当難しい状態になっている場合がほとんどです。

双方の負担や将来を考えると、どこかで折り合いをつけて和解するのが得策である場合が多いといえます。

訴訟を自力で対応するのは相当難しいため、訴訟の可能性がある離婚問題については弁護士に早めに相談しましょう。

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