2021年(令和3年)の路線価はいつ発表される?
路線価という言葉を聞いたことがありますか?
路線価とは、税務署が決める土地の価格です。
今回は、2021年(令和3年)の路線価がいつ決定されるのか解説します。
あわせて、一般的に路線価はいつ発表されるのか、どのように決まるのか、土地売買価格の相場との関係もご説明します。
目次
【すでに発表済】2021年(令和3年)の路線価はいつ分かる?
2021年(令和3年)1月1日時点の路線価は、7月1日に国税庁より発表されています。
路線価は相続税や贈与税を算定する際に基準となるものです。
そのため、令和3年に発生した相続や贈与については、今回発表された路線価を使って税額を算定します。
全体的に路線価は下落
2021年の路線価は、繁華街や観光地が新型コロナウイルスの影響を受けたこともあり、多くの地域で下落しています。
全国平均でみると前年比で0.5%下回っており、全国的に新型コロナウイルスの影響を大きく受けた結果といえます。
都道府県別に見ると、39都府県で路線価は下落している状況です。
昨年路線価が下落した都道府県は26県であったため、比較してもさらに下落した地域が増えています。
また、三大都市圏のある東京都、大阪府、愛知県でもマイナスとなっているのをはじめ、上昇した地域でも上昇幅は小さめです。
最も上昇率が高かったのは福岡県で1.8%、2位が沖縄県の1.6%ですが、昨年はそれぞれ4.8%、10.5%の上昇率を記録しており、上昇率は縮小しています。
路線価の下落が目立った地域とは
全国の評価対象点の中で、路線価の下落率が最も高かったのは大阪府心斎橋筋で、26.4%の下落率を記録しています。
また、インバウンド(訪日外国人)需要が増加していた地域では、反動による下落が目立つ状況です。
中でも外国人観光客に人気のあった奈良市、神戸市、那覇市などでは、これまでの反動もあって路線価が急落しています。
今後地価補正される可能性がある
2020年(令和2年)、新型コロナウイルスの影響で地価が大幅に下落した地域に対して地価の補正が行われました。
国税庁のホームページによると、2021年(令和3年)も地価が大幅に下落した地域が確認された場合には、令和2年分と同様に路線価等の補正を行うことを検討する旨の記載がされています。
今後、国税庁から出される情報には注意しておきましょう。
全国トップは「鳩居堂」前
路線価の全国トップは、文具店「鳩居堂」前です。
東京都中央区銀座5にあるこの地点は、36年連続で全国最高の路線価を記録しています。
ただ、今回は前年より7.0%下落し、2012年以来9年ぶりに路線価の下落を記録しました。
価格は1平方メートルあたりで4,272万円となっています。
そのほか、都道府県庁所在地の最高路線価を見ても22都市(前年は1都市)で下落しており、全国的な下落傾向が確認できます。
他の地域の路線価が知りたい人は国税庁HPをチェック
全国の路線価をより詳しく知りたい人は、国税庁のホームページを確認してみましょう。
国税庁のホームページには、それぞれの地域の路線価が細かく載っています。
身近な場所や気になった地域などの路線価も、すぐに検索が可能です。
参考:財産評価基準書|国税庁
路線価とは
まず、路線価には厳密にいうと「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類あります。
相続税路線価は相続税の計算に用いられ、固定資産税路線価は固定資産税の計算に用いられるのが一般的です。
通常、路線価と言う場合は相続税路線価のことを指します。
この記事で言う路線価も、正確には相続税路線価を意味します。
路線価は、相続税を計算するときに使う土地の価格ですが、実勢価格よりも低く計算される仕組みです。
土地を持っている人にとって、相続税が高すぎると結果として土地を手放さなければ税金を払えません。
路線価が実勢価格よりも低いことで、土地を相続する人は実勢価格どおりの税金ではなく、それよりも割安な税金を払えば済みます。
路線価は土地を相続した人に配慮した価格とも言えるでしょう。
路線価は公示価格が元になっている
路線価は、国土交通省が発表する公示価格をもとに定められています。
公示価格とは、土地売買の目安ともなる価格です。
毎年1月1日を基準日として3月に発表されます。
公示価格のおよそ8割が路線価です。
ただし、路線価は土地の形で補正されるケースがあるため、必ず公示価格8割ほどになるとは言えません。
間口が狭いなどの事情があったり、土地の形が複雑だったりすると減額される場合があります。
路線価の発表時期
路線価は、毎年1回、国税庁が7月に発表しています。
例えば、令和元年度分については、国税庁のホームページ上で令和元年7月1日(月)11時に掲載されました。
路線価を確認する方法
国税庁のホームページで確認する他、一般財団法人資産評価システム研究センターの全国地価マップでも路線価を確認できます。
特に、全国地価マップは、地図検索機能がついていて使いやすい仕様になっています。
「国税庁のホームページを見に行ったものの使いづらい」と感じた方は、一度全国地価マップを利用してみましょう。
路線価の使い方
路線価は、文字通り道路に対して標準的な価格が決められています。
例えば、土地があって、その前を道路が通っているとしましょう。
この道路の路線価は、「280D」と書かれています。
路線価の数字の表記は千円が省略されているため、280は、1㎡あたり280,000円のことを指していて、1㎡あたり28万円ということがわかります。
もし、この道路に面した土地を100㎡持っているなら、路線価は28万円×100万円=2,800万円というように活用するのが一般的です。
借地割合・借地権とは
路線価図の「280D」と書かれている、アルファベットの部分は借地権割合を表しています。
借地権割合は、AからDまで10%刻みで決められています。
ちなみに、借地権とは、地主から土地を借りて、そこに家を建てることができるという権利です。
借地権は土地そのものではありませんが、相続の際には課税されます。
借地権割合は一般的に地価が高いところほど高いことが特徴です。
280Dと書かれている場合、借地権割合は60%です。
したがって、280Dと書かれた道路に面した土地を100㎡持っている場合の借地権の評価は、28万円×100㎡×60%=1,680万円になります。
路線価と土地価格の相場の関係
路線価は、相続税を計算するための価格ですが、発表される際には土地の実勢価格にも影響を与えます。
発表されるとニュースにもなるくらいです。
地価の上昇は経済の回復傾向であるともいわれますが、結果として相続税が増えてしまうことがあるので注意が必要です。
何らかの経済変動があった場合、路線価が公表される前であれば路線価に何かしらの影響が出ることはあり得ます。
ただし、路線価が発表された後に経済変動があっても、路線価は変わりません。
バブル崩壊などの大きな経済変動があった場合は注意が必要です。
路線価が参考になる場合
路線価は1つの指標にすぎません。
しかし、その土地があまり売買されてきた実績がないという場合、路線価はかなり参考になります。
実際の売買が何度もされてきた場合でも、路線価が活用されることが多いです。
まとめ
2021年(令和3年)の路線価は、すでに国税庁から公表されています。
新型コロナウイルスの影響を受けて、全国的に路線価は下落している状況です。
具体的な価格が知りたい方は、国税庁のホームページなどで確認するようにしましょう。
路線価は土地の売却の参考になる価格です。
土地の売買に携わる機会がある方は、ぜひ一度チェックしてみてください。