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路線価って何?

毎年、初夏の気配が感じられる頃になると、国税庁から発表される路線価が話題となり、メディアなどでも多く取り上げられます。

不動産の価格をあらわす基準となるものには、評価額、基準地価、公示地価、そして路線価があります。

路線価が示す意味とは

路線価とは、毎年1月1日時点の土地評価額として、1㎡当たりの金額を示す数値です。

すべての土地に時価を算出する行為はかなり時間がかかりますし、どの時点で測定するかによっても金額が変わってしまうでしょう。

そこで、道路に値段をつけ、その道路に隣接する土地の価格を算出できるようにしています。

相続税や贈与税、固定資産税を計算する際に用いられるので、相続税路線価と固定資産税路線価と2種類あります。

隣接している道路の値段をもとに、土地の面積を掛けて評価額を算出します。

路線価の目安

一般的に路線価とされるのは相続税評価のために用いられる相続税路線価のことですが、相続税路線価は公示価格(時価)の8割程度が目安になっているのに対し、

固定資産税を計算する際に用いられる固定資産税路線価は公示価格(時価)の7割程度が目安に設定されています。

公示価格とは?

国土交通省が発表する公示価格は、市場で土地を売買するときの価格を決める基準となる価格です。

地価公示法という法律に従い、不動産鑑定士などの専門家が毎年決まった時期に評価を行い決めていますので、路線価とは違った金額になっています。

どちらも不動産の価格をあらわしますが、使用する目的や表示される金額が異なる点に注意しておきましょう。

なお、公示価格の調べ方については、後で詳しく解説します。

路線価を調べる方法は?

路線価が、公示価格の8割程度となっていることはお分かりいただけたと思います。

ただ、実際に路線価を求める際に、公示価格を調べてその価格に0.8を掛けて計算するわけではありません。

路線価は国税庁が公表しているため、国税庁のホームページから調べることができます。

国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」を開きます。

すると日本地図が表示されるため、土地が所在する都道府県をクリックしましょう。

その後は、路線価図→市区町村→地名の順に選択すると、該当する地域の地図が表示されます。

路線価を調べたい土地の場所を探し出すと、その土地に面した道路に「500d」や「110e」といった数字とアルファベットが書かれているのが分かると思います。

この数字とアルファベットが路線価を表しているのです。

このうち、土地の相続税評価額を知るために路線価を調べるのであれば、前半の数字に注目しましょう。

先の例で「500d」となっているのであれば、500の部分が1平方メートルあたりの路線価の額を千円単位で表しています。

500の場合は、実際には1平方メートルあたり500,000円であることとなります。

この土地の広さが200平方メートルであれば、その土地の相続税評価額は500,000円×200=1億円となるのです。

ちなみに、先ほどの路線価図にある「500d」の後半にあるアルファベットは、借地権割合を表す記号です。

土地を借りている人が建物を建てた場合には、土地を借りている人にも貸している人にも関係する非常に重要な割合となります。

直接関係のない人も、頭の片隅に入れておきましょう。

土地の相続税評価額の計算方法

路線価図から路線価を調べ、その金額に土地の広さを乗じて求められる土地の評価額が相続税評価額になります。

しかし、土地が複数の道路に面している場合にはどの路線価を用いて計算すればいいのか分かりません。

また、同じ広さの土地でも、正方形の土地と形がいびつな土地では利用価値が同等とは考えられません。

そこで、実際の相続税評価額を算出する際にはいくつかの補正を行い、その評価額をより実勢に近づけるための計算が行われます。

角地など複数の道路に面する土地

角地や正面と裏面の双方が道路に面しているような土地は、正面しか道路に面していない土地より利用価値が高いと考えられます。

そこで、相続税評価額を計算する際には、土地が面する路線価の最も高いものを正面路線価、それ以外の路線価を側方路線価あるいは裏面路線価として、面積を乗じる前の路線価の金額に加味して計算します。

その結果、正面だけ道路に面している土地より評価額が高くなるのです。

奥行が長い土地、奥行が短い土地

土地の奥行が極端に長いと、道路からみて奥の方が利用しにくくなります。

また逆に、奥行が短い土地もその用途が制限されるため、やはり利用価値は低くなってしまいます。

そこで、奥行が長い土地や短い土地については、一定の補正率を乗じてその評価額が低くなるようにしているのです。

間口が狭い土地

間口が狭い土地もその用途が制限されてしまうため、土地の利用価値は低くなると考えられます。

そこで、間口の狭い土地についても一定の補正率を乗じて、その評価額を下げるような計算を行います。

形がいびつな土地

形がいびつな土地は、正方形や長方形など形が整っている土地と比べると、その土地のすべてを利用できないことや様々な用途に利用できないことなどから、利用価値が低くなってしまいます。

そのため、土地の形に応じてその評価額を下げるような計算を行います。

この場合、一定の割合を乗じて計算するわけではなく、実際の土地の形と想定される整形地の比率から減額の計算を行います。

崖になっている部分がある土地

土地の一部が崖になっているような場合、通常の用途に用いるのは難しいと考えられます。

そのため、崖を含む土地については、がけ地補正率を用いてその土地の評価額を下げる計算を行います。

路線価と公示価格の関係

路線価は、公示価格の8割程度になるように決められています。

そのため、「路線価÷0.8」あるいは「路線価×1.25」の計算を行えば、その土地の公示価格を求めることができます。

例えば相続税評価額1億円と計算された土地の場合、その土地の公示価格は1億円×1.25=1億2,500万円となります。

ただし、この方法で計算された価格は、想定される土地の価格である一方、正確な公示価格とは異なるものです。

より正確に土地の時価を知るためには、その土地の公示価格や基準地価を調べる必要があります。

土地の時価とは

そもそも土地の時価とはどのように決まるのでしょうか。

「不動産鑑定評価基準」という不動産鑑定を行う際の指針を定めた基準の中では、公的な規制や制限が影響しない状態で、売り急ぎや買い進みが発生していない市場において形成される市場価値を表した価格のことを正常価格と呼んでいます。

この正常価格が、一般的にいう時価と考えられます。

売る側と買う側の思惑が一致しなければ不動産の売買は成立しないため、価格は形成されず、その段階では土地の時価も分かりません。

購入希望者が大勢いるのであれば、その価格をあげないと土地の所有者は売却してくれないのです。

逆に、土地の所有者は売却したいと思っていても、思ったように売れなければ売却希望価格を下げざるを得ません。

このようにして、売る側と買う側の思惑が一致したところで売買が成立し、土地の時価が形成されていくのです。

公示価格と時価の関係

土地の時価は、実際の取引によって形成されることはお分かりいただけたと思います。

それでは、国土交通省から公表される公示価格は、時価とどのような関係にあるのでしょうか。

公示価格は適正な地価の形成を目的として、1月1日時点の土地の価格を毎年3月中旬ころに公表しているものです。

平成31年度は全国の26,000地点の標準地について、その正常価格を不動産鑑定士が鑑定し公示価格を決定しています。

不動産鑑定士が鑑定する際に基礎としているのは正常価格、つまり市場で形成された時価です。

この時価について、その価格形成に特殊な要因がないか、その土地を取引した際の収益はどれくらいになるのか、今後の価格はどのようになると予測されるのかといった点を加味して、公示価格を決定しているのです。

つまり、特殊な要因がなければ時価=公示価格ということになります。

なお、国土交通省が定める公示価格のほかに、都道府県が定めるのが基準地価です。

この基準地価は、7月1日時点の全国約2万地点の基準地について、標準地における公示価格と同じように鑑定を行い、毎年9月中旬以降に各都道府県が公表しているものです。

同じ地点が標準地と基準地の双方に指定されている場合もありますが、標準地だけではカバーしきれない場所について、公示価格と同じように取引の目安となる土地の価格として利用されています。

公示価格を調べる方法は?

公示価格と基準地価は、いずれも国土交通省が開設するホームページで調べることができます。

国土交通省の「土地総合情報システム」を開くと、「標準地や基準地の価格をご覧になりたい方へ」というリンクがあります。

その「地価公示、都道府県地価調査」を開くと、日本地図が表示されます。

都道府県→市区町村の順に進み、調査年や用途区分などの検索条件を指定して検索すると、その市町村内の標準地や基準地の価格が表示されるのです。

検索結果は最初、表の形式で表示されます。

価格や土地の面積、利用区分などを比較する際には見やすいのですが、場所のイメージができないため、本当に知りたい場所の価格を探すのには向いていません。

その場合は、検索結果にある「地図で確認する」のリンクをクリックしてみましょう。

すると、その地点周辺の地図が表示されます。

この地図を見れば、周辺の標準地や基準地の価格を一目で確認することができます。

標準地や基準地の地点がオレンジや黄色、ピンクなどの色で表示されており、その地点をクリックすればその地点の詳細な情報を確認することもできます。

取引価格を調べることもできる

先ほどご紹介した「土地総合情報システム」では、実際に行われた過去の取引価格を調べることもできます。

「土地総合情報システム」のトップページから、「不動産取引価格情報検索」をクリックすると日本地図が表示されるため、調べたい都道府県を選択します。

左側に取引の時期や市区町村などの条件を指定する表示があるので、条件を指定して検索するとその地域で行われた取引の価格が表示されます。

どの土地の価格かを特定できないようになっていますが、広さや形状、前面道路などある程度の情報が掲載されており、実際の取引価格を知りたい場合に参考にすることができます。

簿価と時価の違い

土地を購入した時の価格を簿価といいます。

土地を購入した際には、その購入価格で帳簿に記載するため帳簿価格と呼ばれ、略して簿価となったのです。

例えば、会社が決算書に計上している土地の価格は簿価となります。

100年以上前に購入した土地が数万円、数十万円という金額で決算書に計上されているが、実際には数億円の時価になるというケースもあります。

土地を売却した際の税金の計算方法

所有している土地を売却する際には、必ず税金がかかるわけではありません。

「売却価格-簿価」の計算を行い、売却により発生した利益に対して税金が発生するのです。

また、土地を売却する際に必要となる仲介手数料、測量費、土壌改良費などの費用を売却益から差し引くことができます。

課税対象となるのは、実際に発生した利益部分のみです。

売却益を計算する際に重要となるのは、簿価つまり購入価格を把握していることです。

会社であれば問題はないでしょうが、個人の方が土地を購入した際にも、簿価をきちんと分かるようにしておく必要があるのです。

まとめ

路線価と土地の時価である公示価格、基準地価の概要と違いを説明してきました。

これらはそれぞれ、異なる目的でその価格が設定され、異なる行政官庁から公表されています。

しかし、その価格の動きには関連があるため、毎年公表される公示価格や路線価の情報に気を付けていると、土地を購入・売却しようとする際や相続が発生した際にも慌てずに対応できるはずです。

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