更地の固定資産税が高い理由は?節税方法・計算方法・注意点
この記事でわかること
- 更地の固定資産税が高くなる理由を理解できる
- 更地の固定資産税の計算方法及び節税方法が分かる
- 更地の固定資産税に関する注意点を押さえられる
更地を所有している場合、建物が建っている土地に比べて固定資産税の額が高くなることをご存じでしょうか?
固定資産税は、土地をはじめとした不動産を所有している人に毎年継続して課税される税金ですが、所有している土地上に建物があるかないかによって負担すべき税額が大きく異なります。
そのため、更地を所有している人としては、なぜ更地は建物が建っている土地よりも固定資産税が高くなってしまうのか、疑問を抱いているケースは多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、更地の固定資産税が高い理由について、徹底解説していきます。
具体的な計算方法や節税方法だけでなく、押さえておくべき注意点などについても詳しく解説していくので、更地を所有している人はぜひ最後まで読んでみてください。
目次
更地にすると固定資産税が高くなる理由
土地に課税される固定資産税は、なぜ建物をなくして更地にすると高くなってしまうのでしょうか?
更地にすることで固定資産税が高くなってしまう最大の理由は、建物がある土地に適用される「住宅用地の特例」が利用できなくなるからです。
住宅用地の特例とは、住宅などの建物が建っている土地を対象として、固定資産税が減額されるという制度のことです。
そのため、土地の上に建っている建物をなくして更地にすると、課税される固定資産税の負担が大幅に大きくなってしまう可能性が高くなるので、注意しなければなりません。
更地の固定資産税の計算方法
更地の固定資産税について理解を深めるために、まずは固定資産税の計算方法をしっかりと把握しておきましょう。
土地に課税される固定資産税は、土地の課税標準額×1.4%という計算式によって算出できます。
土地の課税標準額とは、税金を計算する際に基準となる価格のことで、土地そのものの価値を示す固定資産税評価額の7割程度となっているケースが一般的です。
更地の場合は、上記の計算式によって算出された額がそのまま課税されることになります。
これに対し、建物が建っている土地の場合は、住宅用地の特例が適用されるため、課税標準額の計算方法が異なるという点を理解しておきましょう。
住宅用地の特例では、敷地の200㎡以下の部分については課税標準額が固定資産税評価額の6分の1になり、200㎡を超える部分については3分の1になります。
つまり、更地の場合の課税標準額が固定資産税評価額の7割程度であることに比べると、住宅用地の特例が適用された場合の課税標準額は大幅に安くなるということです。
更地の固定資産税の節税方法
固定資産税が高くなってしまう更地を所有している人にとって、固定資産税を節税する方法は特に気になるポイントといえるでしょう。
ここでは、更地の固定資産税を節税するための5つの方法を紹介していきます。
それぞれの方法を把握し、自分に合った節税方法を見つけましょう。
住宅を建てる
更地の上に住宅を建てることによって、固定資産税を節税することができます。
なぜなら、住宅を建てれば土地は更地ではなくなり、住宅用地の特例が利用できるようになるからです。
たとえば、更地の所有者が自ら住むための一軒家を建てるのもいいですし、一軒家を建てて他の人に貸し出すのも1つの方法として検討してみるとよいでしょう。
なお、更地の上に住宅を建てることにより、建物にも固定資産税が課税されてしまうことを懸念する人もいるかもしれません。
しかし、住宅を新築した場合の建物に対する固定資産税については、新築時から3年間にわたって2分の1に減額されるという制度があります。
そのため、更地を所有し続けた場合の固定資産税の額よりも、新築住宅を建てた場合に土地と建物の両方にかかる固定資産税を合わせた額のほうが節税になる可能性が高いといえるでしょう。
マンションやアパートを建てる
更地の固定資産税を節税するための対策として、マンションやアパートを建てるという方法もおすすめです。
一軒家を建てる場合と同様、マンションやアパートのような集合住宅を建てる場合も、住宅用地の特例が適用されることになるため、土地にかかる固定資産税を大幅に削減することに繋がります。
マンションやアパートのように1つの建物の中に複数の世帯が居住できるような建物の場合、住宅用地の特例はそれぞれの居住スペースあたりの面積に応じて適用されます。
このため、住宅を建てる場合よりも節税効果がさらに大きくなります。
たとえば、更地に1棟6戸のアパートを建てた場合、6戸×200㎡までの面積について、課税標準額を固定資産税評価額の6分の1として計算することが可能です。
さらに、マンションやアパートを建てて賃貸経営を始めることで、固定資産税を節税できるだけでなく、家賃収入による利益を生み出すことにも繋がるので、メリットの多い方法といえるでしょう。
地目を農地に変更する
所有している更地が宅地である場合、地目を農地に変更することで、課税される固定資産税の節税対策になります。
地目とは、いわゆる土地の用途を示すものであり、地目を変更するためには登記変更の費用を負担しなければなりません。
しかし、地目を変更したことによって毎年の固定資産税の額が大幅に抑えられれば、結果として得をする可能性は高いといえるでしょう。
ただし、地目を農地に変更する場合は、注意しなければならない点もいくつかあります。
たとえば、農地への地目変更を行った後は、畑や田んぼのような農業としての利用以外はできなくなってしまうので、事前に理解しておかなければなりません。
また、一度地目を農地に変更してしまってからは、再度地目を宅地へと戻すことができなくなってしまうケースもあるので、よく考えた上で手続きすることが必要です。
駐車場やトランクルームとして土地活用する
更地の固定資産税そのものを安くするための直接的な対策ではありませんが、駐車場やトランクルームとして土地活用することで収益を得て、固定資産税の支払いの足しにするという対策もあります。
たとえば、更地を月極駐車場やコインパーキングなどとして活用できるように整備し、利用者を募れば、毎月継続的に駐車場の利用料を受け取ることができるでしょう。
更地の上に住宅などの建物を建てるのにかかる費用に比べて、駐車場にするための土地整備費用は安く済むはずなので、できるだけお金をかけずに固定資産税の負担を軽くしたい人にはおすすめの方法です。
立地条件によっては、トランクルームのほうが駐車場よりも需要が高いケースもあるので、所有する更地にとって最適な活用方法を選ぶようにしましょう。
売却する
そもそも更地を手放すことに抵抗がない場合、ただ所有しているだけで高い固定資産税を毎年負担し続けるよりも、売却することも検討してみるとよいでしょう。
更地を売却してしまえば、当然ながら固定資産税の支払いは必要なくなります。
さらに、売却することによって大きな金額の売却金を手にすることができるという点においても、メリットは大きいでしょう。
ただし、更地の立地や周辺環境などによっては、なかなか買い手が見つからずスムーズに売却できない可能性もあるので、注意が必要です。
更地を売却する場合は、事前に査定をしっかりと行い、適切な手順を踏んで進めていくようにしましょう。
更地の固定資産税を計算・納税するときの注意点
更地の固定資産税を計算する際や、実際に納税する際は、あらかじめ注意点を押さえておくことが非常に重要です。
ここでは、更地の固定資産税の計算及び納税に関する注意点を2つ挙げ、解説していきます。
注意点を把握していないと、大きな後悔に繋がってしまう恐れがあるので、更地を所有している人はきちんと注意点を理解した上で、今後の対策を考えるようにしましょう。
更地のままにしておくと高い固定資産税がかかり続ける
最も基本的なことではありますが、前述したように所有している土地を更地のままにしておくと、毎年課税される固定資産税は高いままでかかり続けてしまいます。
そのため、特に活用することなく更地をただ保有している状態を続けるのは、高い固定資産税を毎年負担し続けることになるため、しなくていい負担であるといわざるを得ません。
特に、相続などによって更地の所有者となり、活用方法が分からずにそのままの状態で放置してしまっているケースは多いかもしれません。
そういった場合はできるだけ早めに、使わない土地の固定資産税の支払いを続けないよう、節税対策を考えたほうがよいでしょう。
マンションやアパート、一軒家などの住宅を建てるか、土地の状態のままでうまく活用できる方法を探すか、土地そのものが必要ない場合は売却を検討するのも対策の1つです。
固定資産税の納税が遅れると罰則がある
更地にかかる固定資産税が高いからといって、納税するのが期日よりも遅れてしまうと、罰則を受けることになってしまうので注意が必要です。
固定資産税は、納税通知書に記載されている納税期日までに支払わなければなりません。
そのため、万が一納税が遅れて期日を過ぎると、延滞金が発生してしまいます。
延滞金として負担する額は、固定資産税の額や延滞期間などに応じて決められますが、長く延滞すればするほど負担しなければならない延滞金の額も膨れ上がっていくでしょう。
このような罰則を受けないためにも、固定資産税は期日までに確実に支払うことが大切です。
固定資産税の延滞金が発生してからもなお滞納を続けた場合は、所有財産を差し押さえられてしまう可能性もあるので、注意しましょう。
これから建物をなくして更地にするなら年が明けてから
現在建物が建っている土地を所有していて、これから建物を解体し、更地にしようと考えている場合は、タイミングに注意しましょう。
固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に対して課税されることになっています。
そのため、仮に年末の時期に建物をなくして更地の状態にしてしまうと、翌年の1月1日の時点で更地を所有していることになり、固定資産税の額が高くなってしまいます。
三が日が明けてから更地にする工事を行えば、1月1日時点ではまだ建物のある土地の所有者ということになるため、固定資産税が上がる時期を1年分遅らせることが可能です。
更地にするタイミングを考慮せずに建物の解体工事を行ってしまうと、固定資産税を多く支払うことになるので、年明けに合わせるよう計画を立てておきましょう。
まとめ
更地を所有していると、建物が建っている土地に比べて課税される固定資産税の負担が大きくなってしまいます。
そのため、所有している更地はそのままにせず、何かしらの対策を立てることが非常に重要です。
本記事では、更地の固定資産税の負担を軽くするための方法を複数挙げて解説してきました。
人それぞれ適する節税方法は異なるはずなので、それぞれの方法を把握した上で、自分に合った対策を見極めることが大切です。
自分で判断するのが難しい場合は、弁護士に相談することも検討しましょう。