中古戸建てのメリット・デメリット|費用相場や購入する際の注意点も解説
中古戸建て市場が過熱しています。
少子高齢化にともなう空き家の増加が社会問題になっている一方で、最近になって中古戸建てが見直されているのです。
中古戸建てを購入しようと思っている人の中は、ブームに乗ろうと考えているものの、費用などがわからず躊躇している人も少なくありません。
今回は中古戸建てが人気を博している理由とメリット・デメリット、購入に必要な費用相場や注意点を解説します。
中古戸建ての購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
中古戸建ての購入に注目が集まる背景
東日本不動産物流機構によると、2020年の中古戸建ての成約件数が、前の年に比べて2.4%増となり、過去最高を記録したと発表されました。
また、翌年の調査結果でも首都圏・関西ともに過去最高の成約件数を記録しています。
背景には新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが推奨されたことが挙げられます。
それまで会社への通勤のために都市部に人口が集中していました。
居住形態もマンションが中心で、成約件数も高い状態が続いていました。
しかし、在宅で仕事ができるテレワークが普及したことで、都市部のマンションではなく郊外の中古戸建てを購入して暮らす人々が増加。
会社に出勤することなく自身の好む環境で仕事と生活ができるため、価格の安い平屋のような中古戸建てに人気が集中したと考えられています。
中古戸建てを購入するメリット
中古戸建てには新築戸建てにはないメリットがあります。
近年の中古住宅の人気を支える理由でもあり、特徴でもあります。
以下の5つは、中古戸建てを購入する大きなメリットです。
価格が安い
もっとも大きいとされているのが価格です。
中古戸建ては新築と比べて2~5割ほど安い傾向にあります。
理由は減価償却により、建物の価値が減少しているためです。
土地の価値はエリアと面積に大きな違いがなければ新築・中古ともに差はありませんが、建物の築年数に比例して減価償却による建物の市場価値下落で中古戸建ては安くなります。
結果的に建物の価値が下がった分、中古戸建てのほうが安くなるのです。
値下がりの幅が小さい
中古戸建てを何らかの理由で手放す場合、新築戸建てに比べて値下がり幅が小さいのもメリットのひとつです。
仮に木造の新築戸建てがあったとすると、築25年でその価値はゼロになるといわれています。
なお、値下がり幅は不動産会社によって基準は異なります。
対して中古戸建ての場合はすでに建物の価値が低下している状態なので、新築戸建てほど大きな打撃にはならないのです。
土地面積が広い場合がある
新築戸建てと同じ価格であっても、中古物件のほうが広い土地面積を持っていることがあります。
昨今の新築戸建ては利益率の関係で省スペースの家を建てることが多く、庭や駐車場がないこともザラです。
中古戸建ての場合、売主は個人であることがほとんどなので、分割して土地を売ることはほとんどありません。
その結果、同じ価格でも購入できる家の面積に違いが出るのです。
庭や駐車場、場合によっては畑がついてきて新築戸建てと同じ価格であることも珍しくありません。
実際の物件を見学できる
新築戸建ての場合、家が完成する前に契約を結ばなければならないパターンもあります。
完成予想図をもとにイメージでしか家の状態を判断することができません。
しかし、中古戸建てならすでに完成しているため、実際の物件を見ながら購入するかどうかの判断を下すことができます。
もし売主が済んでいる場合は、購入後の生活のイメージにもなるでしょう。
リフォームできる
中古で購入しても、そのまま住まなければならないわけではありません。
購入後にはリフォームができるため、新築のような家に住むことも可能です。
どの程度リフォームするかにもよりますが、ゼロから家を建てるよりも費用が安くなることがほとんど。
リノベーションブームもあり、ホームセンターなどで資材を購入し、自分の手で好みの家に仕上げることもできます。
中古戸建てを購入するデメリット
新築戸建てにはないメリットがある一方で、当然中古戸建てにもデメリットがあります。
特に費用面でのデメリットが多いため、購入資金とともに以下の項目で発生する費用なども確保しておいた方がいいでしょう。
修繕が必要
中古物件の場合、新築と比べて早い段階で修繕が必要になることが多くあります。
たとえば設備に不具合が出るスピードは、新築戸建てで購入した時よりも早い傾向にあります。
特に築年数の古い物件は、修繕費だけでかなり高額になることも考えられるでしょう。
リフォームする・しないにかかわらず、ある程度修繕の必要が発生する場合があります。
保証が短い
新築戸建てに比べて保証が短い点もデメリットです。
瑕疵担保責任保険と呼ばれる、購入後の不具合が発見された場合に適用される保険があります。
新築戸建ての場合10年間の保険期間が設けられているのに対し、中古戸建ての場合は最大で5年しかありません。
場合によっては瑕疵担保責任保険がかけられないケースもあるので注意が必要です。
住宅ローンの審査が厳しい
中古戸建ては新築に比べて住宅ローンの審査が厳しい傾向にあります。
また、住宅ローンを組んだことで受けられる住宅ローン控除の条件も厳しい場合も考えられます。
適用されるかどうかが不透明な場合は、必ず不動産会社に確認してください。
特に築年数が古い中古一戸建ては、建築基準の問題で住宅ローン・住宅ローン控除の適用外となってしまう可能性もあります。
中古戸建て購入に必要な費用の相場
中古戸建て購入に必要な費用は、中古戸建ての価格や評価基準によって異なります。
また、古戸建てを購入する際には物件価格に加えて諸費用が発生します。
以下の表をもとに、中古戸建て購入に必要な費用を算出しましょう。
費用内訳 | 相場 |
---|---|
印紙税 | 2万円 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×4% |
登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4~2% |
住宅ローン抵当権設定登記 | 住宅ローン借入額×0.4% |
固定資産税・都市計画税の精算金 | 固定資産税:評価額×1.4% 都市計画税:評価額×0.3% |
仲介手数料 | 売買価格×3%+6万円 |
住宅ローン関連※ | 40~50万円 |
※火災保険・地震保険・印紙税などを含む全体の費用
中古戸建てを購入する際の確認事項
中古戸建てを購入する場合、購入前に確認しておいた方が良いことがあります。
購入前に確認しておくことで、購入後にトラブルが発生しても問題ないようにするためです。
いちおう、売主には契約する物件について伝えるべきことは伝えなければならない「契約不適合責任」があります。
購入後に売主との関係悪化は避けたいところなので、購入前に確認すべきポイントはきちんと確認しておきましょう。
中古戸建てを購入する際の確認事項
- 築年数
- 修繕実績
- 工事実績(塗装、リフォーム)
- 害虫害獣被害の有無
- 隣家との境界線
- 雨漏りや床の傾き
- 地中障害物の有無
- 耐震補強工事の有無(1981年5月31日以前完成の建物のみ)
中古戸建てを購入する際の注意点
中古戸建てを購入する際、注意すべき点が2つあります。
以下の条件をよく確認して購入するかどうかを判断しましょう。
住宅ローン控除が利用できるか確認する
「住宅ローンの審査が厳しい」でも解説しましたが、中古一戸建ては新築と比較して住宅ローン控除の適用要件が厳しくなっています。
以下の条件をクリアしている必要があるので、購入を検討している物件が条件に当てはまっているかを確認しましょう。
中古戸建て購入時の適応条件
- 新築後20年以内、マンションなど耐火建築物は25年以内であること。
ただし、築年数にかかわらず新耐震基準に適合している住宅や、既存住宅売買瑕疵保険が付保されている住宅は利用可能 - 取得後6か月以内に入居し、控除適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
- 登記上の住宅の延床面積が50㎡以上であり、居住用部分の延床面積が建物の2分の1以上であること
- 生計を一にしている親族等からの購入、贈与による取得でないこと
- 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
もし購入前には条件を満たしていない場合でも、リフォームすることで条件に適合できる可能性があります。
詳しくは不動産会社に確認してみましょう。
再建築不可物件でないか確認する
再建築不可物件とは、読んで字のごとく建て替えや増改築ができないと建築基準法で定められた建物のことです。
該当の土地が幅員4m以上の道路に2m以上接していない建物が該当します。
理由は救急車や消防車などの緊急車両が入れるようにするためです。
購入後に建て替えやリフォームによる増改築を検討している場合、想定している物件が再建築不可物件出ないかを確認しておく必要があります。
まとめ
中古戸建ては人気が高まりつつあります。
安く購入できるのはもちろんのこと、リフォームをすることで新築同様の住まいを手に入れることもできます。
一方で、いくつかの制限や課題があることも事実。
中古戸建て購入の際には、その物件がそういうものなのか、どんな制限があるのかを確認するといいでしょう。