売れない土地を売却するには?売れない理由・手放す方法について
この記事でわかること
- 土地が売れない11の理由がわかる
- 売れない土地を売却しやすくする方法がわかる
- 売れない土地を手放す方法・処分方法がわかる
土地は、売りに出せば必ず売れるというものではありません。
売れないケースがあり、それには理由があります。
土地を売却するためには、売れない原因を探し、対策をしていかなければいけません。
本記事では、土地が売れない理由や売却しやすくする方法、手放す方法・処分する方法について解説します。
土地が売れない理由11つ
土地が売れない理由は多くあります。
売れない理由に1つだけ該当しているケースもあれば、複数に該当していることもあります。
売りに出している土地が売れない理由に当てはまっているか、確認してみてください。
駅までのアクセスが悪い
駅までアクセスが悪いと、土地は売れにくくなります。
駅が遠いと通勤や通学、買い物などに不便であるため、買い手の需要が減ってしまいます。
車で移動しやすい立地だとしても、車を使わない人や運転できない人がいるため、売れやすさにはなかなかつながりません。
また、駅まで徒歩で行けるとしても、途中に大通りがあって渡るのが危険である場合や、危険な箇所を通らなければならない場合も売りにくくなってしまいます。
越境トラブルがある
隣地との越境トラブルがある土地は、なかなか売れません。
隣地とのトラブルは購入後も問題が続くケースも多く、買い手から敬遠されます。
越境トラブルが起きる理由は様々ですが、草木の越境、建物の越境、ブロック塀・フェンスの越境などが考えられます。
もし越境物を解体することでトラブルが解決できるのであれば、すぐにでも解決しておきましょう。
囲い込みをされている
専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結して売却している場合、不動産会社に囲い込みをされている可能性があります。
囲い込みとは、売却を依頼している不動産会社が、故意に不動産の売却情報を他の不動産会社に出さないことです。
1社にしか依頼できない媒介契約を締結すると、不動産売却時には売主からの仲介手数料が必ず不動産会社に入ります。
買主を自社で見つければ売主と買主から仲介手数料が受領できるため、わざと他の不動産会社に情報を流さずに買主を自社で見つけようとする手法です。
他の不動産会社に情報を流さないと買い手の数が減ってしまうため、囲い込みをしないよう担当者に必ず伝えておきましょう。
また、囲い込みをされているか否かは他の不動産会社を通じてレインズにきちんと掲載されているかを調べることができます。
囲い込みは行政処分を受けるものですので、売却期間が長くなり違和感があれば不動産会社に囲い込みを疑っていることを伝えるのもよい方法です。
売出価格が相場にあっていない
売出価格が不動産相場にあっていないと、土地は売れません。
不動産には相場があり、どれだけ良い条件が揃っている土地だとしても、相場からかけ離れた売出価格を付けると売れなくなってしまいます。
土地が売れない理由の多くは売出価格が相場にあっていないことが挙げられます。
長期間売却できないときには、価格の調整を検討しましょう。
土地を造成するのに費用がかかりすぎる
土地の価格が安くても、造成に費用がかかりすぎる場合はなかなか売れません。
土地によっては傾斜があることや、崖の横にあることもあるでしょう。
このような土地は建物を建築するために、擁壁を建築するなどの造成工事を行います。
しかし、造成工事は金額が高く、擁壁を建築するときには数百万円以上もの工事費用を払わなければいけません。
土地の造成費用は買い手にとって大きな負担となり、なかなか売れない要因になります。
造成が必要な土地を売り出すときには、造成費用を考慮した価格設定にすることが大切です。
郊外にある土地
郊外にある土地は、買い手の需要が低いため、なかなか売れません。
不動産は需要が高くなるほど値段が上がり、売却しやすくなります。
都心部の不動産価格が高くなるのは、需要が高いからです。
郊外にある土地は都心部の土地に比べ、土地活用が難しく、自分が住むとしても不便な立地になってしまいます。
そのため、郊外にある土地は需要が低くなかなか売れません。
なお、郊外にある土地を売却するときには、空き家バンクに登録するという方法があります。
空き家バンクとは、郊外の不動産の売却情報を自治体が集めてインターネットサイトなどに掲載するサービスです。
ただし、土地上に古家(空き家)がない土地は、空き家バンクを利用できないケースもあることに注意しなければいけません。
建物が建築できない
建物を建築できない土地の売却は、かなり難しいと考えておきましょう。
土地の購入希望者のほとんどは、自宅を建築する目的で探しています。
そのため、建物が建築できない土地には需要がなく、相場よりかなり低い金額で売り出したとしても売却は困難です。
建物が建築できない土地の主な例は、次の通りです。
- 市街化調整区域内にある農地
- 間口が狭く重機が入らない土地
- 道路に接していない土地 など
上記のような土地を売却するときには、不動産買取の利用を検討すると良いでしょう。
心理的瑕疵がある
心理的瑕疵がある土地は、なかなか売れません。
心理的瑕疵とは、購入した土地に住むのに抵抗を感じてしまうような事情です。
たとえば、次のようなケースは心理的瑕疵がある土地といわれます。
- 土地上で殺人があった
- 土地上で自殺があった
- 土地上の建物内で孤独死があり、長時間放置されていた など
上記のような事情がある土地の場合は、相場よりも安く売りに出さないとなかなか売れません。
相場より安くしても売れない場合は、不動産買取も検討しましょう。
日当たりが取れない
土地の周辺に高い建物や樹木があり、日当たりが取れないと売れにくくなります。
土地を探している人の多くは自宅を建築する目的であり、日当たりを考慮して土地を見に来ます。
見に来たときに日当たりがまったくないことがわかると、購入意欲が減退してしまうため、なかなか売れません。
日当たりがない土地を売るときには、どのような建物が建築できるか、本当に日が入らないのか、ハウスメーカーに簡単な設計図を起こしてもらうと良いでしょう。
嫌悪施設が近くにある
嫌悪施設が近隣にある場合、土地が売れないケースもあります。
嫌悪施設の代表例は、次のとおりです。
- 工場
- 火葬場
- 海や河川
- 墓地
- 交通量の多い道路
- 暴力団事務所 など
嫌悪施設が周辺にあると売れにくくなるものの、人によって施設を嫌うかどうかには差があります。
そのため、売出価格に大きな影響を受ける施設があるかどうかは、不動産会社に確認しておくと良いでしょう。
浸水や地震など災害の被害が大きい場所である
浸水や地震などの災害に弱い地域にある土地は、なかなか売れません。
現在はハザードマップで自然災害の被害予測が簡単に確認できるため、不動産購入希望者は被害が起きる可能性のある地域かを理解しています。
過去に起きた災害まで調べている人もいるため、災害に弱い場所の売却は難しくなるといえます。
ただし、浸水や地震などの被害を受けやすい土地だからといっても、売出価格の調整を行えば売却できるケースも多くあります。
売れない土地を売却しやすくする方法
売れない土地を売却する方法はいくつもあるため、売れない理由に該当していても対策が可能です。
どのような対策をすることで、土地を売れやすくするのか解説します。
不動産相場を把握する
不動産相場を把握し、売出価格を調整すれば土地が売れやすくなります。
先述したとおり、土地が売れない理由のほとんどは相場より高い金額で売り出しているからです。
高い金額で売り出すのは、不動産相場がわかっていないという理由があります。
不動産会社からの査定が正しいかどうか判断がつかず、話を鵜吞みにして売り出してしまったという人も多いことでしょう。
そのようなことにならないためにも、不動産相場を自分で調べて把握することが大切です。
不動産相場を自分で調べる方法は、次のとおりです。
- レインズマーケットインフォメーションで成約事例を調べる
- 土地総合情報システムで成約事例を調べる
- 不動産ポータルタイトで他の不動産の売出価格を調べる
- 固定資産税評価証明書の評価額を確認する
調査方法としておすすめなのは、レインズマーケットインフォメーションか土地総合情報システムを利用することです。
どちらも国土交通省やその関連機関が運営しているインターネットサイトであり、過去の成約事例を簡単に調べられます。
過去の成約事例を確認するときには、売り出している土地に似た条件のものをピックアップしなければいけません。
たとえば、売り出している土地が北向きなのにも関わらず、南向きの成約事例と比較しても正確な相場を把握できません。
面積や間口、向きなど似ている成約事例と比較し、不動産の相場がどのくらいか確認してみましょう。
なお、固定資産税評価証明書の評価額を参考にするときには、計算をしなければいけません。
評価額は相場の70%ほどで設定されているため、次のような計算をします。
固定資産税評価証明書の評価額
不動産相場目安 = 固定資産税評価額 ÷ 0.7
上記の計算式で算出した数字が、おおよその不動産相場になります。
土地をきれいに整備する
土地の見た目や雰囲気は購入者の購入意欲を高めるため、土地をきれいに整備しておきましょう。
土地の売却期間が長期に渡ると、草刈りなど現地の手入れが負担になり、放置してしまう人がいます。
しかし、土地の状態が悪いと見た目や雰囲気が悪くなり、マイナスの影響が出てしまいます。
また、雑草が茂っていると奥行きや日当たり、隣地との境界が確認できません。
雑草が茂ってしまうだけで購入の判断材料が削られてしまうため、土地がなかなか売れないときであっても、きちんと維持管理するようにしましょう。
不動産会社を変更する
土地のなかなか売れない原因が不動産会社であるケースもあるため、変更するのも良いでしょう。
専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結していると、不動産会社1社にしか仲介を依頼できません。
もし依頼している1社が売却活動を怠っていたとしたら、販売活動をしてくれる会社がいないという状態になります。
長期間売却できないと不動産会社も打つ手がなくなり放置される危険性もあるため、新たな不動産会社に変更し、違う販売方法で買い手を探してもらいましょう。
媒介契約の種別を変更する
売却を依頼している不動産会社だけでなく、他の不動産会社に依頼した場合は媒介契約の変更を検討してみましょう。
一般媒介契約を締結すれば、複数の不動産会社に売却の依頼が可能です。
専属専任媒介契約や専任媒介契約を締結している場合は、一般媒介に切り替えて多くの不動産会社に依頼してみましょう。
一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼をすると、競争意識が働いて早く売れるケースもあります。
境界を確定し、越境の覚書を取得する
土地がなかなか売れないときには、販売中に確定測量をしておくのも良いでしょう。
確定測量を行っておけば土地の面積が確定するため、建築できる建物の大きさがわかり、契約後の面積精算がなくなるなど、買主の不安を和らげられます。
また、確定測量は、隣地が境界線に納得しなければできません。
確定測量が終わっているということは、隣地との境界トラブルがないという証明にもなります。
隣地に売却の相談をしておく
土地を売却するときには、隣地に売却の相談をしておきましょう。
土地を売却することを相談しておけば実際に売り出すとき、隣地が土地を購入してくれるケースもあり得ます。
また、購入してくれないとしても、測量や建物建築に協力してもらう必要があります。
事前に相談しておけば隣地からの協力も得やすくなるため、必ず相談しておくようにしましょう。
売出価格を変更する
売出価格が相場とあっていない場合は価格を変更しましょう。
土地が売れない理由のほとんどが、不動産相場にあっていない価格で売り出すことが原因です。
そのため、不動産相場を調査し価格変更すれば、土地の売却がスムーズに進みます。
ただし、正確な不動産相場を把握するのは難しいため、あらかじめ調査した上で複数の不動産会社から査定を受けるようにしなければいけません。
間違った相場を正しいと信じてしまうと、売出価格を変更しても効果がありません。
事前に相場の知識を理解し、複数の査定金額・根拠を比較すれば、正しい相場がわかってきます。
売れない土地を手放す方法・処分方法
土地がなかなか売れないときには、不動産仲介以外の方法を検討するのも良いでしょう。
仲介以外にも土地を手放す方法があり、どのような方法か理解しておくと対処しやすくなります。
法人や自治体に寄付する
土地がなかなか売却できないときには、法人や自治体への寄付をするのも方法の1つです。
所有している土地が法人の活用している隣地であれば、寄付を受け付けてくれるケースがあります。
また、自治体によっては土地の寄付を受け付けてくれるとこともあるため、引き取ってくれるケースがあるのか確認しておくと良いでしょう。
ただし、寄付はハードルが高く、なかなか実現できない方法と考えておかなければいけません。
たとえば、自治体にとっては寄付を受け付けると、固定資産税の税収が減り、管理の手間も増えてしまいます。
寄付を受け付けることにはデメリットもあるため、自治体はなかなか応じてくれません。
不動産買取を検討する
仲介で土地がなかなか売却できないときには、買取を検討しましょう。
買取とは、不動産会社が買主となり直接購入してくれるという売買方法です。
買取をしている不動産会社はビジネスになると判断すれば、どのような土地でも購入してくれます。
不動産買取会社にもよりますが、再建築不可の土地や心理的瑕疵のある事故物件なども買取してくれます。
買取金額は不動産相場より低くなってしまうものの、所有したまま放置し、固定資産税や維持修繕費を払い続けるなら手放してしまった方が良いでしょう。
なお、買取を利用するときには複数の不動産買取会社から買取金額の査定を受けるようにしましょう。
仲介と同じく、1社だけの査定では正しい買取金額なのかわかりません。
複数の不動産買取業者から買取金額と買取金額の根拠を聞いて、比較することが大切です。
相続土地国庫帰属制度を利用する
土地がなかなか売却できないときには、相続土地国庫帰属制度の利用を検討してみましょう。
相続土地国庫帰属制度とは、一定条件に該当しない土地を国が引き取ってくれる制度です。
ただし、次の条件に該当する土地は引き取ってくれません。
- 相続や遺贈で土地を取得していない人の土地
- 建物が建っている土地
- 担保権や使用収益権など利用に制限される土地
- 他人が利用している・利用予定がある土地
- 土壌汚染がある土地
- 境界が確定していない土地
- 隣地とのトラブルになっている土地 など
上記のような土地は申請段階で却下されます。
仮に申請が受理されたとしても、審査に落ちるケースがあることにも注意しなければいけません。
また、審査通過後には、引き取ってもらうための費用を納める必要があります。
引き取ってもらうための費用は、次の表のとおりです。
審査手数料 | 1筆あたり14,000円 | |
---|---|---|
負担金 | 宅地 | 原則20万円 |
一定の条件下では面積により金額が算出される | ||
田・畑 | 原則20万円 | |
一定の条件下では面積により金額が算出される | ||
山林 | 面積により金額が算出される | |
その他の地目 | 原則20万円 |
相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日から開始された新しい制度です。
今後どのように運用されていくかは不透明な部分もありますが、土地処分の方法を1つでも多く知っておくことが大切です。
まとめ
土地がなかなか売却できないときには、売れない理由に該当していないか確認してみましょう。
売れない理由は多くあり、該当項目が1つだけでなく複数に当てはまっていることがあります。
売り出している土地がなぜ売れないのか理解すれば、どのような対策方法を取れば良いのかわかってきます。
適切な対処法がわかれば土地を売却しやすくなるはずです。
また、対処しても売れないときには、仲介以外で土地を手放す方法の利用を検討しましょう。
土地が手放せない間も、固定資産税や維持管理費がかかってしまいます。
使わない土地であれば、買取などで早く手放すのも1つの方法です。