売るのが難しい?市街化調整区域の不動産売却と注意すべきポイント
もしあなたが不動産を売ろうかと考えられている場合には、やはり費用というものが気になるところではあるかと思います。しかしながら、費用以外にも非常に重要なチェックポイントが存在します。
それは、その不動産がどのようなエリアに所在しているかという点です。
不動産の区域区分によって、その不動産が売れやすくなるかどうかが決まるといっても過言ではないほど不動産の所在エリアというものは重要になります。
今回は、不動産の区域及び効果的に売るためのポイントについてご紹介させて頂ければと思います。
市街化区域と市街化調整区域について
不動産は、その所在するエリアによって市街化区域及び市街化調整区域に分類されることになります。
この区分は、原則として都道府県知事が決定することになっていますが、他の都道府県にまたがるような場合には、国土交通大臣が代わりに決定します。
しかしながら、必ずしもこうした区域区分がすべての不動産所在地に設けられているとは限りません。
市街化区域とは?
市街化区域というのは、文字通り解釈をして、積極的に市街化をしていこうと考えられている区域ということになります。
基本的には、1,000㎡未満の範囲であれば、特別の許認可なしに市街化を行っても問題ないとされています。
しかしながら、一概にすべて認めてしまうと、トラブルが生じることもありますので、用途によっては一部市街化を制限する場合もありますので覚えておきましょう。
市街化調整区域とは?
市街化調整区域というのは、調整をしながら市街化を行う区域ということになります。
ここで、「調整」という意味をどのように解釈すればよいのかが問題になりますが、例えば、何か市街化をしたいと考えた場合には、都道府県知事の許認可を受けなければいけないことになっており、この調整というのは許認可を受けるための調整という趣旨であると理解することができます。
つまり、市街化区域とは異なり、何か市街化を行うにあたり、一段階踏まなければならず、市街化認定のハードルが高いエリアということが出来ます。
その土地は市街化区域ですか?市街化調整区域ですか?
さて、ここまで二つの区域について見てきましたが、自分の土地が市街化区域に分類されているのか市街化調整区域に分類されているのか気になった方もいらっしゃるかもしれません。この区域の判別方法に関しては、役所に確認することで教えてもらうことが出来ます。
市街化調整区域にある不動産を売ることを検討しているのなら
それでは、市街化調整区域にある不動産を売ろうかと検討している場合には、どのようなことに注意しなければいけないのかについてポイントをご紹介していきます。
その不動産はいつ建てられましたか?
市街化調整区域は上述の通り市街化を進めるにあたりハードルが高いというイメージをお伝えいたしましたが、実はこの区域区分がなされる前と後とでは取り扱いが異なることになります。
つまり、市街化調整区域としての規制がかかる前に建築された不動産については、以下の要件に当てはまることを条件として一定の市街化に関して都道府県知事の許認可を得なくても良いことになっています。
(1)市街化前と後とで規模が同じくらい
(2)市街化前と後とで用途の変更が見られない
(3)市街化前と後とで使用する敷地が同じ
市街化調整区域の規制が入っている不動産を売りに出そうとすると、これに対して新たな買主がその物件を購入するということになりますので、都道府県知事の許可を受けなければいけません。
一方で、同じ市街化調整区域の不動産を取得する場合であっても、売買によって取得するのではなく、相続によって取得する場合には都道府県知事の許可は受けなくても良いことになっています。
この場合は、相続人が被相続人の法的地位を承継することになりますので、法的効力をそのまま受け継ぐことが出来ることになります。
市街化調整区域の規制は、昭和45年頃と言われていますが、役所の固定資産税台帳を閲覧することで、不動産の建てられた年を調べることが出来ます。
お住まいの条例も確認してください
もし、対象物件が市街化調整区域に指定されていたとしても諦めないでください。お住まいの自治体の条例によっては、たとえ市街化調整区域に指定されている場合であっても特別に市街化開発を受けやすく、例えば、住宅等の取引は行いやすいと考えることが出来ます。しかしながら、この場合においても一応は市街化調整区域のルールが適用されてしまうため、都道府県知事の許認可を受けなければならない点は忘れないようにしましょう。
まずは、お住まいの自治体が市街化調整区域に関する条例を制定している場合には、その内容を確認しておくようにしてください。
市街化調整区域にある不動産を売るのはプロでも難しい
このように、市街化調整区域は規制が多いエリアですので、不動産としての価値がどうしても落ちてしまいます。
そのため、一般的にはプロであっても市街化調整区域の不動産を売ることはビジネス上難しいということになってしまいます。
したがって、不動産業者に売却を依頼する際には、市街化調整区域を専門的に取り扱っている業者を探すようにしましょう。
例えば、対象となる不動産の近くに所在している不動産業者であれば、近隣の市街化調整区域の不動産を管轄している可能性が高いですし、その中でも信頼できる業者に依頼するためには不動産査定に関する明細を丁寧に伝えてもらえる業者であることを判断基準とするのが良いかと思われます。
市街化調整区域の不動産を有効に活用しましょう
仮に市街化調整区域にある不動産を上手に売却することが出来なかったとしてもこれを有効に生かすという方法も是非検討していただきたいと思います。
つまり、市街化区域には適さない医療施設や福祉施設の利用のために賃貸するという手段が考えられます。
ただし、そのような賃貸を個人の判断で勝手に行うことは出来ないことになっていますので、事前に役所等との打ち合わせによって実現されるものであるという認識はお持ちいただければと思います。
一方で、上記役所と打ち合わせが必要な許認可を前提とした施設以外にも有効に活用することが出来る方法は存在します。しかしながら、こちらはお住まいのエリアの状況によって変化するものですので、お住まいの地域での利用例を参考に検討していただきたいところではあります。
まとめ
今回の内容を簡単にまとめていきますと、まず不動産には市街化区域と市街化調整区域という二つのエリアがあるということ、そして市街化調整区域にある不動産は規制があり、売買等を行う際には都道府県知事の許可を原則として受けなければいけないことを解説させて頂きました。
一方で、市街化調整区域であっても、例外として都道府県知事の許可を受けなくても売買できることもあります。それは大きく分けて、建築年月日が古い場合と、条例によって規定されている場合の2点です。
市街化調整区域にある不動産を売ろうとする場合には、このように高いハードルがあるせいで、なかなか良い条件で売却することが難しいことになります。
よって、市街化調整区域を取り扱っている実績のある不動産業者に依頼をかけてみて、納得のいくまで相談してみる姿勢が大切です。