登記事項証明書をオンライン請求するやり方!日数や料金も解説
この記事でわかること
- 登記事項証明書をオンラインで請求するときのやり方・手順がわかる
- 登記事項証明書をオンラインで請求するメリットがわかる
- 登記事項証明書をオンラインで請求するときの注意点がわかる
土地や建物を所有している方は、その土地・建物を売買する場合、あるいは税務署に申告書を提出する場合など重要な取引を行う際には、登記事項証明書を取得する必要があります。
登記事項証明書は法務局に出かけて取得するのがこれまで当然とされていましたが、オンラインで申請し取得することもできます。
また、オンラインで申請することにはメリットが多くあることから、実際に広く利用されています。
ただ、登記事項証明書を取得すること自体初めての方も多く、決してなじみのある制度とは言えません。
そこで、登記事項証明書のオンライン申請について、解説していきます。
目次
登記事項証明書をオンラインで請求するやり方・必要なもの
登記事項証明書を請求するときには、法務局のオンラインサービス(登記情報提供サービス)を利用すると便利です。
登記事項をオンライン請求するやり方としては、一時的な利用と継続的な利用があり、申請手続きがそれぞれ異なります。
一時利用の場合の手順
頻繁に利用することがなく、たまたま一時的に登記事項が必要になった場合には、一時利用の申請をします。
煩雑な申込手続きが不要で、クレジットカード決済ですぐに利用できます。
手続きの概要は以下の通りです。
- 1.法務局の登記情報提供サービスにアクセスし、一時利用登録画面から、氏名、ログインパスワード、Emailアドレスを登録する
参考:登記情報提供サービス - 2.登録したEmailアドレスから登録情報をもとにログイン
- 3.登記事項証明書の種類を選択する
- 4.交付方法を選択(窓口請求もしくは郵送)して手数料を納付する
このうち、登記事項証明書の種類の選択については、事前に不動産会社の担当者に確認しておいた方が良いでしょう。
登記事項証明書は、土地・建物のどのような情報が記載されたものかによって、4種類に分かれています。
後ほど詳しく解説します。
法務局の登記情報提供サービスにアクセス利用者情報を登録する
法務省の「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスし、まずはオンラインで登記事項証明書を取得するために必要な申請者の情報を登録します。
1回だけの申請を行う場合も、決められた事項をすべて登録しなければならないため、注意しましょう。
申請者の情報として必要なのは、申請者ID、パスワード、氏名、住所、連絡先の電話番号、メールアドレスなどです。
申請者IDは半角英数字11文字以内、パスワードは半角英数と記号をすべて使って8文字以上20文字以内とされ、すべて自身で決めることとされています。
登録したEmailアドレスから登録情報をもとにログイン
申請者の情報を登録すると、登録したメールアドレスに法務局から認証情報が送られてきます。
このメールで送られてきた内容を確認し、認証情報入力欄に所定の情報を入力すると、申請者情報の登録が完了します。
申請者の登録が完了したら、再度、当期・供託オンライン申請システムからログインします。
ログインには申請者IDとパスワードが必要なため、必ず申請者の登録をした際に、忘れないようにメモしておきましょう。
なお、ログインする際にはトップ画面の「かんたん証明書請求」をクリックし、ここからログイン画面に入っていきます。
登記事項証明書の種類を選択する
交付を受けることのできる登記事項証明書の種類には、全部事項証明書・現在事項証明書・一部事項証明書・閉鎖事項証明書の4種類があるため、必要な種類を選択します。
実際に何のために登記事項証明書を使うのかにより、下記の4種類のうちいずれが必要になるかが変わります。
そのため、申請する際に登記事項証明書の種類を間違えないように選択する必要があります。
登記事項証明書の種類 | 概要 |
---|---|
全部事項証明書 | 登記記録に登録されているすべての事項が対象となる |
現在事項証明書 | 現在効力を持つ事項のみが対象となる |
一部事項証明書 | 甲区(所有権)または乙区(所有権以外)に登録されている内容について、請求により指定された順位番号のみが対象となる |
閉鎖事項証明書 | 閉鎖されて現在有効ではない登記記録 |
交付方法を選択(窓口請求もしくは郵送)して手数料を納付する
取得する登記事項証明書をどのように入手するか、その方法も選択することができます。
具体的には、窓口交付または郵送のいずれかから選択することとなります。
窓口交付の場合、オンラインで請求した後、自身で窓口に出向き、窓口で登記事項証明書を受け取ることができます。
また郵送の場合は、すべての手続きが完了したら、登録した住所に郵送してもらうことができます。
窓口交付の場合、手数料は480円となります。
また、郵送の場合は手数料が500円と若干高くなっています。
いずれかの交付方法を選択したら、それに合わせて発生する手数料をインターネットバンキングやPay-easyマークのついたATMから納付することができます。
継続的に利用する場合の手順
今後継続的に登記情報サービスを活用する場合には、個人利用申し込みを行います。
個人利用申し込みの場合は、本人確認が厳格化されており、以下のような手続きが必要です。
- 1.法務局の登記情報提供サービスにアクセスし、個人利用登録画面から必要事項を入力する
参考:登記情報提供サービス - 2.個人利用者登録が完了すると、入力した住所に「個人登録完了通知書」が届く
- 3.「個人登録完了通知書」に記載された利用者IDと登録したパスワードで登記情報提供サービスの請求画面にアクセスし、ログインして登記情報を請求する
個人利用者登録完了から、完了通知書の受領まで約1週間かかります。
すぐに利用したい場合には、まずは一時利用の登録をするか、窓口に行って手続きをしましょう。
登記事項証明書をオンラインで請求する際に必要なもの
登記事項証明書をオンラインで申請する際に必要になるものには、以下のようなものがあります。
- 申請に使用するパソコン
- 不動産の情報が分かる資料
- 登録するメールアドレス
- 手数料(窓口交付の場合480円、郵送の場合500円)
- クレジットカード(カードで納付する場合)
それほど多くのものが必要になるわけではありません。
ただ、申請を行う際に1つでも欠けてしまうと、申請者としての登録ができなかったり、申請自体ができなかったりということになってしまいます。
そうなれば、すべてのものがそろうまでさらに時間を要することとなってしまうので、必要なものは早目にそろえておくようにしましょう。
【受取方法別】登記事項証明書請求にかかる料金・日数
登記事項証明書の請求には、以下の手数料・日数がかかります。
請求方法 | 受け取り方法 | 手数料額 | 日数 |
---|---|---|---|
法務局窓口での請求 | 法務局窓口受け取り | 600円 | 即日(窓口で請求してから10分程度) |
オンライン請求 | 法務局窓口受け取り | 480円 | 即日も可能 |
オンライン請求 | 郵送 | 500円 | 1週間以内(請求して1~2日後に発送) |
オンライン請求(所有者事項のみ) | PDFデータダウンロード | 145円 | 即日 |
オンライン請求(全部事項) | PDFデータダウンロード | 335円 | 即日 |
手数料は、申請方法やどのような形式の書面を請求するかによって異なります。
窓口での請求に比べてオンライン請求の方が安く、PDFダウンロードならばさらに安価に取得することができます。
手数料に消費税はかかりません。
またオンライン請求の場合でも、月間・年間利用料、会費などの費用は不要です。
登記事項証明書をオンラインで請求するメリット
登記事項証明書をオンライン請求することで、時間や手数料の節約になるなど、さまざまなメリットがあります。
公的機関の書類はさまざまな場面で電子化が進んでいますが、登記事項証明書の発行を請求する登記情報サービスは、もっともオンライン化が進んでいる手続きの一つです。
具体的には、以下のようなメリットが期待できます。
時間の節約になる
法務局や出張所は、自宅やオフィスから遠いことも多く、特に地方の場合には時間と手間がかかります。
オンライン請求を利用することで、自宅やオフィスのパソコンから申請できますので、時間や労力を省くことができ、作業の効率化につながります。
特に、登記事項証明書を請求する機会が多い不動産業や不動産投資をよく行っている投資家は、オンライン請求を最大限活用するといいでしょう。
手数料が安い
登記情報をデータとして残しておきたいだけならば、オンライン請求でのPDFダウンロードサービスを活用することによって安価に、またデータ容量も少なく取得することができます。
登記事項証明書を窓口で取得するときには、「COPY」のすかしが入った特別な用紙に登記情報が印刷されたものを受け取ることになりますが、場合によってはPDFデータで十分なこともあるでしょう。
その際には、オンライン請求でPDFダウンロードを利用することにより、スピーディーかつ、安価にデータを取得できます。
閲覧のみであれば無料で可能
単に所有者を確認したいのみならば、登記情報サービスを通じて登記情報を閲覧するだけで確認することができます。
閲覧にかかる手数料は無料です。
公的な書類としての登記事項証明書を取得する必要がなく、登記事項を確認したいだけならばオンラインによる閲覧が便利です。
申請の受付時間が長い
法務局の窓口で申請を行うことができるのは、平日の午前8時30分~午後5時15分までとされています。
これに対してオンライン申請の場合、平日の午前8時30分~午後9時までとされています。
平日の日中に法務局に出かけるには、仕事を休まざるを得ない人も、オンライン申請であれば休む必要がありません。
登記事項証明書をオンラインで申請するやり方の注意点
登記事項証明書をオンラインで請求する場合には、基本的に発行請求の内容について自分で調べなければなりません。
また、法務局の職員に質問しながら請求することもできませんので、事前にいろいろな情報を収集する必要があります。
オンライン請求を行うにあたって以下の点については、特に注意しましょう。
正確な登記地番の情報を知る必要がある
登記事項証明書の発行を請求するためには、請求対象となる土地の「地番」や「家屋番号」を正確に入力する必要があります。
この「地番」(土地の場合)や「家屋番号」(建物の場合)は、一般的に用いられている住所(住居表示)とは異なる場合が多いので注意しましょう。
住所(住居表示)は新しく一戸建てやマンションが建設されたときに、町内の区画に従って建物に付されるもので、土地地番とは別の表示です。
正確な地番や家屋番号は、土地・建物を購入したときに交付される権利証書、登記識別情報、売買契約書、重要事項説明書、固定資産税納税通知書に記載されていますので、それらの情報を確認して発行請求することになります。
これらの書類がない場合には、「住宅地図(ブルーマップ)」と呼ばれる特別な地図帳を参照して、大まかな地番を調べることもできます。
住宅地図は、法務局に行けば閲覧できますが、オンライン請求サービスの「請求事項入力画面」において「地番検索サービス」を閲覧することで、住宅地図の確認が可能です。
正確な地番は、住宅地図の地番から「公図」をオンラインで閲覧し、実際の土地の形と公図を合わせて調査することで把握します。
必要な登記事項証明書の種類を選択する
登記事項証明書は、説明した通り4種類の形式があります。
マンションなど集合住宅の場合には、全部事項証明書を選択すると、すべての住戸の登記事項が発行されてしまう可能性があるために、一部事項証明書の発行を選択することが一般的です。
登記事項証明書を提出しなければならない場合などは、事前にどの種類の登記事項証明書が必要なのか確認しておきましょう。
法務局発行の登記事項証明書が必要か確認しておく
登記事項証明書の提出が必要となるのは、主に不動産売買や金融機関からの借入を行うときです。
その際は、担当者に法務局の窓口で発行された書面が必要なのか、オンライン請求によってダウンロードしたPDFデータで足りるのか確認しておくといいでしょう。
オンライン請求によって無料で登記情報を閲覧したときの画像データは、法的な証明力はないために、証明書類として提出するのは不適当です。
公的な書面として提出しなければならないときには、窓口まで訪問するか、オンラインによる郵送請求を利用しましょう。
まとめ
登記事項証明書がオンライン請求できるようになって、法務局の窓口の混雑は大きく軽減されました。
現在では多くの人がオンラインでのやり方を活用しています。
一回の利用でも煩雑な手続きなく、必要な個人情報やクレジットカード情報を入力すればだれでも利用できます。
利用するときには、登記事項証明書のうちどの書類が必要なのか、地番や家屋番号は正確か、発効までにかかる時間など、注意しておきたいポイントがいくつかあります。
不明点や心配事がある場合には、法務局に問い合わせを行うことも可能です。
皆さんも登記事項証明書を請求するときには、オンライン請求を試してみてはいかがでしょうか。