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土地の測量費用は必要経費に含まれる?取得価額・譲渡費用に含まれる費用例まとめ

この記事でわかること

  • 土地を取得するときの測量費の扱いがわかる
  • 土地を売却するときの測量費の扱いがわかる
  • 土地の取得費に含まれる費用の例がわかる
  • 土地の譲渡費用に含まれる費用の例がわかる

土地を取得する場合、または売却する場合は隣接地との境界線が重要になってきます。

「ここまでが自分の土地」と思っていたところ、実は他人の土地だったというケースは意外と多く、またその逆のパターンもあります。

境界がはっきりしない土地は隣地オーナーとのトラブルを引き起こしやすいため、基本的には売却できません。

また新たに購入する土地の境界線が不明確なケースもあるので、経費を払って測量する必要も出てくるでしょう。

では土地購入や売却の際にかかった測量費は、必要経費に計上できるのでしょうか?

また計上する場合はどのような費用になるのでしょうか?

今回は経費の観点から測量費用を解説しますので、土地の取得や売却を予定している方はぜひ参考にしてください。

土地取得のための測量費用は取得価額に含まれる

境界線がはっきりしない土地を購入する場合、基本的には売主側で測量を行い、境界を確定させるようになっています。

しかし売買契約の内容によっては買主負担で測量する場合もあり、このようなケースでは測量費用を土地の取得価額に含めます。

根拠規定は所得税基本通達38-10であり「土地の測量費は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されたものを除き、土地の取得費に算入する」としています。

他にも所得税法第33条では売却(譲渡)のための測量費、売却以外の目的で行った測量費などの扱いを定めています。

では次に、売却目的で行った測量費がどのような扱いになるのか解説します。

参考:法令解釈通達(国税庁)

売却目的で土地を測量した費用は譲渡費用に含まれる

代々受け継いできた土地の場合は測量図が古いため、売却前に改めて測量を行うケースがあります。

取得段階での測量費は取得価額に算入できましたが、売却目的で測量する場合は譲渡費用へ算入します。

こちらも所得税基本通達33-7に明記されており、資産の譲渡に要した費用の内容は以下のようになっています。

「資産の譲渡に際して支出した仲介手数料、運搬費、登記若しくは登録に要する費用その他当該譲渡のために直接要した費用

ちなみに土地を売った利益を譲渡所得といい、以下のように計算します。

  • 譲渡所得:譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

計算式からわかるように、測量費は取得費・譲渡費用のどちらに算入しても計算結果は変わらないため、譲渡所得に対する税金も変わりません。

つまり税務上はどちらに算入しても弊害はありませんが、会計上は違うので注意してください。

土地の取得費に含まれる費用の例

不動産の取得費は土地と建物に切り分けて計算しますが、具体的には以下のような費用が取得費になります。

  • ・土地・建物の購入代金
  • ・建築代金
  • ・購入時に支払った税金(登記費用を含む登録免許税、不動産取得税、印紙税など)
  • ・仲介手数料
  • 測量費
  • ・整地費・建物の解体費用など
  • ・設備費
  • ・改良費
  • ・一定の借入金利子

土地と建物の費用を切り分ける理由は、建物の不動産価値は時間とともに減少するので、価値の減少分を購入代金などから減価償却する必要があるためです。

なお、定額法で減価償却費を計算する場合は以下の計算式を使います。

  • 減価償却費:建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

経過年数は、取得時の引き渡しから売却時の引き渡しまでの年数であって、築年数ではないので注意してください。

土地の取得費に含まない費用の例

以下の費用は土地の取得費に含みません。

  • ・法人の事業所得等の必要経費
  • ・法人の業務用資産を取得する際に課税された税金
  • ・遺産分割にかかった訴訟費用

個人の場合は購入時に支払った税金を取得費に算入できますが、法人の場合は取得時にかかった税金を費用にはできないので注意してください。

また、個人の場合でも、遺産分割の際に発生した訴訟費用を取得費に含めることはできません。

土地と建物を一括購入していた場合の取得費

建売の戸建住宅やマンションの場合、土地と建物を一括購入するため、それぞれの取得費がわからないこともあります。

このようなケースでは、以下の計算方法で土地の取得費を求めることができます。

  • (1)建物の消費税から建物価格を逆算
  • (2)標準的建築価額から建物価格を計算
  • (3)土地と建物の固定資産税評価額の比率で按分計算
  • (4)不動産鑑定士の鑑定により土地と建物の時価を求めて按分計算

(1)の計算方法を使う場合、全体価格3,000万円に対して消費税が160万円であれば、160万円を消費税率で割ると建物の価格を算出できます

では消費税8%(0.08)で計算してみましょう。

  • ・建物価格:160万円÷0.08=2,000万円

住宅価格は税込表示のため、全体価格から2,000万円+消費税を差し引くと土地の価格がわかります。

  • ・土地価格:3,000万円-(2,000万円+160万円)=840万円

土地の取得費が不明な場合は概算取得費で計算

売買契約書を紛失してしまい、土地の取得額がわからない場合は、売却額の5%を取得費(概算取得費)にするよう定められています。

このようなケースでは、譲渡所得税が高額になる可能性が高いので注意してください。

たとえば、現在価値に換算して2,000万円の土地を先祖が購入し、相続を経て取得したとします。

現在の評価額(売却額)が6,000万円になっていた場合、譲渡所得は以下のようになります。

  • ・譲渡所得:6,000万円-2,000万円=4,000万円

譲渡費用は計算に含めていませんが、上記の計算では4,000万円に譲渡所得税が課税されます。

では取得費がわからず、売却額の5%を取得費とした場合で計算してみます。

  • ・土地の取得費:6,000万円×5%=300万円
  • ・譲渡所得:6,000万円-取得費300万円=5,700万円

このように、取得費が不明な場合は税金が高額になるケースが多いので要注意です。

土地の譲渡費用に含まれる費用の例

以下の費用は譲渡費用に含むので、土地売却を予定している方は参考にしてください。

  • ・売却時の仲介手数料
  • ・登記費用
  • ・売主が負担した印紙税
  • ・明け渡しに必要な立退料(賃貸物件の場合)
  • 測量費
  • ・広告費
  • ・建物の解体費用
  • ・売買契約において発生した違約金
  • ・名義変更費用(借地権を売る場合)
  • ・不動産の維持や管理に要した費用

登記費用については注意が必要で、抵当権の抹消登記は譲渡費用に含めないとの判例があります。

ただし、土地を売るために建物を解体したときの滅失登記については譲渡費用に含むこととなっています。

なお、建物を解体(滅失)した後は1ヶ月以内に滅失登記しなければならないので注意してください。

譲渡を目的としない場合の測量費

すぐに売却する予定はなくても、将来の売却に備えて測量しておく場合や、土地活用のために測量を行うケースもあります。

売却を目的としない場合の測量費は、譲渡費用に算入できないので注意してください。

まとめ

土地の測量費は、何を目的とした測量なのかによって会計上の扱いが変わってきます。

今回は取得費や譲渡費用について代表的なものを紹介しましたが、不動産取引では他にも様々な費用が発生する場合もあります。

どの費用にあたるのか不明な場合は、ひとまず関係書類を保管し、税理士または税務に強い不動産業者へ問い合わせるようにしてください。

譲渡所得税を申告する際、費用にならないものを明細書に記載してしまうと、税務調査を誘発する結果にもなってしまうため十分な注意が必要です。

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