事故物件とは?売却方法や高値で売るコツについて解説
この記事でわかること
- どのような物件を事故物件というのかがわかる
- 事故物件の売却方法がわかる
- 事故物件を高値で売却するコツがわかる
所有する物件が事故物件となってしまうと、売却を検討する際に不安を感じてしまうケースは多いでしょう。
「事故物件だと売れにくくなってしまうのではないか」「希望の価格で売却することはできなくなってしまうのではないか」「売却できてもトラブルが起こってしまわないか」など、事故物件の売却に関する悩みは様々です。
そこで本記事では、事故物件の売却について、徹底的に解説していきます。
まずは事故物件とはどのような物件のことをいうのか正しく理解した上で、具体的な売却方法や高値で売却するためのコツなどについても詳しく見ていきましょう。
本記事を読むことで、事故物件の売却に関する悩みを解消できるはずです。
事故物件の売却を検討している人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
事故物件とは
そもそも事故物件とはどのような物件のことをいうのか、明確に理解しておくことはとても重要です。
実際のところ、事故物件と呼ばれる物件には、主に3つのパターンがあります。
ここでは、それぞれのパターン別に、事故物件の概要を詳しく解説していきます。
なお、いずれのケースであっても、事故物件であるという事実を隠して売却することは避けなければなりません。
なぜなら、事故物件であるにもかかわらずそれを隠して売却してしまうと、売却後に大きなトラブルを発生させることになってしまうかもしれないためです。
たとえば、物件の引き渡し後に別の人物やネットの情報などから事故物件であるという情報が買主の耳に入り、契約解除を求められることや損害賠償請求されてるケースは実際に多く起こっています。
そのため、これから解説する3つのケースにあてはまる物件を売却する場合は、きちんと事実を伝えた上で売却を進めるべきだということを忘れないようにしましょう。
心理的瑕疵があるケース
1つ目は、物件に心理的瑕疵があるケースです。
一般的に多くの人がイメージする事故物件は、この心理的瑕疵があるケースに該当するかもしれません。
心理的瑕疵がある物件とは、物件そのものに特別な欠陥などは存在していないものの、買主の心理に対して不快感を与える可能性がある事情を抱える物件のことをいいます。
たとえば、物件の中で過去に自殺や他殺、不審死などが起こっているケースは、最もイメージしやすいケースといえるでしょう。
他にも、物件のすぐ近くに反社会的勢力団体の事務所がある場合や、目の前にいわゆるゴミ屋敷といわれる家がある場合なども、心理的瑕疵になります。
なお、買主への告知義務に関するガイドラインでは、このような心理的瑕疵についてもきちんと告知をしなければならないと定められているので、売却時には注意しましょう。
ただし、物件の中で死者がいた場合でも、老衰や病死などの自然死であれば、告知しなくても問題はないとされています。
物理的瑕疵があるケース
2つ目は、物件に物理的瑕疵があるケースです。
物理的瑕疵とは、物件そのものに見受けられる何らかの欠陥のことをいいます。
たとえば、建物の一部がシロアリに浸食されている、屋根の一部が雨漏りしているケースなどは、物理的瑕疵に該当するでしょう。
他にも、土地の下に汚染物などが埋蔵されている場合や、地盤沈下が起こっている場合なども、物理的瑕疵がある物件といえます。
物理的瑕疵がある物件の場合は、心理的瑕疵に比べて瑕疵の内容がはっきりとしているため、買主に告知するかどうかの判断に迷うことも少ないでしょう。
なお、告知義務に関するガイドラインでは、売主が物理的瑕疵のことを売却時に認識している限り、必ず買主へ告知しなければならないと定められています。
法的瑕疵があるケース
3つ目は、物件に法的瑕疵があるケースです。
法的瑕疵がある物件とは、法律によって定められている基準や条件を満たしていない状態にある物件のことです。
たとえば、建築基準法の中で設けられている条件を満たしていない建物で、購入したとしても再建築することが不可能といったパターンはよくありますが、これは法的瑕疵がある物件に該当します。
また、建築基準法以外にも都市計画法の定めを満たしていないケースはありがちなので、注意が必要です。
たとえば、用途地域の定めで建物を建ててはいけないとされている区域内に建てられている物件などが、これにあたります。
法的瑕疵は、心理的瑕疵や物理的瑕疵に比べると、最も瑕疵の内容が明確であるといえるでしょう。
そのため、万が一売却する際に告知を怠ってしまうと、売主に追求される責任は非常に大きくなるので、注意しなければなりません。
事故物件の売却方法
では、実際に所有する事故物件を売却しようとする場合、具体的にどのような方法で売却することができるのでしょうか。
売却する物件が事故物件となると、通常の売却方法とは異なる方法も把握しておく必要があります。
ここでは、事故物件を売却する際に検討するべき5つの売却方法について、それぞれ詳しく解説していきます。
それぞれの売却方法を理解し、自分に合った方法を選んでいきましょう。
そのまま一般市場で売り出す
もっともシンプルな売却方法は、そのまま一般市場で売り出すという方法です。
事故物件と聞くと、一般的な物件の売却と同様の方法で売り出すことはできないのではないかと思っている人も多いかもしれません。
しかし、たとえ事故物件であったとしても、一般市場でそのまま売り出してはいけないという決まりはありません。
そのため、事故物件であるという告知をした上で、まずはそのまま一般市場で売り出してみるというのも、1つの方法として把握しておきましょう。
ただし、事故物件をそのまま一般市場で売り出す場合は、売り出し価格を相場よりも安く設定しなければなかなか買い手がつきにくいという現実も、把握しておく必要があります。
また、事故物件となると、一般市場での売却依頼を受けてくれる不動産会社が限られてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
相当の期間が経過してから売り出す
特に死亡などによる心理的瑕疵がある事故物件を売却したい場合は、死亡発生時から相当の期間が経過した後に売り出すという方法もあります。
一般的に、物件での死亡が発生した場合、その直後に物件を購入したいと考える人は少ないといえるでしょう。
しかし、死亡が発生してから数ヶ月、あるいは数年が経過した後であれば、そこまで気にならなくなるといった心理は、多くの人にあるはずです。
そのため、ある程度の期間を空け、時間の経過によって心理的瑕疵を感じにくくなったタイミングで売り出すことで、よりスムーズに買い手が見つかる可能性が高まります。
ただし、少しでも早く売却する必要のある場合には使えない方法なので、状況に応じて検討すべき方法といえるでしょう。
リフォームやリノベーションを行ってから売り出す
事故物件を売却する際は、リフォームやリノベーションを行ってから売り出すケースが非常に多くなっています。
リフォームやリノベーションを行うことで、物件の瑕疵を感じにくくすることが可能なためです。
たとえば、実際に物件の中で人が死亡している場合は、死亡現場となった部屋の床材や壁材などをすべて取り替える、思い切って間取りごと変更してしまうことで、死亡が起こったという痕跡を可能な限り消すことができます。
また、リフォームやリノベーションを行うことで、物件そのものの価値も上がり、心理的瑕疵を上回る魅力を買主に感じてもらえるケースもあるでしょう。
ただし、リフォームやリノベーションを行うと売却がしやすくなる一方で、工事費用を売主が負担しなければならないという点も見落としてはなりません。
場合によっては、高額な費用をかけて工事を行ったものの、思うように買い手がつかないといった可能性もあるので、注意が必要です。
建物を解体して土地だけ売り出す
物件の瑕疵の状態によっては、建物を解体して土地だけを売り出すという売却方法を選ぶケースもあります。
特に、建物自体が古くなって老朽化が進んでいる場合や、物件の瑕疵の内容が非常に重大である場合などは、この方法を検討してみるとよいかもしれません。
たとえば、仮に心理的瑕疵がなかったとしても物件そのものの老朽化が酷くて需要が低いと考えられる場合は、建物を解体して更地の状態にした方が購入希望者は増えるはずです。
また、建物自体は古くなくても、全国で報道されるような大きな殺人事件の現場となってしまった場合なども、建物を残したままではなかなか買い手がつかない可能性が高く、解体して更地にした方が売却しやすいでしょう。
なお、心理的瑕疵のある建物を解体し、土地だけを売り出す場合においても、買主への告知義務は消滅しません。
そのため、建物を取り壊したから告知しなくてもよいといった誤った認識をしていると、売却後にトラブルとなってしまう可能性があるので、注意しましょう。
不動産会社に買い取ってもらう
できるだけ売却の手間をかけたくないという場合は、事故物件をそのまま不動産会社に買い取ってもらうという売却方法もあります。
この方法なら、事故物件の買い手を一生懸命探す手間をかけずに済むので、最も手軽な売却方法ともいえるでしょう。
ただし、不動産会社に直接事故物件を買い取ってもらう場合、通常の売却価格よりも大幅に安い価格で取引きされるのが一般的です。
目安としては、一般の買主に売却する際の相場価格に対して、20~30%安くなってしまうと思っておいた方がよいでしょう。
そのため、売却利益はそこまで得られなくてもとにかく早く事故物件を手放したい人や、売却のために労力を使いたくないという気持ちが強い人は、不動産会社に買い取ってもらう方法を検討してみるとよいかもしれません。
事故物件の売却額はいくら下がる?
事故物件を売却する場合、通常の物件の売却に比べて売却額が下がってしまうのが一般的となりますが、実際にいくらぐらい下がるものなのでしょうか。
事故物件の売却を検討している人にとって、売却額がどの程度減額されるかどうかという点は、特に気になるポイントといえるでしょう。
ここでは、事故物件の売却額がいくらぐらい下がるのが普通なのか、大まかな目安を解説するとともに、売却額の減額率を左右するポイントについても詳しく解説していきます。
一般的な減額率の目安は30~50%
事故物件の売却における減額率について明確な定めは存在しませんが、一般的な目安としては30~50%となるケースが多くなっています。
いくらぐらい売却額を下げるのが妥当であるかを決めるのは、物件の瑕疵が買主に与える影響の大きさといえるでしょう。
たとえば、物件の中でいわゆる自然死が起こり、すぐに発見された上綺麗に清掃されている場合であれば、減額率は小さく抑えられます。
これに対して、重大な殺人事件が発生した物件で、遺体が発見されるまでに長い時間がかかり、事件の痕跡が消し切れていないような場合であれば、売却額は大幅に減額されることになるでしょう。
なお、売却額をどのぐらい下げるかどうかは、売主が自分で判断するのではなく、不動産会社のアドバイスを受けて相談しながら決めるのが一般的です。
物件自体の条件次第で減額率は変わる
事故物件を売却する際の減額率は、瑕疵の内容だけでなく、物件そのものが持つ条件次第でも変わってきます。
たとえば、築年数の浅い物件や、便利な設備が充実している物件、駅からの距離が近いといった好立地な物件などの場合は、売却額をそこまで下げなくても買い手がすぐに見つかる可能性は高いでしょう。
つまり、事故物件であるという事実よりも、それを上回るほどの条件のよさがある物件なら、減額率を比較的小さく抑えられるということです。
買主の捉え方も減額率に大きく影響する
事故物件の売却額をいくら下げるかを決める際には、買主の瑕疵に対する捉え方も大きく影響します。
事故物件の瑕疵には非常に様々な種類のものがありますが、それぞれの瑕疵に対する捉え方も、人それぞれ大きく異なるはずです。
たとえば、どのような状況であれ人が死亡している物件には絶対に住みたくないと考えている人もいれば、物件自体の住み心地に問題がないのであれば人が亡くなっていたとしても特に気にならないという考え方の人もいます。
そのため、買主が瑕疵の存在をあまり気にしないような人であれば、事故物件であったとしても大幅な減額をせずに売却できる可能性があるということを念頭に、売却価格の設定をすることが重要となります。
事故物件を高値で売却するコツ
事故物件を売却する際は、通常の売却額の目安よりも安くなってしまうのが一般的ですが、できるだけ高値で売却したいと考える人は少なくないはずです。
実際のところ、事故物件であっても売却額の減額率は明確に定められているわけではありません。
そのため、売却の仕方を工夫することで、できる限り高い価格で売却することは可能です。
ここでは、事故物件を高値で売却するためのコツについて、解説していきます。
売却額を高くするために掴んでおくべきコツを5つ挙げて解説していくので、実際に事故物件を売却する場合はぜひ参考にしてみてください。
特殊清掃を徹底的に行う
人の死亡などによる瑕疵がある事故物件を高値で売却するためには、特殊清掃を徹底的に行うことが必要不可欠です。
実際に人が物件の中で亡くなっている場合、少しでもその心理的瑕疵による売却額の減額を抑えたいのであれば、死亡したという痕跡をできる限り消滅させることが非常に重要となります。
特殊清掃では、一般的なハウスクリーニングとは異なり、特別な薬品や洗浄剤を用いて染みついた汚れを除去し、強力な消臭剤を使用して遺体から発生した独特な臭気を完全に消し去ることが可能です。
そのため、通常通りのハウスクリーニングでは消去しきれない死亡の痕跡を、特殊清掃を徹底的に行うことによってほとんど感じさせない状態にすることができます。
特殊清掃を徹底的に行い、言われなければ事故物件であると気づかないような状態にできれば、売却額をあまり下げずに売れる可能性が高まるでしょう。
大幅なリフォームして内装を一変させる
事故物件を高値で売却するには、物件を全体的にリフォームして、内装を一変させるという方法も効果的です。
前述した通り、特に死亡などの心理的瑕疵がある物件では、買主にいかに瑕疵を感じさせないようにするかという点が非常に重要なポイントとなります。
大幅なリフォーム工事を行って内装を一変させることで、さらに死亡などの痕跡を消し去ることができるでしょう。
前述したように、痕跡が残らないように壁や床をすべて交換すると物件の印象はかなり変わるはずです。
さらに、壁の位置なども変える大幅なリノベーションを行い、間取り自体を変更してしまえば、死亡が起きた物件とはまったく別の物件のように見えるため、あまり減額せずに売れる可能性が高くなるはずです。
ただし、リフォーム工事の内容が大がかりになればなるほど、工事費用もかさんでしまいます。
そのため、売却価格とあわせて総合的に判断しながら、慎重に工事内容を決めるようにしましょう。
設備を充実させ付加価値をつける
事故物件の売却価格を上げるには、物件そのものの需要を高めるということも重要となります。
そのため、魅力的な設備を充実させて物件に付加価値をつけるという方法もよいでしょう。
たとえば、セキュリティ設備を追加する、システムキッチンを導入する、浴室乾燥機を新たに設置するなど、買主が求めている人気の設備を揃えることで、物件の魅力度を上げることに繋がります。
物件そのものの価値が上がれば、事故物件であっても購入したいと思ってくれる人は増えるはずなので、高い価格でも売れやすくなるでしょう。
高値で売却するために重要なのは、買主側の目線で見て魅力的な物件にすることです。
そのため、買主がどのような設備を求めているのかをよく調査し、人気の高い設備を効率よく取り入れていくことが大切といえるでしょう。
複数の不動産会社に買取査定を依頼する
事故物件を不動産会社に買い取ってもらうことを検討する場合は、できるだけ多くの不動産会社に買取査定を依頼することが、高値で売却するためのポイントとなります。
仮に、1社のみに買取査定を依頼してしまうと、査定額を比較検討することができず、場合によっては相場よりも安い価格で取引きが行われてしまっても気づかない可能性があります。
そのため、できるだけ多くの不動産会社で買取査定をしてもらい、それぞれの査定額を比較しながら買取先を決定していくのがよいでしょう。
複数の不動産会社に買取査定を依頼する際は、各不動産会社で出してもらった査定額を他の不動産会社にも伝えて競合させるというのも、売却額を上げるためにできる1つのテクニックです。
買取査定を依頼する不動産会社の数が増えるほど、査定額の交渉の手間も大きくなるかもしれませんが、事故物件を高値で売却するためには必要な過程であるということを頭に入れておきましょう。
実績豊富な不動産仲介会社を選んで依頼する
事故物件を売却する場合、不動産会社に売買仲介を依頼するケースが一般的ですが、少しでも高値で売却したいのであれば、実績が豊富な不動産会社を選ぶことが非常に重要です。
事故物件の売却について仲介業務を行ってくれる不動産会社はとても多くあり、どこを選んで依頼したらよいか迷ってしまう人も多いかもしれません。
そのような場合は、事故物件の売却を実際に行った経験がどのぐらいあるか、実績の有無を確認してみるとよいでしょう。
事故物件の売却は、やや特殊な案件ともいえるため、不動産会社によってはほとんど経験がないケースも少なくありません。
反対に、敢えて積極的に事故物件の売却案件を請け負っている不動産会社もあるため、どのような実績があるかを事前にホームページなどで確認しておくことはとても大切です。
事故物件を売却させた実績が豊富にある不動産会社なら、事故物件の売り方にも慣れている可能性が高く、高価格かつスムーズに買い手を見つけてくれることが予想できるでしょう。
そのため、実績が豊富にあり安心して事故物件の売却を任せられる不動産会社をよく見極めた上で、仲介を依頼することをおすすめします。
まとめ
事故物件と呼ばれるものには様々な種類があり、自分の所有する不動産がいつか事故物件となってしまう可能性は誰にでもあります。
また、所有する物件が事故物件になってしまったとき、売却を検討するケースは非常に多いです。
そのため、事故物件を売却するための方法や、一般的な減額率の目安、高値で売却するためのコツなどについて理解を深めておくことは、とても重要といえるでしょう。
本記事では、事故物件の売却に関して、多くの人が疑問や不安を抱きやすいポイントを整理し、詳しく解説してきました。
特に重要なのは、どのような方法で売却するのが自分にとって最適であるか、正しく判断することです。
そのためには、本記事で解説してきた内容をきちんと理解し、自分のケースにあてはめて考えることがとても大切です。
事故物件の売却で失敗や後悔をしないよう、本記事の内容をぜひ参考にしてみてくださいね。