土地を売る手順8ステップ|基本的な流れや注意が必要なケースを紹介
土地を売りたいと考えていても、「土地売却の手続きって何をすればいいのかわからない…」、「土地の売却って素人には難しそう」と頭を悩ませる人は多いでしょう。
ここでは土地を売却する手順を解説します。
土地売却の手続きをスムーズに進めていくためには、手続きの流れ以外に、事前に準備すべきものや注意点を押さえておくことが大切です。
土地売却の全体像を掴めば、土地を売るために今何をすべきか分かるようになるでしょう。
土地を売る手順
土地を売りたい時は、基本的に以下のような手順で進めていきます。
【土地を売る手順】
- 1.土地の境界線を確認する
- 2.査定を依頼する
- 3.媒介契約を結ぶ
- 4.売り出し価格を決定する
- 5.売却活動をおこなう
- 6.売買契約を結ぶ
- 7.土地を引き渡す
- 8.確定申告をおこなう
それぞれのステップについて、くわしく解説していきましょう。
①土地の境界線を確認する
土地を売却する際には、土地の境界線を明確にしておく必要があります。
境界線は案外と曖昧になっているケースが多いのが現状です。
いざ土地を売却するときは、どこまでが自分の土地なのか確認しておかなければ、売りに出すことができません。
以下のような書類に土地の境界線が明記されているため、土地の境界線を確認しましょう。
書類名 | 詳細 |
---|---|
地積測量図 | 地積の測定結果を明確にする法的な図面 |
境界確認書 | 土地家屋調査士が境界立会を行ったときに作成される資料 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 土地や建物ごとの所有者などの情報が記載されている |
上記はいずれも最寄りの法務局やオンライン、郵送で取得できます。
書類で境界線が確認できない場合、隣人と土地家屋調査士などの立ち合いのもと、測量が必要となります。
②査定を依頼する
土地の価格を知るために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
土地の査定方法はいくつかありますが、売却することが決まっているのであれば不動産会社の査定がおすすめです。
不動産会社の査定は不動産をもし売ったらいくらになるかという目的で査定をおこなうため、最も売却相場に近いです。
不動産会社の査定以外にも匿名査定がありますが、この場合あくまで目安の価格となるため、実際の売却金額と差が出る可能性があります。
また実際に土地を売る段階では、不動産会社での査定が必須となるため、売ることが決定しているのであれば、不動産の査定が無難でしょう。
ただし不動産会社によって査定額が異なるため、3社以上に依頼することをオススメします。
③媒介契約を結ぶ
本格的に土地の売却を決めたのなら、不動産会社と契約を結びます。
契約する不動産会社によって、価格や売却期間が左右されるため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
優秀な担当者を見つける際のポイントは対応の速さ・知識量・相性です。
不動産会社と仲介の契約を結ぶ際の媒介契約は、以下の3種類があります。
契約種別 | 詳細 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数の業者と契約○、自己発見取引○ |
専属専任媒介契約 | 一社のみ契約、自己発見取引×、業務状況の報告義務あり |
専任媒介契約 | 一社のみ契約、自己発見取引○、業務上の報告義務あり |
それぞれの契約方法に特徴があり、売却する土地の条件や売主の希望などによって媒介契約を選択しましょう。
④売り出し価格を決定する
査定結果を受け取ったら、土地の売却価格を決めます。
自分の土地の売却相場が分かったら、競合となるまわりの売り出し中の土地の価格を調査しましょう。
土地を購入する側はもちろん周辺の土地と比較するため、あまりに高いと選ばれにくいです。
また値引きの判断に迫られる可能性もあるため、最低ラインも把握しておくといいでしょう。
⑤売却活動をおこなう
不動産会社と契約を結び、準備が整ったらいよいよ売却活動を開始します。
不動産会社が土地の宣伝を開始したら、買主から内覧の申し込みが増えてきます。
土地の場合は建物がないのでとくに準備することはありませんが、念のために事前に土地に問題がないか、ゴミなどが散乱・投棄されていないか確認してください。
もし立ち会う場合は、土地を見ただけでは分からないような情報を用意しておきましょう。
また内覧時に土地の値引き交渉、土地の引き渡し日、残りの固定資産税の支払いについてなど、土地に関わることを双方の合意の元で決めていくことになります。
⑥売買契約を結ぶ
買い主が購入を決定したら、売買契約を締結します。
売買契約を結ぶ当日は宅地建物取引士と重要事項の内容を確認することになります。
売買契約を結ぶときは、実印・認印の他に身分証明書や印鑑証明書、売買契約書に貼る収入印紙などが必要です。
売買契約書に問題がなければ、買い主、売主それぞれが契約書に署名と押印を行います。
⑦土地を引き渡す
買い主と約束した日に、土地の引き渡しを行います。
引き渡し当日は、買主は売却額の残りの資金を売主に渡し、売主は土地を所有するのに必要な書類を渡します。
買主が住宅ローンなどを利用する際は、金融機関の職員が同席したり、銀行で引き渡しの手続きを行います。
引き渡しが完了したら同日に土地の名義変更を行わなくてなりません。
個人でもできますが、司法書士に依頼した方が確実でしょう。
⑧確定申告をおこなう
土地を売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。
利益が出た場合、譲渡所得税が発生するため確定申告を行い、税金を収める必要があります。
確定申告を行う時期は、土地を売却した翌年の2月16日~3月15日までの期間です。
土地を売る手順に注意が必要なケース
土地を売る時に気をつけた方がいいケースを紹介します。
【土地を売る手順に注意が必要なケース】
- 相続した土地を売却するケース
- 古家付きの土地を売却するケース
それぞれのケースについて、くわしく解説していきましょう。
相続した土地を売却するケース
相続した土地を売る場合、注意が必要です。
相続した土地は売却する前に必ず名義変更(相続登記)をおこなわなければ、売ることができません。
また後々のトラブルを防ぐために、事前に遺産をどのように分けるのか、誰が相続するのかをはっきり決めておく必要があります。
相続した土地を売却する流れは以下の通りです。
- 1.遺産分割協議
- 2.相続登記
- 3.査定を依頼する
- 4.媒介契約を結ぶ
- 5.売り出し価格を決定する
- 6.売却活動をおこなう
- 7.売買契約を結ぶ
- 8.土地を引き渡す
- 9.売却金額を相続人で分配する
- 10.確定申告をおこなう
古家付きの土地を売却するケース
古家付きの土地を売る時に、とくに注意したいのが、なかなか買い主が現れない場合に売り方を検討し直すケースです。
更地にしてから売却したり、不動産会社に引き取ってもらう、リノベやリフォームを行うといった方法があるため、どの方法がもっとも条件があうのか、よく考える必要があるでしょう。
更地にした場合、固定資産税が高くなるため十分に調べてから決めるようにして下さい。
古家付きの土地として売却する場合、基本的な流れは通常と変わりません。
- 1.査定を依頼する
- 2.媒介契約を結ぶ
- 3.売り出し価格を決定する
- 4.売却活動をおこなう
- 5.売買契約を結ぶ
- 6.土地を引き渡す
- 7.確定申告をおこなう
土地を売る際の注意点
土地を売るときは、以下の点に注意して進めるようにして下さい。
【土地を売る際の注意点】
- 使用できる控除を理解しておく
- 土地の欠陥は必ず伝える
これらのポイントを押さえておかなければ、必要以上にお金の支払いが生じることにつながるため、損しないためにも知っておきたい内容です。
それぞれについてくわしく解説しましょう。
使用できる控除を理解しておく
土地売却に際して、要件があえば適用できる特別控除がさまざまあるため、事前に確認しておきましょう。
これらを忘れずに申告することで大幅に税金を抑えることができるため、使用できる控除は漏れなく利用できるようにしておくことが大切です。
控除一覧 | 詳細 |
---|---|
3,000万円特別控除 | 住居用として所有していた土地を売る場合、譲渡所得から3,000万円まで控除 |
軽減税率の特例 | 土地や取り壊した住居の所有期間が10年以上の場合、税率が安くなる |
買い換え特例 | マイホームを買い換えた場合、課税を先送りできる |
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | 住宅ローンが残っているマイホームを売って損失がでた場合に、譲渡損失をその年の所得と損益通算できる |
相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続した古家付き土地など、要件を満たせば譲渡所得から3,000万円控除 |
平成21・22年に取得した土地の1,000万円控除 | 平成21~22年に取得した土地などで、保有期間が5年以上の場合、1,000万円控除 |
公共事業のために土地をうった場合の5,000万円控除の特例 | 公共事業などのために土地や建物を売却した場合は、譲渡所得から5,000万円控除 |
特定土地区画整理事業に伴う土地売却の2,000万円特別控除の特例 | 国土交通省の市街地のまちづくり活性事業などのために売った場合、譲渡所得金額から2,000万円まで控除 |
特定住宅地造成事業に伴う土地売却の1,500万円特別控除の特例 | 地方公共団体や航空会社、地方住宅供給公社、住宅地造成によって土地を買い取られた場合など、譲渡所得金額から1,500万円控除 |
農地保有の合理化に伴う土地売却の800万円特別控除の特例 | 農業委員会の斡旋によって売却した場合などには、一定の要件のもと、譲渡所得金額から800万円までを控除 |
土地の欠陥は正直に伝える
早く売ってしまいたいからといって、土地の欠陥を隠すことはしないでください。
欠陥がある場合は、契約前に必ず説明しておくようにしましょう。
正直に伝えた方が後々のトラブルを防ぐことにつながります。
土地の欠陥を伝えずに後から欠陥が見つかった場合、裁判にまで発展したり、契約解除や損害賠償を求められるといったケースになりかねません。
土地を売る手順に関するよくある質問
土地を売る手順に関するよくある質問について、解説します。
【土地を売る手順に関するよくある質問】
- 土地を売却する大まかな流れとは?
- 土地の売却に必要な書類は何?
- 土地を売却する際に測量は必要?
それぞれについて簡潔にまとめましたので、確認しておきましょう。
土地を売却する大まかな流れとは?
土地を売却するときの大まかな流れは以下の通りです。
【土地を売る手順】
- 1.土地の境界線を確認する
- 2.査定を依頼する
- 3.媒介契約を結ぶ
- 4.売り出し価格を決定する
- 5.売却活動をおこなう
- 6.売買契約を結ぶ
- 7.土地を引き渡す
- 8.確定申告をおこなう
土地の売却に必要な書類は何?
土地の売却に必要となる基本的な書類と持ち物は以下の通りです。
【土地の売却に必要な書類】
- 土地・建物登記済証
- 実印
- 印鑑証明書
- 固定資産税・都市計画税納税通知書
- 土地測量図
- 物件状況等報告書
- 印紙
- 本人確認書類
- 仲介手数料
場合によって他に必要な書類が生じるケースもあるため、契約している不動産会社に確認するようにしましょう。
土地を売却する際に測量は必要?
土地の測量は義務ではありませんが、しておいた方が安心です。
隣人との境界線が明確でなかったり、隣人との認識にズレがあった場合に、トラブルに発展することがあります。
数ミリといった微々たる差でも場合によっては数百万の価値の違いが出るケースもあるのです。
また適正な売却価格を調べるためにも、測量は必要でしょう。
まとめ
土地を売却するには早くても3ヶ月程度かかります。
この間にすべきことはとても多いので、慌てずに一つずつこなしていきましょう。
土地を売却する手順の中でも、土地の境界線を明らかにしたうえで査定をすることがとても重要です。
また契約を結ぶ不動産会社によって、査定額や売れ行きに差が出てくるため、信頼できる不動産会社を選ぶよう、数社を比較して決定することをオススメします。