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鉄骨造の耐用年数はどれくらい?法定耐用年数で減価償却を計算する方法や耐用年数を延ばす方法を解説

鉄骨造の耐用年数はどれくらい?法定耐用年数で減価償却を計算する方法や耐用年数を延ばす方法を解説

この記事でわかること

  • 鉄骨造の耐用年数は鉄骨の厚さで2つに大別できることがわかる
  • 法定耐用年数を用いた減価償却の計算方法を理解できる
  • 法定耐用年数が物件に与える影響について理解できる
  • 鉄骨造の実際の耐用年数を延ばす方法がわかる

土地とは異なり、建物には耐用年数があります。

実はこの耐用年数には、建物が存在する場所の環境などによって異なる現実的なものと、法律で構造や用途ごとに定められているものがあります。

後者は、経年劣化して下がっていく建物の価値を客観的に減価償却額として計算するための指標となるものです。

法定耐用年数と呼ばれます。

年数が経過した物件では客観的な経済的価値が低下することになるため、融資や売却などに影響が出ます。

以下では、鉄骨造の耐用年数は鉄骨の厚さで大別されていることや法定耐用年数を用いた減価償却の計算方法をご紹介します。

また、法定耐用年数が物件に与える影響や鉄骨造の実際の寿命を延ばす方法も見ていきましょう。

鉄骨造の耐用年数は2つに分けられる

鉄骨造の耐用年数

建物の耐用年数としては一般的に、寿命に相当する実際の耐用年数と、法定耐用年数の2種類が使われています。

実際の寿命は建物の構造だけでなく、建てられた場所や環境などに左右されて変化します。

一方、法定耐用年数については、鉄骨造の場合は鉄骨の厚さで区分されて年数が決まります。

鉄骨には重量鉄骨と軽量鉄骨の2種類あり、鋼材の厚さが6mm以上なら重量鉄骨造、6mm未満なら軽量鉄骨造と呼ばれます。

重量鉄骨造の法定耐用年数は34年です。

これに対して軽量鉄骨造は鋼材の厚さによって細分され、最も厚いもので34年、薄いものでは19年とされています。

実際の耐用年数(寿命)

鉄骨造は錆びやすい性質があるため、実際に使用可能な年数は立地条件や使用状況、メンテナンスの程度などによって左右されます

たとえば海岸近くに位置しているような場合は、絶えず潮風に晒されることになるため劣化しやすく、寿命が短くなる傾向です。

また、不特定多数の人が利用するような施設などは、個人が住居として利用するよりも傷みやすく、防錆対策などのメンテナンスを怠れば寿命は短くなるでしょう。

つまり、実際の耐用年数は環境条件次第という側面は避けて通ることができないものの、メンテナンス次第では50年から60年程度に延ばすことが可能です。

法定耐用年数

建物などの固定資産は、年数の経過に伴いその価値が減少していきます。

経費としての償却計算や売却時の償却済み額の算出など、客観的な価値の減少額を計算するために税法上で定められているものが法定耐用年数です。

本来の目的のために利用可能な年数として定められています。

通常の使用やメンテナンスの下の基準としていることが多いです。

建物の法定耐用年数は、構造と用途ごとに決められます。

寿命としての耐用年数のように環境の違いやメンテナンスの良し悪しなどの影響を受けて変化することはありません。

鉄骨の厚さで法定耐用年数が異なる

建物の構造別の法定耐用年数

鉄骨造の場合、法定耐用年数は鋼材の厚さで変わります。

例えば重量鉄骨と呼ばれる厚さ6mm以上の鋼材で建てられた鉄骨造の建物は、34年です。

一方、厚さ6㎜未満の鋼材は軽量鉄骨と呼ばれ、4mmと3mmの厚さを基準として、建物の耐用年数が決められています。

その年数は、4mmより厚いものが34年、3mm超4mm以下の厚さで27年、3mm以下の厚さでは19年です。

ちなみに、重量鉄骨造は高層ビルやマンションなど大きな建物で使用されることが多く、軽量鉄骨造はアパートや一般住宅に用いられます。

法定耐用年数表(住宅用)

構造法定耐用年数
木造・合成樹脂造22
木骨モルタル造20
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47
れんが造・石造・ブロック造38
金属造4㎜を超えるもの34
3㎜を超え、4㎜以下のもの27
3㎜以下のもの19

引用:耐用年数表(国税庁)

参考:鉄骨造以外の法定耐用年数一覧

鉄骨造以外の構造では、どのくらいの法定耐用年数が設定されているのか、以下の表にまとめましたので参考にしてください。

構造の種類法定耐用年数
木造モルタル造20年
木造・合成樹脂造22年
れんが造・石造・ブロック造38年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年

鉄骨造の法定耐用年数は、鉄骨の厚さによって細かく定められています。

一方で、鉄骨造以外は、上記の表のように構造別に法定耐用年数が設定されているのが一般的です。

構造の種類によって法定耐用年数は異なりますが、大体20~47年で定められていることがわかります。

法定耐用年数を用いた減価償却の計算方法

建物のような固定資産については、資産ごとに構造や用途によって法定耐用年数が定められています。

固定資産の減価償却は、この耐用年数を使って資産の価値を複数年に分ける会計処理の方法です。

ちなみに、会計処理上、固定資産の取得費用を経費として計上する際は一括して処理することができず、複数年に及ぶ減価償却費として計上します。

また、建物を売却して利益が出るときは譲渡所得の課税対象ですが、その際にも減価償却計算が必要です。

譲渡所得の計算では、売却収入から差し引く取得時の価格から減価償却済みに相当する額を減額しなければなりません。

固定資産の減価償却額は、取得時の価格を法定耐用年数に分配して計算します。

ただし、償却額の計算方法は用途によって異なることに注意しなければなりません。

新築の非業務用建物

個人の居住用建物、つまり、マイホームやセカンドハウスの減価償却は、次の計算式から求めます。

減価償却費

減価償却費 = 建物の取得価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

なお、経過年数に端数があるときは6ヶ月以上の場合を1年とし、6ヶ月未満の場合は切り捨てます。

償却率は1年当たりで償却する割合を意味し、1を耐用年数で除して計算します。

建物の構造ごとに償却率が決められているため、その都度確認が必要です。

償却率

償却率 = 1 ÷ 耐用年数

ただし、非業務用の耐用年数は、通常の1.5倍した年数で償却率が計算されます。

非業務用建物の償却率

建物の構造耐用年数
(1.5倍)
償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造70年0.015
れんが造、石造又はブロック造57年0.018
金属造骨格材の肉厚4mm超51年0.020
骨格材の肉厚3mm超4mm以下40年0.025
骨格材の肉厚3mm以下28年0.036
木造又は合成樹脂造33年0.031
木骨モルタル造30年0.034

引用:非業務用資産の償却率(国税庁)

新築の業務用建物

アパートや賃貸マンションなどの建物については、年間を通じた使用割合で償却額を計算します。

ただし業務用建物の減価償却方法は、取得した時期などによって異なることに注意が必要です。

2007年4月1日以降に購入または建築したものについては、次の計算式で求めます。

減価償却費 = 建物の取得価格 × 償却率 × 業務に使用した月数 ÷ 12

なお、月数については、1日でも1月とみなします。

ちなみに2007年3月31日までに取得したものについては、旧定額法あるいは旧定率法と呼ばれる償却方法で計算します。

業務用建物の償却率

建物の構造耐用年数償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年0.022
れんが造、石造又はブロック造38年0.027
金属造骨格材の肉厚4mm超34年0.030
骨格材の肉厚3mm超4mm以下27年0 038
骨格材の肉厚3mm以下19年0 053
木造又は合成樹脂造22年0.046
木骨モルタル造20年0.050

引用:減価償却資産の償却率表(国税庁)

中古の非業務用建物

個人用の自宅など、非業務用の中古建物を取得した場合は、新築建物の取得と同様、構造で償却率が決まり、償却額が計算できます

計算式は、新築と同じで重量鉄骨造なら償却率は0.020を適用します。

また、経過年数も中古として取得した後の年数を当てはめて計算する仕組みです。

減価償却費 = 建物の取得価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

このように、自宅建物などの減価償却について、築年数は関係なく、過去の償却期間や償却額にも影響を受けません。

中古の業務用建物

アパートなどの中古建物を取得したときの償却計算は耐用年数を計算し直すため、新築の計算とは異なります。

法定耐用年数と比べて取得した建物がそれを経過しているか、範囲内かによって耐用年数を計算し直し、その年数から決まる償却率で償却額を計算します。

法定耐用年数を過ぎている建物は、法定耐用年数の20%を用いて耐用年数を算出するルールです。

新たな耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%

一方、法定耐用年数内の建物は、耐用年数の残年数に経過年数の20%を加えて計算します。

新たな耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数  + 経過年数 × 20%

たとえば、築10年の重量鉄骨造のアパートなら、取得後の耐用年数は26年です。

新たな耐用年数  = 法定耐用年数 - 経過年数  + 経過年数 × 20%
= 34年 - 10年 + 10年 × 20%
= 24年 + 2年
= 26年

なお、どちらの計算結果も1年未満の端数は切り捨て、2年未満の場合は2年とします。

ちなみに、新築物件と同じ計算式ですが、経過年数によって耐用年数が変わるため償却率も変化することに注意が必要です。

(2007年4月1日以降に取得した場合)
減価償却費 = 建物の取得価格 × 償却率 × 業務に使用した月数 ÷ 12

軽量鉄骨造のメリットとは

軽量鉄骨造を選ぶと、さまざまなメリットが得られます。

以下では、主な3つのメリットを解説します。

木造住宅よりも耐震性が高い

軽量鉄骨造にするメリットは、木造住宅よりも耐震性が高く、倒壊のリスクが低いことです。

軽量鉄骨造は木造よりも重量がある上に、地震の揺れが起きても折れにくい特徴があります。

そのため同じ鉄骨造だと重量鉄骨造の方が耐震性は高くなりますが、木造と比較した場合は軽量鉄骨造の方が倒壊するリスクが低くなります。

解体費・修繕費がお手頃

軽量鉄骨造は、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造よりも、解体費・修繕費が安く済みます。

軽量鉄骨自体が安い上に解体しやすい構造であるため、解体や修繕などが必要になった場合でもコストを安く抑えられます。

固定資産税が低め

軽量鉄骨造の建物は、コンクリート造の建物に比べて固定資産税が安い傾向にあります。

東京法務局の「東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表(居宅)」によると、1平米あたりの価格は軽量鉄骨造が114,000円で、鉄筋コンクリート造は158,000円でした。

軽量鉄骨造の価格の方が安いことから、固定資産税も抑えられことがわかります。

出典:東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表(東京法務局)

軽量鉄骨造のデメリットとは

軽量鉄骨造はメリットがある反面、デメリットも存在します。

以下のデメリットも把握しておきましょう。

コンクリート造と比べると遮音性が低め

軽量鉄骨造は、コンクリート造よりも遮音性が低いことがデメリットです。

遮音性の高さは、鉄骨の厚みに左右されます。

比較的遮音性が高いとされるマンションや商業施設には、6mm以上の厚さがある重量鉄骨造を採用しています。

一方で、アパートや一戸建ては厚さ6mm未満の軽量鉄骨造が一般的です。

ただし、軽量鉄骨造にしたからといって、音漏れが激しくなるわけではありません。

遮音性をより高めたい場合は、遮音性の高いマットやカーテンを使用しましょう。

リフォームしにくい

軽量鉄骨造のデメリットは、リフォームの際に軽量鉄骨を選んだために発生する問題が出てくる可能性もあります。

例えば、軽量鉄骨造は耐久性を高めるために柱を増やし、壁内に筋交いを使用しています。

一部の柱を取り除いて間取りを変更するなどの工事を行えば耐久性を落としかねないため、軽量鉄骨造は大規模なリフォームには対応できません。

法定耐用年数が物件に与える影響

法定耐用年数を超過している物件は、「ローン審査に通りにくい」「融資の条件が悪くなる」「売却に時間がかかる」「売りにくい」などの影響が現れやすくなります。

ただし、法定耐用年数=実際の寿命ではないため、住み続けるができることは言うまでもありません。

減価償却の意味

減価償却は、固定資産のうちでも、建物など時の経過によって価値が減少する償却資産についての会計処理上の手続きです。

手続き上、各年の減価償却額を法定耐用年数の間は費用として計上し、資産の価値を減らしていきます。

したがって、法定耐用年数が終わるとその資産には償却可能な価値が残らず、単純に表現すれば税務上は資産価値がない状態になります。

ローン審査に通りにくい・条件が悪くなる

中古住宅を担保に融資を受けたい場合、法定耐用年数を過ぎてしまうと金融機関の審査が通りにくいことや、融資の条件が悪くなることがあります。

なぜなら金融機関の審査では、中古建物の担保としての価値を評価しているからです。

評価の際は、法定耐用年数や経済的な耐用年数によって、築後年数に応じて価値を減額する方法を採っていることが一般的です。

つまり、法定耐用年数に基づく減価償却と同様、新築からの年数が経つほど建物の評価額が下がっていきます

金融機関は、債務不履行になったときに対象の物件を差し押さえる方法を前提として、損失をださないように融資期間を決めます。

このため、建物の価値が低ければ審査に通りにくくなり、融資額や融資期間などの条件が悪くなることが一般的です。

なお、経済的な耐用年数については、構造的な面からだけでなく、立地条件や建物の状況などの市場価値が反映されます。

したがって、法定耐用年数を過ぎている場合でも、立地条件や建物の状況が良いなど経済的な価値がある場合は、担保価値が残っていると言えるでしょう。

売却に時間がかかる・売りにくい

通常であれば、中古の建物も利用することが前提です。

したがって、耐用年数が残り少ない場合や残りがない場合は魅力が劣ります。

価値が低く、減価償却費として経費で処理する場合も期間が短いなど、資産として投資する対象になりにくいことが実態です。

また、購入資金に住宅ローンを利用したい場合も、担保価値が低いため審査に通りにくく、融資条件も劣ります。

このため、立地条件や建物の状態が良ければ買い手が現れやすくなるものの、そうでなければ売れにくく、売却に時間がかかります。

鉄骨造の実際の耐用年数を延ばす方法

鉄骨造の実際の耐用年数を延ばす方法

鉄骨造も、潮風など環境の影響などによって劣化が早まることは間違いないものの、実際の耐用年数は適切なメンテナンスや修繕によって延せます

メンテナンスや修繕次第で法定耐用年数を過ぎでも十分利用でき、怠れば法定耐用年数の範囲内でも利用できなくなる恐れもあります。

たとえば、同じ築年数のマンションやアパートでも、物件によって状態が異なるのは、メンテナンスの差が大きな要因です。

メンテナンス

定期的なメンテナンスは、建物の寿命を延ばします。

壊れた時に修理をする方法もありますが、定期的に点検やメンテナンスを行っている場合は、劣化の進行を軽微な状態に抑えられます。

鉄骨造は錆びやすいため、見えにくい部分で劣化が進んでしまえば耐久性を失い、利用できなくなる恐れがあるため注意しなければいけません。

外見からは劣化を判断できないような重要な個所を定期的に点検し、進行を抑えるメンテナンスがとても重要です。

メンテナンスの一例を紹介します。

外壁・屋根は日光や雨風などの外的環境によって劣化するため、10年に1回の頻度でメンテナンスを行いましょう。

水回りは、10年に1回を目安に水漏れなどの点検をすることが大切です。

空調や給排水管は、機器などの入れ替えに高い費用がかかるため、メンテナンスを計画的に行いましょう。

修繕

また、マンションで実施されているような大規模修繕も、実際の耐用年数を延ばすうえで大きな効果があります。

定期的にメンテナンスを行っていても、経年劣化は避けられません。

大規模修繕は通常、10年から15年おきの大がかりな改修工事のことをいい、建物本体を維持するための補修や共用部分の改修を行うものです。

建築後の修繕の目安を紹介します。

10年後には外壁・屋根の塗替えや、給湯器などの機器の交換が必要です。

15年後には、外壁・屋根の塗替えやユニットバスなどの設備の交換を検討しましょう。

20年経つと、外壁・屋根の塗替えや、必要に応じて葺き替え・張替えが必要になります。

さらに、機器・設備の交換や、壁紙の張替えも行いましょう。

まとめ

鉄骨造りの建物なら、軽量鉄骨プレハブ造でも19年または27年、重量鉄骨造なら34年の法定耐用年数があります。

これらの耐用年数を過ぎたとしても、快適に利用し続けることが可能です。

ただし、そのためには定期的なメンテナンスや修繕を欠かせません。

強靭な鉄骨造でも錆びやすい性質があるため、腐食が進めば本来の強度や耐久性を発揮できなくなってしまいます。

建物は完成して終わりではなく、その後のメンテナンスや修繕が実際の耐用年数を延ばすために重要です。

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