新築の家を高く売却するポイントを解説!
この記事でわかること
- 新築の家を売却する際の注意点
- 新築の家を高く売却するためのポイント
- 新築の家を売却する流れ
「諸事情で新築の家を売却しなければならなくなった。できるだけ高く売却したいけれど、どうすれば高く売却できるのかな?」
さまざまな事情で新築の家をそのまま売却しなければならないという方もいるでしょう。また、新築の家を売却するにあたってはできるだけ高く売却したいですよね。
新築の家を高く売却するにあたっては、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ポイントを押さえて売却手続きを進めることで、新築の家をより高く売却できる可能性が高まります。
このページでは、新築の家を高く売却するにあたって押さえておきたいポイントや、新築の家を売却するときの注意点、売却の流れなどについて解説しています。この記事を読むことで、より高く新築の家を売却できる可能性が高まります。
目次
「新築住宅」の定義とは
どのような家が「新築住宅」に該当するのかは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品質確保法)に定義されています。
新築住宅とは、次のいずれをも満たすものをいいます。
- 新たに建設された「住宅」であること
- 建設工事の完了から1年以内であること
- 人が住んだことがないものであること
このため、建設工事が完了してから1年が経っていなくてもすでに人が住んでいる場合には「新築住宅」にはなりません。また、一度も人が入居したことがない住宅であっても建設工事の完了から1年が過ぎているものは「新築住宅」にはなりません。
新築の家をすぐに売却するべき理由
事情があり新築の家を売却する場合には、できるだけすぐに売却することが望ましいといえます。
なぜなら、築年数が経過すればするほど家の価値は下がっていくものであり、「新築住宅」の状態であればまだ価値が十分にあってより高い価格で家を売却できる可能性が高まるからです。
具体的な売却価格は個別の事情に左右されますが、一般的には、築年数が5年以内であれば新築時の約80%、築年数が10年経っていれば新築時の約50%程度まで資産価値が下がってしまう傾向にあります。
できるだけ高く家を売却したいなら新築の状態で売却するのが望ましく、それができなくてもできれば築5年以内の築浅の状態を目安に売却するようにしましょう。
新築の家を売却するときの注意点
新築の家は新築の状態で売却するべきですが、「できるだけすぐ、売却価格が下がらない新築のうちに家を売却したい」とあまり焦ってしまうと、うまくいかないこともあります。
ここからは、新築の家を売却するときの注意点をご説明します。
注意点1:築浅よりも新築の家のほうが高く売却できる
さきほどもご説明したとおり、家を売却するなら新築のまま売却するのが一番高く売れます。築年数が1年を過ぎてしまうと新築ではなく築浅になってしまい、売却価格が下がってしまう傾向にあります。
もっとも、売り時を逃して新築ではなく築浅になってしまったという場合でも、できるだけ築年数が浅いうちに売却したほうがより高く売却できることには変わりありません。家の資産価値は築年数を経るごとに徐々に下がっていきます。
築年数1年以内の新築の状態で売却することを目指しつつ、それを過ぎて築浅の状態になってしまったという場合でもあきらめずになるべく早く売却するようにしましょう。
注意点2:新築の家を売却するには住宅ローンを完済しなければならない
新築の家を建てた時に住宅ローンを組んでいる場合には、売却までに住宅ローンを完済しなければなりません。
住宅ローンを借りる際には、新しく建てる家に抵当権を設定するのが通常です。また、家を売却する時にはその抵当権を抹消しておかなければ基本的には売却することができません。
新築の家を建てる際に住宅ローンを組んでおり、家に抵当権が設定されているという場合には、売却の時までに自分の資金や売却によって得る資金を使って住宅ローンを完済し、抵当権を抹消しておくようにしましょう。
注意点3:新築の家を売却して利益が出たら長期保有した家より税率が高い
家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合には、その利益に対して譲渡所得税がかかります。
この譲渡所得税の計算上、家を保有していた期間が5年以内(短期譲渡所得)か5年以上(長期譲渡所得)かで税率が変わります。5年以内の短期譲渡所得の場合には、長期譲渡所得よりも高い税率で課税されます。
新築の家は基本的に保有期間が5年以内となるので、ほとんどの場合では短期譲渡所得として高い税率で課税されてしまいます。
譲渡所得の税率は、次のとおりです。
- 保有期間が5年以内(短期譲渡所得):30%(所得税)、9%(住民税)
- 保有期間が5年以上(長期譲渡所得):15%(所得税)、5%(住民税)
なお、法律上、マイホームを売却する場合であれば3,000万円の特別控除があるので、利益が3,000万円を超えなければ課税されることはありません。
実際に課税の基準となる譲渡所得は売却価格そのものではなく、いくつかの項目を考慮して計算しなければならないため、家を売却して得た利益が3,000万円を超えそうだという場合には、税理士などの専門家に相談しましょう。
新築の家を高く売却するためのポイント
新築の家は、ポイントを押さえて売却することでより高く売却できる可能性が高まります。
新築の家を高く売却するためのポイントについてご説明します。
ポイント1:未入居の状態を維持したまま売却する
もし売却しようとしている新築の家が未入居の状態であるなら、未入居の状態を維持したまま売却するように気をつけることが大切です。
「引越し先が決まるまでの短期間だけ住みたい」というようにいったん入居してしまうと、その入居期間がどれだけ短かったとしても新築扱いにはならず、築浅・中古扱いとなってしまいます。新築扱いで売却できなければ、その分だけ売却価格が下がってしまう可能性が高まります。
全くの未入居であれば、「新築」として売りに出すことができ、より高い価格で売却できます。
できるだけ高く新築の家を売却しようという場合には、必ず未入居の状態を維持するようにしましょう。
ポイント2:「なぜ新築の家を売却するのか」という理由をはっきり伝える
新築の家を売却するにあたっては、「なぜ新築の家を売却するのか」という理由を買い手にはっきりと伝えることが大切です。
家を買おうかと考えている買い手は、「新築なのに手放すというのは何かよくない事情があるのだろうか」「もしかして家や土地に問題があったり住むにあたって不都合なことがあったりするのではないか」などと不安に思うこともあります。
そのような不安を抱かれ、適切に事情を説明しないままでいると、買い手は購入をやめておこうと判断してしまうかもしれません。
買い手の疑問や不安を取り除いてあげることは、できるだけ早く高い価格で新築の家を売却するために欠かせません。「なぜ新築の家を売却するのか」と尋ねられたら、率直に理由を伝えて買い手の不安を取り除くようにしましょう。
ポイント3:最終的な成約価格が売り出し価格より下がることも踏まえて売り出し価格を決める
売り出し価格を決めるにあたっては、最終的な成約価格が売り出し価格よりも下がることも見据えて決めるようにしましょう。
「売り出し価格」とは、家を売りに出すにあたって最初にチラシやウェブサイトなどに掲載する売却価格のことです。
最初に決めた売り出し価格では買い手がつかず、より低い金額であれば買い手がつくということもあります。売り出し価格のとおりに売却できると期待してしまうとうまく進まないこともあるので、注意が必要です。
また、売り出し価格を決めると同時に「ここまでなら値引きして売却してもいい」という最低売却価格も決めておくと、買い手から価格の交渉があった際にもあわてずに判断することができます。住宅ローンの残債の額や手元に残したい額なども考慮すれば、最低売却価格を決めやすいでしょう。
ポイント4:売却する家の相場を意識して売り出し価格を決める
売り出し価格を決めるにあたっては、売却する家の相場をつかむようにしましょう。相場から大きく離れた売り出し価格を設定すると、スムーズに売却できなかったり不必要に低い価格で売却することになってしまったりします。
不動産の情報を扱うサイトを参照するなどすれば自分でも相場を確認することができます。
また、売却を媒介してくれる不動産会社は売却のプロなので、売り出し価格を決める際によくコミュニケーションをとってアドバイスを受けることも大切です。
ポイント5:スケジュールに余裕を持って売却手続きを進める
新築の家を売却する事情によっては、一刻も早く家を売却したいと思っているかもしれません。しかし、あまり売却を急ぎすぎてしまうと、買い手に今すぐに購入する決断をしてもらうために大幅な値引きをしなければならないこともあります。
より高く売却したいのであれば、焦らずに買い手を探すことが大切です。
家の買い手がつくまでには、2~3か月単位の時間がかかってしまうことも珍しくないため、それくらいの時間はかかると思って買い手を探すようにしましょう。
ポイント6:売却しやすい時期を逃さないようにする
家を売却しやすい時期を逃がさずに売却できると、より高く家を売却できる可能性が高まります。
家がよく売れるのは、一般的に3月と9月です。これは、新年度の始まりや人事異動のタイミングがこの時期に集中しやすいことで、この時期に新しく住む家を探そうという人が増えるからです。家を探す人が多い時期であれば、需要が高まっておりより高く売却できる可能性があります。
家の売却手続きを開始してから実際に成約するまでに3か月程度かかるとすると、3月や9月のそれぞれ3か月前までには売却のための手続きを始めておくことができれば望ましいでしょう。
もっとも、家を売ろうと決めた時期の都合でこれらの時期にうまく合わないという場合には、無理をしてこの時期に合わせる必要はありません。築年数が経つほど家の価値は落ちていくので、これらの家が売れやすい時期にうまく合わないという場合にはそのことを気にせずなるべく早く売却手続きを進めましょう。
ポイント7:複数の不動産会社に査定を依頼する
家を売却するには、通常は不動産会社に売却のための活動を依頼します。
良い不動産会社であれば、しっかりと買い手を探してくれたり適切な売り出し価格をアドバイスしてくれたりして、高く家を売却できるようにサポートしてくれます。逆に、あまり良くない不動産会社であれば、十分に高い価格で売却できなかったということにもつながりかねません。
依頼する不動産会社を選ぶにあたっては、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼するなどして、より高い売却を実現してくれそうな不動産会社を探すようにしましょう。
良い不動産会社を探すポイントには、次のようなものがあります。
むやみに高い査定を出すだけでなく、なぜその査定額になるのか根拠を教えてくれる
売却する家のエリアをよく知っており、そのエリアの不動産の取扱いを得意としている
売却する家の種類(マンションか戸建てか)に応じて、その種類の売却を得意としている
これらのポイントを押さえているかを目安に不動産会社を選ぶとより良い不動産会社を選べる可能性が高まるでしょう。
新築の家を売却する流れ
新築の家を売却すると決めたら、できるだけすぐに売却のための活動に取り掛かりましょう。新築の家を売却する流れは、次のとおりです。
流れ1:不動産会社に査定を依頼する
まずは不動産会社に査定を依頼します。
先ほどもご説明したとおり、1社ではなく複数社に査定をしてもらうことが大切です。これにより、より良い不動産会社を探すことができるだけでなく、相場感覚もつかむことができます。
流れ2:売り出し価格を決定する
査定の結果が出たら、それを参考にしつつ売り出し価格を決定しましょう。
売り出し価格を決めると同時に、いつまでには売却したいか、いくらまでなら値下げできるかなども決めておきましょう。
売り出し価格の決定にあたっては、不動産会社に相談してアドバイスをしてもらうとよりスムーズです。
流れ3:媒介契約を締結する
どこの不動産会社に不動産の売却活動を依頼するかを決め、媒介契約を締結しましょう。「媒介契約」とは、不動産の売却活動を委託する契約のことです。
媒介契約は1社だけと締結することもできますし、複数の不動産会社と契約してもかまいません。もっとも、1社だけとの間で専属の媒介契約を締結すれば、より積極的に売却活動をしてくれることが多いです。このため、信頼できる不動産会社が見つかれば専属の媒介契約を締結するという考え方もあります。
流れ4:不動産会社が売却に向けた活動をする
依頼した不動産会社が、レインズ(不動産の情報データベース)への登録やウェブサイト・チラシへの掲載などを通じて売却に向けた宣伝活動を行ってくれます。また、内覧を希望する人がいれば、内覧の対応も行います。
流れ5:売買契約を締結する
家の買い手が見つかりその買い手に売却することを決めたら、家の売買契約を締結します。
売買契約時には、重要事項説明書による説明などが行われるとともに、売却する家の手付金などが支払われ、家の引渡しの日などを決めます。
流れ6:買主に家を引き渡す
引渡しの時には、家の鍵や所有権移転登記手続きに必要な書類などが買い手に引き渡されます。また、売却する家や土地の現地確認も行われます。そのうえで、買い手から売り手へと家の売却代金が支払われます。
引渡しの手続きが無事終われば、家の売却は完了です。
新築の家を売却するのにかかる費用
新築の家を売却するためには、ある程度の費用がかかります。どのような費用がかかるのかを把握しておかなければ、予想外の支出に困ってしまうことにもなりかねません。
新築の家を売却するのにかかる費用についてご説明します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産売却の仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料です。仲介手数料は売買が成立したときに支払う成功報酬であり、仲介を依頼したものの売買が成立しなかったときには支払う必要がありません。
仲介手数料には法令で定められた上限があり、例えば取引する不動産の価格が400万円を超える場合には「取引物件価格(税抜き)×3%+6万円」が仲介手数料(税抜き)の上限です。
例えば、売却する家の取引物件価格が3,000万円だった場合には、「3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜き)」が不動産会社に支払う仲介手数料の額となります。
なお、この計算式は法令で定められた上限ですので、不動産会社によっては仲介手数料をこれよりも低く設定していることもあります。
印紙税
売買契約を締結する際には、印紙税を納めなければなりません。印紙税は、収入印紙を取扱窓口で購入して売買契約書に貼る形で納めます。
印紙税の額は契約書に記載された売却金額によって変わります。例えば、売却金額が1,000万円超5,000万円以下の場合は、印紙税額は2万円(ただし、軽減措置の期間中は1万円。軽減措置の期間は、2024年3月時点では、2024年3月31日まで)となります。
抵当権抹消登記手続きにかかる費用
住宅ローンを完済した後に抵当権抹消登記手続きを司法書士に依頼して行ってもらうために必要となる費用です。
抹消登記のために法務局に納める登録免許税は、不動産1件につき1,000円で、土地と建物に抵当権が設定されているのであれば2,000円となります。また、司法書士に支払う報酬は、1件につき1万~2万円程度が目安です。
住宅ローンの一括返済にかかる手数料
住宅ローンの一括返済をする際には、手数料が必要となることがあります。
住宅ローンの借入先によって異なり、無料で済むところもありますが、手数料がかかる場合には数千円~5万円程度が目安です。
引越し代
引越し代は、距離や荷物の量、時期などによっても大きく異なります。
2人以上の家族で引っ越す場合には、引越し代の目安は10万~20万円程度です。
引越し代は、会社によっても大きく異なるので、いくつかの会社に見積もりを取ったうえで依頼する引越し会社を決めるのがおすすめです。
譲渡所得税
新築の家を売却したら、譲渡所得税を納めなければなりません。譲渡所得税の計算方法はすでにご説明したとおりです。たとえば、保有期間5年未満の家を売却した場合の税率は、譲渡所得の約39%です。
また、一定の要件を満たしてマイホームの特例が適用される場合には、売却益が3,000万円までであれば非課税です。
まとめ:新築の家を高く売却するにはポイントを押さえて売却手続きを進めよう
新築の家を高く売却するには、ポイントを押さえて売却手続きを進めることが大切です。
新築の家を高く売却するために押さえておくべきポイントとして、未入居の状態を維持したまま売却することや、最終的な成約価格が売り出し価格より下がることも踏まえて売り出し価格を決めること、スケジュールに余裕を持って売却手続きを進めることなどがあります。
この記事でご紹介したポイントを押さえて売却手続きを進めることで、よく考えないまま売却するよりも高い価格で新築の家を売却できる可能性が高まります。
新築の家を売却するにあたっては、ポイントを押さえて売却手続きを進めることで損をせずに不動産売却をすることができますので、まずは不動産売却マップの専門コンサルタントにぜひご相談ください。
執筆者:弁護士 岡島 賢太
経歴: 東京大学文学部卒業(中国語・中国文化専攻)。出版社にて書籍編集者、新聞社にて校閲記者として勤務し、最高裁判所における司法修習を経て、弁護士(第二東京弁護士会所属)。